生徒会の一存 -アイドルは生徒会長(補佐)!?- 作:あこ姫
ではどうぞ。
「おっくれましたー」
「す、すいません」
前を歩く長髪をツインテールにした元気美少女。
名前を椎名深夏といい、役職は杉崎君と同じ副会長。さらに杉崎君と私のクラスメイト。
口調はボーイッシュを通り越して男口調。但し、
運動神経も良く、運動系の部活の助っ人をしている。余談だが全制覇しているとか。
そのうえ、快活で爽やかな性格ときたもんだ。
なので男子からの人気も高い事に加え、女子からの人気も高い。
更なる止めとして本人曰く、「百合気味」らしい。
となれば、彼女の人気がうなぎのぼりな結果は当然といえば当然である。
まぁ、そんなわけで杉崎君みたいなナンパ男は嫌い。
更に「同じクラス」+「同じ副会長という役職」のコンボもあって杉崎君とはよく対立している。
傍から見る私にとっては「仲良いなぁ・・・・あの二人」程度にしか思わないがwwww
因みに私と深夏は至ってフツーの友人って感じなのですよ。
「麻里菜、一度でいいからあたしを弟子にしてくれ!」
とかってたまに言われるけれど「弟子」ってなんなんな!?「弟子」って。
嫉妬心から私に奇襲を仕掛けて来た生徒を死なない程度に瞬殺した事と関係があるのかなぁ?
まぁ、いいや。
杉崎君曰く、「デレる気配が微塵も無い正統派ツンデレ」らしい。
深夏にそのことを言えば絶対に否定するだろうが、安心しろ。私もそう思ってるからwwww
深夏の背後から何度も頭を私達に下げている色素の薄いストレートヘアー+頭にリボンの美少女。
名前を椎名真冬といい、役職は会計。
学年は私の一つ下の一年生。「椎名」という苗字から解ると思うが深夏の妹である。
性格は、一言で言っちゃえば「深夏と対極」。それに限る。
「儚げな性格」+「男性が苦手」と、一部の男子
まぁ「男性嫌い」の原因は確実に姉・深夏にある。完全に洗脳じゃないか。アレは・・・・(汗
私が何を見たかは聞かないで欲しい。お願いだから。
紹介はそれくらいでいいか。うん。結構長くなったし。
「待ってください。真冬の紹介のターンがお姉ちゃんの約1/3の行数で終了した気がするんですけど!?」
うわ・・・・。鋭っ!無駄に勘が良いな!この娘。
「気のせいじゃないかな。・・・たぶん」
「『たぶん』って言ってるじゃないですか!認めてくださいよ」
「あー、うん。後から解ってくるのもあるし簡潔な紹介でいいかなと」
「なるほど・・・・道理で。そういうことなら早く言ってください」
納得して席に着く真冬ちゃん。
あー、良かった。さっさと納得してもらえて。
(二回目の)
「ねぇ深夏、真冬ちゃん。貴女達に『初めての時は面白かったけれど、今はそうでもないかな・・・』って思うことってあったりする?」
「いきなりだな。それが今日の議題だったりするのか?」
「ま、そんなとこ。会長が珍しく名言言ったしさ・・・」
「珍しくとは失礼だよ!久々より失礼だよ!」
「俺の台詞が取られているのは気のせいでしょうかねぇ!?」
会長と便乗して杉崎君が反論・・・もとい、騒いでいた。
だが、私はそれを無視。だって一々対応してると終わんないもん。
あと、杉崎君に喋らすといつ口説くかわかんないし。それされると終わんないし。
要は「終わらない要素作る奴は黙ってろ?」ってわけだ。
しばらく考えていた椎名姉妹。最初に答えを返してきたのは真冬ちゃんだった。
「真冬は・・・
「
「はい。子供の頃は母親がしているのを見て、凄くしたくて仕方が無かったんです。
それで中学生の頃、初めて自分でコスメを買った時は嬉しかったんですけど・・・・」
「よくよく考えたら真冬ちゃん自身があまり着飾るのが好きじゃなかった・・・・て訳ね」
「はい。だから最近は必要最低限の事しかしたくないって感じがありますね・・・」
「なるほどねぇ・・・・。大丈夫だよ、真冬ちゃん!真冬ちゃんは化粧なんかしなくたっ て充分可愛いから!むしろ、本来の美貌を隠す化粧なんてしなくていいから!」
「先輩・・・・あ、ありがとうございます////」
杉崎君に口説かれて頬を染めて照れている真冬ちゃん。
可愛いのは正義だし良いとは思うのよ?でもさぁ・・・
「黙ってろ」って言ったよね?杉崎君?さっき私。
丁度、エリュ●データとダーク●パルサーが手元にあるんだよね♪
「こら鍵!あたしの眼前で妹を口説くなよ!」
「嫉妬か、深夏よ。・・・お前もちゃんと魅力的だからさ」
「いやいや。嫉妬じゃねーし。そう聞こえたんなら耳鼻科行ってこい」
「またまたご冗談を。ヤキモチからくる裏返しなんだろ。それ」
「ヤキモチじゃねーから!」
「・・・・・・(( ̄∀ ̄))」
「『そのツンデレもいいな!はやくデレればいいのに』じゃねーよ!お前にデレてないし!そもそもツンデレじゃねーし!」
「遂に以心伝心ときましたか!ゴールインは近いぞ!深夏よ!」
「もぉお前の思い込みの強さと言ったら怖いの域に達してるよ!」
あー、うん。深夏に同意かも。いや、悟りの境地開いてるんじゃね?下手したら。
「思い込み?そーいうことにしといてやるよ。『照れ屋さん』♪」
原子爆弾投下しやがったよ。此奴。命が惜しくないのかしら。
「つる●のまいをしてからスカイ●ッパー、たたき●ける、イン●ァイト、ばく●つパンチ、コメッ●パンチ、メガ●ンパンチ、フレア●ライブを使って殺したい・・・・・・」
使えるのか?深夏よ。最後のに至っては自分も技の反動でダメージ負ってるやん。
あ、そうだ。私の方も訂正だな。更にスキル●ネクトで繋げて
合計50hitくらいなるけど問題ないよね。死なないだろうし。
その仕置される本人こと杉崎鍵は自信を囲む美少女を見て悦モードに入っていた。
その中に私も当然含まれている。もう、いいや。なんか諦めた。
「うん。ハーレム万歳。いつ見ても最高だね、この光景。頑張って生徒会に入って良かった!」
杉崎君の言葉に「そういえば・・・」と知弦さんが返してくる。
「キー君は確か『優良枠』で生徒会入りしたのよね?・・・一見するととてもそうは見えないのに」
「だよなー。コイツはフツーに見たらタダの色ボケ男だもんなー」
深夏が知弦さんに同意し、真冬ちゃんと私は苦笑していた。
杉崎君は反論があるのだろう。何かを言いかけたとき
会長はバンッと音を立てて机に手を置く。
「あぅ~・・・・・(;_;)」
強く叩きすぎたのか手が痛くなって涙目になっていた。
その光景に萌える人は萌えるだろうが涙目になるくらいならやらなきゃいいのに。
「散々言ってきたけれど、やっぱりこの学園の生徒会役員選抜基準はおかしいわよ!人気投票というのもおかしいけど《優良枠》にしても成績面だけではなくメンタル面についてもえーと・・・せ、精査すべきだと思うわ!」
会長が既に幾度なく行ってきたお決まりの事を言う。
余談であるが「精査」のところで語句が解らなくなって私がカンペ(振り仮名付き)で補助していた。
「俺はこのシステム、最高だと思いますけどね。なぁ、麻里菜?」
「そこで私に振るの?まぁ・・・確かに私も現状の選抜方法でも問題はないとは思いますね」
杉崎君が会長に反論し私が同意する意見を言う。これも既に幾度なく行ってきたお決まりの事だった。
この場を借りて説明しておくとこの学園の生徒会役員選抜方法はフツーではない。
一つが生徒会役員が基本的に純然たる《人気投票》であること。
ただ、これだと「無茶苦茶じゃないの?」って意見もあったりする。
が、実際のところこのシステムは結構理にかなっていたりするのだ。
容姿で選抜されるわけだが選挙活動というのが存在しないため、生徒は自分が純粋に憧れる生徒に投票するという算段になるわけだ。(新入生は大体の場合、新聞部が発行・配布する生徒会役員候補が記載された冊子を参考にすることが多い。)
と、なれば「憧れの人達」が上に立つ生徒会で大体の生徒は生徒会の言う事を
案外聞いてくれる。・・・ぶっちゃけカリスマ性さえあればたとえ容姿で選んだからって大きな問題にはならない。
が、やはり問題点もあるわけでその抑制役であるのが《優良枠》と《補助枠》である。
《優良枠》とは各学年の成績トップは本人が希望すれば生徒会入りできるというもの。
まぁ、滅多に希望者が出てくることはないが今年はその希望者が杉崎君だった。
杉崎君の優良枠での生徒会入りについての賛否両論で盛り上がっていた。
私はそれを笑顔で見守っていた。
「成績がいいってだけで生徒会入りしちゃうのはやっぱり変だよ!そのせいで、杉崎みたいな問題児が入るしさぁ・・・・」
「さらっと自分を抜かないでください会長」
「あ、麻里菜。最後までずっと黙ってるかと思ったんだけど」
「そのつもりだったんですけどねぇ・・・・。私が何で生徒会入りしたか忘れたんですか?」
「・・・・」
忘れてるね。完全に。
「確か、あーちゃんは《補助枠》で生徒会入りしたのよね?」
「そうですよ。知弦さん」
「あの・・・《補助枠》っていうのはなんですか・・・?」
真冬ちゃんがおずおずと手を挙げて質問。
「教師陣が指名できる唯一の指名枠で就任演説後に決定されるの。
バランス調整って意味合いも強いから滅多に活用されることはないんだけど・・・・」
「あー、あの会長さんの演説で教師陣が行使に踏み切ったわけですか・・・・」
「そーいうこと」
「まったく、先生達も余計なお世話なんだよ・・・!」
いやいや、どの口が言うんですか。どの口が。
「・・・で、話を戻して杉崎が問題児どうのこうのだけど・・・」
「生徒会の全員をメロメロにしちゃったのは悪いとは思うんですがね・・・・」
「誰一人・・・・?なってないわよ・・・?」
「何故に断定しないのですか、会長」
「・・・・・鈍感ね。麻里菜って」
うわ、すっげぇ失礼なこと言われたんですけど!マジ傷つくわぁ・・・・。
「うんうん。俺は麻里菜がもう落ちてるってわかってたZE☆」
「~~~~っ/////うるさいうるさいうるさい」
かなり動揺してシ●ナの十八番セリフを1セット言う私。
鈍感てかうっすら気づいてたけども!他人の前で言われるとやっぱ恥ずかしいっての!
「まぁ、麻里菜を弄ぶのは面白いけれどこの辺にして・・・」
「清々しいほど外道だな、テメーは」
深夏が呆れた様子で呟く。
「・・・・杉崎を一番惨いバッドエンドに送ってもいいよね」
深夏に私も同意だ。そして会長、構わん、やれやれ!
次第に味方が減ってきたことを察した杉崎君は強引に話題を方向転換した。
「でも、俺にとって一番恐怖なのは最初に会長が言った通りのことなんですよね・・・」
「?どういうことなの。それって」
「『つまらない人間になる・・・・恵まれた環境に居続けていつしかそれが当たり前になっていく・・・』って事よね、杉崎君」
「ああ、その通りだ麻里菜。俺は生徒会入りして1ヶ月しか経ってないけれどこのハーレム状況が楽しくて仕方がないッス。・・・・けど、いつかその状況が当たり前に感じたら・・・・て思うと」
「あー、それは分からないでもないかな。意識してたってどうにもならない事だし。生活ランクと同じで一度裕福な生活に慣れたら収入が落ちて貧乏になっても中々その生活基準を下げられないのと一緒よ」
「そーいえば、会長の父親って会社の経営者でしったけ」
「そうよ、麻里菜。だから良くも悪くも収入の浮き沈みが激しいっていうか・・・・」
「成程・・・。それで会長は美少年を金で侍らす趣味が未だにやめられないと・・・・」
「そうなのよ・・・・・って、そんなわけないじゃない!私にそんな悪女みたいな趣味は無いわよ!杉崎と一緒にしないで!」
また杉崎君が会長を弄っていた。ちょくちょく弄る私が言うのもアレだが
こんなに弄り甲斐がある先輩は
だが、会長が言っていたことはごもっともで一度上のランクに至ったら下のランクには戻れない。すぐそこにあるはずの幸せが目に入らなくなる。だから人は上へ行き続ける。だが必ず物事には限界というものがあってそこで停滞してしまえば、世の中がつまらなく感じるようになって“つまらない人間”になってしまうだろう。
「真冬はそうなりたくはないですけど、どうやったらそうならずにいられるのかはよく分からないですよね・・・・・」
「まぁ、確かに『常に上へ上へ行きたい』ってのは人として当然の欲求なわけだし、意識して歯止めをかけるのは難しいと思うよ」
「あーちゃんが言ってたことをやろうとすれば《悟り》みたいな精神的な境地に至るしかないんじゃないかしら」
「なんか、つまんねーな。それ」
「まぁ上へ上へ行き続けるのは『勝ち組』とかと呼ばれる一部の人だけよ。大抵の人は何処かで妥協してそこそこの幸せを掴むものなのよ」
知弦さんの言うことは正論だ。私もゆくゆくはそうなっていくのだろうね・・・・。
「駄目だな・・・・」
「「「「「え・・・・・?」」」」」
杉崎君の言葉に私を含めた全員が杉崎君を見る。
杉崎君は思いっきり立ち上がって高々と宣言した。
「俺は美少女ハーレムを作る!」
「いや、ル●ィの『俺は海賊王になる!』的なノリで言われてもなぁ・・・」
深夏は呆れていた。が、お構いなしに続ける杉崎君。
「妥協するにしたって俺は高い所から妥協してやる!美少女を侍らしてから
『あー、美少女飽きた・・・・』って所まで上ってから妥協してやる!」
「成程ね・・・・。取り敢えず行けるところまで行ってみようって事ね。いいんじゃないかしら。好きよ、そういうの」
「そうやって進んで行く方が杉崎君に似合ってると思うわ」
「ハーレムっていう動機は納得いかねーけど、そのスタンスは悪くないな」
「そうですよね・・・・今から悩んでいるより取り敢えず上へ行ってみる方がいいかもしれませんね」
動機こそ不純なものの、スタンスに納得する私達。
「えー、あんまり頑張るのは疲れるよぅ・・・・・」
・・・・・台無しだった。会長の駄目人間発言にいいムードが台無しだ。
現在進行形で既に妥協していた。今の現状で満足していらっしゃる。
その会長は(知弦さんの)スナック菓子を頬張って幸せそうだった。
幸せならなんでもいいみたいだ。至極単純なお人だ。
暫くして(知弦さんの)スナック菓子を食べ終えると満足そうに宣言した。
「というわけで、今日は解散にしますかぁ」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」
その瞬間、「とことん駄目人間だコイツ・・・・」と会長を除く全員が思った。
けど、ここで解散なんだよね。今日は。
・・・私達はここからが本番なんだけどね・・・。
「はい、紅茶淹れたよ。一息入れたら?」
「おお、サンキュな」
「今頃、会長達は私達の事、話してるのかもね」
「ああ、多分な」
「でも、良かったの?」
「・・・別に俺が好きでやってる事だし、良いんだよ」
「そっか。無理だけはしないでよ?」
「それをそのまま返すぜ麻里菜。お前も忙しいだろうに」
「わかってる」
「ならいいけど。あ、そっちの書類の確認できてるか?」
「はい。こっちの書類に不備はないわ。そのままでOKよ」
「じゃあ、こっちの書類も確認頼めるか?」
「はいはい了解。ねぇ杉崎君、ひとつ聞いていい?」
「?なんだ?」
「『つまらない人間も悪くない』って思ったりしない?」
「なんだよ、藪からスティックに」
「なんでルー●柴の●ー語なのよ」
「まぁ使う機会逃してたりしてたし。・・・・どういうことだ?」
「日常がつまらない人間が寄り集まると逆に楽しいことがあるんじゃないかなって思ってさ」
「それはあると思うぜ?だって俺たちがいい例じゃねぇか」
「そっか、そうだよね・・・・ありがと。すg・・・キーくん!」
「・・・麻里菜、お前俺の事今、『キーくん』って呼ばなかったか?」
「ぅえ!?き、気のせいじゃないかな!?」
「何狼狽えてんだよ・・・・」
「何でもない。何でもないったら何でもないの!」
「・・・・変なの」
そういった会話の後再び雑務に戻った杉崎と麻里菜であった。
私立碧陽学園生徒会では毎日つまらないという人間達が楽しい会話を続けている。
字数を抑えるのが最大の課題かもしれない・・・。
ではまた次回お会いしませう。