新しい魔化魍も出ます。
北海道に着いて男に貸家を案内してもらったら、男はアズキアライという魔化魍の術で案内役をされた一般人で、私に伝言を伝えたら、砂になって死んだ。
そんなことの起きた昨日の夜から朝になった。
結局の所、泊まる所を探していた私たちからすれば、かなりいい所だったので、ありがたく使わせてもらっている。
そして現在、白と飛火、唐傘を連れて散歩をしていた。白と飛火は見た目人間と狐だから問題無いが、唐傘はそのままだと明らかに猛士に存在を感知されてしまうので、普通の和傘(崩に頼んで)になってもらっている。
「綺麗ですね王」
「うん。綺麗だね」
コォォォン カララララ
2人と2体は貸家から少し離れた所にある海を見ていた。
白や飛火、唐傘は魔化魍だが、人間である幽冥と一緒に暮らしてるからなのか綺麗なものを見れば感動はする程度の感覚を得ていた。
「そろそろ戻ろっか」
「はい」
コォォォン カラララララ
貸家で待たせてる黒やひなちゃん、お姉ちゃんもそろそろ起きるだろうと思い、白たちと貸家に帰ろうとすると。
ンキィ、ンキィ ルルル、ルルル ヒュルルルルル
振り返ると魔化魍がいた。
赤い甲羅に背中の一部にフジツボが付いている蟹の魔化魍 バケガニ。
プニプニとした身体に無数の触手の中から2本の触手の先に赤と青の炎を灯して、浮遊している海月の魔化魍。
大きな栄螺の殻、栄螺の足ともいえる蹠面から生える4本の触手に鯱の頭を生やした魔化魍
そして、海月の魔化魍の頭に座るひなちゃん位の黒髪の女の子がいた。
「アンタが噂の魔化魍の王?」
女の子が私に質問をしてきた。
「はい。私が魔化魍の王の安倍 幽冥です」
「ふーん。アンタが………………」
女の子は品定めするかの様な眼で私を見る。
「貴方は何者ですか?」
白が女の子に質問をかけた。
「ん? ………………あ、そっかアタイの事を教えてなかったね。アタイはアマビエだよ」
女の子が光ると先程の姿は違う姿に変わっていた。
黒い髪は淡いピンクに腰から下が薄緑の魚の下半身に変わり、尾の先が海老のようになっていて、側頭部に朱色の海星を付けている。
しかし、気のせいなのかな人間の姿から魔化魍に変わったのを見たのは私の幻覚かな。
【………アンタ、なんで魔化魍から人間になれたのって思った?】
「!?」
驚いた。何で私の考えてるのを当てられたんだろう。
「そういう事ですか」
白は何かを思い出した様で声を出す。
「王、この世界には3大魔化魍と呼ばれる魔化魍の王に近い超常的な力を持つ魔化魍がいくつか存在します。目の前にいる魔化魍 アマビエも『東洋3大人魚魔化魍』の一角で、アマビエは近い未来を見て予知する能力を持つ極めて珍しい能力を持った魔化魍です」
予知って事はさっきまでの先読みのような会話はその近い未来を見て言ったんだろう。たしかに未来を読まない限り、あのような会話は出来ない。
「ですが、その能力故か戦闘能力が成人男性以下しかない魔化魍としても有名です。ですから人間に化けて騙し討ちでもしない限り、餌を確保できない筈です」
【そこは言わなくても良いじゃないアタイ気にしてるんだから】
白の説明で何かと気にしてる部分を聞き、落ち込んでいるアマビエ。
「ねえアマビエ、何で私に会いに来たの、そして後ろのバケガニ以外の魔化魍は何っていう種族なの?」
【ごめんね、みんな紹介するのを忘れていたよ】
バケガニは鋏をチョキチョキしながら気にするなと言っている風に見える。海月の魔化魍は落ち込んでいる栄螺の魔化魍を慰めている。
【アンタはバケガニは知ってるみたいだからこの子達を紹介するよ】
コホンと咳払いをしてアマビエは紹介を始めた。
【今、落ち込んでいるのがちょっとネガティブ思考なサザエオニ】
ヒュルルルルル
落ち込みながらも4本の触手で挨拶するサザエオニ。それにしてもネガティブ思考って。
【で、落ち込んでいるサザエオニを慰めてるのが私達からだとお母さんみたいなクラゲビ】
ルルル、ルルル
鼻歌を歌うかのような鳴き声で挨拶して、火を灯していない触手でサザエオニの殻を撫でるクラゲビ。お母さんみたいって。
【そして、バケガニだよ】
ンキィ、ンキィ
鋏を鳴らして口から泡を吹くバケガニ。紹介が簡単すぎる気が–––
【後は此処には居ないけど、クラゲビの姫とアイツがいるよ】
アイツとは誰かと聞こうとしたら。
【実はお願いがあって此処に来たんだよ】
アマビエが急に私の手を掴み、幼い顔を近くに寄せる。
【アタイを助けて】
………………えっ?
どういう事?アマビエの言葉に驚いてると、アマビエが私に抱きついて、鳴き始めた。
【アタイを………アタイを鬼から守って】
此れはただ事では無いと思い、アマビエの話を聞くことにした。
SIDE白
【アタイを………アタイを鬼から守って】
アマビエ。
数ある3大魔化魍の中で東洋に住む人魚の姿をした『東洋3大人魚魔化魍』の1体で、通称 予知のアマビエ。
3体の中で戦闘能力は皆無に等しいが、近い未来を見る能力を持ち、あらゆる危険を感知して、
だが、猛士はアマビエのその能力を逆に利用しようと考えた。アマビエの能力を使って、近い未来に現れる強大な魔化魍を幼体のうちに潰す為にアマビエを狙い始めたのだ。
【アタイの能力を仲間を倒すのに使われんのは嫌なんだよ】
王にアマビエは自身の状況を説明していた。
おそらく今回も王は首を突っ込むのだろう。それを悪いと思わない、それが王の良いところの1つなのだが、慧鬼曰く、『そういう事に幽が首を突っ込んだら、大変な目に遭わないように周りがしっかり見張ってなさい』とおっしゃっていた。
「分かった。守ってあげるよアマビエ、いや波音」
どうやら、考えてる間に話は終わっていたようだ。
さて、帰ったら王はアマビエを守る為に動くにだろう。その事をみんなに伝えないと。
如何でしたでしょうか?
茨木翡翠さんのアマビエとサザエオニを出させていただきました。茨木翡翠さんアイディアありがとうございます。
また、以前の話に書いたと思いますが現在、幽冥が行く次の世界をアンケートしています。
もし、これを見てアンケートしたいと思いましたら、活動報告の突然ですが、に票を入れてください。