物語の執筆者 作:カボチャッキ―
これからも頑張るのでよろしくお願いします。
チーム編成
夏目春樹
①ネロ(襲い掛かってくる可能性あり)
②アルテラ(襲い掛かってくる可能性あり)
③ロムルス(見て見ぬふりをする可能性あり)
藤丸立夏
①ブーディカ(たぶん安心できる)
②タマモキャット(少し安心できる)
③ステンノ(かなり危険)
レイシフトが無事に終了し、目を開けると陸ではなく海の上、それも船の上で海賊に囲まれていた。何を言っているのだと思うかもしれないが真実です。
「てめぇら何者だ⁉」
混乱している船長らしき人物が尋ねてきた。
「同業者です」
俺からとっさに出たセリフ。昔の癖が抜けていないようだ。こう見えても海賊モドキをしていた期間があった。
「嘘つけ! そんなカラフルな海賊見たこともないわ!」
「裸みたいな恰好で略奪する海賊がいるんだから、カラフルでもいいじゃないか!」
「裸の海賊と派手な海賊を一緒にするんじゃねぇ。カラフルだったらすぐに捕まるだろ! それにカラフルなのは海賊じゃなくて演劇団の方が向いているだろ!」
「……でも、略奪もするし、襲い掛かるし、容赦しないメンバーだよ」
後ろで一部のサーヴァントたちが頷く。おそらく、いや、絶対に海賊よりも質が悪い奴が多い。
「うるせぇ、やっちまえ!」
ここで一次カルデア海戦が行われた。結果は一方的だったのは言うまでもない。
戦いが終わり、一段落着いたところでマシュちゃんと藤丸君がロマンに文句を言っている中で俺は懐かしい気持ちになっていた。
海賊をやっていた時はよくこんな目に会っていたな。はは、懐かしいぜ。あの頃に戻りたくないよぉ。
「今から、この船の船長は余だ。皆の者ついてまいれ!」
船長を初めに倒したネロが元気よく叫んだ。せめて目的地を教えてください。
「船と海はいい文明。春樹と海水浴もいいな」
海を眺めながら呟くアルテラ。君、すごく乙女してるね。足元にのびている海賊さえいなければ。
みんながハチャメチャに船内で遊んでいる中、藤丸君が聞き出した情報によると近くに海賊島なる場所があるらしくそこに行けば何かしらの情報が得られるかもしれないとのこと。なので、全員で海賊を脅してその島に向かうことになった。
やっぱり海賊じゃないかな、俺たちは?
◇
ネロが運転すると言って聞かなかったが、俺が船の上でネロと踊るのならば諦めるという謎の発言により、俺は着くまでの時間ネロと踊り続ける羽目になった。ちなみにアルテラとも踊りました。
「腰が、足が、腕が、体の全てが痛い。決めた、俺は決めたよ藤丸君。絶対にこれからは運動する。それが無理でも筋トレはする!」
「……頑張ってください」
死にかけの俺の発言に頬を引くつかせる藤丸君。君にも同じ体験をさせたいよ。
砂浜で休憩していると、まるで狙ったかのように新しい海賊が現れた。
「獲物だ! 野郎どもやっちまえ!」
「皆の者、獲物だ!」
ネロと海賊が同時に発言して再び戦闘が始まった。すげぇ、あいつこの短時間で海賊になったな。
ん? よく見るとあの吹き飛ばされた奴、フランシスの部下じゃね? え、じゃあ、フランシスいるの? やだー。女性と海の組み合わせは駄目だって言ったじゃないか!
「くそ、姉御ならこいつらを倒すことができるのに!」
あっという間にボロボロにされた海賊Aはそんなことを言い始めた。
馬鹿止めろ! 興味を持つ奴がいたら困るだろ!
「姉御とは誰ですか?」
「姉御はフランシス・ドレイク様だ!」
やっぱりあいつだぁ! 問題事を持ってきて丸投げするあいつだぁ! エリザベス女王と話をする時に俺に交渉役を任せてきたあいつだぁ!
めんどくさくて逃げ出して結局捕まって、二人で行くことになったけど。
「先輩、聞きましたか! あのフランシス・ドレイクですよ。世界を一周して、スペインの無敵艦隊を壊滅させた英雄です。彼ならば何か知っているかもしれません、会いに行きましょう」
マシュちゃんの提案により、フランシスに会いに行くことになった。しかし……
「けれども、海賊であることに注意してください」
「そうだね、海賊には苦しめ……られてないけど気を付けよう」
すでに海賊に対して不信感を抱くようになった二人。まさしく前途多難である。
◇
「姉御、助けて下さい。こいつらヤバいんです!」
フランシスの部下に誘導されて出会ったのはやはり赤髪に赤い服を着た女性フランシス・ドレイクだった。絶賛酔っ払い中らしく結構楽しそう。
彼女を見た全員が驚いている。そりゃあそうだろう。あの大悪党が女性なんて誰が信じるだろうか。でも、俺なら速攻で信じるかもしれない。女性は俺にとって悪が多い。
フランシスは俺たちをジロジロ見ながら部下に尋ねた。
「ヤバいって、こいつらは客人かい? それとも敵かい?」
「不明ですが、たぶん敵です。出会った瞬間、襲い掛かってきました!」
「お互い様じゃないでしょうか」
マシュちゃんが言っていることは正しい。しかし、敵らしい行動しかしてない。
「しかし、俺らをだれ一人殺してないので、完全に敵というわけではなさそうです」
「……そうかい。分かった。アタシが話をつけよう。あんたらの船長は誰だい!」
さて、本物のリーダーであるマリーは現地にはいない。本部の方で仕事に追われている。そして現地にいない者をリーダーと言ってもフランシスは納得しないだろう。ならば彼しかいない。
「藤丸君」
「え、俺ですか⁉」
「ああ、君が俺たちの船長だ。それはみんなが認めている」
狼狽えている藤丸君にマシュちゃんが力強く頷いた。
そうこの物語の主人公は彼なのだ。ならばリーダーは彼でいいだろう。例え目の前で‘リーダーは余だよ’と言った瞬間にロムルスに回収されたネロがいたとしても、彼が船長だ。
「分かりました、やってみます。俺が船長です!」
「ほう、イイ面の男が出てきたじゃないか。いいだろう話してみな」
藤丸君の注文は‘この世界がおかしいので修復したい。でも足がないので船貸して。’まとめるとこんなかんじ。対してフランシスは‘分かった、ただし勝ったらな!’というかんじ。
そこでマシュVSフランシスの戦闘が行われたが見事にマシュちゃんが勝利した。遠くから見てて思ったが、フランシスも生身のくせに人間離れした動きするよな。この世界の人間はどうなってやがる。
しかし、提案は置いておいてせっかく仲間になったということで親睦を深めるためにフランシスたちと宴会を開くことになった。
各々好きな場所で酒を飲んでおり、俺は藤丸君とフランシスの三人で酒を飲みながら軽く雑談をした。
「あんたは話していて分かるが頭の回転が速いね。部下に欲しいよ」
「絶対に嫌です」
「あはははは、バサっと断ったなぁ。これは仕方ない諦めるとするかぁ」
楽しそうに笑うフランシス。そう言いながら諦めずに俺を無理矢理船員にしたことは今でも忘れていない。銃やら操舵を教えてやったのに恩知らずめ。
心の中で愚痴をこぼしていると急に真面目な顔になったフランシスが切り出した。
「先ほどの話に戻るが、この海はおかしい。アタシが調査したところアタシの知っている場所のどこにも該当しない。なによりも大陸が存在しない。しかも海流も風もおかしいときたもんだ」
海賊の天敵のような海だな。
「かなり厳しそうですね」
「ああ。それでも明日には旅立つもりだよ。あんたたちタイミングがいいねぇ。最高の船旅が待ってるよ!」
ケラケラ笑いながら酒を飲むフランシス。それにつられて酒を飲む藤丸君は勢いに釣られて乾杯した。その時フランシスが持っているグラスは聖杯に似ていた。