何だか違うDB   作:パンチ拳血

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サイヤ人編
兄貴、来る


 ピッコロとの闘いから約5年が経ち、暫くの平和が続いた。

 しかし、平和ボケなどいざ知らず、悟空は日々の鍛錬に打ち込んでいた。

 今、悟空は神の宮殿での修行中。神様には、次にピッコロと相見える時の為と承諾してもらったのだ。

 ピッコロは悟空を殺し、世界を征服する為に必ず強くなって現れるだろう。その為に鍛えているのだ。

 しかし、それだけでは無い。

 純粋に、自分がどこまで強くなれるのか試してみたいとも思っている。どこまで高みに登れるか、限界まで強くなりたいと思うのも悟空が闘いに身を置いてきた者としてそう考えるのは極々自然であった。

 

 一つの修行を済ませ、汗をタオルで拭う悟空。

 フーと息を吐き、徐に道着を脱ぎ始める。悟空はだらしなく脱いだ道着を地面に投げ捨てるが、落とした音が尋常ではない。

 まるで砂を詰めた袋を落とした様な音が出ており、空気抵抗なんか無いような速さで落ちるのだ。

 リストバンドと靴も同等であり、総重量は約100kgだとのこと。そんな物を着けて修行しているのならば嫌でも強くなるだろう。

 

「ふうぃ〜、かりぃかりぃ」

 

 久々に脱いだのか、目一杯に背を伸ばし、自分の身体を確認するかのように闘いの型の動きをする。

 暫くして動きを終えると、ミスター・ポポが確認しに来た。

 

「準備、いいか?」

 

「おう、バッチリだ!」

 

 悟空が応じるとポポは頷き、誰かを呼ぶ様に手を招く。

 すると、悟空と全く同じ姿をした人物が目の前に現れた、……目だけはポポとそっくりなのだが。

 現れた事を確認したポポは始め、とだけ言う。

 

 次の瞬間、二人は消えた。

 

 

 いや、消えたのでは無い。高速で動いているのだ。互いを打ち合う音が響き渡り、衝撃で砂煙が舞い上がる。

 大きな衝撃が起きたかと思うと、今度は力比べ。指を絡ませ、暫く間の均衡状態が続く。

 共に一歩も譲らぬ中、その均衡を破ったのは悟空であった。脚を浮かせ、蹴りを前に繰り出す。だが相手もそう易々と蹴りを受ける訳もなく、片脚だけになった悟空を力任せに地面に叩きつけた。

 だがその際に緩んだ指同士が離れ、一瞬の隙を見つけ起き上がりざま蹴りを食らわせた。

 次の瞬間、両者はその場から離れ一定の距離を取った。

 悟空は両手に気を溜める。その動きは悟空の得意技である『かめはめ波』の構えであった。すると相手も同じ動きをし、鏡写しのように構えてくる。

 撃ち出されるタイミングは同じであった。両者の中間でぶつかり、競り合う気の塊。やがてそれは相殺し、眩い光を発した。

 いきなり聞こえてくるドンッという重々しい音。光が止み、その様子を見ると又両者がぶつかり合っていた。連続攻撃の応酬が始まり、暫くは互角の勝負をし続ける事だろう。

 

 

 その様子を、ポポは何時もと変わらぬ顔で見守っていた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 結果的には悟空は勝った。いや、引き分けの方が正しいだろうか。

 

 説明をすると、悟空が相手をした悟空のそっくりさんは、実はポポがつくった人形であった。

 生命の水と粘土、そして悟空の髪の毛を使い、ポポがつくり上げたそれは言葉を発せない事以外は殆ど本人と同じになる。

 それは強さも例外ではなく、髪の毛を抜き取った日と全く変わらない強さを持った偽悟空がそこに誕生することになる。

 さらには人形という事で疲れも感じない。体力に制限がある生身と違い、ずっと動くことが可能なのだ。

 しかし欠点もある。

 一つは生命の水がなくなると元の粘土でつくった人形に戻ってしまうのだ。いつ切れるかはポポにしか分からないので詳しくは分からないが、恐らく数時間程度で動きを止めるだろう。

 もう一つは人の感情を持たない事だ。仕草や大体の動きは本人と変わらないが、戦闘などの読み合いでどうしても人形としての限界がある。

 だからこそ悟空は相手の動きの裏をかき、一瞬の隙をついてボディーブローを決めたのだが、その時に生命の水が切れてただの人形に戻ってしまったのだった。

 

「もう少しやりたかったぞ……」

 

 と、悟空も残念とばかりに肩を落としていた。

 それにしても驚くべきは悟空のタフさか。別の修行を終えた後すぐに始めたというのにまだ余裕が見える。疲れが見えない事はないが如何に以前の悟空の偽物を真似た人形とはいえ、強さはそのままである。

 驚きを通り越して呆れる程、今の悟空は鍛えられているのだろう。

 

 ふと、悟空はカメハウスに用事がある事を思い出しポポに一声かけようとすると、そこにポポは居なかった。

 辺りを見渡すと宮殿にいたのだが、そこには驚愕した顔の神様と、心配するポポがいた。神様が震えながら口を開く。

 

「……私は、ナメック星人だったのか」

 

「ナメック星人?」

 

 何を言っているのか分からない悟空なのであった。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 宇宙から飛来してきた一つの宇宙船が地球に着陸した。着陸した衝撃で、周囲はまるで隕石が落下したかのような有り様になっている。

 そこから出てきたのは一人の男。筋肉質で、尻尾が生えていた。

 

「ここが、地球か。人類が生き残っているという事はカカロットはどうなったのか……。まさかやられるなんて事は無いだろうが」

 

 男は目に付けている機械を動かし、辺りを見渡す。

 

「む? 強い戦闘能力が此方に向かってくる。カカロットか?」

 

 だがそれは予想とは全く違う、別の人物だった。

 

「何⁉︎ 孫悟空ではない。何者だ貴様」

 

「ほほう、ナメック星人か。こんな星にもいたのか」

 

「ナメック星人だと?」

 

 突然現れた人物、ピッコロはいきなりの言葉に困惑する。だが、まず問題なのは目の前の男の事だと意識を切り替え、男の前に立ちはだかった。

 だが、男は興味も無いと言わんばかりに言う。

 

「俺の目的はカカロットだ。失せろ」

 

「何だと!?」

 

 大魔王としてのプライドを傷つけられたピッコロは不意打ち気味に気功波を放った。山をも削り取るそれは男に向かっていき、着弾する。

 思わずピッコロは口元を歪ませる。だが、煙が晴れた先には無傷の男が立っていた。

 

 

「下らん技だなぁ。ただホコリを巻き上げるだけか」

 

 

 ピッコロが驚愕する。まさか自分の攻撃が全く効いてないとは思っておらず、驚きの余り身体が硬直してしまった。

 次の瞬間、男が視界から消える。

 と、思ったら腹に拳を叩き込まれていた。あまりにも重い一撃に、ピッコロは動けなくなってしまう。

 

「俺は忙しいのだ。お前の相手をしているほど暇では……む? あちらの方向に強い戦闘力、しかもこの星で最も高い戦闘力だ。見つけたぞカカロット!」

 

 男は飛んでいってしまった。それを見たピッコロは、悔しいものの何も出来なくなってしまった今の自分の醜態に、ただ叫ぶしかなかった。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 悟空は宮殿から降り、カメハウスに向かっていた。これも修行だと筋斗雲を使わず、舞空術を使い空を飛んでいく。

 暫くして、カメハウスに着いた。そこではクリリンや亀仙人、ブルマなど付き合いの長い知り合いが外に出て出迎えてくれたのだった。

 

「悟空! 久しぶりだな!」

 

「全く、呼ばないと来ないんだから孫くんは」

 

「いやぁ〜、わりぃわりぃ」

 

 カメハウスからも懐かしい顔ぶれが出てくる。

 

「おぉ、天津飯に餃子!」

 

「天下一武道会以来か、孫」

 

「久しぶり」

 

「あれ? ヤムチャは?」

 

「あいつなら来ないわよ、野球の試合だってさ」

 

 ブルマは明らかに機嫌を悪くし、近くにいた亀仙人が2、3歩ほど後ずさる。余程機嫌が悪いのだろう。

 流石の悟空もこれには苦笑する。

 

 暫く雑談に花を咲かせていたが、突如現れた大きな気に悟空は顔を強張らせた。

 ピッコロか? 邪悪な気が迫るのでそう考えたが、現れたのは全く違う人物だった。

 

 

 

「やっと見つけたぞ、我が弟よ」

 

 

 

 

 




ラディッツ「やっと見つけたぞ、我が弟よ」(ホッ)

まず最初に、すいませんでした。

見ての通り悟空は修行に没頭しており、悟飯がいません。
つまりは結婚してません。
この世界線ではチチが悟空に好意を持ってませんので、悟飯が生まれませんでした。なので、少なくともフリーザ編まで悟飯なしの状態になります。


読んでいただきありがとうございます

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