何だか違うDB   作:パンチ拳血

2 / 22
夜のテンションと高評価で舞い上がってしまって投稿。
いやほんと、ありがとうございます…

因みに、一話目で出てきた修行の時の人形はドラゴンボール無印の話に出てきたものを自分なりに独自解釈しながら書きました。あの描写では数時間動く疲れない人形としてありますが、本人よりは劣化しますし、本人が強すぎたらポポが再現出来なくなりますので、人形はその程度のものと解釈していただければ大丈夫だと思います。


史上最強の戦闘民族

 悟空達の目の前に突如現れたのは、大柄でとても髪の量が多い男だった。見たこともない服装をしており左目にはレンズのついた機械がついている。

 なにより悟空のことを"弟"と言い張ったのだ、皆唖然としている。

 暫くの間沈黙が続き、やっとそれを破ったのは悟空であった。

 

「……誰なんだ、おめぇ?」

 

「ふむ、まぁ知らないのも無理はない。お前は産まれてすぐこの地球という星に送り込まれたのだからな」

 

「送り込まれた、じゃと?」

 

 それは驚きの声であったものの、男の言葉に反応したのは悟空ではなく亀仙人だった。その顔はいつものお気楽な雰囲気などなく、その額には油汗が滲んでいた。

 

「悟空よ、その昔孫悟飯が言っておった。谷底に落ちた丸いカプセルの様な物の中に、お前がおったのじゃ。悟飯はお前を育てようとしたが性格が荒く、懐こうとしなかったようなのじゃ。だがある日誤って谷に落ち、頭を打ち付けた後いい子になった……」

 

「それがオラか」

「なに、頭を打ち付けただと!?」

 

 悟空が答えると同時に、男もショックを受けた様に反応した。

 かと思えば、焦った様に男は悟空の肩を掴み問いかける。

 

「カカロットよ、頭にショックを受けた事があるのか!?」

 

「うわわ、ある! あるからなんだってんだ!?」

 

 その問いに男は納得したかの様に落ち着きを取り戻し、悟空を離した。

 

「そうか、それで何もかも忘れてしまったというわけか」

 

「忘れただって?」

 

 悟空が反応する。なにせ頭を打ち付けたのは赤ん坊の頃だ。忘れるにしても、忘れ去る記憶、思い出が少な過ぎる。だからこそ悟空は疑問を持った。

 

 

 

「そうだ、ならば思い出させてやろう」

 

 

 

 男が笑う。その瞬間、周りの空気が重くなる様な圧力が悟空達に襲いかかった。立つことすらままならぬそれは、皆の心に恐怖を宿らせる。

 

「お前は、この星の人間では無い」

 

 悟空達は驚愕した。

 

「産まれは惑星ベジータ。誇り高き全宇宙一の強戦士族、サイヤ人だ」

 

「「サイヤ人!?」」

 

 驚きの余り、声が重なる。

 

「そして、お前の本当の名はカカロット。俺はその兄 ラディッツだ‼︎」

 

 彼らは何度驚けば良いのだろうか。

 まずは悟空の兄を名乗る男。

 次にその男の圧倒的強さ。

 そして、悟空は宇宙人であったこと。

 こんなに一気に詰め込まれると理解が追い付かない。そして何よりも、目の前の男の存在感が大き過ぎるのだ。理解をする前に恐怖が先に来るなんて普通じゃない。

 

 

 

「そうだな。ならばここの人間が生きているのも、この星の者共と仲良くしているのも納得できる」

 

 ラディッツが何かブツブツ言っている中、クリリンが叫んだ。

 

「ご、悟空が宇宙人なら、何で地球にいるんだよ!?」

 

「ふん、丁度良い。折角だから教えてやる。カカロットはこの星に住む人間共を絶滅させるために来たのだ」

 

 男は言った。宇宙を巡って環境の良い星を探し、その星の人間を絶滅させてから他の異星人に売り込むのだという。さらに地球などのレベルの低い星ではサイヤ人の赤ん坊を送り込み、成長させながら絶滅させるのだと言う。

 クリリンも「ピッコロが可愛く見える」と言うほど、その事実に怒りと恐怖を入り混じらせていた。

 

「それにここにはもしもの為に月まであったのだからな。月と尻尾があれば、如何に下級戦士でも……てあぁ!?」

 

 ラディッツはいきなり驚き出した。よく見れば、ラディッツは悟空の尻を指差していた。

 

「し、尻尾は!?」

 

「ずっと前に、切れて無くなってしまった」

 

 その事実を聞くと、ラディッツは膝を折り項垂れた。それと同時に尻尾が垂れ下がった。よく聞けばまた何かブツブツと言っている様だが。

 悟空が口を開く。

 

「よく分かんねぇが、オラはそんなサイテーはことはしねぇ。サイヤ人だとかおめぇが兄ちゃんなのかは分かんねぇが、オラはそれに手を貸す気はねぇぞ」

 

「それがそうも言っておれんのだ」

 

 ラディッツは立ち上がり、数歩近付いてくる。

 

「我々サイヤ人は絶滅の危機に陥っている。ただでさえ少数民族だったのに、我々の母星に隕石が衝突して大変なのだ」

 

 更に近付く。

 

「カカロットよ、この兄に手を貸せ。さすればお前もサイヤ人に流れる血のままに暴れられるだろう」

 

「言ったはずだ。手は貸さねぇ」

 

 ラディッツは「そうか」と言うと明後日の方向を向いた。このまま帰ってくれるのか、と思いきや。

 

「ところで、この玉は綺麗だな」

 

「!?」

 

 それは悟空が腰に下げてあった形見、四星球だった。

 気付かなかった。気付けなかった。すぐに取り返そうとするべく、悟空は動き出した。

 だが貰ったのは四星球ではなく膝蹴り。悟空の鳩尾に思いっ切り叩き込まれ、身体が宙を浮く。そして、動けなくなった。

 天津飯が「そ、孫が一撃で……!!」と驚愕し、皆が動けなくなる。

 

「カカロットよ、二日だ。二日待とう。それ以上は、幾ら弟でも待っておれん」

 

 ラディッツはそう言うと、凄いスピードで飛んでいく。その間、暫くは皆固まったままだという。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 やっと動き出せる様になっても、まだ信じられないといった表情だった。

 そんな中、喝ッと声を張り上げたのは亀仙人だった。

 まずは連絡と回復が最優先だと見たのか、クリリンにヤムチャを呼んで貰い、天津飯と餃子にはカリン塔へ仙豆を、ブルマには四星球を持っていったラディッツの場所を頼んだ。皆が出ていき、悟空の心配をしながら「武天老師の名も地に落ちたのぅ……」と呟いた。

 幸いして二日。いや、二日しかないのだ。どうにかしなければ、この地球は一巻の終わりである。

 今はただ、待つことしか出来ない自分に亀仙人は歯噛みした。

 

 数時間後、ヤムチャも含め皆が集まった。

 先ほどあったことをクリリンはヤムチャに話すと半信半疑でせせら笑っていた。だが他のメンバーの顔を見て、ヤムチャも真面目な顔になる。

 こうして、悟空達の地球の存命をかけた会議が始まった。

 まず最初に口を開いたのはヤムチャだった。

 

「ご、悟空が一撃なら、俺達なんか役に立つのか!?」

 

 怖気付いた様にも聞こえる台詞。しかし、正論であった。これに悟空が返す。

 

「尻尾だ。奴には尻尾がある。それを握れば……」

 

 そうか! とヤムチャやクリリンが叫ぶ。確かに悟空も尻尾が弱点であったのだから通用するだろう。それにと悟空が付け加える。

 

「オラはさっき疲れて油断してたんだ。次は大丈夫さ」

 

 その一言に周りの空気が少し軽くなる。

 

「お、俺はやるぞ」

 

 天津飯が立ち上がる。それに続きヤムチャやクリリンも立ち上がった。なお、餃子は浮いていた。

 クリリンがブルマにもしもの為にドラゴンボールで生き返らせてくれる様に頼むと、

 

「駄目なんだ。神龍には同じ願いは二度と頼めねぇって神様が言ってた」

 

 天津飯やヤムチャは兎も角、クリリンや亀仙人、餃子は生き返れないということであった。

 皆が絶望に打ちひしがれる。死ねば一巻の終わり、だが負ければ全てが終わりだ。

 ならどうすればいいか。……¨答えは吹っ切れる¨だ。絶望がなんだというのか、死ねば全てが同じだ。ならみせてやろう、地球の意地を。

 皆、覚悟のある顔をしていた。それ以上言うのは野暮だろう。

 

「よし、いくぞ。勝負は最後まで分からねぇ! オラが正面きって闘うから、尻尾を頼む!」

 

 こうして覚悟は決まった。決戦は明日、生きるか死ぬかの戦いが始まる。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 その頃ラディッツは食料を調達していた。サイヤ人は大食いらしく、大型の獣の骨が置いてあったのにも拘らず更に大量の果物に手を出していた。

 

 ある程度腹を満たしたラディッツは少し思いつめた顔をすると。

 

「二日後か。……寝るか」

 

 それだけ言って、ラディッツは眠りについた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 遂に決戦の日、移動は体力の温存も兼ねて飛空艇で移動している。

 皆雰囲気が重く、しかし諦めの無い目をしていた。決心は付いている。

 

「皆、着いたわよ」

 

 それは死の宣告に近い言葉。死なずに勝つなんて甘い考えは要らない。

 

「よし、いくぞ!」

 

 悟空の一声で全員が飛び出した。

 

 

 

 

 

 ……までは良かったのだが。

 

「……ね、寝てるな」

 

 ヤムチャの一言。しかし今の現状を示すにはこれで十分だった。

 何とも言えず、手が出しにくい状況である。

 どうしたものか、と思ったその時。

 

 

「この俺がただ眠っていたと思っているのか?」

 

 

 ラディッツが、瞳を見開きそこにいた。

 一番近くにいたヤムチャは「ヒイィ」と立ち退き、悟空達は身構えた。それに比べのっそりと起き上がるのは、自分を強者と思ってのことか。ゆっくりと左目の機会に手を触れスイッチを入れた。

 

「ふむ、じじいが180、三つ目の男は308、白いチビは174、そこの男は208、ハゲが266、そして……」

 

 ラディッツは驚いた表情で言葉を詰まらせ、そして。

 

「カカロットは、907か」

 

 だが驚いたのも一瞬。いつもの顔に戻り、悟空に向けて言う。

 

 

「同じサイヤ人でありながら、断るのか」

 

「そうだ」

 

「この兄に逆らうのか」

 

「そうだ」

 

 

「そうか、分かった。ならばお前を仲間と思うのは辞めよう」

 

 

 そしてラディッツは気を放出し、

 

 

 

 

 

 

 

「貴様等に恐怖というものを教えてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 




ラディッツ「兄より優れた弟など存在しねぇ!!」
本心(多数でいじめいくない(´;ω;`))

さて、お目汚し失礼します。
今回では描写の途中、四星球とブルマを連れていくというものを考えていましたが「やめて!私に(ry」が思い浮かび止める事にしました。だってそれだとラディッツの場所見つけられないし。
因みにこの悟空、まだ100kg脱いでません。



脱いでません。


ちょっと強化し過ぎたかな〜とは思いましたが、あの世界で5年なら、ねぇ。(ピッコロぇ)
次でラディッツ編は終わると思いますのでよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。