待たせてすいませんでした。読み直して気付いたんですが陸拾陸と漆拾に矛盾点があったので直しました。
ですので、今回、三尸はお留守番組に変更しました。
SIDE◯◯
猛士九州地方佐賀支部の地下の一室。
その中には灰色の三つ揃えを着た男。猛士の
『Dr.ヘルシング』とも呼ばれる脳見 潘が立っていた。ニヒルな笑顔をいつも浮かべながら、目の前にある物を手に取った。
「くくく。完成だ!!」
その手には、オカリナに似た音撃武器が片手に収まっていた。
潘は自分の作り出したオカリナの音撃武器に頬ずりをする。頬ずりをしていてもその笑顔が崩れることはない。
そうやって頬ずりをしていると部屋に誰かが入ってくる。
「Dr報告がーーーそれ、私の武器ですか?」
「そうだ。楽鬼ーー君の武器。その名も音撃
頬ずりを止めて、そのまま目の前にいる佐賀支部の戦力である佐賀3人衆の1人、楽鬼に音撃
「ありがとうございますDr!!」
「ふふ。構わないよ。それで何の報告かな?」
「はい。例の子供が来たようです」
「ほお!!」
潘の笑みは歪みを増して、顔の半分は笑みによって歪んだ口になっていた。そして、顎に手を当てて何かを考え込む。
「楽鬼。錫鬼と岸鬼を呼び、すぐに傭兵と共に子供を奪いに行きなさい」
「分かりました」
そう言って、楽鬼は部屋から出て同僚である同じ『佐賀3人衆』の2人を呼びに行った。
「そうか来たか。ならば、アレを使おう!!」
残った潘は誰もいない中で1人昂ぶる気持ちを抑えられずに叫んだ。
SIDEOUT
ひなが倒れて、数時間経った。
あの後、倒れて騒ぐ私たちのところにヒャクメが部屋に入り、ひなを寝かせられるように布団一式を持ってきてひなを布団に寝かそうとするが、その前にひなが目を覚ます。
だが、ひなは直ぐに私たちの所から屋敷の何処かへ消えた。
屋敷の和室で屋敷の主人たるコソデノテやヒャクメを除いて、幽冥の家族は全員擬人態の姿で集まっていた。
「ひなは自分が人間だと思ってたのかな?」
以前、海で出会った時と同じ姿の波音がそう聞いてきた。
「いいえ。薄々は気付いていたのかもしれません。あの子は妙に鋭いですからーーーそれで、どうしますか王?」
波音の言葉に答えた白はそのまま幽冥に聞く。
「確かにひなの事は驚いた。けど、その程度のことで揺らぐ程の付き合い?」
幽冥の言葉を皆、否定するように首を振る。
「そうでしょ。それにひなの心配ならいらないよ」
幽冥の言葉に全員驚くが、何かあると思った全員が1度ひなの事を置いて、話を続けた。
「(ひなの事はお願いね。フルツバキの妖姫)」
SIDEひな
ひなは人間じゃない。なんとなく分かっていた。
お父さんもお母さんも多分、ひなのせいで死んだ。
ひなと関わったら幽冥姉ちゃんやヒャクメお姉ちゃん、波音もおばあちゃんも死んじゃう。だから–––
「ここに居たのですねひな様」
ひなの後ろにはフルツバキの姫がいた。
「ひなに何の用?」
不機嫌 ですよというオーラを醸し出しながらひなはフルツバキの姫に質問する。
「ひな様、少しだけ私に着いてきてもらって良いですか」
ひなの手を掴んで、無理矢理歩き始める。
フルツバキの姫に連れられ着いたのは少し広い庭で、ひながよく遊んでいた場所でもある。
だが、その庭の真ん中で鍬形のような大顎を持つ蠍の魔化魍 ノツゴとノツゴの対照的な位置に立つのは赤紫色の身体で腰には巻かれた革のベルト、そして手には戦斧と上半身を隠せるような大きな盾を持った蠍の怪人がいた。
ノツゴは自慢の尻尾を目の前の蠍の怪人に振り下ろすが怪人は盾を前に突き出すと、ノツゴの尻尾はまるで見えない空間の隙間に防がれるように尻尾を盾に突き刺せなかった。
蠍の怪人は盾でノツゴの尻尾を弾き、ノツゴに接近して戦斧を振り下ろす。
蠍の怪人の振り下ろした戦斧を鍬形の大顎で挟み、頭に振り下ろされるのを防いだ。
だが、蠍の怪人はそれを待っていたように大顎に向かって蹴りを入れる。大顎を蹴られたノツゴはそのまま体勢を崩して倒れこむ。
「少しはマシになったな」
【もうちょっと手加減してよ!! 顎が少し曲がりそうになったよ!!】
「鍛えていないお前が悪い」
蠍の怪人にぶーぶー文句をいうノツゴだが、フルツバキの姫の存在に気付くと、こっちに向かって走ってくる。ノツゴは走ってる途中で光に包まれてフルツバキの姫に飛びついたのは先程の姿ではなく黄色のパーカーを着た幼女だった。
「何か用なの?」
これがひなとノツゴの出会いだった。
如何でしたでしょうか?
暗躍を始める佐賀支部、そして、ひなを慰められるのかノツゴ。
そして、ノツゴと戦っていた怪人は察しのいいお方にはすぐわかると思いますが、次回は少しだけその怪人の紹介も入れようと思います。