人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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大変お待たせしました。
最近、色々と忙しくて更新の話を書くのに遅れました。


地上げ屋の最期

 飛火と葉隠が出会ったという魔化魍は今、私の目の前にいる2体のことだろう。

 

 狼の頭の青い火の玉の魔化魍は何か知らないがもう片方の魔化魍は知っている。

 

 魔化魍 カマイタチ。

 洋館の男女が実験で生み出した本来のカマイタチの強化体。風を纏った高速移動と3本の鎌を使った連続攻撃、鎌から放つ竜巻などの風を使った攻撃を得意とし、威吹鬼を苦戦させたが響鬼と轟鬼が参戦した結果、形勢逆転さらには装甲(アームド)響鬼の音撃刃 鬼神覚声によって横一文字に切り裂かれて倒された。

 この世界だとこの姿が種としての姿らしい。

 

 これ程強力な魔化魍が住むという店に私は興味がわいた。

 だけど、先ずは–––

 

「貴方達が飛火と葉隠が言っていた魔化魍?」

 

【その通りです。初めまして今代の王。私はカマイタチ、こっちに居るのが】

 

【マビだぜ。よろしくな王様】

 

 マビか。そういえば日曜にやっていた某人気妖怪アニメにそんな妖怪がいたきがする。

 

「それじゃあ揃った所で、蝕。案内をお願い」

 

【分かりました王】

 

 店の中の片付けを済ました蝕に今回の目的の奴らがいる建物に向かって幽冥たちは歩き始めた。

 

SIDE地上げ屋

 蝕の店とカマイタチ達の居た店の丁度中間に位置するビル。

 そのビルの地上8階に位置する場所にある事務所、そこに蝕やカマイタチ達の居る店を困らせている地上げ屋がある。

 その部屋の中には黒い服を着た数十名の男たちと顔のいかつい男とでっぷりした体型の男がいた。

 

「で、店は畳ませられそうか」

 

「大丈夫ですよ。2つとも明日には店が無く、俺たちのものになる」

 

 下卑た笑みを浮かべながら話す2人だが、この2人の言っていた店に現れた社員は全員、肉片か灰に変えられている。

 そんなことも知らない2人は外からコンコンと扉を叩く音が聞こえた。

 

「うん? 今日は客の予定なんかあったか?」

 

「いいえ無かったはずです」

 

「まあ、いいか。おい、開けろ」

 

「はい」

 

 でっぷりとした体型の男の指示で扉に近い黒服の男が扉を開けた。

 扉が開くと入ってきたのは、頭に蕗の葉を乗せた少女、白のマフラーを巻いた青年、そして赤紫の着物を着た中学生くらいの少女だった。

 

 入ってきた3人を見て、でっぷりした男は面白い玩具(おもちゃ)が来たと思った。この男は自分より幼い少女を犯して壊す趣味を持つ外道なのだ。

 後ろにいる青年を殺した後に時間を掛けながらゆっくりと犯して、殺してと懇願するまでひたすら壊す。

 そんな考えを読み取ったいかつい顔の男が側にいた数名の男と共に青年に近づき口を開く。

 

「兄さん。ちょいと、話があるんだがいいか?」

 

 青年は少女の方に顔を向けて、少女が首を縦に振るといかつい顔の男の後ろを着いて行った。

 青年が消えるのを見た後にでっぷりとした男は扉の側にいた男に目で指示を送り、男が扉に鍵をかけるのを見た後に少女達に近付く。

 

「ねえお嬢ちゃん達、おじさんと楽しいことしないかい」

 

「楽しい………こと?」

 

 頭に蕗の葉を乗せた少女がたどたどしく喋って首を傾ける。

 

「そうだよ。楽しい(・・・)事だよ」

 

「………おじさん」

 

「うん。なんだい嬢ちゃん」

 

「それよりも楽しいことを知ってるよ」

 

「ん? どんな事だい?」

 

「それは…………貴方達が狩られる遊びだよ」 

 

 着物少女が口調が強くなり、パチンと指を鳴らすと同時に変化が起きる。

 少女2人とでっぷりした男と黒服の男たちが先程までいた筈の部屋から辺り一面が樹木だらけの森の中にいた。

 

「な、何だこれは。き、貴様ら何をした!!」

 

 突然の状況に少女に男は口を荒げて質問する。

 

「おじさん達を近くの森に飛ばさせてもらったの」

 

 着物の少女はフフフと笑みを浮かべる。

 だが、その眼は笑っておらず、ただフィルター越しに映像を見るような眼で男たちを見ていた。

 

「お、お前は何なんだ!」

 

「そうですね………」

 

 すると森がざわめき出し、風が吹く。

 男達は突然吹いた風によって、眼を塞いでしまう。

 

 眼を開けて男たちが見た着物の少女の姿は変わっていた。

 赤紫の着物から両肩に鈴のついた漢服、顔を除いた左半身全てを覆うように張り付いた大量の札、紫の紐で結った赤紫の髪、モノクルを掛けた女性へと着物の少女いや幽冥は姿を変えた。

 

「私は通りすがりの魔化魍の王です。あ、覚えなくていいですよ。どうせ死ぬんですから」

 

「お前らこのガキを撃て!!」

 

 男たちは服の下から拳銃を取り出し、構えて、幽冥に向かって銃弾が飛ぶ。

 だが、幽冥の前にたくさんの札が現れて、札1つ1つから小さな円形の壁が現れて銃弾を防ぐ。

 

「便利ですね。フグルマヨウヒさんの万能札

 

「お前らボサッとするなさっさと撃ち殺せ!!」

 

「私たちは今回は戦わないからね。睡樹お願いね」

 

「は〜い……」

 

 睡樹は自身のツタの腕からラッパを取り出してプウウウウウと吹き始める。

 すると、ラッパの音ともに空から12個の光が発生してその場に幽冥の従者戦闘員達が現れる。

 

「「「「「「「「「「「「従者戦闘員参上いたしました!!」」」」」」」」」」」」

 

「な、何なんだこいつらは!!」

 

SIDEOUT

 

「な、何なんだこいつらは!!」

 

 でっぷりとした男が私に質問する。

 

「この子達は煉獄の世界から私の従者となった戦闘員。貴方達を地獄に送る執行人」

 

「ふざけやがっ………ガハッ」

 

「おい、てめ………」

 

 黒服の男が私に拳銃を向けたがその瞬間に群青鎧の1人が槍を投擲して、心臓に近い胸部を貫き、いつのまにか背後から現れた黒服が男の背中を切り裂く。

 

「やす!! たつ!! 貴様…ガハッ」 

 

 男たちの仇を取ろうとした瞬間に別の男は黒帽の1人の放つ弾丸によって倒れる。

 

「じゃあ、みんな頑張ってね。おいで睡樹」

 

 幽冥はそう言うと睡樹を呼んで、抱えると札の1つを地面に叩きつけて、姿が消える。

 

SIDE黒帽A

 今回、マシンガンスネーク教官に言われた試験内容は『敵対者の殲滅』。

 

 そして、この試験の結果によっては、今の訓練の上の訓練を始めるそうだ。

 それを聞いた我らは各々武器を研ぎ初めて、準備をする。

 

 そして、合図のラッパの音が響き聞こえ、それと同時に我らは此処とは違う場所に飛ばされる。

 そこには王と睡樹さんが居た。

 

「「「「「「「「「「「「従者戦闘員参上いたしました」」」」」」」」」」」」

 

「な、何なんだこいつらは!!」

 

 敵対者の中で服装も外見も違う男が喚く。

 

「この子達は煉獄の世界から私の従者となった戦闘員。貴方達を地獄に送る執行人」

 

 王が我らの事をそう紹介していると男の1人が銃を撃とうとするのに気づいた群青鎧Bは男の胸部に手にする槍を投げつける。

 

「ふざけやがっ………ガハッ」 

 

「おい、てめ………」 

 

 そして、その男の隣に居た男が幽体になった黒服Dに背中を剣で斬り裂かれる。

 

「やす!! たつ!! 貴様…ガハッ」 

 

 そして私の放つ銃弾で死んだ仇を取ろうとした男を撃ち殺す。

 

「じゃあ、みんな頑張ってね。おいで睡樹」

 

 王はそう言って睡樹さんを抱えて、宙に浮く1つの札を叩きつけて、何処かに行かれた。

 

「くそ!! どこに行った?!」

 

 男は喚くように言うがそんなのは関係ない。我らに『頑張って』と仰った。我らがあの煉獄の園(パーガトリー・エデン)に居た頃には言われなかった言葉だ。

 やはり、我らはあの王に着いてきて正解だった。

 

 だから、我らは。

 

「この恩に報いる為に…………皆行きますよ!!」

 

「「「「「「「「「「「おおおおお!!!!!」」」」」」」」」」」

 

 各々の武器を構えて、我らは蹂躙を開始した。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE昇布

 いかつい顔をした男に連れられている青年の正体は昇布である。

 昇布は、王の命令で飛火たちが救ってほしいという店にいる魔化魍達と共に男たちを始末する為に動いてる。

 だが、ビルの地下に連れられてからずっと歩き続けてるせいで、イライラが募る。そう思った昇布は目の前を歩く男に質問した。

 

「何処まで行くんだ?」

 

「此処でいいだろう。兄さんには恨みもないが死んでくれ!!」 

 

 男の部下が服から出したナイフを昇布に当てようとするが、突然男の首が切り落とされる。

 

「!!!」

 

【大丈夫ですか?】

 

 そこから現れたのは、風を纏って姿を消し、左の頭が持つ鎌が赤く染まったカマイタチだった。

 

「ば、化け物!! 撃て撃て!!」 

 

 黒服の男たちは拳銃を構えて、カマイタチに撃とうとするが、男たちの持つ拳銃はボオンと腕を巻き込んで内部から破裂する。

 

「があああ!」

 

「う、腕があああああ!」

 

 イカツイ男を残して、男たちの片腕は無くなり、激痛に悶える。

 拳銃の残骸と肉片は炎に包まれて地面に落ちている。

 

【どうだ俺の炎は】

 

 そこにはいくつもの火の玉を宙に浮かせたマビがいた。

 

「また化け物!」

 

 そろそろ正体を隠す必要もないな。そう思った昇布は擬人態の術を解き、本来の姿に戻った。

 

「お、おおお前も!!」

 

昇布

【まあ、そういうことだ。では、やるか!!】

 

 昇布の尻尾が伸び、腕を抑える男たちに巻きつく。

 

「た、助けて」

 

「ああああ」

 

「ぐうう」

 

 昇布は尻尾に力を込めて3人の身体から水分を抜き始める。巻きついた尻尾からはだくだくと液体が流れる。

 やがて、干からびた3つの死体が出来る。昇布はそれらを捏ね繰り回して3つの『人間団子』に変える。

 

昇布

【カマイタチ、これを喰いな!】

 

【はむっう】

 

 昇布がカマイタチの3つの口に目掛けて『人間団子』を器用に投げて、可愛らしい声と共にカマイタチは『人間団子』を咀嚼し始める。

 

【美味しい】

 

昇布

【だろう。材料(・・)はまだいっぱいあるからな、どんどん喰ってくれ】

 

 昇布の声を聞き、腕がない男たちは逃げようとするが昇布は尻尾で地下の入り口である扉を破壊したので、男たちは出ることが出来なかった。

 それは男たちの上司のイカツイ男もそうだった。

 これは夢だと現実逃避するも耳元に声が聞こえる。

 

【やっぱり人間は焼かないと】

 

 後ろを振り向くとマビがいて、イカツイ男の周りをぐるぐる回り始める。

 イカツイ男は突然、喉を抑え始め、やがて服に火がつく。

 

 火は炎に変わってマビの回転はさらに早くなり、炎は回転と共に渦巻き始める。

 

「があああああ…………」

 

 巨大な炎の渦によってイカツイ男はその中心で焼かれる。

 マビが回転を止めて、その中心にあったのは立ったまま黒く焼かれた人だったものだった。

 

【じゃ、頂きます】

 

 マビはそのまま焼かれた人間を身体のうねる炎を手のように使って口元に器用に運び喰らい始めた。

 

「こっちは終わったみたいだね」

 

 そう言って歩いてきたのは安倍 幽冥と幽冥に抱っこされた擬人態の睡樹だった。

 

昇布

【王よ。こちらの始末は終わりました】

 

「そう。良くやったよ昇布」

 

 すると、喰べるのをやめたカマイタチとマビが幽冥に近づき、頭を下げた。

 

【ありがとうございました王】

 

【あんたのおかげで店を守れた】

 

「いいよ。そんなかしこまらなくても」

 

 幽冥は満更でもなさそうな顔をしていた。そして、喰べ終わったのを確認した幽冥は札を再び、叩きつけて従者戦闘員達のいるところへ転移した。




如何でしたでしょうか?
今回は従者戦闘員の活躍を書いてみました。彼らはこれからちょくちょく活躍します。

睡樹
【次回は……王にお礼が………したいと…いうカマイタチ達が…………店に連れて行ってくれる…よ】

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