とある少年の万物略奪《オールコレクター》   作:スリー

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どうもスリーです。
今回は原作キャラを出してみました。
それではどうぞ。


第3話 普通は普通、僕は僕

あの後、北桐の今後のことについて話し合いになった。

一つは中学校のことである。

彼も学園都市に来る前には当然学校に通っていた普通の学生であり、必然的にここでも学校には通わなければならない。だが彼は中学3年生、今は2月半ば。通常なら他の中学に転校するのだろうがどうにも時期が悪い。1ヶ月も行かない学校に転校するのは手続き上面倒ということで行かなくてもいいというこになった。(なお、中学校は卒業したことにしてくれるらしい。)

 

次に高校の話になり、桂木に「何か希望はあるか?」と聞かれたので北桐は「あまり偏差値が高くなくて、普通の高校生活が送れる場所なら何処でもいいです。」と答えた。理由としてこの時の彼の学園都市の学校のイメージは能力開発一色のカリキュラムだと思っていた。(当然ながらそんなことはない。)彼も能力をもつ前は普通の学生であり、高校生という存在に多少なりとも憧れがある。出来れば普通の高校生活を送りたいということを考えたための解答である。偏差値云々は単純にあまり勉強が得意ではないからだ。と言っても彼はそこまで頭が悪い方ではない。というのも彼は暗記が得意なのだ。だがそれも'興味のあるもの'に限られるため、テストでは得意科目と苦手科目が大きく別れる。なのであまり偏差値の高い学校では授業についていけず、最悪退学させられるかもしれないと思ったからである。(level5なので退学はさせられることはない。)

 

桂木はそんな北桐の気持ちを知ってか知らずか北桐に理由は聞かずに持っていたファイルから1冊のパンフレットを北桐に手渡す。それはとある高校のパンフレットで、その学校は学園都市内でも低レベルの学校である。流し読みをしたところ北桐の要望にぴったり当て嵌まっていたのでここにすることにし、彼は4月からこの高校に通うことになった。ちなみに受験はlevel5ということで免除である。

 

このように話し合いがスムーズに進んでいくなか、北桐は1つ疑問に思った。それは一研究員である桂木と七瀬が何故北桐の生活や学校のことについて決めることが出来るのかである。そのことについて聞いてみると驚くべきことに統括理事会というお偉いさん達が北桐の生活や学校についてはすべて桂木と七瀬に一任されていたようだ。ただ理由はわからないらしい。北桐からしたら自分で通う高校を選べるということもあって別段気にすることもなかった。

 

それからも話し合いは進んでいき、現在北桐はトランクを片手に自分がこれから住む寮に向かっている何故1人かというと、高校まで学校に行かないといっても流石に何もしないのはまずいということで明日から研究所に通い能力の知識や中学校の復習、能力の特訓などをすることになった。そのため寮から研究所まで何処くらい歩くかを自分で確かめたかったということである。

 

(明日から頑張ろう!)

 

明日からの生活に新たな決意を心に刻みながら目的地である寮に向かう。途中目移りするものがいろいろあったが生活に余裕が出来たらにしようと後髪を引かれる思いでその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side北桐

 

しばらく歩いていると建物の前に人だかりが出来ていた。興味本位で人だかりの中に入っていく。その建物はどうやら銀行のようだが、何故かシャッターがしまっている。現在時刻は午後4時。銀行が閉まるにはまだ早い時間帯だ。なにかあったのだろうかと思考しながら周りの声に耳を傾ける。

 

「中で何があったんだ。」

 

「何でも中で強盗が立て篭もってるらしいぞ。」

 

「マジかよ!警備員(アンチスキル)呼んだのかよ。」

 

「もう呼んだ見たいだぞ。だから大丈夫だろう。」

 

どうやら中で銀行強盗が暴れているようだ。自分の力ならと一瞬思ったが、素人が首を突っ込んでいい内容では無い。こういう案件はその道のプロに任せるのが一番だろう。

 

そう思いこの場をあとにしようとした時、突然シャッターの前に1人の女の子が現れた。見た目からして小学生くらいで髪は黒髪のショートヘア。ショートヘアの頭には造花の飾りの付いたカチューシャをつけている。とても可愛らしい女の子だ。だがその可愛らしい顔は涙で濡れており、くしゃくしゃになっている。女の子は最初何が起こったか分からないような顔で呆けていたが次の瞬間すべてを察したようで今だ閉まっているシャッターを叩きだす。

 

「白井さん!白井さん!!どうしてですか!!どうして私だけ………」

 

どうやら女の子は中にいたようだがその白井さんとやらのおかげで外に出られたようだ。

 

(一体どうやって外に出たんだ?白井さんとやらも能力者なのだろうか。瞬間移動みたいなものなのか?だとしたら何で自分も外に出ないんだ?)

 

そんなことを考えていると花飾りの女の子はシャッターを叩くのをやめ、周りの人たちに助けを求める。

 

「お願いします!誰か、誰か助けてください!中に私の友達がいるんです!」

 

それに対しての周りの反応は冷たいもので、彼女から目をそらすもの。その場をあとにするもの。それは至極当然の行動である。彼女やその友達は所詮赤の他人。そんな彼女の言うことを聞いたり、彼女の友達を危険を承知で助ける物好きはそうはいない。

 

「彼女はケガをしてるんです!早く助けないと………」

 

もし彼女の友達を助けることのできる力があったとしても、わざわざ助ける道理もない。ここにいる人たちの考えは僕を含めて皆同じだ。'誰かがやってくるだろう'とそう思っている。しょうがないのだ。それが'普通'の考え方だ。

 

「お願いします………お願いし、ます………」

 

よく見れば彼女の左頬は赤く腫れている。多分だが犯人に叩かれたのだろう。痛かっただろうに、怖かっただろうに、それでも彼女は友達を助けるために声を張り上げる。恐怖を押し殺し友達を助けたい一心で叫ぶ。彼女が今出来ることを精一杯を全力でやっている。

 

「誰か………誰、か……………」

 

 

ポンッ

 

 

「え?」

 

彼女のカチューシャがずれないようにそっと頭を撫でる。

 

「大丈夫だよ。」

 

確かに彼女を助けたとしても得やメリットは存在しない。

僕が助けなくても誰かが助けてくれるのだろう。

 

「僕が」

 

むしろその考え方が'普通'であり、それが'普通の答え'である。

だが気が変わった。さっきの自分の答えを頭の中で訂正する。

 

「君の友達を」

 

考えてみれば簡単な答えだ。

名は分からないが女の子が泣いているのだ。

故に僕の答えは必然だ。

'僕の答え'。それはーーーーーーーーーーーーー

 

「必ず助けるから。」

 

そう言いながら(■■■)は彼女に微笑みかけた。




どうでしたか?
女の子が誰だか分かりましたか?
次回もお楽しみください。

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