人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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はい。新話です。
今回はfull幽冥SIDEです。


記録伍拾玖

 佐賀に向かう事を決めた私たちは現在、佐賀に向かう方法を考えていた。

 みんなあれやこれと案を出し合い結果。

 

 2つの案にまで絞り込めた。

 1つ目は成体になったことで広範囲を飛べるようになった鳴風や眠眠、昇布、兜などの空を飛べるものに乗って佐賀を目指す。

 2つ目は突鬼の記憶を術で探って崩、狂姫、跳、波音が佐賀に転移する術を作り使う。

 この2つの案のうちどれにするかと悩んでると–––

 

「はあーーー良いよ。俺の頭の中を見ても」

 

 先程浮かんだ案が理由で縄で縛られて連れてこられた突鬼は幽冥に言った。

 

「良いのですか?」

 

「てめえら魔化魍の為じゃねえ、そこの嬢ちゃんの為だ」

 

 縛られた手でひなを指差して、ひなの為だと言い、突鬼はその場で動かずにジッとする。

 

「本当に良いんですね」

 

「五月蝿え! やるなら早くしろ!」

 

 確認のためにもう一度聞いたら、怒り出した。

 まあ、本人がいいって言ってるからやるか。

 

「蛇姫ちょっと来て」

 

蛇姫

【王、私を呼ぶということは、あの札の事でよろしいですね?】

 

「そうだよ。なるべく早めに済ましてあげて下さい」

 

蛇姫

【承知しました】

 

「え? え? ちょちょ、何処へ?」

 

 蛇姫は右の3本の腕を使って突鬼を荷物のように抱えて、何処かへ行った。

 

〜数分後〜

蛇姫

【情報提供に感謝します】

 

「ど、どう…いたし…まして」

 

 某燃え尽きたボクサーのように真っ白な突鬼を抱えて戻って来た蛇姫は突鬼をたまたま近くにいた大尊に預けて、蛇姫は擬人態に姿を変えて、巫女服から札を5枚と筆を取り出して、何かを書く。

 

「これで良しと。んと、唐傘、跳、葉隠、蝕ちょっと来てください」

 

 書き終わると、蛇姫は手の空いてる4人を呼び、今度は呼んだ4人に札を渡して、残りの1つを自身の手に持って

 

「これを持って王を中心に五芒星を描ける位置に札を置いてください」

 

唐傘たち

【【【【分かった】】】】

 

 そう言って、蛇姫達は札を持って私を中心にして家族全員が入れそうな巨大な五芒星の陣になるように札を配置する。

 

「王。これで佐賀に向かうことが出来ます。後は………王の命令だけです」

 

「ありがとう蛇姫。さてこれから佐賀に向かおうと思うんだけど、その前に…………今回は妖世館に残る者を決めたいと思う」

 

魔化魍全員

【【【【!!?】】】】

 

「王。何故そのような事を………」

 

 白が絶望したような声を出して私に聞いてきた。

 

「何故急にこんな事を言ったのかというとね。私たちは家族全員で行動するけど、いざ何かがあった時の為の練習として今回は妖世館に残る者を決めようと思ったの。

 だから、残る者は朧たちで決めて。私はひなとお姉ちゃんと一緒に佐賀でどう動くか決めてるから」

 

朧、美岬

【【………ねえ、みんな】】

 

朧、美岬以外

【【【【!!!】】】】

 

朧、美岬

【【早く決めようか】】

 

朧、美岬以外

【【【【は、はいいい!!】】】】

 

 その時、朧と美岬以外の家族(魔化魍)は何故、全員で行こうという考えを出さなかったのかを理由を理解しながらも心の中で思った。

 そして–––

 

「蛇姫お願い」

 

「分かりました」

 

 蛇姫が服から札を出して、天に掲げると幽冥たちの周りの札から光が溢れて、幽冥たちを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が治り、妖世館の留守番組の目の先には幽冥たちと佐賀に向かう組は消えていた。

 やがて、札は自然と地面から剥がれて灰になった。

 

「無事二帰ッテ来テ下サイ」

 

 幽冥がいない間の指揮をとるために残った黒の声が静かに響いた。




如何でしたでしょうか?
佐賀に向かう組と残った組は次話で書きます。
ちなみに幽冥とひな以外の人間は姉の春詠と佐賀支部にいた突鬼です。

それでは次回もお楽しみに

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