戦いの末勝った裕兎は気絶したカエサルをアルジェの領主ユグリス・レンの敷地へと運んだ。
そこでは屋敷で働くメイドたちによるカエサルと裕兎の治療が行われ二人とも無事治療が終わった。
「おぉー凄いわ。これ。もう痛みとか感じないわ。」
裕兎は身体に違和感がないか確認する為に腕をぐるぐる回したり背を伸ばしたりする。そして、隣のベットで寝てるカエサルに目を向ける。
「カエサルも俺の毒で死んだりしてなくて良かったぁ。」
毒の入れ過ぎで死んでたらと思うと、と想像して裕兎は冷や汗をかく。
(ヒーラー特性の保持者って重要だな。この世界では必須と言っても過言ではないレベルで。.....自分の国持つことなったら真っ先にヒーラー保持者の人数確認しよ......。)
そんなことを思いつつ裕兎はカエサルが目を覚ますまで待つことにした。
何十分経っただろうか。いや何時間、だろうか。
それほどの長い時間の間カエサルは眠っていて、やっと目を覚ました。
カエサルが目を覚ますまでの間、裕兎は暇だなぁと天井を見ていたがふと筋トレを始めた。
しかし、様子を見にやって来たメイド長のローズに叱られ胴体を縛られベットに放られた。
(怪我人の心配をして取った行動とは思えんな...。)
しばらくの間、暇そうに、ぼぅーとしていると。
「ん...?こ...こは..どこじゃ....?」
微かに聞こえたその言葉に裕兎は気づき、カエサルが目を覚ましたのだと分かった。そして、周りを見渡していたカエサルと目が合う。
「あーその、なんだ。わしは気にしないぞ。裕兎にどんな趣味があろうとのぅ。」
引き攣った笑顔でそう言うカエサルに裕兎は焦って事情を話した。
「い、いや!違うぞ!これはだな。事情があってだな。」
「分かっておる。そうしたい年頃なのじゃろう?」
「おいいぃぃぃぃ!!」
(全然分かってねぇじゃねぇかぁぁ!!)
勘違いを続けるカエサルに叫ぶにはいられなかった。
「だから、違うっつの!これはここのメイド長、ローズに縛られたんだよ!俺が怪我人なのに筋トレしてたからな!」
言い終わる頃には裕兎は肩を上下させ息を切らしていた。
「あっそうじゃ。ここはどこじゃのぅ?」
(コイツ、俺の全力な無罪潔白を何もなかったかのようにスルーしやがったな。)
「ここは東の国アルジェで、そこを治める領主ユグリス・レンの領地だ。お前が気絶したから、メイドに治療して貰ったんだよ。」
「そうか、わしはお主に負けたんじゃったな…。」
カエサルは負けたことが悔しかったのか、俯く。
だけど、少ししてから元気な声を発する。
「うむ、わしはお主の実力を認めたぞ!これからはお主の部下として全力を尽くそうかのぅ。」
裕兎は2人目の仲間が出来たことを喜び、握手しようと右手を差し出す。
「おう。これからよろしく!」
カエサルは裕兎からの歓迎に嬉しく思い軽く微笑む。そして、裕兎の手を握り返した。
それからしばらく話していた2人は互いに疲弊しきっていたせいか軽くやることやったら今日は早めに寝た。
次の日になり起きた裕兎はレンに2人目の仲間を紹介するためにカエサルを呼びレンの元へと向かう。
「ユグリス・レン、と言うと4騎帝の1人煉獄王(れんごくおう)のことだったかのぅ?」
「あーうん。」
「お主はどのくらいの実力の持ち主か知っておるのか?」
4騎帝の実力がどれほどのものか気になったのかカエサルは聞いてくる。
「1度戦ってみたが俺は負けたよ…。それにレンは本気を出してるようには見えなかった。」
「お主をそんな簡単に倒すとは相当な力の持ち主じゃの...。」
カエサルは予想以上の実力だと思ったのだろうか、軽く驚いた表情をしていた。
「まぁ、あやつは4騎帝の中でも一〜二番目の実力がある奴だろうと言われておるのだし納得のいく話だがな。」
その話を聞き裕兎は驚く。
裕兎は、4騎帝は皆特性を最上級レベルまで引き出せていてそれを越えることなどないと勝手に思い込んでいたのだから。
「そうなのか!?俺はてっきり4騎帝は皆同じくらいの実力だと思っていた...。」
「うむ。元々は破壊神(はかいしん)と呼ばれるディオクレが最強と言われておったのじゃがなぁ。じゃが、あやつももう60代後半もう少しで70代になってしまうくらいだ。流石に歳には勝てないのじゃろう。そんな飛び抜けた実力はもう持っておらぬ。」
ディオクレの活躍を知っているのだろうか、カエサルは懐かしむように語り始めた。
「ディオクレは衰えたから今はレンが一番ということか...?」
「そういうことじゃ。といってもさほど実力は変わらぬ。ディオクレのように飛び抜けておる訳ではない。」
「そうか...。まぁ、ディオクレは衰えて良かったな。」
そう言うとカエサルは不思議そうにする。
「なぜかのぅ?」
「四騎帝最強なんだろ?そんな異常な強さのディオクレはいずれ反乱を起こしていただろ。だから、衰えて良かったと思うんだよ。」
「それはないと思うんじゃがなぁ…。」
カエサルは少し納得がいかないと言ったような表情をした。
「それはどうだろうな...。」
4騎帝になったばかりの頃はまだ大丈夫だろう。
まだ上へ上へと力を求め高めようとするだろう。
だが、30年以上も4騎帝という座を守ってきたら、そんな長い年月称えられていたらふと思うだろう。これでいいのか、と。
今の生活は悪くはない。だけど、もっと資金が欲しい、賞賛が欲しいなどと思い始めるだろう。
慣れとはそういうものだ。
(だから、俺は反乱を起こす可能性が高いが故に衰えて良かったと思う。)
もし衰えて無かったらと考えると恐ろしいとさえ思ってしまう。
裕兎はそんなことを考えていた。すると、いつの間にかレンの居る部屋へと着く。
「失礼する。」
「失礼しますぞ。」
ドアをノックし、2人はほぼ同時に言うと部屋へ入る。
ガチャ。
「おはよう。裕兎。」
「おう。レン。おはよう。」
「そちらは裕兎の仲間、だよね?」
「おう。実力も確かめ済みだ。相当強いぞ。」
自慢げに話す裕兎にレンは微笑むとカエサルへ視線を向ける。
「俺はユグリス・レンだよ。よろしくね。」
「はい。存じておりますぞ。わしはガリア・カエサルと申す者です。」
そうしてレンに軽くお辞儀をした。
そんなカエサルを見ていたレンの表情は少し曇った。
「そんなに丁寧にしなくてもいいよ。いつも通りでよろしくね。」
「そうだぞ。俺なんて初対面からタメ口だぞ。」
「いや、お主は少しは自重しろ!四騎帝じゃぞ!」
そう言って裕兎の頭を叩くカエサル。
頭に衝撃を受けた裕兎は頭を抑えながら見上げた。
「いや、お前も自重しろよ!俺、一応上司だぞ!」
「そんな礼儀知らずの上司などわしは知らぬわ!わしの上司はレンじゃ。」
「なんだと!?カエサル、お前!俺の努力を無駄にする気かぁ!」
「知らんのぅ。」
睨み続ける裕兎に再び頭を叩くカエサル。しかも何発も。
「やめて!!痛いから!脳細胞無くなっちゃう!俺が!俺が悪かったからぁ!」
涙目になりながら言葉の最後がほぼ奇声となっていた。そんな裕兎を見てガラガラ笑うカエサル。
「もう打ち解けたみたいだね。とても仲がいいよ。」
「なんじゃと!?」
「どこを見てそう言ってる!!?」
にこやかに微笑み続けるレンに声を揃えて反論を唱える二人。
そして、声が揃ったことに二人とも反応し目が合う。
「なんか不満があるんかいのぅ?」
笑っているが、目が笑っていないカエサルが拳をポキポキと鳴らす。
「あーいや、なんでもないっす。」
(やめて!その笑顔怖いから!...なにこれ、少しデジャヴってるぅ!)
さっき以上に笑っているレン。ひとしきり笑い終わると満足したのか本題へと移った。
「それで裕兎に仲間集めをさせた理由はね、遠征へ行くのに仲間が必要だと思ってね。だから、裕兎はカエサルの力を必要とし勧誘したんだよ。」
「なるほどのぅ。そのような理由じゃったか。」
それで、とレンは少し申し訳無さそうに言う。
「それで、昨日の疲れがまだ2人とも取れてない気がするけど遠征の出発大丈夫かな?」
「俺は問題ない。」
「わしも大丈夫じゃぞ。」
レンは2人の反応に安堵した。
「じゃあ、遠征の準備して門の方で待っていてくれ。俺たちも準備ができ次第行くよ。」
「.....?分かった。行くか、カエサル。」
「うむ。」
裕兎は、俺たち、という言葉に疑問に思ったが、あとあと分かることだし、と気にしないことにした。
二人はレンの部屋を出ると自分の部屋に戻り準備を始める。
カエサルは斧を片手に持ち、裕兎は槍を持つ。
「おっさっそく使うのかのぅ?」
「あぁ。俺の初武器だからな。やっぱ、槍はカッコイイな...。」
裕兎が手に持っている、その槍は昨日カエサルと握手を交わし軽く話していたとき武器の話になり、作って貰ったものである。
それは黒がメインとなった槍で刃は少し大きめとなっていた。長さは裕兎とあまり変わらないくらいの長さだろうか。
「よし、行くか!」
「そうじゃの。」
互いに準備が済んだことを確認すると門の方へと向かう。
裕兎達が集合場所へと着くと、そこにはもうレンともう1人、ミカが居た。
「あれ?ミカも行くのか?」
裕兎は不思議そうに聞く。
「ええ。私も幹部みたいなものだから。」
あぁ、回復系みたいなサポート担当なんだろうな、と思っていたが。
「ミカは元4騎帝候補だったからね。強いよ。俺の右腕だからね。」
とレンは自慢するかのように自信満々に言っていた。
「元4騎帝候補!?」
裕兎はレンの言葉に驚いた。
「うん。ミカは "悪化"(トアメント) という特性の持ち主でね。あらゆる生物を滅ぼしかねない鬼のような剣士って言われてたんだよ。それから滅鬼(メッキ)の剣士 ミカ、という二つ名が出来ちゃったね。」
「懐かしいわね。あの頃は今よりヤンチャだったかしら。」
二人は懐かしむように微笑みあっている。
するとカエサルが目を見開いていた。
「なっ...!?お主があの滅鬼の剣士でしたか!?」
そんな反応を見て裕兎は不思議に思い首を傾げる。
「そんなに有名なのか?」
「うむ。ワシが聞いた噂ではミカ1人で竜魔種(ドラゴニア)の群れ一つのほとんどを殲滅することが出来ると言われておる。」
「なっそんなに強いのか!?」
裕兎はあまりの驚きに冷や汗をかく。
「いえ、竜魔種(ドラゴニア)の群れは一つ20~30匹居るけれど、私は10匹程度が限界かしらね。ちょっとその噂は盛られているわ。一体誰が流したのかしら。」
ミカは噂以上の実力じゃなくて申し訳ないと思ったのか少し困った表情をしていた。いや、ただ誰が流したのか分からない噂に困っていただけかもしれない...。
「噂が盛られていたとしても10匹前後...か....。」
(元4騎帝候補でこれってことはレンはそれ以上ってこと、だろ...!?あれ?これ俺らの出番ある?)
「じゃあ、早めに行かないと野宿することになるしそろそろ出発しようか。」
裕兎が驚きの余韻に浸っている間に遠征の出発が告げられた。
丁度そこへメイドの女性が数人、四頭の馬を引き連れてやってきた。その中にはローズもいた。
レンはローズたちに気づくと笑顔で手を振った。
「わざわざごめんね〜。それと、ちょっと遠い所へ行くから留守の間、街のことお願いね。」
「分かりました。お任せ下さい。」
そう言って一人ずつ馬を渡していく。ローズは手網を握って裕兎の元へと馬を連れていく。
「はい。どうぞ。裕兎様も気をつけてくださいね。」
手網を握った腕を裕兎に向けるときにローズは片目を閉じウインクをした。
「お...おう。ありがとな。」
自分より大人なローズがふと見せた年下のような可愛らしい仕草に少しキョドりながら手網を受け取った。
そして、東区王都防衛街アルジェを出て王国アデレードから出た。
王からの命令は村を襲った亜人種(デミヒューマン)を討伐して欲しい、出来れば村も救って欲しいとのことである。
その村はアスタナ国付近にある村だが、襲われたと知った国王は兵を派遣したが敗れ手に負えないと契約金を払いアデレード王国へ援軍を求めた模様だった。
その任務に選ばれたのが裕兎達である。
しばらく馬に乗り進んでいると裕兎はふとあることに気づく。
「あれ?そういえば、俺らって一般兵みたいなのないの?」
周りを見渡しても自分合わせて4人しか居ないことに不思議に思いながら聞いた。
「ん?一般兵令のこと?あれなら一般人は他種族に勝つことは出来ない。無駄な兵力となる、とのことで廃止になったよ?だから、今の時代、兵士は特性持ちの人しかいないんだよね。」
レンは、だから人員不足なんだよねと言いたげに困り顔をし苦笑した。
それを聞いてなお裕兎はまだ疑問があった。
「なるほどなぁ...。何で探さねぇの?」
ふと思った疑問を口にすると
「俺は必要ないと思って探してないんだよね。それに特性持ってる人ってあまり居ないから探してもあまり見つからないよ。」
苦笑いしながら応えるレン。
(やっぱりかぁ〜。だから、居ないのか〜。まぁ、確かに4騎帝+4騎帝並の強さだもんなぁ。必要無いもんなぁ...。ほんと、なんで俺らも行かなきゃなんだろ...。行かないって手段はないかなぁ。無いよね...。)
1人で納得しながら村へと向かっていると、裕兎達が向かっている方向から人影が一つ見え始める。
だが、しばらくすると更に後ろから人影が複数あることに気づく。
「あれって追われてないか!?」
そのことに気づいた裕兎はカエサルに問いかける。
「ぬ?確かに追われているように見えるのぅ。どうするかいのぅ?助けるかいのぅ?」
「この中で一番速度出せるの俺だと思うから俺が助けに行く!カエサルは追われている人を保護してくれ!」
カエサルにそう指示すると特性を使う準備を始めるため、馬を降りた。
「なら、俺は裕兎が逃したときの敵の相手をしようかな。」
「なら私は薬品を持っているから、あの方の怪我の応急手当てを受け持つわ。」
レンとミカは追われている人の護衛をする為に素早く剣を鞘から引き抜く。
「カエサル!頼んだぞ!"二星蟋蟀"(アルタイアグリヨン)!」
膝辺りと前腕筋から指先にかけて茶色のクリスタルのような鎧を纏い、槍を構えると高速で走った。
その時の脚力により足に面していた部分の地面が割れえぐれる。
近づくにつれ追われていたのは1人の少女ということが分かった。
そんな中、追っていた複数の人影のうちの1人が裕兎達に気づいたらしく仲間に指示を出す。
「おい!誰か突っ込んでくるぞ!とてつもなく速い!気をつけろ!」
彼らは斧やハンマー、剣、槍、薙刀と様々な武器を手にしていた。
「クソ!こんなときに邪魔が入りやがって!」
「ざっと10人ってところか。」
裕兎は人数を確認すると力いっぱい踏ん張り加速した。
その瞬間2人の頭が飛ぶ。
どうやら裕兎が槍で斬ったようだ。
「な...何が起こった!?」
さっきの出来事に集団は困惑し始める。
「おっ!この槍すげぇ切れ味いいな。」
裕兎は振り向き集団に向けて手をかざした。手に持っていた槍は取手のところを口で咥えていた。
「残念だが俺はもうここにいるぜ。"三井寺芥虫"(ボンバルディア)。」
指先は赤黒く手のひらに進むにつれ赤色で肘辺りは橙色と鮮やかなクリスタルのような鎧を纏う。
すると、両手を向け集団に高温出力ガスが放たれた。どうやら、そのガスには過酸化水素とヒドロキノンが混じって発生した蒸気らしい。
「なっ...!避けろ!!」
集団の中で気づいた者数人は裕兎の狙っているところから飛び、退きながら呼びかけたが間に合った者があまりおらず五人焼かれ死んでいた。
「やっぱ、これって殺傷能力高いんじゃん...。何でこれ喰らってもカエサルはピンピンしてたんだよ。」
自分の両手を見つめながら感心すると同時にカエサルへの畏怖も芽生えた。しかし、まだ3人残っていた。急いで気を取り直して槍を投げた。
その槍は集団の1人に向かっていき心臓を貫く。
「くそ!このまま殺られてたまるか!」
地面から起き上がり、また構え直した残りの2人は裕兎に斬りかかろうと走ってくる。
「ほら。来いよ。"紋華青龍蝦"(オドントダクティラズ)。」
肩から指先にかけて緑色、青色、水色と色鮮やかで綺麗なクリスタルのような鎧を纏い目は青色に変わる。
向かってきた2人の剣の軌道をしっかり見極め確実に避けていく。
「何で当たんねぇんだ!!おらぁぁ!!」
すると、一人がヤケクソになり振り回し始めた。そして、一振り一振りに隙ができ始めたところを狙い裕兎は脇腹を狙い殴った。バキバキと骨の軋む音が鳴り、そいつは痛みで顔を歪めた。そして、うがぁっと痛みに耐えているかのような小さな悲鳴と共に脇腹を抑えたところを下から上へと拳を突き上げ相手の顎を殴った。
強い衝撃が顎に掛かり首は千切れ、頭は飛び血は上へ吹き出す。
その光景を見ていたもう一人は顔を青ざめわなわなと口を震わせながら裕兎へと向かう。
「う...うわぁぁぁ!!」
そこへ背負い投げの要領で相手の懐に潜り背を向けると顎を殴り地面に叩きつけ頭を破裂させた。
どうやら、無事全員を倒せたようだ。
「どうやらこの集団は亜人種(デミヒューマン)のようだね。」
「そうね。でも、何故人を襲っている筈の亜人が獣人種(ビースト)を追っているのかしら?」
レン達は裕兎の元へ追いつけたようだ。
追いかけられていた少女はカエサルが連れている。
その少女は犬の耳のようなものが髪のところから生え尻尾もあった。この子は、獣人種(ビースト)のようだ。それは例えるなら、獣っ子のコスプレのような容姿と言うのが適切だろうか。
髪はセミロングかロングくらいの長さで銀髪だった。そして、横髪をそのまま残して後ろの髪の先辺りを赤いリボンで結んでいた。
肌は白過ぎず黒過ぎずといったバランスのいい色合いで、運動神経が高い戦闘民族とは思えないほどの美しさだった。
「あーこれが亜人種(デミヒューマン)か。」
裕兎は再び辺りを見渡してみる。
そこには、体は人間と同じだが皮膚の色や顔がそれぞれ違っていて、魚や鮫、豚や牛など様々なものがいた。
(これはゲームでよく見るトカゲの顔と鱗をした人型モンスターそっくりだなぁ。)
そう思いながら見ていると少女が慌てたように話しかけてくる。
「うちは獣人種(ビースト)のシャネル。うちん村が亜人種(デミヒューマン)に襲われたと!人間の襲われとるところにうち達も見つかっち襲われてうちは助けば呼びに行こうっちしよったところ!はよ助けて!」
(...あれ?これって...博多弁...?あっでも、博多弁じゃないところもある。まぁ、いっか。)
裕兎は一瞬、ん?と疑問を持ったが気にしないようにした。
シャネルは集落にいる家族が心配なのかとても焦っている。
村の住人を助けるのと同時にシャネルの仲間も助けようと裕兎達は先を急ぐ。
第6話........終
次回はなんと!元4騎帝候補だったミカが戦います笑( *´꒳`* )
少ししかないけど、楽しんで貰えたら幸いです笑