物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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投稿が遅れて申し訳ありません。

チーム編成
夏目春樹
①ネロ
②アルテラ
③ロムルス

藤丸立夏
①ブーディカ
②タマモキャット
③ステンノ



第三十五話

 

 カルデアのサーヴァントたちがあちらこちらで自由に酒と料理を楽しんでいる中、俺と藤丸君、マシュは驚きで言葉が出なかった。 

 

 何故ならドレイクが所持している盃が本物の聖杯であったからだ。

 

 それに気付いたマシュは興奮しながら藤丸君に伝えたが、すでに酔いが回っているらしくふらふらで、全く話を聞いていない。

 

 未成年の飲酒はやっぱ駄目だよな。法律を定めている日本は滅んでるけど。

 

 しかし、これは嬉しい。聖杯発見したのだからこの旅はもう終わりか。かーっ、残念だなぁ。俺の船旅がこうして終わるなんて残念だなぁ。

 

 旅の終わりに喜ぶながら酒を飲んでいるとフランシスが、聖杯を手に入れた経緯を話し始めた。

 

 まとめると、大渦の中から現れた沈没都市、アトランティス。そこにいたポセイドンから聖杯を手に入れたらしい。ついでに都市も沈めてきたとか。

 

 お前凄いな。下手な古代の英雄よりヤバい偉業を成し遂げているぞ。

 

 俺が感心しているとフランシスは、‘だが…’と付け加えた。

 

「気になることが一つある。私たちがあの偽神と戦っていた時に、援護してきた船だ」

「ああ、ありましたね。確かにあの船がなければ俺たちもやられていたかもしれませんし」

「あの船ってことは違う海賊でもいたんですか?」

「んー、あれは海賊とは違うさね。でもヤバい連中ではあると思う」

 

 この海、おかしくない。気候がおかしいとかじゃなくて。存在している生物がおかしい。

 

「どのような方がいたんですか?」

「遠くからだったんで正確じゃないけど、まずは金髪の男、そして緑髪の女、後は色黒の大男。それぐらいしか分からなかったけど、凄かったよ」

「あれはスゲェぜ。弓を空から大量に降らせたり。まさに人間技じゃねぇよ」

 

 楽しそうに盛り上がる部下を前にフランシスがぽつりと呟く。

 

「あいつらに助けてもらったのは確かだが、謎が多い。まるであたしたちにこの盃を持たせるために動いていたのではないかという動きでもあったね」

 

 ‘まぁ、どうでもいいさね’と言い再び酒を飲むフランシス。

 

 フランシスの言っている奴らが気になる。とても気になる。俺に不幸を届けてきそうな気しかしない。

 

 気にはなるがどうしようもないので諦めることにした。

 

 酔いが回ってフラフラになった藤丸君をマシュちゃんとブーディカが運んで行った。その結果、俺はフランシスと差しで飲むことになった。

 

 お互いがいい感じに酔っている状態であった。

 

「で、あんたは何者だい?」

「……元海賊」

「へぇ、じゃあ今は?」

「世界を救う小説家」

「あっはっはっは、それは面白いね。そんな真逆な方向に進んだ人間なんて見たことないよ」

 

 普通はそうだろうな。でもな、俺は見たことあるよ。極悪の海賊から騎士になった英雄を。

 

「お前さんもいつかそうなるよ」

「へぇ、あたしかがかい?」

「ああ、お前だよ。きっと凄い人物になれる。歴史に名前を残すような」

「……ふーん。あたしはお前と似たようなことを言う人を一人知っているよ」

「それは誰だ?」

「あたしの……先生さ。いろいろ教えてもらったよ、操舵やら航海術やら。あたしが尊敬している数少ない人間だよ」

「そいつは凄いな。あんたが尊敬するなんて大物だ」

「その逆さ。小心者で、絶対に海賊になんてなるかって頑固でね」

「普通は海賊になりたいなんて言わないと思います」

「面倒だからコイントスで決めようって話になったんだ」

 

 そっから先は知っているわ。

 

「先生は昔から不運でね、コインなら勝てると見越していたんだが……」

「見越していたんだが?」

「本当に弱くてね、10連勝しちゃったんだよ!」

 

 本当に可笑しそうに笑うフランシス。

 

 うるせぇよ。俺の運が悪いんじゃなくてお前の運がいいだけだよ。……そうだよね。うんそうだよ。泣きながらもう一回、もう一回って頼み込んで惨敗したのは俺が不運だからじゃない。

 

 自分に言い聞かせるように呟いた。

 

「そうだ、あんたこの海域での旅が終わったら一緒に世界一周しないかい?」

「嫌だよ。俺は世界より自宅のほうが好きなんだ」

 

 俺の発言を聞いたフランシスがニヤッと笑った。

 

「意見が割れたならコイントスで決めようじゃないか」

「俺が勝ったら?」

「あたしの船をやるよ」

「大事なものをそう簡単に賭けるなと誰かに言われなかったか」

「言われたよ。あたしは、どうしても欲しいものがある時は、それと同等の物を賭けると返してやったよ」

 

 やれやれ、どこぞの馬鹿娘と賭けをした日を思い出す。どうせこの勝負を最後まで覚えているものは、俺だけなんだ。

 

「交渉成立だ。ほらトスしな」

「はいよ」

 

 フランシスが空にコインを上げて、ゆっくりと落ちてきたコインを受け止めた。

 

「表」

 

 コインの結果がどうなったかは、お楽しみだ。

 

◇◇◇

 

 藤丸君の酔いが醒めてから、改めて聖杯の話を行った。フランシスが所持しているのものは、人理を乱しているものではないので、結局のところ、レフがばら撒いた聖杯を回収しなければならないようだ。

 

 こうして俺たちはフランシスと協力して航海に出ることになった。

 

◇◇◇

 

 航海に出たはいいが、面倒なことに海賊の幽霊のような者に襲われた。しかしサーヴァントの相手にはならず、簡単に撃退して進んでいると島を見つけた。

 

 上陸して島を探索すると石板が落ちていた。内容は血斧王が目覚めたとのこと。その人きちんとは知らないなぁ。

 

「どのような人物だったのでしょうか?」

 

 マシュがロマンに尋ねると、なぜかダ・ヴィンチさんが答えた。

 

『確か9世紀のノルウェーの王様だったはずだよ。とても怖い妻がいたという話だ。何でも夫の敵を呪い殺したりとか、違う女性と話していると拗ねて呪いをかけたりとかね』

 

 ……かわいそうに。でも他人事と思えないのは何故だろう?

 

「その気持ち分かるぞ。夫には自分だけを見ていて欲しいものだからな」

「うん。その妻は間違ってないぞ」

 

 ああ、自分事だからか。

 

 遠い目をしていると、フランシスが楽しそうに藤丸君と世界一周の話をしていた。

 

「どうだい、この海域を出たら一緒に世界一周をしようじゃないか!」

「世界一周ですか? うーん検討しておきます」

「つれないねぇ。もちろん、マシュが来るならアンタも来るんだよ藤丸」

「ええ⁉」

「当たり前だろ。あんたはマシュのマスターなんだから」

「えーと、け、検討しておきます」

「それだけ聞けたら十分さね」

 

 あっはっはっはと笑うフランシス。藤丸君たちも大変だな。

 

「あんたは絶対に来るんだよ、夏目!」

「HA, HA I cannot speak English」

「やかましい!」

 

 足元に銃弾を撃ち込まれた。これだから海賊は粗暴で嫌なんだ。

 

 藤丸君や他のサーヴァントたちが興味を持ったように尋ねてきた。

 

「何かあったんですか?」

「浮気か?」

「浮気?」

 

 君たち怖い。

 

「コイントスで負けた。11連敗」

 

 やれやれと肩を竦めてため息を吐く。

 

 連勝を重ねて嬉しそうにはしゃぐフランシスの顔が憎たらしかった。

 

 藤丸君が引きつった顔で何を言えばいいか迷っていると、前から石板で記してあったサーヴァント・エイリークが現れた。

 

 今回は藤丸君チームが戦うことになっており俺たちは観戦となった。6人で一人と戦うって味方同士で攻撃が当たる場合もあって危ないしね。

 

 あ、タマモキャットの右ストレートが決まって、エイリークが消滅した。

 

 戦闘終了後、島を歩き回っていると続けているとエイリーク一行が乗ってきたであろう船を発見。船の中を探索して地図を見つけた。地図には別の島が書いてあった。

 

 エイリークたちもかわいそうに。たまたま来た島に、こんな奴らがいるなんて想像してなかっただろうな。

 

 とにもかくにも、俺たちの次の目的地がその島に決まったのだった。

 


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