今回は、鬼の処遇の中で驚きの事実が明かされる。
最後に少し感動っぽい感じを書きました。
鬼との戦闘を終われせてみんな帰ってきた。ただ、白が崩に何か言って崩の茶色い顔が青くなっていた。
そして、黒は厳重に拘束された鬼を1人連れて来た。
あの時、みんなが行った後に白と黒にもしもの事があった場合のためにと、陰から隠れて守って貰って良かった。
「コノ鬼ハドウスルンデスカ?」
「取り敢えず、起こしてもらっていい」
「分カリマシタ。睡樹、コノ鬼ヲ起コシテクレ」
シュルルゥゥゥ
睡樹は鬼に付けているツタの1つを掴み、引っ張る様に引く。すると、身体に巻き付いていたツタは収縮していき鬼の身体を締め付ける。
「痛い痛い痛い痛い痛い、何ですか?!」
あ、起きたみたい。
「ここは………ってツチグモ、イッタンモメン、オオアリ、オトロシ、ヤマビコ。他にも見たことのない魔化魍も、うわーこんなにいっぱいの魔化魍がいるなんて。此処は天国」
す、すごい起きてすぐの反応がこんなのなんて、私と同じくらいの魔化魍好きなのかな鬼のくせに。
「それで、私を連れて来た理由は………魔化魍の王様」
「!!」
驚いた。まさか自己紹介する前に私が誰かを当てるなんて。
「なんで私が王だと思ったんですか?」
「そうですね………………まず、あなたの後ろにいるメイドの格好した姫ですかね。
今の状況、普通なら姫は目の前にある貴女を襲って、自分の魔化魍の餌にする筈です。なのにそんな素振りをみせないこと。次にこんな大量の魔化魍がいるのに慌ててないこと。
そして………」
そういった後に鬼はマスクの部分が光り始めて、素顔があらわになる。三つ編みにした長い茶髪に赤の眼鏡を掛けた女性が顔を現す。
私はその顔を見て、懐かしい気持ちになった。まるで昔に会ったといたという感じに。
「………………顔を見せても分からないよね、性別がそもそも違うんだから」
鬼のいった言葉に驚き身体が固まった。性別が
「いつかは
それは私が前世で家族の1人と親友の2人にしか言っていない将来の夢のことだった。
これで分かった。この人を見て、何故懐かしい気持ちになったのかをそして、理解した。今、話をしているこの女性の正体を–––
「お兄ちゃん?」
「前世を含めたら30年ぶりだね幽。元気で良かったよ」
「お兄ちゃ〜ーーん」
私は目の前にいるのは敵だと思っていたが、違う、敵ではない。会えるとは思わなかった。
前世でいつも私の馬鹿な話に付き合ってくれて、困った時には助けてくれた大好きなお兄ちゃんがいた。
SIDE白
私は今の状況に気絶しそうだが、気力と忠誠心を使って、気絶するのを防いだ。
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」
「ふふふ、今世になっても私の前だと泣き虫ね」
王が拘束して連れて来た鬼に抱き付き泣いている。
顎と睡樹と唐傘は察したのか鬼の身体に巻き付いてるツタと両腕に付けてる土の枷、脚を縛る糸を外して、鬼は自由になった手で王の頭を撫でる。
そして、ついさっきとんでもないことを鬼は言っていた。『
今思えば、王には疑問に思った事が何個かあった。
まず挙げられるのは中学生(王に教えてもらった)くらいの子供にしては大人びていること、猛士に所属する鬼でも無いのに知っている魔化魍の多大な知識、恐怖を感じずに私たち魔化魍に触れる事、実の両親を平気に餌に出来る冷酷さなど、挙げると疑問は何個もある。
そう思い、私は疑問を口にした。
「王………今まで心の中で思った事を聞きます。
王は………………一体何者なのですか?」
SIDEOUT
「王………今まで心の中で思った事を聞きます。
王は………………一体何者なのですか?」
いつか聞かれるかなと思ったけど、早く来たものだと思った。
「そうだね。いつか話そうと思ってたんだけど…………………黙ってても意味がないしね、私とお兄ちゃん………いや今はお姉ちゃんかな。私とお姉ちゃんは前世では兄妹だったんだよ」
「前世ですか?」
「そう前世、何でかは知らないけど、私は老衰で死んだはずだったんだけど、気が付いたら安倍 幽冥になっていたの。そして、安倍 幽冥として暮らして12年経ち、家出をした時に白たちに出会ったの………ビックリしたよ。
前世ではね、白たちはテレビに出てくる空想の産物だったんだけどね。私はその空想が本当にあったらいいなと思った。それが今の世界ではあの時に実在すると分かった。
私は魔化魍を家族にしたいという願いがあったの、こんな王でもいいのならこれからも私の家族として暮らしてくれないかな」
何でこの事を話さなかったのを考えるとしたら。嫌われたくなかったからなのかな。あのような家族から逃げて初めて出会った魔化魍の家族。もう1ヵ月くらい経つが、話す機会はいくらでもあったのに話さなかった。
私の話を聞き、白やみんなは顔を下に向けて、何も答えない。
お姉ちゃんの足の糸を手で引き千切って、お姉ちゃんの肩を支えてここから離れようとすると、
「お待ちください王!!!!」
普段の白が出さないような荒げた声で私に言った。
「確かに王は、我らに前世の秘密にしていましたが、それが何ですか」
「えっ?」
「例え、前世が有ろうと無かろうと王は王です。これからも我らを家族と言えるのは王だけです」
「ソウデス。私タチハ王ノ家族デス!」
「ふふ、良い家族じゃない幽」
白と黒の言葉で涙を流してる私を肩を支えていたお姉ちゃんに押されて白の胸元に飛び込んでしまう。
「我らはこれからも王と共に」
ガルルルル ピィィィィィィ ギリギリギリギリ
ノォォォォォン シュルルゥゥゥ ウォォォォォォォ
コォォォォォン カラララララ
白の言葉に合わせるかのように土門たちも声を上げる。
「ありがとう………みんな………………ううううう」
私は白の胸元でみんなに見えないように顔を隠して泣いた。
さっき、泣いたのにまた見られるのは嫌だったから。
神はあまり信じないんだけど、今のこの生活をくれたのが神様ならこの世界に生まれさせてくれてありがとう。
如何でしたでしょうか?
はい。慧鬼の正体は前世のお兄さんでした。
崩のお仕置き描写を期待してる方が居たのでしたらすいません。それは次回の最初辺りに書こうと思います。