新人プロデューサーの日記   作:限定イチゴパスタ

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新人プロデューサーの日記 その4

○月S日(曇り)

 

懐かしい夢を見た。

 

今から何年くらい前だっただろうか、近所に小学生の女の子がいた。

名前は…そう、確か「森久保」だった気がする、

 

いつも泣きながら震えていた、『むーりぃー』って、

その子の両親は共働きで帰りがいつも遅く、両親との仲が良い俺はよく世話を頼まれていたが…結局いつまで経っても彼女は俺に打ち解けてはくれなかった。

 俺と会うと怯えるかのように震えて、目すら合わしてくれなかったので、あまりにおかしいと思った俺はこう聞いていた。

 

「なんでそんなに震えてるんだ?」って、

 

しかし彼女は何も答えてくれなかった。

 それがなんだか悲しくて、俺はどうしても彼女の心の中が知りたくて、どうやったら仲良くなれるか、そればかり考えていた。

 心理学の本も買って読んだ。でも結局何も知らないまま、彼女はどこか遠くへ引っ越してしまった。

 

今、どうしてるだろうか…

 

ってこれじゃ夢日記だ、気付いたら時間も無くなっている、早く会社へ向かうとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

あー疲れた。最近定時に帰ってない気がする、

まあ、忙しいって事は良い事だから…ダメだ考えが社畜のそれになりかけている、

 

今日もありすがレイジーレイジーに文句をぶつけていた。

「子供じゃないんですからしっかりして下さい」

とかなんとか、

やめとけやめとけ…ありすじゃあいつらには勝てない、いつものように顔を真っ赤にして立ち去るのがオチだ。まあ、案の定そうなっていたが…。

 

さて、明日も早い、もう寝よう。

 

 

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○月T日(曇り)

 

なんだこれは…

俺の机の下がキノコハウスになってやがる。

これは何か意図的な物なのだろうか、すっごいジメジメしている。

いや、特に意味は無いのか?ただ生えてきただけ?

 最近雨や曇りが多かったし、キノコの1つや2つ…生えるわけないよなぁ…、原木まであるし、

 あ、千川さんが見てる、そろそろ仕事に戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 犯人がわかった。ウチのアイドルの「星輝子」だ。

 動機は友達(キノコ)がこの机の下が心地良いと言っていたから、らしい。まさか住み着く気か。足のやり場に困るんだが…

それより驚いた事にこの子、俺が来る前からこの事務所でアイドルをやっていたそうだ。

会ったの初めてだよな?うーん、影が薄いと言うかなんと言うか…

あれ?今見たけどこの子パッションとして登録されてるぞ?

んん?なんで?

 

 

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○月U日(曇り)

 

 おう…どうしよう、凄く苦しい…

ちょっとした、本当にちょっとした好奇心だったんだ…、本当に…。

最近冷えてたから…

『このキンキンに冷えた手を菜々さんの背中に突っ込んだらどんな反応するだろう』

って、そんな馬鹿みたいな事を考えてしまったんだ…。

最近疲れてたからかな…、どうしても衝動を抑えられなかったよ…。

 

 気がつくと『ピギィッ!』って声と共に地面にうずくまっている菜々さんの姿がそこにあった。

 この文だけ見ると面白いかもしれない、

でも苦痛に顔を歪ませている菜々さんの姿は決して笑えた物ではなかった。

 大急ぎで仮眠室に運んで謝った。それはもう何度も、何度も、

そして菜々さんは苦痛を堪えながらもこう言うのだ。

 

「な、ナナはじゅうななさいですから、こ、このくらい、大丈夫ですよ…?キャ、キャハッ☆ひうっ、こ、腰が…」

 

もう涙が出そうだった、同情なんかじゃない、自分がなんて愚かで軽率な事をしたのか…菜々さんが何をしたというのか、罪悪感で苦しいばかりだ。

 

本当にごめんなさい…菜々さん…。

 

 

 

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○月V日(曇り)

 

いつまでたっても一ノ瀬が打ち合わせに来ない、

寝坊でもしているのか?最近仕事が増えて来たってのに…、

仕方ない、千川さんに場所を教えてもらって家まで迎えに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体何が起きてるんだ…?理解を超えていてどう書けば良いのかわからない…夢でも見ていたのか?

ただ、起きた事だけを書いとこう、

 

 

 俺は千川さんに一ノ瀬の家を教えてもらい、携帯と財布だけ持ってそこへ向かっていた。

 その最中だ、事が起きたのはその家へ向かう最中だった。

俺の目に映ったのは嫌がる小柄な女の子と、しつこく絡む柄の悪い男達、どんな状況かは一目瞭然だった。

その光景を前にして居ても立っても居られなくて、すぐに止めに入ったものの、男達の容姿通り、話し合いで解決はしなかった。

 

 普段鍛えているわけでもない俺に勝ち目などある筈もなく、ただ彼女を逃がそうと必死になって囮になりながら走っていた。

 結局俺は捕まってしまい、顔面を何発か殴られて気絶したわけだが…そこまでだ、そこまでしか覚えていない、そこから先に何があったのかわからない…。

目を覚ました時、周りで不可解な事が起きていた。いや、もう起きた後だろうか、見たままのその状況を書くと、

 

柄の悪いその男どもが、泡を吹いて地面に転がり込んでいた。

 

 

 

俺が気を失っていた間、いったい何があったのか、よく調べれば何かわかったかもしれない。でもそんな冷静に物を考える事もできず、走って、ただ走って、家に帰ってきた。

殴られた頬が痛む、間違いなく現実だ。

 

一ノ瀬の迎えに仕事、いろいろとすっぽかしてしまったが、何も考える気になれない。

本当に、何があったのか。

 

もう、寝てしまおう。

 

 

 

 




来るなら来やがれ…フェス…!

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