何だか違うDB   作:パンチ拳血

15 / 22
はいこんにちは。投稿致します。

ところで、作者は小柄なキャラより大柄なキャラの方が好きです。なのでナッパやラディッツに思い入れがあり、こんなにこの作品で活躍しています。皆さんも好きなキャラクターには頑張って欲しいですよね!




軍勢

 

 

 

 どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 いや、こうなる事は予想出来ていた。出来ていたのだが、まさか此れ程までの軍勢だとは思わなかったのだ。

 ラディッツは迫り来るフリーザ軍の兵士を相手にしながらそう考えていた。

 フリーザの宇宙船から出てきた複数の兵士が、自分達目掛けて飛んで来る。

 今相手にしているのは集められたフリーザ軍の中でも上位に位置する兵士達。戦闘力は10,000を超えないものの、惑星侵略の際に戦闘を繰り返し生き残って来た者ばかりが集まっていた。

 かつての自分では勝てないレベルの兵士達を、一度に相手取るラディッツ。修行し強くなった事で互角以上の戦いを繰り広げていた。しかし、こういった数の暴力はスタミナが尽きた時が一番危険だ。どれだけ耐えれるかは分からないが、これ以上数が増えると厄介だろう。

 

 

 ナッパはと言うと、自慢のタフさを生かし多くの敵の前に立ちながら得意の範囲爆発で一度に消し去っていた。まだ余裕のある顔付きで相手取っていたので大丈夫なのだろう。

 キツいのは地球人組である。あれから修行を重ね、予想以上の成長を見せたがせいぜい戦闘力は5,000程だ。ナッパが多くの兵士を葬ってはいるが、より強い兵士が向かったとすれば幾ら何でもやられてしまうだろう。

 

 

 ベジータはこれを引き連れてきたキュイと何処かに飛んでいってしまった。キュイは何かとベジータに突っかかって来たので、今回もそれだろう。確かベジータとキュイの戦闘力はほぼ互角だったはず。負けはしないだろうが、タダでは済まないだろうと予測する。

 

 

 

 ラディッツがそう考えていると、死角からの攻撃がラディッツを襲った。考え事をしている暇も無い様だ。

 先ずはこの戦闘に集中するのみ。ラディッツは唸り声を上げて複数の兵士に立ち向かって行った。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「ようベジータ。久しぶりだな」

 

「俺は貴様になど会いたくは無かったがな」

 

「俺もそうだが、しかしフリーザ様の御命令で堂々と貴様を殺せる訳だ。やっとライバル同士、決着をつける時が来た様だな」

 

「ライバル同士だと?」

 

 ラディッツたちの居場所からは流れ弾も来ない程離れた場所で、二人は相見えていた。

 キュイはニヤニヤしながらスカウターのスイッチを押す。

 

「お? ククク、衰えたなベジータ。戦闘力が僅かに俺様の方が上向いてるぜ?」

 

「そう思うならそのままスカウターの数値を見ているがいい」

 

 ベジータがそう言うと、自分の気を集中させ上昇させていく。

 キュイはニヤついた顔を止めずにそれを見ていた。しかし、数値がみるみる内に上昇していき、表情が変わる。

 

「キュイ、フリーザの元でぬくぬくとしていた貴様と、いつまでも互角だと思うかァ!」

 

「21,000……23,000……馬鹿なッ!? まだ上がっていく!?」

 

 恐れ戦くキュイ。

 直ぐにでも殺しにかかろうとするベジータを前にして、スカウターが壊れて隙だらけだ。

 しかし、ベジータは敢えてそれを見逃しキュイに詰め寄る。

 

「どうだ分かったか? 実戦を繰り返し、より強くなっていくのがサイヤ人だ。今の俺と貴様とでは天と地の差があるのだ」

 

 腕組みをしながらベジータは言う。

 だが、キュイは信じない。スカウターを投げ捨てベジータを睨み付ける。

 

「せっかく部隊のリーダーとして仕事を引き受けてやったのに、こんな故障品を渡しやがって……! どうせスカウターの故障だ! 出鱈目だ! こんな……こんなのがあるハズが無いッ!」

 

 キュイはそう言うと、不意打ち気味に気弾をベジータ目掛けて撃ちまくる。連続して撃ち出されたエネルギー弾は、何回も爆発を起こし地形を変えていく。

 トドメを刺さんとばかりの駄目押しのエネルギー弾。巨大なエネルギーがキュイの上で形作られ、それを最後に投げ付けた。大爆発が起こり、光が辺りを包む。

 

 爆発が止むと、そこには荒れ果てた地面しか残っていなかった。

 

「は、ハハハ……馬鹿めがッ! 粉々に砕け散りおったわ!」

 

 そう判断したキュイは大声を上げて笑った。

 しかし、それは直ぐに乾いた笑い声となる。

 

「間抜けめ。その程度で本当に俺を殺せるとでも思ったのか?」

 

 背後からかけられた声の持ち主は、嫌でも理解出来た。

 

「べ、ベジータ……!?」

 

 冷汗が止まらない。キュイは先程のスカウターの数値が本当だという事を悟った。もはや戦う意思など無く、脱兎の如く逃げ出す。

 

 しかし、時既に遅し。

 ベジータは気弾を放ち、キュイのスピードを上回って頭を撃ち抜いた。頭を撃ち抜かれた胴体は真っ逆さまに地面に落ち、ベジータの足元に叩きつけられる。

 

「ふん、最期がこんな結末とは、何とも貴様らしい馬鹿な最期だったな」

 

 ベジータはそう言うと、かつてキュイだった物を持ち上げて上に放り投げる。

 更に、先程撃ち出した気弾とは比べ物にもならない大きさのエネルギー波を撃ち込み、それは遥か上の空で爆発。塵も残さず消し去ったのだ。

 それを見たベジータは、

 

「へ、汚ねぇ花火だ……」

 

 そう言ってその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 その頃、フリーザが乗った宇宙船では__

 

 

 

「ス、スカウターの故障じゃ無かった……ベジータの奴、あっさりとキュイを殺しちまいやがった……」

 

「という事は、ベジータは我々の戦闘力を上回ると言うのですか?」

 

 ベジータとキュイが戦闘を行う前、ザーボンはスカウターをベジータにセットしていたのだ。しかし、急激な戦闘力の上昇により旧型であったザーボンのスカウターは耐え切れず爆発し、それに気付いたドドリアが戦闘力を測っていたのだ。

 それを聞いたフリーザは、

 

「ふむ、地球で何かコツでも掴んできた様ですね。戦闘力30,000とは……」

 

 その数値は、ザーボンやドドリアを上回る数値の様だ。

 これではもしベジータが願いの球を奪いに来た時、この二人では太刀打ち出来ない。

 ザーボンは更に報告を続ける。

 

「フリーザ様。ベジータの反応の他にも、高い戦闘力を四つほど確認しました。戦闘力は二つは5,000前後のモノであり、もう二つは10,000を超える戦闘力の高さでした。今、キュイが引き連れていた軍と一戦交えております」

 

「何ですって?」

 

 さほど驚いては無いが、フリーザが反応する。しかしその表情は、不老不死の願いを前にしていた笑みが消えていた。事が思うように運ばず、不機嫌になってきている様だ。

 

「何者かは知りませんが、態度が良くありませんね……」

 

 フリーザは少し考えた後、一つの案を口にした。

 

 

 

 

 

「ギニュー特戦隊を呼びましょうか」

 

 

 

 

 

 それはフリーザ配下の全宇宙から集められたエリート集団の事である。

 戦闘力は側近である二人を遥かに超える程のものであり、積極的に動かないフリーザとは違い、明確な恐怖が全宇宙に噂となってばら撒かれていた。

 この言葉にザーボンとドドリアは驚く。

 

「ザーボンさんとドドリアさんは軍と合流し、その邪魔者を消しなさい。くれぐれも、ベジータに御気を付けなさいね」

 

 フリーザの命令に答えると、直ぐ様目的地へと飛んでいく二人。

 ギニュー特戦隊を呼ぶ為に下級兵士に命令をかけるフリーザは、ふと思い付いた様に一言付け加えた。

 

 

 

「あぁ、あの兄弟も呼びなさい。戦力は多いに越したことはありませんからねぇ」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「一通り片付いたか……」

 

 兼並み戦闘力の高い兵士は片付いた。これならば、地球人組に向かっていく強い兵士はもういないだろう。

 ナッパは余裕の表情で残り少ない兵士を蹂躙していた。一応顔見知りの兵士もいたというのに、戦う事にほんの少しも躊躇していない様に見える。

 肩で息をしてはいるが、クリリンとヤムチャも無事な様だ。多くはナッパが受け持ってくれているので、余程の事が無い限り死なないだろう。

 

 兎に角疲れた。

 ラディッツはこんな量の敵と戦うのは久しぶりであった為、顔には隠せない程疲労の様子が見える。

 だが一先ず大丈夫だろう、そう思った。

 

 

 

 気を抜くのはまだ早い。

 

 

 

 迫り来る二人の高い気の持ち主。高速でこちらに向かって来ているのが嫌でも理解出来た。

 大した時間もかからず到着する。それは、ラディッツがよく知っている者たちだった。

 

「誰かと思えば、死んだと思っていた猿野郎が二匹ですか」

 

「けっ、テメェらもフリーザ様を裏切るってのか? 馬鹿な野郎ばかりだな、サイヤ人てのは」

 

 それは、フリーザの側近であるザーボンとドドリアだった。

 ナッパもそれに気付き、ラディッツの横に立つ。

 

「おうおう、お次はフリーザの金魚の糞か? こりゃあ御丁寧なこって」

 

 いつになく強気である。いや、ベジータにやられた後なので気が立っているのだろうか?

 ラディッツは体力の減った今を狙われては中々に厳しい状況では無いのかと思ったのだが、消耗している事がバレれば相手を勢いに乗らせてしまう。そう思って何とかラディッツもナッパの様に強気に構えていた。

 

「へへ、お前らの様なゴミが俺たちに勝てると思ってんのか? ベジータにも遥かに劣るお前らがよぉ?」

 

 ドドリアが挑発する。しかし事実だ。

 こいつらの戦闘力は20,000を優に超える。今はどうかは知らないが、かつてのベジータの戦闘力より上なのだ。腐ってもフリーザの側近、そう簡単にはいかないだろう。

 ドドリアの口は更に悪くなっていく。

 

「それにお前らこそベジータのオマケみてぇなもんじゃねぇか? 下級戦士のラディッツに、そんな戦闘力でエリートのナッパがだぜぇ? ハハハッ、傑作だァ!」

 

 下品に声を上げながら笑うドドリア。隣ではザーボンも口に手を持っていきながらクスクス笑っている。

 ここまで言われっぱなしでは、今まで堪えていたが流石にムカついてくる。

 ラディッツは言い返そうとした。しかし、すぐ横の気が上昇している事に気付き口を(つぐ)む。何だか変な汗が流れ、横に恐る恐る目線を向けると、

 

 

 

「くけ、かは、ぐい、言ってくれるじゃねェかッッ!!」

 

 

 

 爆発寸前である。

 頭の血管を(うず)かせて顔を歪ませるナッパが、ラディッツの肩に手を置く。

 

「ラディッツ、ドドリアは俺に寄越せ。瞬殺して直ぐ加勢してやっからよぉ……」

 

 戦闘準備が万端なのは言わずとも分かる。

 肩に添えられたナッパの手がいつの間にかガッチリと掴んでいるので地味に痛い。

 

「大口を叩けるのも今の内だけだ。軍と戦った後の体力でどこまで保つかな?」

 

 ザーボンが言う。

 やはりお見通しだったようだ。改めて考えると、幹部級との戦いに消耗した今では分が悪いどころでは無いだろう。

 

 しかし負けられない。

 ここで負けたら何をしにここまで来たのか分からなくなるのだから。

 

 

 

 

 




今回はこんな感じです。ありがとうございました。

キュイはやっぱり汚い花火ですよね。この作品では打ち上げ花火になってしまいましたが。
そして強化されたベジータ。前回ナッパがやられたコメントが多くて驚きました。大丈夫です。ナッパも強くなってますから。

味方が多くなってきましたが、原作よりヌルゲーになるかと言われればそんな訳が無い。敵勢も強くないと面白くないでしょう?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。