フルツバキの姫の驚愕の発言から数分経った。
霧が出る森の中を歩く一団。
フルツバキとフルツバキの姫を先頭に案内される幽冥一家(+捕虜)である。
霧が出てるのを気にせずに前を普通に歩くフルツバキとその姫。だが幽冥たち、特に擬人態の姿になっている魔化魍たちは霧によって悩まされていた。
擬人態の術は魔化魍としての本来の姿をほぼ人間に近い姿に変化することが出来る高等な術だ。それ故に本来の魔化魍として身体とは異なる人間の身体は等身大の魔化魍や人間としての身体の使い方を知っている蛇姫や美岬以外の家族のほとんどは人間の姿に慣れておらず樹に頭をぶつけたり、何もない所で転んだり、躓いたりする。
「後、少しで着きますので頑張ってください」
霧は何のそのと歩くフルツバキとフルツバキの姫の2人に着いて行き、霧が少しずつ薄くなり、やがて大きな屋敷が見えてくる。
入口の開いてる表門から見えるのは、木造建てで年代を感じる作りの大きな屋敷。石で出来た石灯籠が屋敷に並ぶ道に沿って、並べられてる。
そして、表門を通り、少し歩くと屋敷が見えてきた。そんな屋敷の入り口の前には金魚の絵が描かれた着物を着て、頭に三角巾を付けた少女の姿をしたヒャクメが立っていた。
「初めまして魔化魍の王とその家族の皆様」
幽冥たちにお辞儀をし、3秒で元の姿勢に戻し、幽冥達の中から誰かを探すように目を動かす。やがて探していたものが見つかったのか、その人物の側まで近づく。
そして、その人物………ひなの前に立つとその手を掴む。
「!!」
「生きてた、生きてた。ひな様、お帰り、お帰りなさいませ」
突然、涙を流しながらひなの手を掴むヒャクメ。
ひなはこの光景に困惑しながら如何すれば良いのかというように幽冥と春詠に眼を向けるが、幽冥と春詠も如何すればいいのか分からなかった。
SIDEひな
私のそばにまで急に手を掴むお姉ちゃん(?)。
「生きてた、生きてた。ひな様、お帰り、お帰りなさいませ」
頭になつかしい声がひびく。
幽冥お姉ちゃんに出会う前、この声をママやパパといっしょに聞いていた。
そしたら、涙が流れてきた。そして、思い出した。
「ヒャクメお姉ちゃん?」
「!! 覚えてくださっていて嬉しいです」
ヒャクメお姉ちゃんは手をギュッと掴む。
「痛い、痛いよヒャクメお姉ちゃん」
「ああ、申し訳ありません」
ヒャクメお姉ちゃんは手を離して、手をすりすりとなでる。私がケガをしたらいつもこうやってなでてくれた。
〜数分後〜
「大変すいませんでした、魔化魍の王」
ヒャクメお姉ちゃんは幽冥お姉ちゃんに謝っていた。
「良いですよ。ひなの知っている人でしたから」
「それでは、此方に」
ヒャクメは屋敷の引き戸を開けて中に案内した。
SIDEOUT
ヒャクメという魔化魍に案内されて廊下を歩く、ギシ、ギシと歩くと鳴る木製の床は私が重いから鳴っているとは思いたくない。
ヒャクメが立ち止まると、扉がなく暖簾のような大布を扉の入り口に付けた部屋にたどり着く。ヒャクメは入口の横に立った。
「此方に私の主人であるコソデノテ様がおります。魔化魍の王とひな様、そして信頼できる魔化魍を1人連れてお入りください。それとそちらのお2人の変身道具を私に渡してください」
私とひな、そして信頼できる
そして、自分がここにいる事で何か怪しいことをすれば始末するというわけ。
私の家族は全員信用できる…だが……1人しか連れていけない。そうなると–––
「美岬お願いね」
「分かった」
「お姉ちゃん、渡してあげて」
「まあ、しょうがないよね」
春詠は服の下から変身鬼笛 慧笛を取り出し、錬の腰のベルトに付けてる変身音叉
「では、此方に」
ヒャクメは暖簾を持ち上げる。幽冥と美岬、ひなが暖簾を通るとヒャクメのは暖簾を下ろして、入り口に横に立つ。
暖簾を超えた先には大きな和室だった。傷が少しあるが目立つ程ではない綺麗な畳。
太めの達筆で書かれた紙を貼った壁掛け。古さを感じる年代物の壺。少し茶色のシミがついた行灯。その部屋の奥には大きな障子が外の景色が眺められる程度に開いており、その側に畳に着く程の長い黒髪を垂らし、紫陽花の描かれた小袖を着ている女性が障子の先にある景色を見ていた。
「随分、長いこと待ったな。再び会えるのをどれほど望んだか」
女性はそのまま、向きを変えて此方に視線を合わせる。
「お帰りなさいひな。それと初めまして、魔化魍の王」
女性の顔を見て、涙を流す。ひなはそのまま目の前の女性に近付く。
「おばあちゃん」
ひなは女性に抱きつき、泣き始める。幽冥と美岬はひなの発言で目の前の女性の正体に気付く。
そう。この女性こそ、佐賀の魔化魍を束ねる魔化魍 コソデノテだ。
SIDE◯◯
幽冥たちの訪れた屋敷の表門に、低く響くエンジン音が木霊す。
「ん?」
その単車に跨がる黒のライダースーツを着た者……男性ではあり得ない胸元の盛り上がり具合からして女性は、単車のスタンドを立て、被っているヘルメットを外す。
金の長髪がヘルメットから解放されて広がるように下に落ちる。
「なんで、お袋の匂いがするんだ?」
女性は単車を表門の近くに止めて、そのまま屋敷の中に入って行った。
如何でしたでしょうか?
遂にひなの家族ことオリジナル魔化魍 コソデノテ登場です。
質問コーナー回答の欄
常闇
【今回の質問は悪維持の美岬の持つ魚呪刀の能力の解説だ。前の時と同じように4本紹介させて貰う。補助として………】
葉隠
【葉隠です】
狂姫
【………狂姫です】
常闇
【この3人で紹介させて貰う。初めの1振り、
葉隠
【補助の術を受ければ、残像を使った攻撃が出来るようになる】
狂姫
【……2振り目は
葉隠
【この刀の能力は傷の治癒阻害能力です】
常闇
【これはさらに術で強化すれば、治癒阻害から治癒不可能になる】
葉隠
【次は3本目、
狂姫
【……能力は毒液の貯蔵とそれの射出】
常闇
【この刀の毒液は海に住まう有毒生物の毒を吸い取り、それを貯蔵する。最大で50mプールと同じ量の毒を貯めれる】
葉隠
【最後は
狂姫
【………伸縮自在に、神経毒付与が追加されてる。長さは何処まで伸びるか不明?】
常闇
【……気になる事解決したかの? 次話の投稿に残り4振りを紹介しよう】
葉隠
【気になる事があったら活動報告の質問コーナーに書いてください。また、今回の話を投稿にちなんで、出して欲しい特撮敵キャラがいたらそれも質問コーナーに書いてください】