何だか違うDB   作:パンチ拳血

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とりあえずラディッツ戦は考え付いてるので投稿。
感想ありがとうございます!

二話の悟空達の戦闘力はあくまで目安ですので悪しからず。他にも気功波出す時戦闘力上がりますからね。正確な設定はしてません。

それでは、宜しければどうぞ


兄貴vs 総力戦

 皆が戦慄する。

 以前にも感じたが、とてつもない圧力である。あまりにも圧倒的であり、今にも相手の気に呑まれそうだ。

 だが、呑まれない。否、呑まれてはいけないのだ。呑まれればその時点で"負け"なのである。

 するとラディッツは突然何か気付いたように宇宙船へと飛び、何かを取り出した。

 

「ほれ、カカロット」

 

 持っていたものを投げ渡すと、悟空の掌にスッポリと収まった。それは四星球、ラディッツが悟空から奪った物だった。悟空は意図が分からず、ラディッツに問いかける。

 

「何で返してくれたんだ?」

 

「そのボールは囮だ。確かに美しかったが、カカロットが大事そうに持っていたのでな。それを気にしては戦えまい」

 

 ラディッツはニヤリと笑い、理由を話す。

 するとヤムチャが。

 

「な、なんだ。願いが目的の為に奪った訳じゃないのか……」

 

「何ぃ? 願いだと?」

 

 墓穴を掘った。遠くの方で「ヤムチャの馬鹿ぁ!」という声が聞こえる。だが確かに盲点だった。昨日の意見でドラゴンボールの願いを使えばどうにかなるというものは出たが、それはラディッツが四星球を持っていった為に即却下された。だがしかし、悟空を連れ戻す方ばかりに気を取られ、相手がドラゴンボールを使うという可能性を見出していなかった。

 あまりにも不覚。悟空は四星球を隠しながら構える。だが、ラディッツは動こうともせずこちらを見ているだけだった。

 

「それが何だかは知らんが、そんなに大事な物ならさっさと仕舞うんだな。この戦闘で割れてしまうかもしれんぞ」

 

 待ってやる、と言わんばかりに腕組みをし、ただ無表情だ。悟空はなるべく早くブルマに四星球を渡し、そしてラディッツの前に立つ。

 

 

 

 

「終わったか? なら、始めよう」

 

 

 

 

 ラディッツは悟空に向かって走ってくる。悟空はすかさず防御の姿勢を取った。疲れていたとはいえ、一撃でダウンさせてきた相手だ。まともに食らえばタダでは済まないだろう。

 ラディッツの攻撃は肘打ち。悟空はしっかりとそれを防御しカウンターを決めようとして、

 

 

 消えた。

 

 

 

 

 

 いや、消えたのではない。悟空はその答えを探し出そうとして左右を確認した。だがそれよりも早く、

 

「後ろだ」

 

 さっきよりも更に強い肘打ちを背中にまともに食らう。悟空は吹っ飛ばされながらも何とか体勢を立て直す。まさか前から来たのに後ろから攻撃を食らうとは思わなかった悟空はそのスピードに戦慄した。

 

「や、野郎っ!」

 

 クリリンがラディッツの後ろ姿を隙と見て飛びかかる。意識も悟空に向いているだろうし、大丈夫だと思った。

 

 だが、甘い。

 

 

 

 

 

 突如現れた謎の攻撃により、クリリンは弾き飛ばされる。

 クリリンは何が起きたのか分からないまま、吹っ飛んだ。

 

「し、尻尾か……!」

 

 天津飯が言い放つ。確かに腕も脚も全く動いてなど無く、代わりに尻尾がゆらゆらと動いているのみ。天津飯も、過去の天下一武道会で悟空に一杯食わされていたのですぐに分かった。

 しかしこれでは弱点の尻尾に迂闊に近付く事は出来ない。悟空が隙をつくってくれるのを待つしかないのが、悔しい所であった。

 

「ほう、よく耐えたカカロットよ。これから少しずつパワーを上げていくぞ」

 

 なんと、これが最大のパワーでなかったのだ。今のパワーでも限界に近いというのに、更にその上があると言う。現にクリリンは弾き飛ばされてから、まだ立ち上がれていない。

 これがサイヤ人、これが戦闘民族か。まるで次元が違う、違い過ぎる。

 

 

「ちょっとタンマ」

 

 

 皆の絶望の色が濃くなった中、軽い声でそんな台詞を言ったのは悟空だった。だがこれは本当の戦いである。天下一武道会とは違い、ルール無用の戦場。人生にゲームデータのセーブが無いように、この場でのタイムコールなど何の意味もなさないはずなのだが。

 

「なんだカカロット、まさか休憩などではあるまい」

 

「いや、汗でベトベトだから服を脱ぎてぇんだけどさぁ」

 

 ラディッツはこの言葉を聞き取ってくれたようだ。さっき四星球を返したこともあり、彼は意外と正々堂々と戦ってくれる紳士的な戦士なのかもしれない。

 それはまぁ兎も角として、ラディッツはまさかの答えに唖然とした。こんな時に着替えたいと言い出したのだ。この戦場では何とも場違いな台詞であり、もしこれを真面目に言っているのだとしたら緊張感がなさ過ぎると言わざるを得ない。

 

「真面目に言っているのか? 本当に戦いに来ているのかお前は」

 

「オラ真面目に言ってるぞ」

 

「……」

 

 

 ラディッツは何とも言えない表情で悟空を見る。悟空の顔は真剣そのものだった。

 

 暫くして「さっさとしろ」とだけ言ってくる。恐らく色々と諦めたのだろう、ラディッツはその場に座り込んでしまった。

 悟空は相手の気持ちなどいざ知らず、早速自分の作業に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石じゃな」

 

「? 何がですか武天老師様?」

 

 いきなりの発言にいつの間にか立ち上がっていたクリリンが問いかける。

 

「わしらが彼奴の気に呑まれていることを知って、悟空はあんな芝居を打ったのじゃ。芝居自体はヒヤヒヤしたが結果的に皆の緊張や恐怖も取り除かれたじゃろ? あんな機転は中々出せんもんじゃ。それに今悟空が脱いでいる物は……」

 

 そこまで言って天津飯は気付く。

 

「そうか! 重りを外す為に!」

 

 その一言に、皆もハッと顔を合わせる。

 

「そうじゃ。悟空のことだから、どこまで自分が通用するか試してみたかったのじゃろう。いかにもあいつらしいわい。悟空にとってはこの世の中の事は大した事ではないのじゃろう」

 

「こ、今回は本当にやばい感じなんですけどね……」

 

 クリリンが苦笑する。それは他の戦士も同じであり、今回は世界征服などではなく人類滅亡の危機なのだ。

 絶対に勝てる自信があるのなら話は別だが、あの悟空でさえ仲間の助けを借りたいと言った相手。出来るものなら危険な賭けなどしたくない。

 急いで道着を脱いでいる悟空を見て、そう思うのだった。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 数分後、重りを脱ぎ終えた悟空。

 その姿を見てラディッツは立ち上がる。すると、悟空はラディッツだけに聞こえる声で言い放つ。

 

「本当はこれを脱ぐのはもっと後になると思ったんだ。だけどおめぇがあまりにも強えぇから、今脱ぐことにした」

 

「ほう、まだお前には余裕があったということか? ホラを吹くのもいい加減にしろ」

 

「なら見せてやるぞ!」

 

 

 悟空がラディッツに向かって走り出す。そのスピードは雷よりも速く、油断したラディッツの間合いまで一気に距離を詰めた。流石のラディッツもこれには驚き、防御の姿勢を取る。

 悟空の回し蹴り。それは綺麗な弧を描き、ラディッツの腕を叩いた。

 その瞬間、爆風が起きる。一発で起きる威力にしては、今までの悟空より一味も二味も違っていた。

 ラディッツはそれを弾き、左目の機械の数値を見る。そして、初めてこの闘いにおいて驚きを露わにするのだった。

 

 

 

「戦闘能力、1210……だと?」

 

 

 

 だが驚いている時間もない。ラディッツは自分の方から悟空に突っ込んでいく。悟空も負けじと前に出て、一対一の攻防となった。

 突きが、蹴りが、互いの身体に刺さり、めり込み、叩きつけられる。

 やや悟空が不利ではあったが白兵の打ち合いはほぼ互角。それはラディッツが悟空の突然の強化に困惑しているのも幸いしてのことだった。

 

 暫く打ち合いが続き、このままでは不利と判断した悟空は強引に打ち合いを解き、後ろに下がる。そこにいたのは天津飯だった。

 

「太陽拳ッ!」

 

 眩い光がラディッツの視界を潰し、選手交代。クリリンとヤムチャがかめはめ波を撃ち込む。

 だが流石は戦闘民族か。咄嗟に身を守り、自分の身体に当たる瞬間を狙い相手の方向に打ち返した。

 

「マジかよ⁉︎」

 

 通用しない事は分かっていた。だがまさか寸分狂わず自分の方向に向かって弾き返すとは思わなかったクリリン達は驚きを隠せなかった。

 不運にもこれを食らってしまう。

 ラディッツは上空へと飛び、左目の機械の音を頼りにエネルギー弾を撃ち込む。

 

「皆回避しろぉ!!」

 

 悟空は兎も角、他のメンバーではこの一発に当たるだけで即死だ。

 その攻撃はラディッツの視界が回復するまで続き、平地だった所が空爆された後のように穴だらけになる。

 

「クソッ、あんな技を持っていたとは……」

 

 視界が戻りかける、その瞬間を見計らってか誰かが攻撃を仕掛けた。

 

 

「かめはめ波じゃあ!!」

 

 

 正体は亀仙人であった。その姿は老人とは思えないような筋肉質の身体となっており、撃ち出されたかめはめ波は先ほどの二人のかめはめ波よりも数段速く、そして太かった。

 不意を突かれたラディッツは避けることも出来ずに真正面に食らう。しかし戦闘力差があり過ぎるあまり、身体へのダメージは無い。……身体は。

 亀仙人が狙ったのは機械の方だった。その気になれば月さえ破壊できるそれは、機械を破壊するのに十分なものであり、ラディッツは悔しそうに声を唸らせる。

 

「このじじいがぁ!!」

 

 先ほどより大きいエネルギー弾を亀仙人目掛けて放つ。

 亀仙人は反動が来たのか動けていなかったが、ギリギリの所で悟空に救出された。無傷とはいかないが、何とか無事のようだ。

 ラディッツは二撃目を放とうとしたが、それは思わぬ攻撃に阻止される。

 

 

「気功砲!!」

 

 

 ラディッツよりも上空から撃ち出された天津飯の決死の攻撃は、見事ラディッツを地面へと撃ち落とした。

 悟空が溜め込んだかめはめ波を撃ち出す。それは一直線にラディッツへと向かっていった。

 

「舐めるなッ!」

 

 ラディッツは素手でそれを抑え込み、消滅させた。これを見た悟空は、

 

「な、なんて奴だ……まだあんな余裕があるなんて」

 

 と驚愕する。

 

「今度は俺がプレゼントしてやるッ!」

 

 ラディッツはバチバチと掌に気を溜め、瞬時に撃ち出した。

 悟空は避けること叶わずに真面に食らい、動けなくなってしまう。勿論ラディッツがこの隙を逃す訳がなかった。

 

 近くにいた天津飯や亀仙人は動けない。万事休すか、と思ったその時。

 

 

「な、なんだ……力が、入らな……」

 

 

 悟空に攻撃が当たる直前、ラディッツが止まる。

 なんと! 餃子が尻尾を掴んでいたのだ。更に餃子の超能力で、金縛りの状態となり動くことが出来ない。絶好のチャンスだ。

 

 

「よっしゃあああッ!!」

 

 

 悟空が立ち上がり、ラディッツ目掛けて突進する。ラディッツの予想以上の攻撃にボロボロであったが、ラディッツに通用するのは悟空しかいない。

 ここぞとばかりに悟空は連撃を見舞う。

 スタートダッシュからのボディブローが綺麗に決まると次は蹴りの嵐。やがて突きと蹴りが入り混じるコンボへと移行する。

 ラディッツの鎧のような服に穴が開き、ひびが入る。

 悟空の決死の猛攻。勝負はついたと思った。

 

 だが、ここでまさかの展開だった。

 

 

 

「兄を舐めるなよカカロット」

 

 

 

 ラディッツが餃子を振り払い、悟空の腹に蹴りを決める。既にボロボロだった悟空はそのまま吹っ飛んでいき、空中に千切れた道着が舞った。

 

 

「ここまで成長しているとは思わなかったぞカカロット。だがこの勝負、俺の勝ちのよう……」

「まだだぜ、悟空のお兄さんよ」

 

 

 重ねるように言い放ったのはヤムチャだった。先程自分のかめはめ波を返されボロボロになっていたが、絞り出すように自分が編み出した技を使う。

 

 

「繰気弾!」

 

 

 一つの気弾がラディッツを襲う。それは一回当たっただけでは消えず、何度も何度も殴り付けるようにぶつかっていく。

 だがそれは一絞りの力。徐々に小さくなっていき、消えていく。

 だが、それで十分。十分気は逸らせた。ヤムチャは叫ぶ。

 

 

 

「今だ〜ッ!!」

 

 

 

 ラディッツはヤムチャの向いた方向を向く。そこには、ボロボロになった悟空とこれまたボロボロになったクリリンが、かめはめ波の姿勢を取っていた所だった。

 

 

 

「「波ーーーーッッッ!!」」

 

 

 

 二人のかめはめ波が重なり、大きなかめはめ波となる。最早ラディッツは避けられない。が、諦める選択もなかった。

 ラディッツの両手から撃ち出されたエネルギー波は悟空達のかめはめ波に衝突し、競り合った。最後の力を振り絞り、エネルギー波が互いを食い合う中、ラディッツは言った。

 

 

 

 

 

 

「カカロットよ、強くなったなぁ」

 

 

 

 

 

 

 悟空達のかめはめ波がラディッツのエネルギー波を呑み込み、ラディッツを光が包んだ。




こんなに熱くて良いのか⁉︎
良いんだ‼︎だって主人公の兄貴だもの‼︎

はい、という訳で今回はいかがだったでしょうか?
全員を活躍させる為にはどうすればいいのか考えた結果、こんな感じになりました。
まぁ悟空以外のZ戦士は一撃貰うだけで終わりな戦闘力差なのでこんな感じかと。
ラディッツがあまり悟空以外に攻撃していないのも、一応理由があります。多分。

では、ありがとうございました。

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