海岸をかなり歩いているが未だに着かない。
一緒について来たひなや波音は疲れて、黒と赤の背で眠っている。私は何故か疲れが無いので歩いている。白は私を背負いたかったようだけど、断ったら少し落ち込んでいた。
【後もう少しですので、頑張ってください王様】
ヒトリマに咥えられた竹筒から身体半分を出して、道案内をするクダギツネ。
白から聞いた話によると北海道にはヤオビクニという魔化魍が北海道にいる魔化魍を纏めているらしい。そして、その魔化魍がクダキツネの主らしい。
そうこう考えてると、古い寺が見えて来た。すると–––
【ヒトリマーーーーーーーーーーー!!】
寺の方角から走って来た、三度笠を被った狼の魔化魍にヒトリマが襲われた。
黒と赤はひなと波音を背負ってるため、遠くに離れるように移動し、私の周りにいる土門たちは、戦闘態勢に移っていた。
私は状況的に問題ないと思い、土門たちの戦闘態勢を手で制して止める。
ヒトリマの頭をひたすら噛む三度笠の狼の魔化魍は、私と目が合うとその動きを止めた。
【………幽冥お姉ちゃん】
三度笠の狼の魔化魍は私に近付いてくる。私の目の前ギリギリで動きを止める。すると三度笠の狼の魔化魍は急に光りはじめる。
光りが治るとそこには昔、あの
「朧なの?」
「幽冥お姉ちゃんーー!!」
朧は私に飛びつき。朧に飛びつかれて体勢を崩し、そのまま後ろの砂浜に倒れる。顔をすりすりと擦り寄せる。
「幽冥お姉ちゃん………その、久しぶり」
「うん。あの時から大きくなったね」
「えーと、幽、その娘は?」
私と朧の話についてこれないのかお姉ちゃんが質問してくる。誰なのかと知りたいらしく土門たちもお姉ちゃんの質問に肯定するように首を縦に振る。
「あ、そうだった。お姉ちゃんや土門たちは知らなかったね」
「幽冥お姉ちゃんの友達、朧。そして、私の本当の名は………」
また光ると先程の三度笠を被った狼の魔化魍の姿に戻る。
【私は………ヤドウカイ。5代目の魔化魍の王 イヌガミの娘】
その言葉に驚き、お姉ちゃんは顎が外れそうなくらいに口を開き、土門たちはその内容で驚いたのか固まっていた。私はこれより前にイヌガミさんから教えてもらっていたから驚くことはない。
「イヌガミ!! 『旋風の巨狼』と呼ばれた5代目魔化魍の王の娘」
グルルルル!! ピィィィィィ!!
みんな驚いてると、急に海の水面から何かが飛び出して、私の所に落ちてくる。
さっきの朧と同じようにまた砂浜に倒れる。
【………やっと会えた】
それは人魚の姿をした魔化魍だった。波音は子供または幼女の人魚だとしたら、今私に抱きついてるこの魔化魍は大人の色気を持つ女性の人魚。
だが、その前にこの魔化魍は1つ気になることを言っていた。
『
如何でしたでしょうか?
次回は幽冥とヤオビクニの話です。
そして、ヤオビクニのやっと会えたの意味とは………
次回をお楽しみに!