何だか違うDB   作:パンチ拳血

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はいこんにちは。投稿致します。

今回はずっと戦闘ばかりな回です。
サイヤ人達の戦闘力は、それぞれ原作と変わりません。
地球人組も基本変わりません。

それではどうぞ。


激動

 悟空とベジータは睨み合う。

 

 悟空が場所を変えると言って選んだのは、切り立った岩壁が複数そびえ立つ、人や動物がいないであろう場所だった。

 ベジータは腕を組みながら言う。

 

「喜ぶがいい。貴様の様な下級戦士が、超エリートに遊んで貰えるんだからな」

 

 ベジータは言った。サイヤ人は生まれてすぐ適性検査をされ、能力の低い者は大して敵のいない星に送り込まれるのだと。

 

「ようするに、貴様は落ちこぼれだ!」

 

「そのおかげでオラはこの地球に来られたんだ、感謝しなきゃな」

 

 ベジータの暴言を、悟空は逆にそれで良かったとでも言うかのように答える。

 そして、

 

「それによ、落ちこぼれだって必死で努力すりゃあ、エリートを超えることがあるかもよ?」

 

「くくく、面白い冗談だ。では努力だけではどうやっても超えられぬ壁を、見せてやろう!」

 

 互いが構え合う。

 静かではあるが、気のぶつかり合いがもう始まっているのだ。

 それに耐えきれなくなった一つの岩壁が崩れ落ち、そしてそれが戦いのゴングになった。

 

 足元の岩を蹴り、互いが激突する。

 突きや蹴りの連打。悟空は始めから全力のようだが、ベジータにはまだ余裕がある様に見える。

 互いが打ち合う中、ベジータの前蹴りが炸裂した。悟空は上空へと打ち上げられ、なんとか体勢を立て直す。

 今度は悟空から仕掛けた。だがベジータはそれをいとも簡単に受け、そして避ける。そして一瞬の隙を突かれ、ベジータの連撃が決まってしまう。

 

「どうしたカカロット! お前の実力はこんなものかぁ!」

 

 ベジータの蹴りが悟空の腹に突き刺さる。そしてダメ押しのベアナックルでの追撃。悟空は地面に叩き落された。

 

 このままでは勝てない。そう思った悟空は奥義、界王拳を身に纏う。

 瞬間、悟空を紅い気が覆い、身体能力が増強されていく。この奥義は多くの体力を消耗し、上手くいかなければたちまち身体が崩壊してしまう恐れがある。

 だが、ここで使わずいつ使うのだ。

 戦いに危険が伴なうのは当たり前、この戦いでは必ず無茶が必要になるから。

 

 悟空はすぐさまベジータに飛びかかった。出来るだけ短期決戦で勝負を付けなければ逆に不利になるのだ。

 

 ベジータの顔面を捉えた拳は、次にボディへと移行し、先程とは比べ物にならないほどの連打を叩きつける。

 

「調子に乗るなッ!」

 

 だが、ベジータもそのまま喰らい続けるほど馬鹿では無い。

 連打の隙を掻い潜り、反撃に出る。その疾さは界王拳の悟空を上回り、手痛い一撃が悟空の身体に入る。悟空は堪らず肺の中の空気を吐き出して、岩壁に激突した。

 悟空は体勢を整え、ベジータから距離を離して直ぐさま相手を見る。

 

 いない。

 

「間抜けめ、後ろだッ!」

 

 まともに回し蹴りを喰らい、岩石を砕きながら倒れ伏せる悟空。

 

 まだ足りないのか。

 

 まだ甘いのか。

 

 後を残す界王拳の二倍は、自分で制御できる最大となる。だが、更に消費が多くなるのだ。これで勝てなければもう後は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いいじゃないか、更に無茶しよう。

 

 

(こんなヤバい時だってのにワクワクしてきたぜ……)

 

 全力を、自分の全てを出し尽くさなければ、或いはそれでも勝てない相手。地球がピンチだってのに、これを楽しんでいる自分がいる。

 これがサイヤ人の血か。

 何かを護る為では無く、ただ純粋に戦いを楽しむ。なるほど、今までの戦いでいつもワクワクしていた訳だ。

 

 悟空は二倍の界王拳を使った。後の事は考えない。今を勝ちに行く!

 更なる負担が身体にかかるが、まだ全然制御出来る範囲だ。……これ以上はどうなるか分からない。

 

「だりゃあぁぁッ!」

 

「なにッ!?」

 

 岩石の破片が、その気の膨大さに空へと浮かんでいく。悟空の周りの空間が歪み、紅い気が増幅される。

 それに応じて、悟空の膨れ上がった身体も紅くなっていく。

 血管が脈打ち、蒸気が風に乗って吹き荒れる。その風が発せられているのは、二倍の界王拳を纏った悟空の身体からだ。

 

 

 悟空はベジータに向かって真っすぐに飛んでいった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「ナメック星人が加わったくらいで、このナッパ様を倒せると思ってんのか? いくらナメック星人でもよ、一匹かそこらじゃあ俺達サイヤ人にはハエみてぇなもんだぜ」

 

「試してみるか?」

 

 ピッコロも加わり、合計6名となった地球の戦士達。ヤムチャはまだ気の使い過ぎで戦闘には復帰出来ないが、この人数差に平然としているのがそれを相手取るサイヤ人のナッパだ。

 ピッコロの反応に、笑いながら返す。

 

「そう死に急ぐ事もねぇだろう? お前は虫の息程度に生かしといてやる」

 

 それ以外は皆殺しだ、とも言った。

 恐らくは願いの球、つまりはドラゴンボールの事を聞き出す為だろう。

 奴等はナメック星人が不思議な力を持っている事を知っている。戦闘タイプの他に、魔法使いの様なことが出来るタイプもいる事を。

 

「ラッキーだな、ドラゴンボールの情報を一番知っているのはピッコロ、あんただと思っているらしい」

 

「どちらにしても同じだ。どちみちこの勝負に負ければ、地球はお終いだ」

 

 クリリンがピッコロに言う。

 もし負ければ、なんて考えたくもないが。

 

 ナッパが動き出した。

 ナッパは力を込める様に握り拳をつくり、息を吐き出す。突如奴の気が高まり始め、瓦礫の破片が浮かび上がり砕け散る。ナッパの身体は電気の様なものを帯びて、まるで地震の様な大気の震えが起きる。

 

「駄目だ! 僕の超能力効かない!」

 

 餃子がなんとか反撃に出るも、圧倒的な気の震えに掻き消されてしまう。しかもそれがナッパの癪に障ったようで、腕の一振りで吹っ飛ばされてしまった。

 

 しかしそれを心配している余裕は無い。皆今にも気に呑まれそうであり、立つことすら難しいのだ。

 

「さぁて、覚悟はいいかぁッ!」

 

 ナッパは天津飯に狙いを定め、真っ直ぐに突撃してくる。

 天津飯とナッパの腕同士がぶつかり合い、天津飯の腕が何かのエネルギーによって痺れてしまう。

 

「天津飯ーッ! 避けろぉ!」

 

 ピッコロが叫ぶ。

 しかしそんな余裕は無く、天津飯はただ受け止めようと受けの構えをするしかなかった。

 

 ドッゴォォォッ

 

 強烈な一撃。

 しかしそれを受けたのは天津飯ではなく、

 

「う、ぐうぅぅ……!」

 

 なんと亀仙人であった。

 身体を巨大化させ、受けた腕には気を纏わせている。

 しかし体格差はなんとか五分のものの、気の差が激しい為押し負けてしまい、地面に身体を叩きつけられる事となった。

 

「武天老師様ッ」

 

 クリリンが走り出す。

 しかし、亀仙人の腕を取り巻いていた謎のエネルギーは一瞬で消えていた。

 否、亀仙人が消したのだ。

 亀仙人の大技である"かめはめ波"は気を一点に集中して放つもの。ならばその応用で気を身体の一点に集中し、そのエネルギーを上回る気をぶつければ良い。身体の巨大化も、全体に気を送ったものだ。極めればどうという事は無い。

 

 天津飯も気迫と気を全開にし、腕の痺れを打ち消した。

 

「こりゃあ少しは楽しませてくれそうだな」

 

 ナッパはそう言うと、一瞬で移動しクリリンと亀仙人に蹴りを見舞った。

 対応が遅れ、受け身も取れず吹っ飛ばされる。

 

「任せろッ!」

 

 いつの間にか空中に移動したピッコロがエネルギー波を放っていた。それはナッパの隙を突き、背中に命中する。

 

 だが、ナッパの歩みを止める程には効かなかったようだ。ナッパはピッコロのいる場所を確認すると猛スピードで飛んで行き、胴ごと回転させて蹴りを繰り出した。

 その威力にピッコロは舞空術を保っていられなくなり、地面に叩き落とされる。

 

「吹っ飛べ貴様らぁッ!」

 

 ナッパが腕に気を纏わりつかせ、そして薙ぎ払った。

 

 爆発。

 

 クレーターどころではない。爆風が戦士達を襲い、砂煙が舞う。そして、そこに出来たのは底の見えない大穴だった。

 

 改めてサイヤ人の恐ろしさを思い知った。ラディッツ戦でさえ見なかった、この爆発跡。あれから腕を上げたのにも拘らず、これだ。絶望は捨て去った、しかしそれでも這い登ってくるのは悪寒である。

 

 

「……孫悟空との戦いの為に残しておいたのだが、そうも言っておれんようだな」

 

 

 ナッパの予想以上の強さを感じ取ったピッコロは、

 

 

 

 重りを脱ぎ去った。

 

 

 

 ピッコロの気が爆発的に高まり、ナッパの身体から放たれるエネルギーとぶつかり合う。

 

「何だと!? ピッコロも俺達と同じように重りをッ!?」

 

 天津飯の叫びに、皆も心の中で驚愕する。

 

 ピッコロは空中へと走り、ナッパと互角の攻防をする。いや、疾さで言えばピッコロの方が上だ。

 

「このクソ生意気な……ッ! テメェ如きがこのナッパ様に……ッ!」

 

 ナッパの怒りが溜まっていく。その証拠に、額には太い血管が浮かび上がっていた。その表情に余裕は無く、目の前のピッコロにしか意識が向いていなかった。

 

 それが、大きな隙だ。

 

 ピッコロが大振りの拳を躱し、頬に一撃見舞う。その一撃にナッパは大きく吹き飛ばされた。

 

「うわぁぁぁッ!」

 

 その先にいたのはクリリン。

 さっきのお返しとばかりに、ベアナックルを脳天に直撃させる。勢いを消すこと無く、ナッパを地面に向けて叩き落とす。

 更に、

 

「気功砲ッ!」

「どどん波ッ!」

 

 天津飯と餃子がそれを追撃する。

 まるで打ち合わせされていたかの様な完璧なコンビネーションだが、全ては彼等の修行と判断力の賜物だ。

 

 ナッパはクリリン達に目を移し、怒り任せに暴虐の限りを尽くさんとするも、

 

「チェアァァァ!!」

 

 隙を突いたピッコロによってそれは阻止される。蹴りがナッパの顎を捉え、又もや空中へと戻された。

 

 無防備なナッパに連撃を喰らわせるピッコロ。トドメとばかりに爪を用いた拳に気を乗せて叩きつける。ナッパは堪らず、地面に落下して砂煙を舞い上がらせるのであった。

 

「やったか!?」

 

 亀仙人が言う。

 しかし、煙が晴れていき、そこにいたのは、

 

 

 

 

 

 直立不動のナッパだった。

 

 

 

「ありがとよ、頭に上ってた血が少〜し抜けて、俺のちっこい脳味噌が冴えてきた……」

 

 

 

 

 

 よく見ればピッコロから受けたであろう一撃で、頭から血を流している。

 先程とは違い落ち着きのある、しかし確かに憤怒している顔付き。

 

 何かが変わったのか? しかし気の大きさはさっきと全く同じ。気の大きさで言えば今のピッコロの方が大きい。

 

 クリリンはチャンスと思い、自分のとっておきを右手に溜め始めた。円盤の様な気が手の上に滞空し、回転しながらだんだんと大きくなっていく。

 

「気円斬ッ!」

 

 それはクリリンの新たなる技。

 山程の大きさもある大岩を綺麗に切断出来るそれは、直撃すればサイヤ人の身体といえども簡単に切断するハズだった。

 

 ナッパはそれを避けようともしない。

 それどころか、手を前に構え、受け止めようとしている。

 

 斬ッ

 

 何かが切れた音がする。だがそれはナッパの身体では無く、

 

 

「くだらん技だ……」

 

 

 クリリンの気円斬の方だった。

 それは本当に呆気なく、気を纏わせた手刀で真っ二つに切断された。

 

 ピッコロはその隙を狙い、気を込めた拳を突き出す。殆ど真後ろ、しかもナッパはそれに反応する素振りも無い。ガラ空きのその身体に、ピッコロの拳がめり込むハズだった。

 

 

 

 受け止められた。

 それどころか拳を握り潰され、その拳は使えなくなってしまう。

 しかし、それだけでは終わらない。更にその腕を掴まれ、なんと()ぎ取られてしまった。

 蹴りを放つナッパ。避ける術もなく、ピッコロは吹っ飛ばされていった。

 

「今まで猪突猛進だったアイツに何が起こった!?」

 

 動揺する戦士達。

 気の大きさは今も変わってはいない。どういうことなのか? と考える暇も無く、

 

 

 

 気付けばナッパが目の前にいた。

 

 

 

 そして一撃。たった一撃で、皆が戦闘不能になってしまう。気も纏っていない、予備動作すら殆ど無しにして、この威力か。

 皆辛うじて生き残ってはいるが、このままでは嬲り殺しだ。しかし動けるのは何とか腕を再生したピッコロのみ。

 最早これまでか、と皆が思った。

 その時、

 

 

 

 

「久しぶりだなぁ、ナッパさんよ」

 

 

 

 

 ラディッツが、そこにいた。

 

 

 

 

 




重り「ピッコロよ、お前もか……」
しかしそれを更に上回るナッパさん。

悟空とベジータの戦いは基本的に変わりませんでしたが、悟空の戦闘力はUPしてますので、二倍の界王拳で戦闘力的には互角となります。

ピッコロは強化されました。
まぁそこは悟飯に修行している部分を自分に持ってきたのと、ラディッツに虚仮にされた悔しさも含めてってことで。

ありがとうございました。

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