異世界での生活も楽ではない   作:XkohakuX

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GW始まりましたね( *´꒳`* )
GW中は毎日投稿する予定です(♡´艸`)


第9話 * 獣人種は女であろうと関係なく強い*

カエサルに亜人の集団を任されたシャネルは人間よりも比較的高い運動神経を用いて多くの亜人を倒していた。

「ふぅー...。結構倒したばい、ばってんまだ結構いる...。」

「ゲヘヘ。そろそろ体力の限界が近づいてきたか。」

集団の中にいたカエルのような容姿をした亜人が下品に笑う。

そして、右手に持っていた槍を高らかに挙げ叫んだ。

「俺らはまだこんなにいる!たかだか1人に全滅になってたまるか!一気に畳みかけるぞぉ!」

カエルの亜人は周りの仲間を鼓舞し士気を上げた。

「あはは。一気に来よるからっちうちの負けるわけなかやん!そいに今までんあまり力出して無かったけん。だから、これからちょこっとだけ使っちいあげるか!」

シャネルは自信有り気に笑うと身体に力を込める。

「"二感変換"(ツヴァイフェアエンデル)!」

すると、シャネルは味覚と触覚に働いていた運動エネルギーが全て筋力へ変換され、力を倍増した。しかし、この技は変わりに変換された二感は機能停止となる、という代償がある。

「行くぞぉ!」

『おぉぉーー!!』

シャネルが特性使うのと同時にカエルの亜人の掛け声が発せれた。その声に反応して周りの亜人達も一斉に迫ってくる。

上や横といったところからたくさんの刃が襲ってくる。

シャネルはそれを一つ一つ見極めしゃがみ、飛んで右足左足を前後に蹴りあげ、そのまま身体を捻り回転して近い敵の首を折ったり、頭蓋骨を割る。

ガバッやガハッという声と共にドタバタと倒れていく。

シャネルが地面に着地すると亜人の1人が短剣を突き刺そうと腕を伸ばしながら背後から突進してきた。

「今だぁ!!」

「ん!」

だが、聴覚で敵が接近してることに気づいたシャネルは後ろに飛びバク宙をし脚を首に絡みつけ締め上げる。

「どげん?おなごしん子ん脚の至近距離にあっけんか!?男なら嬉しかんじゃなか?」

シャネルは冗談っぽくニカっと笑いながら体重を後方へ傾ける。

すると、亜人は体重に耐えきれず身体が宙へ浮かされそのまま頭を地面にぶつけられる。

その時、バキッ!という頭蓋骨が割る音が鳴りその亜人は死した。

「まだえらいいっぱいいるっぽいなぁ…。」

「まだいけるぞ!諦めるな!」

一気に周りの奴らが殺られ一瞬怯んだように見えたがすぐに気を取り直し襲ってきた。

「あっこれ!よかね。」

シャネルは近くで崩れていた家の大木を掴むと振り回す。

ゴスッと音が鳴り亜人達は血を撒き散らし後方へと飛ぶ。

「やぁぁ!」

立っている者が残り僅かという時、シャネルが持っている大木が少し軽くなった。それと同時にドスンッという音が鳴り響く。

「あ...あれ?」

不思議に思ったシャネルは前方を見ると1人の亜人が立っていた。

その者は薙刀を持っており仁王立ちしている。

しばらくの間砂煙が舞っておりあまり見えなかったが目を凝らすとその者はワニのような容姿をしていることが分かった。

ワニの亜人は辺りを見渡すと口を開く。

「おいおいおーい。こらぁ、どういうことだぁ?俺ぁちょっと寄り道してサボってる間に何があったんだぁ?」

「ディール副班長!今までどこに居たんてすか!?あの少女がとてつもなく強いんです!お願いします!倒して下さい!」

カエルの亜人から呼ばれたその者はディール副班長と言うらしい。

「あん?疲れたんでな。ちょっと森の中で寝てたんだよ。」

そう眠そうに目を擦りながら言うと、ふぁーあと大きく欠伸をした。

「まぁ、この際どこに居たとかどうでもいいですから!あとはお願いします!」

「なら、サボりの件はボスには内緒なぁ?ラーナ」

ニヤっと笑うと俄然やる気を出したかのように肩を回す。ラーナと呼ばれたカエルの亜人は頷く。

「良し!なら、秘密にして貰う訳だし一仕事頑張るかぁ!」

ディールは伸びをするとシャネルを見た。

「お前がこの状況の元凶か。」

「そうばってん。」

シャネルは切られた大木をディールに向けて投げる。

シュンッと音を出しながら飛んだ大木は綺麗に真ん中に真っ二つにされる。

「あっぶねぇなぁ。ビックリしたぞ!」

全然ビックリなんてしてないのだろう、眉一つピクリとも動かさなかった。

「次はこちらから行くぞ!」

薙刀を構えるとシャネルに向かって走ってきた。

近くに来ると力強く踏み込み横一直線に薙刀を振るう。

シャネルはバク転をし避けたが、砂煙が巻き起こりディールが見えなくなった。

目を凝らし探していたが見つからず、次に聴覚に集中すると背後から足音が聞こえる。

「はっ。後ろ!」

素早く後ろを向いたが既に薙刀を振り下ろしていた。

シャネルは後ろに重心を置き飛んだが、少し間に合わなかったようだ。

肩が軽く切られ血が飛び散り膝を着いた。

「そこまで強くないじゃねぇか。クハハハハ!」

高らかに笑うと薙刀を振り回す。

シャネルはそれを紙一重で避けて行くが、頬や腰、腹部、太もも、と少しづつ切り傷が増えていく。

地面に切れ目を入れ、刃がめり込み、木々をなぎ倒し、砂煙を起こし無双していた。

全く反撃する猶予がない程に。

「このままじゃ殺られる...。.....こうなりょったら!!」

迷っていたシャネルだったが決意を決める。

「"五感変換"(オールフェアエンデル)!」

特性を使った瞬間、僅かな視覚以外の味覚、触覚、嗅覚、聴覚の働きが全て停止し、それに注がれていた全エネルギーが全て筋力へと変換された。

これは獣人種(ビースト)の中で選ばれし者"五感操作"(サンクヴィゴーレ)を極めし者にしか出来ない技と呼ばれる最終奥義である。

この技は例えるならあのカエサルをすら凌駕する力を発揮する。

だが、この技にはデメリットもあり使用時間が決められている。長くて10~20分しか持たないだろうと言われており更に使用後は五感が元に戻るのは時間がかかるためしばらく《無》の状態が続くらしい。

故に1vs1の時にしか使えないのだ。

不意にすぅぅぅっとシャネル息を吸う。

「"雄叫び"(ルーフェン)!」

次の瞬間、吸っていた空気を全て吐き叫ぶ。

ギュイィィーンっという音が耳に鳴り響き耳鳴りがした。更に空気を吐いた風圧によりディールは後方へと飛ばされ崩れた家の残骸へと埋まる。

「だぁぁぁ!何が起こったぁ!クソ!何も聞こえねぇ!」

"雄叫び"(ルーフェン)により鼓膜が敗れたディールは急なことに驚き理解出来ずにいる。しかし、困惑したのは一時で、すぐに立ち上がるとシャネルを睨む。

「たかだか鼓膜だ!こんなもんあろうが無かろうが俺にはかんけぇねぇ!お前を殺す!」

薙刀を片手に襲いかかってきたディールであったが次の瞬間、一瞬でシャネルを見失う。

つい今し方まで目の前にいたのに砂煙が軽く起き、それと共に消えたのだ。

シャネルはディールの懐まで一瞬で詰め寄っていた。

「なっ!?いつの間に!」

すぐそこまで来られたことに気づいたディールだったが気づくのが遅かったようだ。

「もうとろか!」

ディールの膝に横蹴りをかました。

すると、ディールの視界がグラッと揺れると地面が見えたかと思うとすぐ空が映る。

一発の蹴りによって両足が千切れたのだ。

ブシャッと血が飛び散る。

「はっ...?」

あまりにも一瞬で物事起こり過ぎて思考が停止してしまう。

視界の端にシャネルが映ったかと思えば、顔面を思いっきり地面に向かって殴られた。

地面は地割れが起き、えぐれ浮き上がり殴ったところから中心に深く凹み大きなクレーターのようなものが出来た。

地面を粉砕するかのようなパンチを顔面で受けたディールは当然生きてる筈もなく頭が潰れて死んでいた。

周りに居た奴らもシャネルによって起こった風圧により飛ばされ、木にぶつかる者、岩にぶつかる者、崩壊した家にぶつかる者などさまざま現れた。

そして、全員の頭や背中、腰といったところを強くぶつけ痛みと共に意識が飛んでいく。

シャネルは僅かな視界で倒したことを確認すると、安心し力を抜き特性を解除した。

「ふぅ...。」

バタッと倒れると何も感じ無くなった身体に五感が戻るまでシャネルは休んだ。

 

 

* * *

しばらく経つと視界はある程度回復し、聴覚も少しは聞こえるようになっている。

なんとか動かせるようになった身体を無理矢理起こしカエサルの元へと向かう。

そこでは崖を背にスースー寝息をたてながら寝ているカエサルの姿があった。

近くで二人の亜人の姿を見つける。

「カエサルも勝ったんやね。.....よいしょっと。じゃあ、裕兎んところへと向かうかいなぁ。」

カエサルの腕を自分の肩に掛けてシャネルは足を引きづりながらも少しずつ裕兎の元へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

第9話.......終

 




蒙武さんお気に入り登録ありがとうございます( *´꒳`* )
これからも頑張っていきますね( * ˊᵕˋ )

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