物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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軽いサーヴァントと主人公の絡み

ヴラド三世
編み物をしていることから春樹から編みキングの命名を受ける。まんざらでもない様子。

マルタ
春樹から借りた漫画を読み陸奥〇明流の習得に乗り出す。春樹は大きく後悔した。

オルタ
春樹と漫画の話で盛り上がる。少女漫画にはまった模様。春樹は少しかわいい娘ができた気分。

ジークフリート
春樹に‘そんなすぐにすまないと言わなくてもいいのでは?’と言われ口癖がごめんなさいに変化し始めている。春樹はすまない気持ちでいっぱいになった。

ジャンヌ
春樹に言われて神様の勉強を始めて呆然自失になりかけている。

清姫
夏目に興味はない! 安珍を出せ!


第二十一話

 カエサルを打倒して、首都ローマに帰還途中、少し変わった話を聞いた。なんでも古代の神様が近くの島に出現した模様。

 

 神様なんて厄ネタが普通に出てくるあたりローマの闇は深い。

 

 嫌だなぁ、見たくないなぁと思っていると好奇心旺盛なネロが案の定、興味を示してしまった。

 

「と、言うことで余は是非神様とやらに会いたい!」

「そうですね、ドクターはどう思います?」

『うーん、神様というのが少し気にかかるなかな。それにこの時代に神様がいるなんてロマンがあるし行ってみるべきだと思うよ。春樹はどう思う?』

「断固反対。俺にはドギツイ女難の相が出ている。今回も女性に絡まれるかもしれない」

 

 すでにネロによって当てはまっている女難がこれ以上悪化されると困る。

 

『でも、女神とは限らないと思うよ。君は心配性だなぁ。はははは』

 

 他人事だと思って適当に言っているな。今度、お前が寝たときに一気に鼻毛を抜いてやる。

 

「魔術師殿も賛成してくれたので早速向かうとしよう。それにこのまま航路で帰るのもいいものだ。余の操船を披露してやろう。楽しみだろう、立香?」

「……はい楽しみです」

「そうだろうそうだろう。春樹を乗せた時も乗り終わった後、無言で何度も頷いていたからな」

 

 吐き気を我慢してたやつだね。

 

 藤丸君が俺のほうを見て全てを悟った様だ。俺は彼女の技術を知っている。あれは運転ではなく暴走だ。安全運転度外視の暴走だ。

 

「俺は陸路で帰ります。少し気になることが」

「何もないよな?」

「無いんですよねぇ。はははは」

 

 ネロが怖いです。

 

「では、さっそく船の準備をして出発だ!」

 

 兵士が元気よく返事をする中、カルデアチームは涙を流した。

 

 

 無事に島に着いた。藤丸君やサーヴァントたちはあの運転に耐えきった。一方で俺や兵士たちは寝込むことになった。俺は陸に上がりそこで休むことにした。少しでも動けば吐きそうだ。

 

「さて、本当に神様とやらはいるのか?」

 

 ネロがあたりを見回すと、ロマンから近くにサーヴァントがいるとの情報が入り探すといた。あの女神が。

 

 最悪だ。やっぱり女性だ。しかもギリシャだ。これは最悪ですよ!

 

「ごきげんよう、勇者の皆様。この島へようこそ。人間を待っていたのだけれどサーヴァントも混ざっているなんて不思議ね」

『これは、信じられないな本当に神様だ!』

「ええ、そうよ私はステンノ、ギリシャの神様よ。ゴルゴン三姉妹の一人でもあるわ」

 

 この女神に何かしら悪寒を感じたのかマシュちゃんとネロが震えている。

 

 話を進めていき、おおまかな話を理解したネロが共に来てくれるように頼みこむが断られてしまった。

 

 グッド。素晴らしい。彼女は来ないほうがいいと思います。

 

「一緒にいけないの残念だけど代わりに褒美を上げるわ。ここまで来てくれた勇者様だもの。女神の祝福を上げる。この近くに洞窟があるからそこに行ってみなさい。そこには素晴らしいものが待っているわ」

 

 それはトラップだ。言いたいけど気持ち悪いので黙る。

 

 言葉に騙された藤丸君たちが洞窟に進んでいった。そしてステンノは何も話さずに黙っている俺に近づいてきた。

 

「あなたは行かないのかしら?」

「……」

「あら? 返事をしてくださらないの? 無礼な人間ね。私と目線も合わさないなんて」

 

 勘弁してくれ、そして絡まないでください。

 

「もしかして私に魅了されることを恐れてるの?」

「……」

「これも無視。ひどいわね。ふふふふふ」

 

 返答しない俺に興味を持ったのかステンノは俺の前に来て俺の頬を両手で挟み無理矢理正面を向かせてきた。

 

 そんなことされたら……

 

「おぼぼぼぼぼろろろろろろろ」

「……」

 

 ステンノの顔面に俺の中の悲しみがかかった。ステンノが笑顔のまま固まった。俺のサーヴァントが‘あちゃー’みたいな顔でみている。

 

「おぼろろろろろろろ」

 

 彼女の両手を放してもらい違うところに吐く。苦しい。

 

「ふ、ふふっふふふふ。ここに妹がいないことが残念だわ。いたらけしかけていたのに」

「はぁ、はぁ。駄目だ。もう駄目だ。俺は寝るしかない」

 

 彼女には悪いが返答する余裕がない。

 

「ここに来てまだ無視なんて。あの人間を思い出すほどの無礼さよ」

「ど、どんな人間だったんですか?」

「あら、やっと興味を持ってくれたのね。普通なら教えないけど教えてあげるわ。そいつはね、三姉妹がいるところに来たの」

 

 なんか身に覚えが。

 

「そして私たち三姉妹を見て言ったの。メドゥーサには将来性があると。そして私たち姉二人には憐みの目で見てきたわ。ああ、思い出しても許せないわ」

 

 それ俺です。だって、体形的に彼女は発育よくなりそうだったけど姉二人は無理だったでしょう。

 

「それは、無礼な人間ですね。体形のことを話に出す人間は酷いものです」

「私は体形については何も言ってないわよ」

 

 ……またやっちゃった?

 

「言い間違えました、はい。私は寝ます。探さないでください」

「それは無理よね。そう言って昔も逃げ出したじゃない。私たちが課題を出したのに逃げ出したし。今回は何かしらやらせたいわ」

 

 ……マギ☆マリの占いは凄いな。俺もマギ☆マリしよう。

 

「あなたの名前を教えてくださる。勇者様?」

「……南中尋貞(なんちゅうえろさだ)です」

「それ、本名?」

「もちろんです」

「そう、やってくれるわよね。南中尋貞?」

 

 女神の口からそんな言葉を聞くことになるとは思わなかった。

 

「前向きに検討します」

「……」

「……」

 

 お互いに笑って黙る。

 

「私の魅了が効かないのね」

「そうみたいですね」

 

 すまない、俺は巨乳派なんだ。あなたの妹からお願いされたら危なかった。

 

 にこにこ笑っているが、分かる。この人ちょっときれそうになっている。

 

 そうやって話しているとヴラドが声をかけてきた。

 

「おい、海岸を見てみろ」

 

 見てみるとネロの叔父に当たるカリギュラがいた。

 

「ネロはどこだぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 このタイミングで面倒くさい。いや、いいタイミングじゃね? そうだよ戦闘するふりして逃げればいいじゃん。

 

 そう思って戦おうとした瞬間に後ろから声がした。

 

「スマイル・オブ・ザ・ステンノ」

 

 え?と思った瞬間にカリギュラの視点が定まらないようになりバタッと倒れた。そしてサーヴァントが消えるとき特有の砂になった。

 

 カリギュラ……なんで死ぬん?

 

 呆然としているとステンノが怪しく笑っているのが見えた。その後ろでは藤丸君たちが無事に帰ってきていた。

 

 カリギュラのあまりにもあっけない死と俺が逃げ遅れたことだけははっきりとした瞬間であった。


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