人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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お待たせしました。
長く待たせて申し訳ございません。


記録参拾伍

SIDE◯◯

 いつ迄続くのだろうこんな身の毛のよだつ実験は。此処は魔化魍 ショウケラの実験を行う為に造られた部屋の1つ。

 

クルルウウウウウ

 

 目の前には色が異なる瞳を持つ蜥蜴の魔化魍 ショウケラが檻にいた。つい先程まで、シロウネリという魔化魍も同じ檻に居たが、新しい魔化魍を捕まえる為に今は此処には居ない。

 対大型魔化魍用の檻の中に自分の指を入れて目の前のショウケラに血を舐めさせる。

 

クルルウウウウウ

 

 元気が出たという感じで声を上げる。私はそれを見て、ショウケラに微笑む。 

 鉄製の大扉が勢いよく開き、男が入ってくる。またこの子の地獄が始める。

 

「また、ここに来ていたのか。はっ、所詮は下等な魔化魍だろうに」

 

「下等じゃありません!! この子達だって生きてるんですよ!!」

 

「五月蝿い!!」 

 

 私の頬を男がはたき、私はショウケラの入ってる檻に頭をぶつけて、血を流す。

 

クルルウウヴヴヴ

 

 ショウケラが男に向かって唸るが。

 

「や、やめてショウケラ、大、丈夫だから」

 

 私の声を聞き、唸るのを止める。

 

「はっ! 落ちこぼれと下等生物が傷の舐め合いか。笑わせるな」

 

 私の服の袖を掴み、大扉の外に私は追い出されて、廊下の壁に激突する。男はそれを見て大扉を閉めた。

 変身鬼弦さえあれば、あんな男に負けないのに、そう思いながら私は廊下に横たわり気絶した。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE美岬

 あの後、ヤドウカイと合流した私達は、これからの話をする為に私達の住む古びた寺に来てもらった。

 しかし、ヤドウカイも幽との関係があったとは、本当に昔からそうだったよね。

 

【それで、北海道第1支部の方はどうします?】

 

「第1支部ね………」

 

 猛士北海道第1支部………通称 魔化魍の墓。表向きは他の猛士と変わらないが、裏では魔化魍の生体実験を行う最低最悪の猛士の支部。

 この実験は全て、北海道第1支部の支部長 志々田 謙介の独断で行われてる実験で、実験目的は人の手で魔化魍を創り出し、それで魔化魍を襲わせるという下衆な目的だ。

 その実験の為に何十体もの魔化魍が生体実験に掛けられ死んでいった。そして最近、アマビエという魔化魍の仲間が数体捕らえられている。

 

「そうですね。しかし、そこについては問題はありません」

 

【どういう事ですか?】

 

「そこに王が向かっているからです」

 

【………そうですか】

 

「ですが、王たちだけでは、些か不安です。なので………クダギツネ」

 

【なるほどそういう事ですか………ヒトリ】

 

 美岬はクダギツネをヤドウカイはヒトリマを呼んだ。

 

【分かった、王を守れば良いんだな?】

 

【分かりました】

 

 そして、ヒトリマはクダギツネの入った竹筒を口に咥えて、魔化魍の王の所へ向かった。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE赤

 王から名を頂いたクラゲビの妖姫こと赤です。

 私を含め、アマビエこと波音やバケガニこと鋏刃、サザエオニこと穿殻、私の子供であるクラゲビこと浮幽、本来の姿とは違い理性が少し無いシロウネリこと昇布が王の新しい家族となった。

 

 私たちは現在、拷問して情報を聞いた王は同胞の救出の為に白と黒を女の子(ひな)と波音の護衛に付け、猛士北海道第1支部に向かっている。

 

「ねえおじさん本当に合ってるのこの道で?」

 

「本当です!!」

 

 王が拷問して道案内として引き摺られてる男に質問をする。

 男の両脚は鳴風によってミイラにされ、いつ引き千切れてもおかしく無い。

 

ルルル、ルルル

 

 浮幽が何かを見つけ炎を灯した触手を向けた先に屋敷があった。

 

「あそこです。私のいる第1支部は!!」

 

「ふーーーん」

 

 男が指をさして騒ぐが、王は無視して屋敷を睨んでいる。

 

「約束通り案内した儂を解放してくれ!!」

 

 王は男の襟を離すと、男は両腕を動かして、逃げようとするが–––

 

ンキィ、ンキィ ルルル、ルルル  ヒュルルルルルルル

 

 鋏刃の鋏が、浮幽の触手が、穿殻の鯱の頭の触手が男に襲いかかる。

 元々、研究員だった男、戦闘能力もなく両脚を鳴風にミイラにされ男は避けることも出来ず鋏刃たちの攻撃を受ける。

 

 鋏刃の鋏が男の身体を貫通し、浮幽の触手が両腕を捥ぎ取り、穿殻の鯱の頭の触手はミイラとなった両脚を喰い千切る。

 鋏刃が鋏で貫いた男を王に向ける。

 

「た、助けて、くれ、るって………」

 

「そう言って魔化魍を殺した貴方に慈悲があるわけ無いじゃないですか。鋏刃、浮幽、穿殻、戦う前にその男を()べていいよ」

 

 王はそう言って、鋏刃、浮幽、穿殻は男を喰い始める。

 

「そうそう。ゆっくり()べていいよ」

 

 王は微笑み、鋏刃たちの食事を眺めていた。




如何でしたでしょうか?
今回はこのような展開です。次回は遂に北海道第1支部の襲撃を書きます。

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