何だか違うDB   作:パンチ拳血

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はいこんにちは。投稿致します。

遂にラディッツの兄貴が登場!
しかし今回は活躍短し……。

ここら辺でDr.ウィローが出て来るあたりですが、ドラゴンボールが無くてツルマイツブリ山から出てきてないという。



では、どうぞ。





怪物化した化物

 ベジータと悟空は激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

 

(何故だッ!? 何故カカロットなんかがこの超エリートサイヤ人の俺様と互角なのだッ!?)

 

 ベジータは困惑している。たかが下級戦士のカカロットがエリートの中でも最上位に位置する自分と戦えている事に対して、だ。

 

 確かに殺し合いという戦闘においてはベジータの方が何枚も上手だった。子供の頃からの英才教育、強化サイバイマンなどとの戦闘、時には一人で惑星の侵略を行った事だってあった。

 それに対し悟空は、数々の試合をこなしたものの、命を賭けたことがあまりにも少ないのだ。

 だからこそ、命の奪い合いはベジータの方が圧倒的に有利なハズである。

 

 しかし、この戦闘は互角。何故なのだろうか?

 

 その真理は気持ちにあった。

 ベジータは悟空の事を侮りつつ戦っていた。同じサイヤ人で、自分に並ぶ者がいなかった為である。

 しかし悟空は命の賭け合いこそ少ないものの、常に自分よりも強い相手との戦いの連続であった。挑み、戦い、そして勝利する。中には負けた事もあった。しかしながら、それも自分の力としてどんどん実力を上げていったのだ。

 

 全ての身体を使って打ち合い、周囲の岩壁が殆ど無くなった頃、咄嗟にお互いに距離を取り合う。

 悟空の顔に余裕は無く、ベジータはワナワナと震えていた。

 

(チンタラやってると体力が尽きちまう。早いとこ勝負を決めねぇと、こっちが先に参っちまうぞ……)

 

 悟空が肩で息をする。

 

 

 

「こんな、こんな事があってたまるかぁッ!!」

 

 

 

 ベジータが叫んだ。

 下級戦士と互角。それだけでベジータのプライドには深い傷が出来ていた。

 

 そんな事はあり得ない。

  

 あってはいけない。

 

 

 

 だから、奴を殺す。

 

 

 

「もうこんな星など要るもんかぁッ! 地球もろとも、粉々に撃ち砕いてくれるわぁッ!!」

 

「なんだとぉ!?」

 

 ベジータを大量のエネルギーが覆い、空へと飛び上がる。

 更に、

 

「避けられるものなら避けてみろォ! 貴様は助かっても、地球は粉々だァ!!」

 

 ベジータに途方も無いエネルギーが集まっていく。

 予告通り、全てを破壊してしまうつもりだ。最早余裕など無く、カカロットを殺す事だけを考えている。

 

「賭けるしかねぇッ!」

 

 悟空は自分に二倍の界王拳をかけ直し、かめはめ波の構えを取る。

 膨大な気の上昇に、激戦で砕けた岩石が辺り一面に舞い上がった。

 

 

 

 

「かぁ……! めぇ……!」

 

 

 

 

「俺のギャリック砲は、絶対食い止められんぞォ!!」

 

 

 

 

 ベジータのエネルギーがスパークを起こし、更に高まっていく。

 

 

 

 

「はぁ……! めぇ……!」

 

 

 

 

「地球もろとも、宇宙の塵になれェ!!」

 

 

 

 

 両者のエネルギーが集まって、気のぶつかり合いが辺りを支配した。

 最早地球上に、これを止められる者はいない。

 

 

 

 

 

「テヤァァァアアアアッ!!!」

 

 

「波ァァァァアアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 そして、それは衝突した。

 

 余りの激しさに、全ての岩壁が崩れていく。

 空の雲が消し飛ぶ。

 大気が震える。

 その激しさは、今までとはまるで次元が違う。違い過ぎる。

 

 悟空のかめはめ波が僅かに、少しずつ押され始めていた。

 無理も無い。界王拳はそれ程体力を消費するのだ。如何に悟空といえども、体力は無限では無い。

 ならば、

 

 

「界王拳三倍ッ!!」

 

 

 自分のパワーを上げるしか無い。

 自分が耐え切れる限界を超えて、身体に界王拳を上乗せする。

 身体が壊れそうになり、肉体が悲鳴を上げ、不自然な膨らみ方をしていく。

 少しでも気を緩めたら身体が崩壊してしまいそうだ。

 

 

 

 それでも諦めない。

 

 

 

 悟空のかめはめ波がベジータのギャリック砲を呑み込み、そのまま押し返していった。

 ベジータの直前まで食い込んで、迫る。

 しかし、

 

 

「ウオォォォアアァァァッッ!!」

 

 

 ベジータも諦めてなどいなかった。

 サイヤ人のエリートとしてのプライドが負けるのを許さなかったのだ。どこから出てくるのか、また更にエネルギーが増幅する。

 

 押し切れない。

 三倍界王拳でも、真っ向勝負では足りないというのか。

 そして悟空は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「四倍だァァァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

「いかん悟空ッ!」

 

 界王様が声を上げる。

 何しろ界王様が許しているのは界王拳の二倍までである。それを三倍どころか、四倍。

 どう考えても負担が重過ぎた。下手をすればそのまま死んでもおかしくは無いのである。

 

 しかし界王様は、ただ勝利を願う事しか出来ない。

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 悟空は更に限界を超え、四倍の界王拳を使った。

 その衝撃に地面や自分の体勢が大きく崩れ、かめはめ波の勢いが上がる。馬鹿デカくなったかめはめ波は、遂にベジータのギャリック砲を全て呑み込み、

 

 

「お、押され…………う、うわァァァアアアッ!!」

 

 

 ベジータを空の彼方へ吹き飛ばしていった。

 その光景は、さながら夜空を昇る流れ星のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

「孫〜! やったでねぇかよ〜っ!」

 

 

 無理をし過ぎた悟空が膝を突き、身体の痛みで呻いている時、遠くから声が聞こえた。それは聞き覚えのある声で、どんどんと近付いてくる。

 

 ヤジロベーだ。

 悟空は気付いていなかったようだ。「何でここに?」と話しかけるとヤジロベーは笑い、

 

「なんだ〜気付いてなかったのかよ。おめぇともあろう者がよっぽど必死だったんなや」

 

 と言ってくる。

 悟空はそれに軽く返事をして、ヤジロベーに話しかける。

 

「それよりヤジロベー、おめぇ逃げた方がいいぞ……?」

 

「え? な、なしてだ?」

 

「奴はまだ生きてる。あれぐれぇで死ぬような奴だったら苦労は無ぇ……」

 

「で、でもよ〜、平気でしょ。おめぇの方が強かったでね?」

 

「オラは身体に無理のある技を使っちまってガタガタなんだ……。もしかしたら限界が近ぇかもなぁ……」

 

 ヤジロベーは唾を呑む。

 悟空が真剣な顔で言った後、ヤジロベーの方を見ると既に遠くにいた。

 

「じゃ、じゃあなぁ。頑張れよぉ〜!」

 

 それだけ言うと、スタコラサッサと逃げていった。悟空はその後ろ姿を、ポカーンと見ているだけだった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「クソォ〜ッ!! 何故だ!? 何故カカロットなんかに押し勝てないんだァ!?」

 

 

 ベジータは何とかかめはめ波から脱出し、遥か上空で浮き止まっていた。

 

 

「俺はサイヤ人だ! 俺は全世界で一番強いんだァ!!」

 

 

 しかしその表情に先程までの余裕は無い。あるのはただひたすらに怒り。

 自分はエリートのハズだ。同じエリートサイヤ人でも、自分に勝てる者はいなかった。それが、下級戦士のカカロットなんかに苦汁を舐めさせられるとは……。

 こんな屈辱はない。

 サイヤ人は戦いこそが全て。今まで不敗だった自分がこの戦いで負けるとなれば……そこまで考えて、思考を止めた。

 その姿を考えてはいけない。今敗北を考えてしまえば、それが現実になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうなったら醜くて嫌だが、最後の手段だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 ナッパと対面したラディッツは、冷汗をかきながら笑っていた。

 

「久しぶりだなぁ、ナッパさんよ」

 

 弟のカカロットに教わり相手の気を読む事を覚えたラディッツだったが、やはり恐怖というものが残っているようだ。現に今もナッパの気を感じているが、自分よりも高くてどうにかなりそうであった。

 

 しかし、立ち向かう度胸が無ければ戦うなんて事は出来ない。攻撃する気が無ければ、簡単に嬲られるだろう。

 

「誰かと思えば、弱虫ラディッツじゃねぇか」

 

 "弱虫ラディッツ"、この言葉に反応する。

 決心はしたが、やはり怖いものは怖いようだ。身体が勝手に震え出し、闘争心を削る。

 

「ん? ガハハ、お前震えてんじゃねぇか。どうした? 今になって俺様の事が怖くなったか?」

 

「冗談じゃねぇ」

 

 昔から怖かった、なんてことは口が裂けても言えない。

 ここに来た理由は、自分の恐怖を乗り越える為だ。決して尻尾を巻いて逃げる為では無い。

 ……まぁ、尻尾は引っこ抜いてしまったのでもう無いのだが。

 

「そういやぁお前の事も始末しろとの御命令もあったな。丁度良い、ここでついでに始末してやる」

 

「俺を舐めるなよ、ナッパ」

 

「たかが戦闘力1500の雑魚に何が出来るってんだぁ? お前よりもそこのナメック星人の方が幾らか手強かったぜ」

 

「なら、本当に俺の戦闘力が1500か見てみるがいい」

 

 その言葉にナッパはスカウターを拾い、ラディッツの方へ向けてスイッチを押す。

 

「2400? 弱虫ラディッツにしては中々のもんじゃねぇか。だが俺様の戦闘力を忘れた訳じゃねぇよな?」

 

 ナッパの戦闘力は、4000。

 そんな事は知っているのだ。昔のラディッツでは逆立ちしても勝てないのは目に見えていた。

 

 でも、今は違う。

 

 

「……ナッパ、お前らが地球に来る一年にも満たない間、俺は何をしていたと思う?」

 

「俺達から逃げる計画でも練ってたか?」

 

「戦闘力のコントロールを学んだのだッ!」

 

 そう言ってラディッツは自分の気を高め始めた。身体中の筋肉を膨張させ、己の全力を解放する。

 

 ナッパが付けていたスカウターの数値がどんどん上昇していき、そしてそれは、今までのラディッツの最大の数値を叩き出して止まった。

 

 

 

 

「せ、戦闘力……13800だとォォ!?」

 

 

 

 

 この数値にラディッツ自身も驚いた。なにせラディッツのスカウターは悟空達との戦闘で亀仙人が破壊し、その後は戦闘数値など見ることもなかった。

 そして、ナッパの口から言い放たれたその数値。それは自分が目指していた親父の戦闘力を超える数値であった。

 

 

「ば、馬鹿な!? スカウターの故障か!? 弱虫ラディッツに限ってそんな事……あり得るハズがねぇ!!」

 

 

「試してやろうか?」

 

 

 そう言ったラディッツは気を込めた拳をナッパの腹にめり込ませた。

 あまりの早さにナッパは反応出来ず、腹を押さえて前のめりに膝を突く。

 

 ナッパが口から胃液の混じった涎を吐き出した。サイヤ人の中でも圧倒的なタフさを誇るナッパが一撃でこれだ。

 ラディッツの戦闘数値が嘘では無い事の証明として、嫌でも理解しただろう。

 

 

 

 しかし、嫌な予感がしてラディッツは退がる。

 臆病者であるが故の危険察知であろうか? しかし、そうでなくとも嫌な感じがする。

 

 ラディッツは気を緩めず、ナッパを睨む。

 

「は、ハハ、どうやらその戦闘数値は本物のようだな……。だが忘れたか? サイヤ人の本当の力をォ!?」

 

「な!? ま、まさか!?」

 

 

 

「尻尾を失った事を後悔して死んで行けラディッツッ!!」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 ベジータは地上に降り立ち、再び悟空の目の前に現れた。

 

「やっぱ堪えてたか……」

 

 悟空が焦りながら言う。既に身体は界王拳でガタガタであり、これ以上の戦闘で界王拳の使用は難しい。今の状況は、ベジータが圧倒的に有利であった。

 

 この状況を打開する為には元気玉しかない。しかし、上手く精神集中できるだろうか。

 

 ベジータがニタリと笑いながら言う。

 

「知っているかカカロット? 月の光は太陽光が跳ね返ったモノ。月に照り返された時のみ、太陽光にはブルーツ波が含まれるのだ。そのブルーツ波が満月になると、1700万ゼノという数値を超えるのだ」

 

 悟空は何を言っているのかさっぱり分からなかった。

 ベジータは続けて言う。

 

「1700万ゼノ以上のブルーツ波を目から吸収すると、尻尾に反応して、変身が始まるッ!」

 

 何を言っているのか分からないが、これだけは言える。ベジータは何か仕掛けて来るのだ、と。

 

 

 

 

 

「尻尾を失くしてしまった事を後悔するがいい……カカロットよぉッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今宵、二人のサイヤ人が怪物へと変身した瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はタイトルでも分かるとおり、大猿化したナッパとベジータでした。
しかし、原作のベジータと違い、パワーボールを作って変身していないので強さはこっちの方が上です。

クリリンは悟空に仙豆を渡されていましたが、ナッパの威圧で隙を見せてはいけないと反応し、中々使用出来ませんでした。結局、冷静になったナッパにやられて動けない感じですが……慎重過ぎた結果がこれだよ!?

次回作を期待せずお待ち下さい。

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