『小夜啼鳥が血を流す時』   作:歌場ゆき

10 / 13



「怪物と闘う者は、
 その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ」

────フリードリヒ・ニーチェ
    『善悪の彼岸』より







「Is this hell?」

 

 

 

 ────ここは、まさしく地獄だった。

 

 

「こちら、胸を強打しており、喀血(かっけつ)が見られ」「ストレッチャーはまだか!? 早くしろ」「ごほっ、ごほごほ…」「マシューは、マシュー・アーノルドはいませんか?」「傷は深くありませんが、倒れた際に頭から」「───んぐっ、はぁはぁはぁ…」「先生! 助けてくれよっ、頼むよっ!! アーロンは故郷に家族もいるんだ…こんなところで」「こちらはメスが足りません」「そっちの患者は後でいい、こっちが先だ」「左の鎖骨と肋骨の数本が骨折してまして」「…もうあきらめろ」「がぁぁぁぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"、痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたい」「ふむ、出血が全く止まらんな」「通ります、道をあけて!!」「おいおい、死んじまったんじゃねぇのか、そいつ」「状況を教えてください、彼はいつから───」「ぉぉおおおお、ぐぅぁあ、おおぅおぅおお」「大丈夫ですか! 聞こえますか!」「おい、ここにあったメッツェンバームはどこにやった!?」「あ~あ、駄目だな、こりゃあ」「右腕の切断が──」「タイミング合わせて、頭部は動かさないように注意して──1、2、3」「馬鹿野郎! こちら側を優先しろと何度言わせたら」「ぐあうああぁぁぁあああ────」「意識レベルが低くなってきている。緊急でオペの」「──なんだこれは……さっぱりわからん」「包帯、あるだけ持って来い!」「イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ、シニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタク……」「────認識票すらも…、持ち帰ることが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリミア戦争時────イギリス軍の後方基地と野戦病院が設置されていたスクタリ。

 従軍依頼を受けたフローレンス・ナイチンゲール率いる看護婦団が現地へ到着したのは11月。

 

 陽光の盛りはとうに過ぎ去り、肌を撫でる空気が冷たいものを含むようになって久しい。

 

 ”霧の街”とも称されるロンドンを代表として──当時、イギリスはその気候と環境ゆえに霧が発生しやすい条件下にあり、看護婦団がやって来たその日のスクタリでも霧が発生していた。

 

 イギリス全土の霧をこの地に集中させたのではないかと錯覚しそうになるような濃霧であり、「せめて天候ぐらいは私たちを歓迎してくれないものか」と淡い期待を寄せていた看護婦団メンバーの心中を暗く染めた。

 

 それもそのはずで────前線の病舎がどれほど悲惨で惨憺たる状況にあるのか、彼女らは事前情報としてしっかりと認知していた。

 

 無論、その程度を苦と感じるような柔な精神を持ち合わせる者など、ナイチンゲールが選抜したメンバーのうちに存在するはずもないのだが、彼女らもひとりの人間だ。間違いなく過酷な役務を強いられることが確定している将来の幸先において”できることならば、こうなってほしい”という希望を持つぐらいのことは許されてもいいだろう。

 

 

 

 

 しかし、

 そのささやかな希望が粉々に打ち砕かれたばかりか───

 

 スクタリにて出迎えた濃霧は、まるで看護婦団のその後を暗示していたかのようで────

 

 

 

 

 

「あ、そう言えば、皆さん、知っていますかー?」

 

 

 

 

 ───スクタリに着いた際のミランダによる唐突な投げかけも、その予兆と言えば予兆と言えた。

 

 

 

 

「突然どうしました? ミランダ」

 

「いえー、婦長。スクタリは霧が凄いなと思いましてー。…ここで、ひとつ蘊蓄(うんちく)を披露しようかと」

 

「……それは今、言う必要がある事柄ですか? 移動中とは言え、我々は作戦行動の最中なのですが」

 

「はい、今すぐに言わないといけません。だって、もしかしたら霧はすぐに消えてしまうかもしれないじゃないですか」

 

「えっと、申し訳ありません、婦長。今、黙らせますから──」

 

「構いませんよ、メリッサ。実際に患者と相対したときに為すべきことを滞りなく遂行することができるのなら、なにも今から緊張感を持っている必要はありません。各々が各々の気持ちの切り替えかたを用意していてよいのですから。ミランダ、発言を許可します。続きをどうぞ」

 

 

 とは言った婦長ではあるが、いくらミランダでもこの緊張感の中で本当に不必要なことを言うとは考えていなかった。

 

 そして、残念なことにその見通しは全く甘かったと言わざるを得ない。

 

 その点、ナイチンゲールはミランダを過大評価し過ぎであったし、彼女のスケール感を過小評価し過ぎであった。

 

 

「やたー、ありがとうございます。婦長」

 

 

 きっと、みんな、驚きますよー、と言ってミランダが発した次の言葉は、たしかにそれを聞いた皆を驚かせた。

 

 ───言うまでもなく、ミランダが狙った通りの驚きではないのであるが。

 

 

 

 

 

 

「霧って、空にぷかぷか浮かんでる雲と同じものなんですよー! 知ってましたー? 知らなかったでしょー!?」

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 ……………………。

 

 ………………………………。

 

 …………………………………………。

 

 

 ………………ナゼイマソンナコトヲ?

 

 

 看護婦団の護衛にあたっている憲兵をも巻き込んで、なんとも言えない空気が集団を支配する。

 

 …”あぁ、ミランダはそう言えばそうだった”という空気が新たに流れ込んできたところで、「病舎に着いたら少しお話をしましょうね、ミランダ」という、響きはあくまで優しげなお説教の予告が婦長から下される。

 

 

「え? あれー? どうして?」

 

 

 周囲の空気からなにかを悟ったらしいミランダがしきりに首を捻る。

 

 いいから、もう黙りなさいとメリッサに告げられ、しょぼくれた様子のミランダ。

 

 しかし───、

 

 思えばこの時───彼女こそが、この濃霧のメッセージを最も繊細に感じ取っていたのかもしれない。

 

 

 看護婦団メンバーの微かな期待を見事に裏切る形で出現した濃霧を”雲”であると声高に発表したミランダ。

 

 

 ──こんなものは後からのこじつけに過ぎないのではあるが。

 

 

 ───ただ、予兆とは得てして些細なことに端を発するもの。

 

 

 

 だから、ついに始まった従軍期間の中で───

 

 

 看護婦団メンバーの誰もがふとした瞬間にこの日のことを思い出すことになる。

 

 

 

 

 

 

 私たち看護婦団の先行きには───、

 

 

 

 

 

 

 

 ────濃い霧(暗雲)が最初から立ち込めていたのだ、と。

 

 

 

 

 =========================================

 

 

 

 

 ”現地のコネクションは現地で築くこと”

 

 

 これは、従軍前にジョンから再三聞かされていたことではあったのだけれど、私はあまり深く考えていなかった。

 

 いや、頭の片隅で私は期待していたのだと思う。

 病害を消し去る、患者を助ける、命を救う───医療を志す者であれば誰しもがこれらの目的の前に立ち各人に与えられた使命を十全に果たすはずである、と。

 

 だから、

 

 

「──仕事ねぇ…………。君たちの仕事はないな」

 

 

 スクタリ戦時病舎の総責任者である──ホール軍医長官の口からそう発せられたときには耳を疑った。

 

 病舎内に据えられている長官室の中、責任者に取り急ぎ挨拶を済ませ、看護師団への指示を仰ごうとしたところ……思わぬ状況に陥った。

 

 

「今、なんと…?」

 

「ふむ、わからないか。君たち看護師団の仕事はここにはない、そう言ったつもりだが?」

 

 

 部屋に私が入室して以来、こちらに一瞥をくれることもなく、窓の傍に立ち外を眺めるようにしてまた同じ言葉を繰り返す軍医長官。

 

 ……そんなわけはないだろう。

 

 事実、最前線とも言える病舎にこうして私たちが派遣されているのは現場の人材不足という問題があるからこそ。

 

 今、ここで問答をしている間にも、しなければならない処置がいくつもあるはずだ。患者の容体によっては手遅れになってしまうことも十分に考えられる。

 

 悠長に話している場合ではないからと挨拶を簡略化したために相手の機嫌を損ねてしまったのだろうか。

 

 ──その程度のことで? 本当に?

 

 

「私たちはハーバート戦時大臣からの命を受けて参りました。令状もここに」

 

 

 慌てて敬礼の姿勢を解き、懐から令状を取り出す。

 

 が、そんなものはけっこうだとでも言わんばかりに男は首を横にふる。

 

「上からの命令だ、と急に人を寄越されてもねぇ。こちらはこちらの事情というものがあるわけで…」

 

「なにか失礼を働いてしまったのであれば謝罪いたします。いったい、なにが────?」

 

 

 原因がわからないのに謝罪をすることが誠実だとは思えないが、それがこの場での最適な行動だとこのときの私は考えた。おそらくはなにか気に障ることをこちらがしてしまったのだ。

 

 それ以外に対面の男がそんなことを言う理由が思いつかない。

 

 だから───、

 

 

「困るのだよ。現場の受け入れ態勢も整っていないのに人だけを寄越されても。管轄の事情もある、それぞれの役割分担だって既に決定している……」

 

 

 軍医長官に接近し誠意を込めて頭を下げてから、今一度指示を仰ごうと先ほどよりも近距離から相手を見て、

 

 

 

「まったく上は勝手が過ぎる。君の噂は伝え聞いているがね…、ミス・ナイチンゲール──君もどうせ振り回されているくちだろう? ……ああ、いや、そうか君の立場からは言いにくいものがあるな。くくっ、これは失礼」

 

 

 

 そして、悟った。

 

 

 

 

「……わざわざこんな辺境の地まで看護婦団にご足労いただいたことは誠にありがたいことだがね。()()()()()()()()()()()()()()()。面倒事は御免こうむる」

 

 

 

 

 ああ、この方は。

 

 否───、()()()は。

 

 患者を救う気がまるでないのだ。

 

 

 

 

「わたしの仕事は────戦争が終わるまでこの長官室の椅子にただ座っておくこと、この一点のみ。それ以上でも以下でもない。その間はできる限り波風を立てたくないのだよ」

 

 

 

 

 思えば───、

 この病棟内に足を踏み入れたときに流れていた鬱屈とした空気はこのことを予感させていたのかもしれない。

 

 あの動物然とした感覚でミランダが”ここ、なんか気持ち悪くありません?”と言葉を発したときには”口を慎みなさい、ミランダ”とたしなめたものだが、たしかに正しい評価だった。

 

 周囲の壁や床にこびりついたようにして決して取り除くことのできない古い血の匂いと、今もなお止まることなく患者の傷口から流れ出る鮮血の匂い。

 

 清潔な状態に体を保たなければどうしたって溜まっていく人の垢が積層された甘ったるい香りと、外傷を負った体が膿んでいく過程で漂う人体が腐敗したときの鼻を刺す刺激臭。

 

 それらの隙間を縫うように、あるいは覆い隠すようにして鼻腔を刺激するガーゼや包帯、消毒液などの人工的な匂い。

 

 いいや、()()()()()はさしたる問題ではない。

 

 こういった病舎に流れている独特の臭気は──言わば慣れきっている。今さらその程度のことで顔をしかめることはない……ないのだが、ミランダの”なんか気持ち悪くありません?”という言葉に代表されるこの場に流れる空気の異常が自らのアンテナに引っ掛かってはいた。

 

 先ほどはその引っ掛かりを脳内で言語化することがかなわなかったが、今ここでそれがなんなのかようやく理解した。

 

 

 この男は───

 

 

 

 

「君たちも苦しくてただ辛いだけの仕事などしたくはないだろう? 院外に場所を用意させるから、そこでしばらく大人しくしていてもらえないかね。看護婦団は頃合いをみて本部に戻り”問題なし”と上層部に報告してもらえれば、それで構わない」

 

 

 

 

 

 ───決して野心があるわけではない。

 

 

 

 心ここにあらずといった顔つき、

 人を抱えたこともないと容易にわかる体躯、

 覇気のない曲がった背骨、

 

 こちらの姿を捉える双眸は魂の抜けたような様相で。

 

 身体から心と精神が腐り堕ちている。

 

 

 それを隠そうともせず、私の目の前に立っている。

 

 

 

「手を尽くそうが、尽くさまいが───どちらにせよ人は山のように死んでいく。ならば、わたしたちが汗を流す必要は皆無だ」

 

 

 

 なるほど────トップがこのような有様では病舎全体の空気も悪くなるというもの。

 

 ──であれば、ここにいる必要は微塵もない。

 ──速やかに患者への処置を開始しなければ。

 

 即刻そう断じて、踵を返そうと思ったが、

 

 

 

 

 ”現地のコネクションは現地で築くこと”

 

 

 

 

 という言葉が胸のうちに蘇る。それに付随するように───

 

 

 ”君も想像してごらんよ。どこの誰ともわからない人間が自分の管轄する現場へいきなりやって来て、好き勝手に仕事をされたら腹が立つだろう? 外部から人が送り込まれている時点で、その人物にとっては能力不足の烙印を押されているようなものだ。きっと内心穏やかじゃいられないだろうね。ただでさえ肉体と精神を摩耗する現場なのにそういった政治的要因も絡んでくるとなれば、そこにいるトップは十中八九───メンドウクサイヤツだと相場は決まっているんだ。そこで君が気を付けるべきは、そいつと仲良しこよしになること…………ではないよ? たぶんそれは君の性格的に無理だし、相手が男だった場合は僕が嫉妬するのでやめてくれ。合言葉はそう……「仲良くやらなくていいから、上手くやれ」ってところかな。今までのようなワンマンプレイ&パワープレイではすぐに立ち行かなくなると肝に銘じておくべきだね。なぜなら、君は看護婦団の長なのだから──ひとつの組織の代表だということを忘れないように”

 

 

 思い出されるあの男の台詞。

 

 あらかじめ見ていたかのように、知ったようなことを語る。全く癪に障ること、この上ない。

 

 その言葉を聞いていた際の私は──きっと今現在の気持ちと同じものを抱え、不服そうな顔をしていたことだろう。

 

 それを察したかのように、あのときの彼はさらに言葉を重ねた。

 

 

 ”()()()()()()()()。もし看護婦団がクリミアからすぐさま追い出されるようなことになってしまったら───全てはパーだ。違うかい?”

 

 

 正論だ。反駁のしようもない。

 

 ここで、こんなところで

全てを棒に振るわけにはいかない────

 

 

 

 

 

 

 

 ───ただ、これは。

 

 ───これは許されてもいいのか。

 

 ────私が……この私がこれを許してしまってもいいのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「───非礼をお詫び申し上げます、軍医長官。委細、承知致しました」

 

 

 

 

 

 そうして気が付けば、再度敬礼しそう口にしていた───そう口にしてしまっていた。

 

 左腕の拳が固く握り締められ、小刻みに揺れている肩に気が付かれなかったのは幸運か。

 

 

「──結構。下がって構わないよ、ミス・ナイチンゲール。君は噂で聞いていたよりも賢明な人物らしい。今後も互いによろしくやっていこうじゃないか」

 

「…………」

 

「滞在場所へは憲兵に案内をさせるとしよう。あまり綺麗な場所ではないがなにせ時代が時代だ、そのあたりは辛抱してくれ。さて、伝達事項は以上だ。…なにか質問は?」

 

 

 リアクションをせず俯き加減になっていた私を不審に思ったのか、こちらへの問いかけに低音の響きが深くなる。

 

 

「───ひとつ、よろしいでしょうか?」

 

 

 怒りで蒸発しそうな頭をどうにか落ち着かせ、正常な発話が可能な状態にまで理性を手繰り寄せる。

 

 

「役割分担が決まっているという、話でしたが。差し支えなければ、分担についての資料を、確認させてはいただけないでしょうか」

 

「…ミス、余計な口出しも───」

 

「──いえ、当病舎の内部状況について、直接触れるつもりは……。ただ、ただ今後の、参考にさせてはもらえないかと」

 

「ふん、なるほど……。勉強熱心なのは良いことだな。いいだろう──ここに何部か予備がある。持っていくといい」

 

「ありがとう、ございます。拝見させていただきます」

 

 

 いかにも面倒臭そうな様子で引き出しから資料を取り出す軍医長官に対して、奥歯を砕きそうなほどの力で噛みしめながらなんとか礼を口にする。

 

 資料に目を通すと、あらかじめ睨んでいたようにおかしな点がいくつも見られた。

 

 本来は必要ないはずの部署の存在、意味のわからない人数比、医師と看護婦の担当割り振りも滅茶苦茶。

 

 それらを糾弾することはしない。

 

 ──その代わりに、

 

 

「ホール軍医長官、”この箇所”を担当する部署はあるのでしょうか?」

 

 

 ────そう訊ねた。

 

 

 

 

 

 

 終始あくまでなにもわからない、なにも気づかない、取るに足らない───馬鹿な看護婦のフリをして。

 

 長官室を退出し、看護婦団メンバーが待つ控え室へ足を向ける。

 

 どのように控え室まで戻ったのかは記憶が曖昧。なぜなら意識的に外部の情報はシャットアウトしていたから。さもなければ────、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら、胸を強打しており、喀血(かっけつ)が見られ」「ストレッチャーはまだか!? 早くしろ」「ごほっ、ごほごほ…」「マシューは、マシュー・アーノルドはいませんか?」「傷は深くありませんが、倒れた際に頭から」「───んぐっ、はぁはぁはぁ…」「先生! 助けてくれよっ、頼むよっ!! アーロンは故郷に家族もいるんだ…こんなところで」「こちらはメスが足りません」「そっちの患者は後でいい、こっちが先だ」「左の鎖骨と肋骨の数本が骨折してまして」「…もうあきらめろ」「がぁぁぁぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"、痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたい」「ふむ、出血が全く止まらんな」「通ります、道をあけて!!」「おいおい、死んじまったんじゃねぇのか、そいつ」「状況を教えてください、彼はいつから───」「ぉぉおおおお、ぐぅぁあ、おおぅおぅおお」「大丈夫ですか! 聞こえますか!」「おい、ここにあったメッツェンバームはどこにやった!?」「あ~あ、駄目だな、こりゃあ」「右腕の切断が──」「タイミング合わせて、頭部は動かさないように注意して──1、2、3」「馬鹿野郎! こちら側を優先しろと何度言わせたら」「ぐあうああぁぁぁあああ────」「意識レベルが低くなってきている。緊急でオペの」「──なんだこれは……さっぱりわからん」「包帯、あるだけ持って来い!」「イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ、シニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタク……」「────認識票すらも…、持ち帰ることが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さもなければ、きっと私は私でいられなくなる。

 

 

 

 ────ここは、まさしく地獄だった。

 

 

 

 

 

 







 誤字脱字、ここの文意がワケワカメ、展開に対する苦情等ありましたら、気軽にご連絡いただけますと幸いです(反映するかはこちら次第だがな!
 ハーメルンからでもTwitterからでも構いません。作品をよりよくするためにご協力のほどお願いいたします。



 さてはて、ほんとにそこが──地獄の底かな?



――――――――――――――――――――――


Twitterをやっています。

@katatukiNISIO
@SSkakikaki(更新専用)

FGOのことを主体に、アニメ、マンガ、ゲームについて雑多に呟いてます。




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。