ひなの初めての◯◯を送ります。
羅殴と共に白と黒、鳴風、顎、崩、唐傘が戻って来るのを待っていると–––
ピィィィィィィィィィィィ ギリギリギリギリギリギリ
ノォォォォォォォォォン
鳴風、顎、崩の3体の吠える声が聞こえてきた。
その数分後に白たちが幽冥の元に集まる。
「ご無事で何よりです王」
「本当デス」
「ありがとう白、黒、鳴風、顎、崩、羅殴、唐傘」
幽冥の感謝の言葉を聞き、嬉しそうにするが。
「犯人に告ぐ、人質を速やかに解放し、投降しなさい」
外から聞こえた声で私は慌てる。このままでは魔化魍の存在がバレて猛士から鬼が送り込まれてしまう。なんとしてでも逃げないとって………あれ?
「顎がいない」
「ソウイエバ」
「どこにもいません」
白と黒も気付き周りを見渡していると、後ろからボコッと不自然な音が聞こえ、後ろを向くと硬い床から頭を出した顎がいた。
顎は穴から出て来て、私の服の裾を顎で挟んで穴の方に連れて行こうとしていた………もしかして。
「逃げるための穴を掘ってたの?」
ギリギリギリギリギリ
顎に聞くと裾を挟んだまま、そうっと言った返事をするように頭を下げる。
「みんな顎の掘ってくれた穴でここから逃げるよ!!」
「「はい(ハイ)」」
ピィィィィィィ ノォォォォォン
ウォォォォォォォ カラララララ
私と白達は顎の案内で地下トンネルに入り、警察が来る前に逃げるのに成功した。
崩が最後に入り、穴の入り口を壊していた。
SIDE警察
何が起きたんだ。
私の前には女の子を人質にしていた男の死体があった。喉元を何かで抉り取られたようで、そこからは大量の血が流れ、黒く変色して固まっていた。
この廃工場に入ってから、この男の死体以外、何もなかった。
女の子も男の仲間である18人の人間も何処にもいなかった。警察はこの事件を後に調査するも消えた人間たちは結局見つからずにこの捜査は打ち切られた。
SIDEOUT
SIDE白
各々の判断に任せると言ったが、まさか16人の人間を捕獲するとは、唐傘も死体だが、2人を自分の巣に仕舞っていた。
ですが、鳴風はいい判断をしてくれました。
「ぐうううっっっ!!」
これくらいの数がいればしばらくはあの子達の腹は満たされる。唐傘は死体を喰うと言っていたので鳴風と顎、崩、羅殴に報酬としてこの人間をあげよう。
「まずはどこから切り落とそうかな」
「ううううううううううう!!!」
中華包丁を手に持ち、白は目の前にいる口を猿轡されている人間の調理を始めた。
SIDEOUT
SIDE黒
サッキ鳴風タチガ捕獲シタ人間ヲ厨房ノ後ロニアル解体部屋ニ持ッテイッタノデ、オソラク今日頑張ッタアノ子達ニ料理風ニシテ出スンダロウ。
「黒姉ちゃん手伝ってよ〜」
ひなガ私ノ足ニシガミ付イテ手伝ッテト言ッテイル。慧鬼ノ頭ヲ冷ヤシテルタオルノ水ヲ交換シヨウトシタガ、タライガ重クテ持チアゲラレナクテ、私ヲ探シテイタラシイ。
「手伝ッテアゲルケド、最初ダケダひな」
「どうして?」
「ひな、出来ナイカラ他人ノ力を借リルノハ悪イ事デハナイガ、他人ニ頼ッテバカリハイケナイ。自分ノ力デ出来ルヨウニスル努力モ必要ダ、ひなハ駄目ナ大人ニナリタクナイダロ」
「うん」
「ソレナラ自分デ出来ルヨウニナラナキャイケナイ。ナニ、水場マデハ持ッテクノハ手伝ッテアゲルガ、水場カラ部屋マデひなガ1人デ持ッテ行クンダゾ」
「分かった」
「デハ行コウカ」
ソウ言ッテ私ハひなト手ヲ繋ギ、タライヲ持ッテ水場ニ向カッタ。
水場ニ着イタノデ、先ズハひなガ持テル量マデ水ヲ入レテ、ひなに落トサナイヨウニ持タセル。
「んん。重い」
ひなガ私ニ顔ヲ向ケルガ、私ハ手伝ワナイト言ッタノデ、首ヲ横ニ振ル。
ひなハ泣キソウニナルガ、タライヲ持ッテ、慧鬼ノイル部屋ニ向カオウト歩キ始メタ。
「んしょ、んしょ」
足元ヲ少シフラツカセナガラひなハ、頑張ッテ慧鬼ノイル部屋ノ近クマデ、タライヲ持ッテ来タ。後少シデ、部屋ニ着ク。
「ひな頑張レ」
コォォン
飛火ガイツノ間ニカイテ、私ト一緒ニひなヲ見守ッテイル。
タライヲ床ニ置イテ扉ヲ開キ、慧鬼ガ眠ル部屋ニ着イタ。ソレヲ見タ私ハ、ココマデ運ンダひなヲ呼ブ。
「ひなヨク頑張ッタ」
コォォォォォン
ひなヲ抱キシメテ背中ヲ軽ク撫デル。飛火モ自分ノコトノヨウニ尻尾ヲ振リ、ひなノ顔ヲ舐メル。
抱キシメテルト、ひなカラ寝息ガ聞コエテキタ。オソラク、疲レテ眠ッタノダロウ。
ひなヲ背中ニノセテ慧鬼ノ額ニタライノ水デ冷ヤシタタオルヲノセテ、私ハ眠ルひなヲ部屋ニ連レテイッタ。
如何でしたでしょうか?
はい。ひなの初めての努力でした、
そろそろ北海道編に入ります。