人間だけど私は魔化魍を育て、魔化魍の王になる。   作:創夜叉

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今回は久々の猛士視点と◯◯キャラの視点をお送りします。
ちょっとしたミスで話しはこちらが先になりました。
幽冥や家族の魔化魍側よりも短いかもしれませんが、読んでください。
それではどうぞ。



記録玖拾

SIDE猛士九州地方支部

 幽冥と鉄による九州地方支部壊滅計画の会議がされている同時刻。

 

 福岡支部、長崎支部、熊本支部、大分支部、宮崎支部、鹿児島支部と名前の書かれたプレートに座る6人の老若男女が円卓に座っていた。 この6人こそ、鉄が壊滅を計画した猛士九州地方支部のそれぞれの支部を代表する支部長で、ここ九州地方支部の中心である福岡支部の最奥にある秘密会議室に集まっていた。

 

「みなも知っていると思うが藩が死んだ」

 

 福岡支部と書かれたプレートのある場所に座るのはここ九州地方福島支部の支部長であり、九州地方支部を纏める王である千葉 武司が空席になっている佐賀支部と書かれたプレートのある場所を見つめて言う。

 

「ええ。存じてます」

 

「その知らせは俺も聞いた。しかし、信じられねえな………あの藩がくたばるとは」

 

 最初に口を開いたのは、眼鏡を掛けた紺色のスーツ姿の女性で、手元にあるパソコンを操作しながら答える。彼女は大分支部の支部長 布都 ミタマ。

 その次に口を開いたのは、布都と同じスーツ姿だが着崩すようにシャツの出ている男。この中では支部長として任命されたばかりの鹿児島支部の支部長 臼井 功太。

 

「それも大事ですが、警察に何と申します?」

 

「すまぬが、いつものように記憶改竄を頼む花奈」

 

「師父の指示通りに」

 

 警察に対しての対応を聞くのは、喪服の如き黒い服を着た女性で宮崎支部の支部長 土浦 ふく。

 千葉の指示に答えたのは、顔が見えないようにフードを被った女性で、ここ猛士九州地方支部中で唯一警察と関わり、警察が魔化魍の情報を掴まないように記憶を操作する熊本支部の支部長 千野 花奈。

 

「そうだ。三ツ木、『白蜥蜴』や『不明』達を追いかけていたお前のところ鬼はどうした?」

 

「……………」

 

 腕を組んでいるボサボサな髪の男は何も答えない。いや、答えは既に雰囲気で千葉は察した。

 

「そうか…………遺族に報告は?」

 

「………してない。いや、出来ない」

 

 長崎支部の支部長 三ツ木 照広は静かに答える。

 

「あいつらには家族は居ない、いや魔化魍に殺されている」

 

 その答えに席に座る全員が理解する。

 猛士九州地方長崎支部。

 他の支部の構成員と違い、ほぼ全ての人間が魔化魍に家族を殺された孤児や人間で構成されている。

 この支部長 三ツ木も目の前で魔化魍に家族を喰い殺され、自身も喰われそうになった時に、当時は鬼として活躍していた千葉に助けられて猛士に入った経緯を持つ。

 魔化魍に対しての怨みも凄まじく、長崎支部の構成員はその怨みで集められた人間とも他の支部から言われている。

 また、セトタイショウこと鉄が猛士九州地方支部壊滅計画を考案させるキッカケとなった人物でもある。

 

「仇は俺が取る。武司さん良いですよね?」

 

 そう言って三ツ木が服から取り出したのは、年季が入ってるのか使い込まれた変身鬼笛。

 

「戦うのは嫌ですが、自分の安全のためです」

 

「………師父。私も自分の支部のピンチには使わさせて貰います」

 

 そう言って、パソコンを閉じた布都の腕には小型の変身鬼弦が巻かれており、千野も裾から覗く腕にも従来の形とは異なった変身鬼弦が巻かれていた。

 そう。九州地方支部長は臼井と土浦を除いて、全員が鬼として活躍していた者で、それぞれが名を挙げて鬼から支部長となった。

 

「うむ。みなも分かっておろうが、くれぐれも命を落とすようなことはするな」

 

「「「「「はい」」」」」

 

「うむ。では、次の議題は–––––」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「––––––それでは、会議はこれで終了する。全員解散」

 

 そして、千葉と各支部長の数時間にも及ぶ話し合いは終わり、解散の号令を出す。

 

 それぞれが自分の支部に帰った中で円卓の椅子に座っている者が1人いた。

 ここ福岡支部の支部長 千葉 武司だ。

 

「わしもアイツと変わらんかったか」

 

 そう呟いた千葉が思い浮かべるのは親友を亡くして、魔化魍への憎悪を募らせて消えた四国地方の王の姿だった。

 千葉もまた家族を魔化魍に殺され猛士に入った人間。

 若い頃は九州だけに留まらず様々な地方で魔化魍を清めてきた。その結果が当時では滅多に無かった鬼から王になった最年少の王。当時の猛士では有名な話だ。

 あの時の加藤の眼を見た千葉は鬼を引退して以来、部屋の奥に仕舞った自身の変身音叉を持ち歩いている。そして、引退してから久しい鬼の鍛錬を行っている。全盛期だった頃に比べて劣るも、8割ほど以前の感覚を取り戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千葉 武司。またの名を白鬼。

 かつて魔化魍の王に近い力を持った魔化魍 ヌエを部下である2人の鬼と引き連れた数十人の鬼と共に音叉刀を使った音撃で首を飛ばし、その身体を7つに分けて封印した生きる伝説。

 音撃を覚えらなかった鬼に音叉刀で魔化魍を清めるという音撃剣技を広めた男。

 

 安倍 幽冥率いる猛士九州地方支部壊滅軍VS千葉 武司率いる猛士九州地方支部。

 この2つの戦いが始まる。

 

SIDEOUT

 

 

SIDE◯◯

 某猛士佐賀支部跡地。

 幽冥の指示で世送が破壊した佐賀支部。ボロボロの壁には時間が経ってるせいで見えないが飛び散った血の跡があった。

 そして、壁の側にはローブを羽織った男がいた。

 

「そうか、そうだよね。……………うん。辛かったねえ」

 

 男は壁に向かって喋っている。

 正常な人が見たら、頭のおかしな人が壁に喋りかけていると思うだろうが、男の周りには誰もいない。

 

「そう。だから、僕が叶えてあげる」

 

 話すが相手がいないのに会話が成立してるように話す男。

 

「うん。じゃあ、契約は成立だね」

 

 何かが成立したのか男の話す壁から青白い火の玉が浮かび上がってきて、男の手がそれを掴むと、火の玉は一瞬にして姿をなくす。

 

「……はあああーーーー。ねえ、後どんくらい集めるの?」

 

 男はまた宙に向けて話し始める。

 

「あと11個? めんどくさいんだけど、はいはい、分かりました。やればいんでしょ。や・れ・ば…………えっ!? きてるの? ………分かった。じゃあ、そっちをやるよ。それだったら、そっちも文句ないでしょ」

 

 男は口を閉じると、星が見える夜の空を見上げながら呟く。

 

「これが終われば、会えるんだ。だから………頑張らないと」

 

 ローブの男はそう言うと、スッーーと消えていき、そこには何も無かったかのように静寂に包まれていた。




如何でしたでしょうか?
さりげなく、千葉さんの過去をぶっ込みました。音撃でしか魔化魍を倒せませんが、千葉さんは剣を振るった時の空気の振動を音撃に見立てて、魔化魍 ヌエを倒しました。
その功績を称えられて、当時の王としては最年少で王になった人でもあります。
また、九州地方支部の支部長達や前に登場した支部長達の格好ですが、出番が少なく、基本魔化魍に殺られることが多いので魔化魍側の擬人態姿とは違いシンプルなのが多いです。
最後の登場キャラは察しがよければ何かはすぐに気づきます。
次回は入れ替えた、家族たちと九州地方魔化魍の交流の話です。
ヌエの紹介は次回のおまけコーナーでやります。


ーおまけー
迷家
【はいはーーい。今日も元気におまけコーナーはっ、じまるよーーー!!】


【迷家。なんだ、この場所は?】

迷家
【うーーんとね。あんま気にしないで僕もいつの間にかこの場所にいるのはよくあるから】


【理解、した?】

迷家
【まあ、それはさておき砦にはどんな質問しようかなーー?】


【簡単な、質問で、頼む】

迷家
【そうだ。砦のお母さん灰をどう思っているのか?】


【灰の、ことか?】

迷家
【うん!!】


【そうだな。灰は、弱い】

迷家
【え?】


【とにかく弱い。人間を、捕まえようとして、失敗するし。周りに、気遣いすぎて、すぐミスる。自分の脚を、踏んで、転ぶ。起きた時、すぐに壁に、頭をぶつける。血を、長時間見ると、気絶する。俺が、居ないと、何も出来ない。
 妖姫としては、ダメダメな、ダメ妖姫】

迷家
【ありゃりゃ、思ってたのと違う答え】


【だが、灰は、努力家。失敗を、次には、成功させる。どんなことが、あっても、めげない、腐らない、前に進もうと、する。そんな灰が、好ましい】

迷家
【じゃあ、砦は灰が好きなの?】


【それは、違う。何故なら、灰は、王に惚れている。他にも、ライバルが、居るのは、知ってる。
 だが俺は、灰は、諦めないと、思ってる。俺は、灰の恋を、応援、してる】

迷家
【そっか。じゃあ今日はここまでバイバーーーイ!♪】


【また、会おう!!】












迷家
【だってさ、良かったね 】

「ありがとう砦」

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