何だか違うDB   作:パンチ拳血

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こんにちは。遅れてすいませんでした。


到着

 

 

「着いた、か」

 

 一週間と掛からずにナメック星に到着した一行。全員が外に出て、ナメック星の土を踏んでいた。

 

 しかし、その中で五月蝿いのが一人。

 

「着いたか……じゃないわよ! 宇宙船内でも直前ギリギリまで修行しちゃってぇ! こちとら寝不足だっつーの!!」

 

「……だから来ない方が良いと言ったのに」

 

 この無駄に大きく造った宇宙船は、ラディッツの提案で重力装置を付けていた。ブルマは別室でその影響は受けなかったが、音や衝撃は消せなかった様だ。

 修行する度にギャーギャーと抗議していたので、皆からの印象は"五月蝿い女"となってしまった。

 そして、皆の心が初めて一つになった瞬間でもある。

 

「……地球の女は皆こうも五月蝿いものなのか?」

 

「いや、彼女は結構肝が座ってるから……」

 

 ヤムチャとラディッツがひそひそと話している。ブルマに気付かれないように、見えない所で隠れながらだ。そうしなければ、又五月蝿く怒鳴ってくるだろう。

 

 それはさて置き、先ずは状況の整理である。ラディッツはヤムチャやクリリンに確認する。

 

「一先ず、ドラゴンボールはこの機械でどこにあるか分かるのだな?」

 

「あぁ、全部でボールは7個。一つでも欠けていたら意味を成さない」

 

「原住民のナメック星人は、およそ100人と言った所だが、邪悪な気は一つも感じられないな」

 

「ならばフリーザもまだ到着していないのだろう」

 

 それならば好都合だ。交戦せずに願いを叶えられるならばそれが一番なのだから。

 クリリンがドラゴンレーダーを取り出し、スイッチを入れる。

 取り敢えず、一番近いドラゴンボールからだ。もしもの為に固まって動いた方が良いだろう。いきなりの事に対処する為には戦力を分散するのは良くない行為だ。もしもフリーザの軍が現れてしまえば数で押し切られてしまう。幹部やフリーザ自身が相手になれば、更に絶望的な戦力差になってしまうだろう。

 

 宇宙船はホイポイカプセルにしまい、ブルマには直ぐに地球と連絡できるように小さなドーム状の家で待ってもらうことにした。何かあった時の拠点にもなるだろう。

 

 ある程度気が多い場所へと地面を走って移動する。ラディッツとナッパ曰く、「スカウターで気付かれないようにする為」だと。

 ヤムチャとクリリンは理解し、気を抑える。ナッパも、これまでの修行でコントロールを覚えていた。

 静かに、そして素早く目的の場所へと四人は走り続ける。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 __とある宇宙船の中、グラスを片手に不気味に微笑んでいる者がいた。

 その名はフリーザ。宇宙の帝王とも呼ばれ、全宇宙から恐れられている存在だ。

 

「私に永遠の若さと命を、ですか……素晴らしいではありませんか!」

 

「「ハッ」」

 

 フリーザの言葉にこうべを垂れたのは側近であるザーボンとドドリア。二人とも相当の実力者である。

 フリーザはザーボンに尋ねる。

 

「ナメック星までは、後どのくらいで着きそうですか?」

 

「ハッ、後数時間もすれば見えてくるかと。先に兵士達を偵察に行かせました」

 

「ご苦労様」

 

 ニッコリと笑うフリーザ。

 ザーボンは更に頭を深く下げる。

 

「それにしても、願いの球ですか……噂には聞いていましたが、まさか実在するとは思いませんでしたよ」

 

 グラスの中の物を飲み下し、椅子に座る。部下の一人が代わりを注ごうとしたがそれを止め、ザーボンとドドリアの前に立った。

 

「私の邪魔をする者は、全員殺してしまいなさい」

 

 決して表情は変えず、しかし異様な殺気を持ち合わせているその言葉は、部屋にいるフリーザ以外の全員を震え上がらせるのには十分過ぎる程のものだった。

 と、そこへ兵士の一人が部屋に入って来た。

 

「フリーザ様、ご報告申し上げます。ベジータが我々よりも先にナメック星に到着した様です」

 

 その報告に数人がどよめく。

 しかしそれを聞いた側近のザーボンとドドリアは全く微動だにせず、そしてフリーザが口を開いた。

 

「ベジータですか。どうやら私の為に球集めを手伝う雰囲気ではありませんね。無断で他の惑星に向かったり、破壊したりと……」

 

「どう致しますか?」

 

 ザーボンが聞き、返答を待つ。

 すると少しの間を置いてゆっくりと、

 

 

 

「殺してしまいなさい」

 

 

 

 何度も聞いたその言葉は、しかしいつも冷酷であり身体がまるで凍てついたかの様なプレッシャーを感じる。全員は誠心誠意の敬礼を決めるのだった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「な、なんで貴様がッ!?」

 

 目の前の人物に驚愕するラディッツ。

 その相手とは、自分と同じサイヤ人でありつい先日に敵対したエリート、サイヤ人の王族でもあるベジータだった。

 まだ直接戦った事は無いクリリンとヤムチャはその圧倒的な殺意に恐れ戦いている。

 ナッパが怒鳴る。

 

「ベジータッ!! あんな事を言ってよくもぬけぬけとッ!!」

 

「ほう、まだ死んでなかったのかナッパよ。てっきりもう死んだのかと思ったぞ?」

 

「貴様〜ッ!!」

 

 サイヤ人の再興を願うナッパも、純粋な怒りが同族であるベジータに殺気を向ける。

 

 瞬間、ナッパはベジータに襲いかかった。全身に気を纏い、真っ直ぐ突撃していくナッパ。サイヤ人の強靭な肉体とナッパのタフさを兼ね備えたそれは単純にして強力。宇宙船での修行でナッパは驚異のパワーアップを果たし、地球に来た時とは比べ物にもならない程のスピードを得ていた。

 しかし、捉えていたハズのベジータが消える。急ブレーキをかけたナッパは辺りを見渡そうとして、急に頬に衝撃が走った。

 吹っ飛ばされる。その際に見たのは、脚を振り切った状態のベジータだった。

 

「相当な力を手に入れた様だなナッパ。だが、俺は一歩も二歩も更に上回っているのだッ!」

 

 高笑いしてベジータは言う。

 ナッパの実力は共に修行した仲である三人が一番良く分かっている。だからこそ、今起きた事が信じられなかった。

 

 そもそも、何故ここにベジータがいるのか。フリーザ関連でドラゴンボールの事を知ったとするならば理解出来るが、それではフリーザがいない理由が分からない。

 そして、ドラゴンボールの反応を追ってベジータと会ったということは……

 

「ベジータ……お前、ドラゴンボールを持っているな?」

 

「ほう? 良く気が付いたな。お前らに気付かれない様に地面に埋めたのだが……」

 

 やはりそうらしい。

 ベジータは笑みを消し、手を寄越す。

 

「さぁ、お前らも持っているなら出せ。そうすれば命だけは助けてやろう」

 

 少し焦っている様に感じる。

 クリリンは持ってない事を正直に話すと「どうやら嘘や出任せを言っている様では無いな……」と諦めた。

 そこで違和感に気付く。ベジータの手が生物か何かも分からない液体で濡れていたのだ。それだけでは無い。よく見れば、同じ様な液体が所々に付いていた。

 クリリンは質問する。

 

「ベジータ、その手はどうした?」

 

「ハゲ頭、お前は察しが良いな。そうだ。そのドラゴンボールとか言うのを手に入れる為に犠牲になったこの星の住民のものだ」

 

 なんと、ナメック星人を殺したのだ。

 界王様によれば温厚な種族であるとされたナメック星人。確かな理由は分からないが、無理矢理にでも奪い取ったのだろう。

 クリリンとヤムチャはベジータを睨み付ける。しかし、手は出せないので歯を喰いしばる事しか出来ない。

 それを見てラディッツは、

 

「本当に地球人というのは不思議な種族だ。知らない者の為にそこまで怒れるのだからな」

 

 ベジータへ向ける視線を変えずに感想を述べる。

 ベジータやナッパも同意見の様だ。他族どころか、同族でさえ殺してしまうサイヤ人は感性そのものが違うのだろう。

 

 暫くの睨み合い、というよりも停滞状態に陥ったが、突然ラディッツが声をかけた。

 

「ベジータ。俺たちに手を貸してくれんか?」

 

「なに?」

 

 クリリンは素っ頓狂な声を上げて反対した。ヤムチャも正気を疑ったが、ベジータが笑いながら言った。

 

「気が触れたかラディッツ。今や敵同士である俺と手を組もうと言うのか? 笑わせるなっ! 誰がお前らなんかに手を貸してやるものか」

 

「メリットならある。ドラゴンボールの情報を提供しよう」

 

「……ほう?」

 

 笑いを止め、ラディッツの話に耳を傾けるベジータ。

 ベジータもドラゴンボールを狙っている事は明白。願いの理由も、最大の障害であるフリーザの抹殺が目的の一つだろう。ならば無闇に敵をつくるよりも、少しでもフリーザに対する戦力が欲しい。

 しかし、

 

「馬鹿めが! 下級戦士のお前と手を組むかァ! それに、願いはお前らが横取りする作戦でも考えているのだろう。ならばここでお前らを半殺しにして情報を吐かせる方が性に合うぜ?」

 

 その言葉を聞いて、クリリンとヤムチャは戦闘態勢に入る。ナッパも黙ったままだったが、立ち上がり構えた。

 しかしラディッツは、

 

 

 

「もう、遅い」

 

 

 

 上を見上げて冷汗を流していた。

 皆は上を見上げるが、その理由が何なのか分からない。しかし、ラディッツは上を見上げたままだ。

 

 だが、直ぐにそれが分かった。分かってしまった。

 

 地球人組はあまりの強大な気の大きさに膝を突いて息を切らし、ラディッツを除くサイヤ人は「遂に来たかッ!」とその方向を睨み付けた。

 しかし、ラディッツが一番先に気付いたのは類稀なる危機管理能力の賜物だろうか。

 どちらにしても絶望が訪れた事には変わりない。

 

 

 

 

 

 フリーザの宇宙船は、ナメック星に着陸した。

 

 

 

 

 




はい、今回はいかがでしたでしょうか。

ラディッツが恐怖に敏感な設定で続いていきます。
そして、フリーザ様登場。台詞がカリスマ溢れて作者では再現出来ませんでした……

やっぱりナメック星編は難しい感じです。何と言う作者の実力の無さ。
こぉんな作者、消し去ってしまえ〜!


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