異世界での生活も楽ではない   作:XkohakuX

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久しぶりの投稿になります。
最近、忙しかったですがやっと余裕が生まれました(`✧ω✧´)
これから少しずつ書いていこうかと思います( *´꒳`* )


第17話 *危ない選択*

湖の一件が片付き、レン達を先に帰らせると裕兎はイザベラとソフィアを王の元へと送る。

そこはアデレード中央地区王都バルバトス。貴族らしき人や付き人で多く賑わい、目の前には大きな王宮が建てられていた。

裕兎は、その人混みを避けながら歩き進めた。するとソフィアはコツッと横に並ぶと上目遣いの笑顔で見上げる。

「わざわざ送ってくれてありがとうね。でも、傷の方は大丈夫なの?」

...!はっ天使かと思った!!健気過ぎるその対応に天使だと錯覚するほどにときめく裕兎であった。

「あ...あぁ、このくらい平気、平気!日頃から鍛えてるからね。」

俺も強くなってきたなぁ。この世界に染まってきたなぁ...。王宮を眺め、そうのほほんともの耽っていると後ろから少し苛立ちを感じ取れる声が飛んでくる。

「おい!私一人でも護衛は充分に出来るぞ!あまり私を見くびるなよ!」

「見くびってねぇよ...。いつ、またさっきの奴らに襲われるか分からないから、俺も念の為に付いてるだけだ。」

「ふん。見くびってないなら別に構わん。」

さっきまでの戦闘でたった一人に手こずったことを思い出し、素直にイザベラはそれを聞き入れる。

どうやら、イザベラも裕兎同様にあの敵を認めているようだった。

「まぁまぁ、もう王宮もそこだし、大丈夫だと思うよ?」

そんな二人を見てからか、ソフィアはその場の雰囲気を正すかのように笑って明るく振る舞う。

「まぁ、そうだな。とりあえず、俺はディラン国王に今回の件を軽く報告してくるが、イザベラ頼んだぞ。」

「そんなこと言われなくても分かってる!」

「行ってらっしゃい。」

王宮の中に入ると、裕兎はイザベラにソフィアを任せて国王の元へと向かう。

頼まれたイザベラは、余計なお世話とギランと睨んでいた。

それをなだめているソフィア。

やっぱ、怖ぇな...。後ろからの殺気を感じながら、足取りを速めた。

 

* * *

王室に入るなりディラン国王と軽く世間話をし、本題の例の戦いについて話した。

「そうか。そんなことがあったのか...。よくぞ、わしの娘を助けてくれた!感謝の胃を称してお主にはあとで、お礼として褒美を渡す。どうか、受け取ってくれ。」

怖い顔に似合わぬ、落ち着いた優しい声でお礼を言い、頭を下げた。

「いえいえ、頭をお上げ下さい。ところで、今回の対策としてどのようなことをするおつもりで?」

「うむ、特性保持者はあまりいないから、まずは四騎帝の兵や国兵にそういう者がおるか回り、居たら調べる。その中にいなければ、国内の平民を調べるつもりだ。」

四騎帝といえど、レンと同じくらいしか兵はいない。しかし、例外もいた。

それが、ディオクレ・ティアヌス。彼が率いる軍は遠方からわざわざ来ては彼の軍に就きたいと志願されるほど、実力があり人気なのだ。

これは、ティアヌスが四騎帝最強という名声があるからだけではない。

彼は若い頃からこの座を守ってきたため、信頼と経験があるのだ。

そんな彼は来るもの拒まず去るもの追わず、だったため自然と今のような軍団が出来上がったのだ。

「ソフィア王女の方はどうしますか?」

「そこは大丈夫じゃ!イザベラが付いておるからな。王宮内では彼女レベルの実力はあまりおらぬ。」

確かにイザベラは王宮内上位の実力者だった。その他にも同じレベルの者はいる。

彼ら彼女らは王宮護衛騎士の中で最上級の役職をしている。そんな者達を"天界騎熾"(てんかいきし)と呼ばれている。

その中で、イザベラは"裁きの騎熾イザベラ"。という二つ名がある。

その他にも六人いるが彼ら彼女らもまた四騎帝に負けず劣らずの実績を残している。

「あいつはそんなに実力があったとは驚きだな...。」

四騎帝に負けず劣らず、ということはイザベラはレン並の実力があるというのだろうか?

「それでも、残している実績が劣らないだけで実力は四騎帝の方が上じゃがな。あやつらは次元が違う。」

裕兎が疑問に抱いたことを知ってのことか露知らず、そう言ってのける彼の言葉を聞き不思議と納得がいく。

まぁ、レン並の実力者がそんなちらほら居たら人類が追い詰められる訳もないか。

しかし、彼ら四騎帝に近しい実力の者達が七人もいるのであればソフィアの身の安全も保証されるであろうことは明白であった。

すると、ふと思い出したかのようにディラン国王は口を開く。

「そういえば、最近ここから南にある鉱山で栄える国"ハイランド"が何者かによって攻めいられ陥落された、という情報を耳にしたんだがお前さんの実力を見込んで頼みたいんだが。その国を調査して来てはくれまいか?もし、まだ生きながらえている人々が居るのなら、放っておくにはいかんじゃろ?」

このことは裕兎達が亜人討伐任務を終えた頃にディラン国王の耳へと噂が入ってきたことだ。

その噂によれば、"ハイランド"いつものように日が沈むと焚き火を上げ国外の警備をしていたとき、急に風が吹き荒れ黒い影が点々と現れ、あっという間に陥落させられたという噂だった。

その国には特性保持者は少ない訳ではない。それどころか、少しは名を知れ渡られているほどの実力者が多数いたと言われている。

そんな人材が揃っていながら陥落させるほどの相手とは如何程か、ディラン国王はそれが事実なのか信じ難い情報を確かめるべく裕兎へと確認を頼んでいる。

「了解。なら、今から仲間を連れて行ってくるかぁ〜。」

そう立ち上がると背を向けて歩き始める裕兎。

その姿を見るやディラン国王は彼の身を案じていた。

「もう行くのか!?今回の任務はレン達には別の任務があるため、お前さんとカエサルしかおらぬが大丈夫か?なんなら、"天界騎熾"を呼ぶぞ?」

クロエとシャネルの二人のことをバレると他種族が国内にいると踏んで秘密裏にしておこうと決めたため、それを知らないディラン国王は二人で大丈夫なのか心配していたが。

まぁ、レンが居なくても前回をなんとかなったし今回も大丈夫だろう。

裕兎は特に気にする素振りもなくケロッとしていた。

「まぁ、大丈夫だろーよ。ほら、うちのカエサルは強ぇから。」

後ろを振り返らずに手をブラブラと振ると王宮を出てアルジェへと帰還した。

「行ってしまったか...。まぁ、あやつなら大丈夫だと何故だか分からぬがそう思えてしまうな....。」

根拠のない自信を抱いている自分自身に自分らしくないな、と微笑を零すと玉座へ持たれかかり天井を眺めた。

予想以上に厳しく、命を落としかねない戦いになるとは知らずに二人は今までの急成長ぶりを過信し、"天界騎熾"を呼ぶべきときに呼ばずして進むのであった...。

 

17話.........終了


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