人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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どんどんいきますよ。
今回は囚われとは違う新たな魔化魍が・・・そして、調鬼推参。


記録参拾玖

SIDE調鬼

「そろそろ来る頃だと思っていましたよ調鬼」

 

 そう言うのは、この北海道第1支部のNo.2と言ってもおかしくない変わり者の南 瓜火だった。

 

「南さん、何故ここに」

 

 私は早く変身音弦を取り戻して、ショウケラ達を助けたいと思いながらも怪しまれないように目の前の男に聞く。

 

「貴女の探し物です」

 

 そう言って、私に何かを投げる南さん。そして、その何かは私の変身鬼弦 調音(ちょうおん)だった。

 

「何故これを探してると」

 

「ショウケラ達から貴女がそれを持っていればと言うのを何度も聞いたからです」

 

 私の質問を淡々と答える南さん………あれ、今聞き捨てならないことが聞こえた気が。

 

「聞いたって………誰から?」

 

「ん………ショウケラ達からですが」

 

 えっ………えええええええええええ。

 

「何で言葉が理解できるですか?!」

 

 調鬼が驚くのも無理はない。本来魔化魍は鳴き声の様な声しかあげない。それを聞いたと言ったこの男。

 例えるなら、グロンギの言葉を聞いて人間がグロンギ語で喋り返す程、可笑しい事なのだ。

 放心状態の調鬼の前に移動し、顔の前で手をパンと叩き、その音で意識を取り戻す調鬼。

 

「いや今は何でショウケラ達の言葉が分かるのかは置いときます。貴方は私の味方なんですか?」

 

 調鬼の言葉を聞き、うーーーんと声を出す南。数秒程、唸ってると口を開く。

 

「私はある者から頼まれて、此処に潜入しました………」

 

 すると、南の白衣が突然、燃え始める。突然の出来事に驚く調鬼。

 

「その目的は此処に囚われてる魔化魍の救出………」

 

 今度は、下のズボンが燃える。やがて肌が見えてきたが、それは人間の肌というより岩の様なゴツゴツとした肌だった。

 

「そして、救出した魔化魍を王に保護してもらう為」

 

 炎は南の全身を覆い、服は完全に燃え尽き、灰となって宙を舞う。

 そこに居たのは南 瓜火では無かった。

 

 その姿は溶岩の様に燃える岩の体躯、ボロボロな灰色の腰巻き、赤い罅が入ったゴツゴツした腕、そしてミラーボールくらいの大きさの南瓜の様な頭、ギザギザの様な口の奥には炎が見える。

 

 南 瓜火改め、5大五行魔化魍の1体、『炎の南瓜頭』または『提灯ジャック』、『中心の炎』の異名を持つジャック・オ・ランタンが調鬼の前に姿を現した。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE飛火

 今日はいつにも増して王様が怒ってた。

 まあ、いつかの時のように黒と羅殴が殺されそうになった時にキレて鬼を殺した私も王様のことをどうこう言うのは可笑しいけど。

 って、こんな事を考えてる場合じゃない、早く吸わなきゃ(・・・・・)

 

 飛火の足元にはいくつもの灰が重なるように落ちていた。だが、一部の灰には人間の指や焼けてる服の破片が混じっていた。

 察しのいいお方はもう分かるかもしれないが、この灰は全て、傭兵だった者の灰だ。

 

 飛火が廊下を歩いてる時に出会った傭兵5人を一瞬の内に灰へと変えた。

 

 飛火は灰を尻尾で掻き集めて、山のようにしてそれを吸い込む。

 全部吸い込んで、満足したのか尻尾がゆらゆらと動き、飛火は新たな灰を求めて移動を始めた。

 

SIDEOUT

 

 

SIDEショウケラ

 建物の周りが騒がしくなった。研究員が魔化魍が攻めてきたと叫び、部屋に置いてある資料を慌ててどっかに持って行っている。

 まあ、酷く滑稽に見える。散々、オレ達を実験していた連中が無様な姿を晒しているのが面白い。

 

クルルウウウウウウウ

 

 オレの声に研究員の1人が檻に近付く。

 

「魔化魍が何笑ってるんだ」

 

 つい先程の実験で聞かされた音撃によって弱っているオレの身体は唯の人間の道具でも僅かな傷になる。

 

「ははは。お前ら魔化魍は所詮、人間に実験される獣と同じだ」

 

 男の笑い声がオレの身体に響く。だが–––

 俺の耳にある足音が聞こえる。 

 

「あぐりです」

 

「如何した!!」

 

「急ぎの用事で兎に角、扉を開けてください」

 

「分かった」

 

 男が扉に近付き、扉の鍵を開ける。

 

「ありがとうございます」

 

 そして扉を開けた瞬間、男の身体は斜めに斬られた。

 

「はっ…………」 

 

 斜めに斬られた男は斬られた事に気付かずに死んだ。

 そこに立っていたのは1人の鬼だった。体色は山吹色で、右側の鬼面に罅があり、左肩から腰にかけて鳥の翼を模した鎧が着いている。

 手には先程、研究員を斬り裂いた彼女の武器、音撃三味線 調奏がにぎられている。

 

 他の研究員は驚いた。何せ同僚でもあり鬼でもある彼女が人間を殺したからだ。

 

「調鬼貴様ーー」

 

「五月蝿い」 

 

 音撃三味線の撥が研究員の首を掻っ切り、血が勢いよく飛び出す。

 

 

 

 

 

 

 そして、数分経過した。

 辺りの床は血で汚れて、調鬼自身も血で濡れていたがそんな事を気にせずに調鬼はオレに近付く。檻を撥で斬り裂き、面のみを外して、微笑みながらオレに手を差し出す。

 

「助けに来たよショウケラ」

 

 顔を除いた身体は血に濡れていても、オレは綺麗だと思った。




如何でしたでしょうか?
次も早く書いて、次の第3支部も書かないと。

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