物語の執筆者   作:カボチャッキ―

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第二十話

 

 城に戻ると物々しい雰囲気で戦の準備をする兵士の姿があった。ネロに確認したところ今度はガリアへ行くらしい。ガリアは前線の一つらしくもしかしたら敵サーヴァントがいる可能性があるので俺たちカルデアもネロと同行することになった。

 

 地味にネロが普通であることに安心した。

 

 そうしてガリアへの道中で、ネロたちはマシュと一緒に馬に乗る藤丸に質問した。

 

「藤丸よ、一人で馬には乗れんのか?」

「乗馬経験がないので無理なんです」

「ふむ、未来では馬は移動手段ではないのか?」

「そうなんですよ」

 

 ふむふむと納得するネロ。ちなみに他のサーヴァントはみな平然と馬に乗っている。みなさん馬が当たり前の時代の人ばかりだからね。藤丸君は一度挑戦したが落馬してしまった。俺はもちろん乗れる組である。こう言っては何だが俺は車に乗っている時間より馬に乗っていた時間のほうが長いのだ。

 

 会話をしているとちょこちょこ敵の兵士が襲ってくるがサーヴァントが軽く倒してしまう。どう考えてもサーヴァントが六人+マシュちゃんがいるこちらに勝てる可能性はゼロでしょう。

 

 再び、会話に戻った俺たちにネロは提案してきた。

 

「どうだ藤丸よ、客将ではなく余のものとなるか? ちなみに春樹は永久就職だぞ」

「……考えさせてください」

「……か、か、考えさせて」

「何か言ったか春樹?」

「……ロマン転職しちゃいそう。どうすればいい?」

『え? うん、マギ☆マリに相談してみるよ』

 

 上司に相談したら避けられた⁉ ま、ま、まあこの特異点から逃げられればいいから大丈夫だ。うん。

 

『聞いてくれ春樹、マギ☆マリから返信があったよ! 諦めろだって。他にもあなたはドギツイ女難の相が出てるから気を付けてってさ。はははは。それにしてもすごいなマギ☆マリは的確じゃないか。まるで僕らのことを見ているようだ。』

 

 マギ☆マリってネットアイドルだったっけ? すごいな今の人工知能は。そしてさりげなく上司から見捨てられたことが悲しい。

 

 後、ロマンは俺の不幸を笑ったので後で泣かす。 

 

 ネロと会話している藤丸君に軽く嫉妬しているマシュちゃんに癒されながらも無事に俺たちは無事に前線の野営基地についた。

 

 そこでネロが演説したことで兵士の士気が大幅に上がった。ここら辺はさすが皇帝というべきだろう。

 

 のんびりと演説を見ているとロマンから近くにサーヴァントがいるとの情報をもらい探してみると見知った顔がいた。

 

「お、皇帝陛下はもうお越しか。思ったより早かったね。それで君たちが噂の客将か。とても有能なんだってね。私はブーディカ。今はガリア遠征軍の将軍を務めているよ」

 

 一人はブーディカ。ネロと同時代にブリタニアにいた女王である。俺自身は彼女とはあまり関わらなかった。彼女を表すなら復讐の鬼とでも言おうか。ローマのやり方も惨いものであったが彼女の復讐もまた惨いものであった。ローマの女性は関わりたくない人が多すぎない?

 

 俺は彼女から見たら憎しみに対象のはずだから距離を取ろう。

 

「君は圧制者かな」

「え、いや、違います」

「では、共にこの青空で圧制者と共に戦おうではないか!」

「え、ええ。頑張りましょう」

 

 もう一人はスパルタクス。彼とは共に戦った仲である。俺は彼ほど勇敢な戦士を知らないと言っても過言でなはいだろう。弱者を守る、それを実際に行動に移せるのはかっこいいものだ。俺に対して‘君は圧制者ではない’と断言された。あってるけど俺はそんなに弱そうかな?

 

 彼女たちと軽い自己紹介をした後に会話をしているとネロが頭痛によりダウンしたり、敵の斥候が現れるなど軽いアクシデントが発生したが軽く片付けた。

 

 戦いが終わった後にマシュちゃんは何故、ブーディカがローマと共に戦っているのかを聞いた。そこで彼女はローマを恨んでいる、それでも其処で生きる人々のために共に戦うと言ったのだ。全く、英雄とはかっこいいな。俺も機会があったのなら彼女の生き様を見てみたかったな。

 

 マシュちゃんと藤丸君がブーディカと話している一方で俺はスパルタクスと話していた。

 

「見るがいい、この肉体こそが反逆の証!」

「そこの傷は酒飲んで酔った時に付けた傷じゃなかった?」

「君は圧制者だな!」

「違います!」

 

 追いかけないで下さい!

 

「あははははは、もう一人の人は不思議だね。あんなにもスパルタクスと仲がいい人は見たことないよ!」

「そうですね。夏目さんは不思議な人です」

 

 そこも楽しそうだねー、みたいね雰囲気で見てるんじゃない。こっちは命がけなんだよ。

 

 俺が逃げ切って寝込んでいるときにブーディカとスパルタクスが藤丸君チームと戦っていた。なんでも実力が知りたいとのこと。

 

「俺たちは、はぁ、戦わなくても、はぁ、いいのかね?」

「片方が分かれば十分なのだろう」

「こひゅー、そんなもんかね」

「春樹、あなた凄いわね、よくあれから逃げ切れたわね」

「ふぅ、あいつは曲がるのに弱いんだ。猪突猛進タイプだから」

「ふーん」

 

 興味なさげに頷いたオルタの横では無事に藤丸君たちが勝利していた。彼は成長しているらしい。さすがは英雄だ。

 

 終わった後にブーディカがマシュを気に入ったらしく仲良く飯を食べたり、風呂に入ったらしい。彼女がブリテン由来のデミサーヴァントと気付いたのだろう。俺もこの前アルトリアに教えてもらった。彼女にそのことを告げない理由はまだ早いかららしい。深いことは俺には分からないので置いておこう。

 

 一方で俺はスパルタクスと背中を流し合うという懐かしいことをして一日を眠ったのだった。

 

 

 翌日、俺たちは偽皇帝なる人物に攻撃をしかけた。

 

 敵はローマ兵ばかりではなく、魔術により生み出された怪物などが出現した。やはりレフがいるのかもしれない。そのことで少し悩んでいると、とうとう偽皇帝と出会った。

 

ガリアでカエサルってこれを仕組んだ奴は何か歴史が好きそうだな。

 

「ふむ、こうして待った甲斐があった。名前を名乗れ美しきものよ」

「余はローマ第5皇帝、ネロ・クラウディウスである」

「よい名乗りだ。ローマはこうでなくてはならない。私も名乗ろうではないか。私はカエサルである」

 

 嬉しそうに名乗った後に彼は今度は俺たちの名前も尋ねてきた。しかし、逆に俺は聞きたいことがあった。

 

「なんでその姿で召喚されたの?クレオパトラさん泣いちゃうよ」

 

 彼女、俺が寝たいって言ったのに無理やり君の話を聞かせてきたし。その中で美貌を褒める話があったはずだ。何か聞かされすぎて頭がおかしくなりそうだった。

 

「それは私にも分からない。そもそもセイバーで召喚されたことがおかしいのだ。クレオパトラなら、この姿でも大丈夫だ。私たちの仲だからな」

「その自信が羨ましいよ」

「それで貴様は何故、私のことを知っている?」

「……企業秘密です」

 

 睨みつけてくるカエサルの視線を横を向いて回避する。あいつ頭がいいからぼろを出さないように気を付けよう。

 

 ネロがカエサルの名前に驚いているとマシュちゃんがレフの情報を聞き出そうとしたが教えてくれなかった。しかし、聖杯の存在は確認できた。やはり彼らが持っているらしい。

 

「さて、話は終わりだ。ここまで敵が多いのだ初めから本気でやらせてもらおう」

 

 戦闘が行われたが一方的な戦いとなってしまった。カエサルも勝てないことは分かりながらも戦っていた節があった。そして消える間際に気になる言葉を残していった。

 

「貴様はあの御方にあった時、どのような反応をするだろうな」

「あの御方?」

「会えばわかる。お前の美しい顔を見れないのは残念だが仕方ないな」

 

 そうして消えた。ネロは過去の名君を殺したことに何とも言えない顔をしていたがすぐに元気になった。

 

 俺にはそれがから元気であると分かった。

 

 ネロのことそしてあの御方と、気になることが多く出てきたがが一先ず前進したのだから、ゆっくり帰還しよう。

 


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