生徒会の一存 -アイドルは生徒会長(補佐)!?-   作:あこ姫

15 / 17
お久しぶりです。
2年ぶりの更新です。
それではどうぞ。


第十四話  反省する生徒会 ①

「過去の失敗を糧にしてこそ、我々は前に進めるのよ!」

 

 会長が荒っぽい高校が舞台の作品(緋●のア●ア)ももまん好きの主人公(神崎・●・ア●ア)みたいな小さな胸(ひんぬー)を張って何かの本の受け売りを偉そうに語っていた。

 生徒会室のホワイトボードには既に今日の議題が書かれている。

 

「第一回 生徒会大反省会」

 

 と。

 ここに書かれているという事は決定事項なのだろう。

 私達に了承の「り」の字も得ていないのに。

 私はぶっちゃけどうでもいいのだが、キーくんの方を見ても「面白くなさそうな」表情をしている。

 会長はやる気マンマンだし……軌道修正は……不可能だろう。

 そう考えていたら、この議題に不満のある深夏が「えー」と不満の声をあげた。

 

「反省たって、未だ二ヶ月程しか活動してないじゃねぇか!」

「深夏! 貴女は去年から活動しているでしょうが!」

「い、いや、でも、今日のは『()生徒会』という事だろう? だったら……」

 

 深夏が如実に嫌がる素振りを見せ、それが不満な会長と口論になる、

 言い忘れてはいたけれども、()()先輩であるはずの会長や知弦さんにも深夏が基本タメ口なのは、去年一年間の交流があった為らしい。

 ……今の生徒会と違って、去年は生徒会でとにかく熱い内容の会議が多かったらしい。故に性格的のな物も助長して、敬語なんて使ってられなくなったのだろう。

 敬語といえば、私とキーくんが琴葉と亜梨沙に対してはタメ口である。

 数年前に死んでいるとは言え、生存していれば私達のかなり年上……ぶっちゃけ、新任で着任した教諭よりも年上なのである。

 では何故、タメ口なのか。

 琴葉の場合は……性格によるものだ。琴葉は深夏の上位版な性格で堅苦しいのがNG。故に私は初対面で敬語を止められた。

 対しての亜梨沙の性格的にはそうではない。しかし、守護霊なのに「敬語対応」だと、「距離感が遠い」と思うらしい。故にその距離感を縮めたいと思う彼女の希望故である。

 

 ……閑話休題。

 去年に真面目な内容で熱い会議を交わしていた反動によるものなのか、今年の深夏はこういった真面目な内容の会議に嫌悪感を示す様になっていた。

 今年の生徒会の空気が基本、とても緩いのもその一因だろう。その居心地の良さに慣れてしまったが故に今日の様な真面目な議題は以ての外だった様だ。

 深夏の不満顔に会長がバンッと机を叩いて怒鳴りつける。

 

「そういう生温い考え方が、現生徒会を堕落させているのよ!」

「生温い考え方で、堕落て……」

 

 私は思わず口に出す。

 ……緩い生徒会ってのは否定できないが、そこまで酷くはないだろう。

 私と同じく今年新加入のキー君、そして真冬ちゃんは苦笑いしていた。

 その陰で

 

「この空気の八割はアカちゃんの怠惰のせいだと思うけど……」

「九割の間違いでしょ……?」

「琴ちゃんに私も同意。ま、何処かの宗教の怠惰担当が出ないだけでもマシよね」

 

 知弦さんと琴葉と亜梨沙がポツリと真実を的確に突く会話を密かにしていた。

 それを会長本人に聞こえないようにしているあたりが彼女達の優しさなのだろう。

 亜梨沙……ペテル●ウス・ロマネ●ンティなんざ居てたまるかよ。アレが居たら阿鼻叫喚モノだわ。

 会長は深夏から私達に視点を変えて再び机を叩いた。

 ……この行動は会長本人からすれば「強く威圧的に」叩いているつもりである。

 しかし、第三者視点からすればどう見ても「子供が駄々を捏ねている様にしか」見えないのだ。こういうところで妙に微笑ましく思えたりする。

 

「杉崎やルカの方が反省点だらけじゃない! ルカは完璧に見えて迷惑かけてそうだし、杉崎に至っては寧ろ、反省点以外が見当たらないじゃない!」

「私の事そんな風に思ってたんですか……」

「俺の人格全否定っすか」

「うん。そうだけど? 杉崎は……何処か肯定するところあるの?」

 

 即答で答えられて、更に凄く純粋に首を傾げられてしまった。

 ……/(^o^)\ナンテコッタイ、ひでぇ…………。

 

「私がそんな風に見えますか……ねぇ?」

「や、あるでしょう。俺にだって、いいところ。……ねぇ?」

 

 御互いに向き合って、生徒会の他メンバーに訊ねてみる私達。

 すると、全員「むぅ……」と唸って神妙な空気になった。

 んーと、すっごい嫌な予感がするぞ? コレ。

 その空気の中で先程まで反対意見だった筈の深夏がポツリと呟く。

 

「反省会……すべきかもしれねぇな」

「うぉぉい! 何だその急激な方向転換!」

「真冬も……御二人を見ていると、早急に反省会を開催する必要性を感じました」

「真冬ちゃんって見た目と裏腹にガッツリ人の精神抉る事言うよねぇ!?」

「キー君もみーちゃんも反省する為に生まれてきた子よね」

「「そんな目的で生まれる悲しい子がいてたまりますかっ!!」」

「まぁ、その現実受け入れろや。な?」

「何が『な?』じゃ。先ずはテメェが反省するべきだろうが!! バカ琴葉」

「ゴメン。流石の私でもどうしようもない」

「うん。真顔で謝らないでくれるか、亜梨沙。一番ダメージ大きいから」

 

 や、ヤベェ……。もうこれは以前の更生云々と似た流れだ。

 私はなぁなぁで終了出来るだろうが、キーくんにとってはマズイ方向性だ。

 だけど…………反省会開催の流れは決定したも同然……こうなれば……

 一応、キーくんにアイコンタクトで了承確認を取る。

 キーくんが頷き、了承の意を示したので、私は最後の手段に出る事にした。

 

「確かに私達は反省点だらけですよ!」

 

 開き直り。これには会長も意表を突かれたのだろう。その証拠に目をぱちくりさせている。

 それにキーくんが続ける。

 

「しかし、そんな事は俺達が生まれた時からの、今更言うまでもない現実! だからこそ、俺達に反省を促す事程無駄な時間はありません! だったら、今日は俺とモモ以外のメンバーが反省すべきでしょう!」

「う……なんか説得力あるわね。貴方達、自分を全否定してるクセに」

 

 会長が私とキーくんに気圧されていた。知弦さん、深夏、真冬ちゃんも空気に呑まれている。幽霊組……。その表情(゚A゚)ヤメロ!! 

 私とキーくんはこの好機を逃さず、さっさと会議を進めてしまうことにした。

 そう……『Master(マスター) Of(オブ) Ceremony(セレモニー)』。

 要は司会者たる立ち位置を奪ってしまえばいい。そうすれば、私とキーくんがこの話を制したのも同然よ! 

 

「さしあたっては……会長! この会議の発案者でもありますし、この生徒会における最高責任者たる貴女が率先して反省するべきなのでは?」

「うっ……」

 

 私が()()()そう告げると、会長は大きく仰け反った。

 それと同時に他メンバーの間にも「確かに……」という空気が流れる。

 私はこれで此方が主導権を握ったのを確信し、キーくんに発言をバトンタッチする。

 

「では会長。先ずは、会長自身が、自分の反省点だと思う所を挙げて見てください」

「わ、私の反省点?」

 

 会長は「ふぅむぅ……」と、考え込み始める。

 会長だったら…………反省点なんて山ほど有るだろう。他人な私でも軽ーく思い出しただけでも余裕で煩悩の数は超越する。

 今日は会長のターンだけで会議は終了するだろう。

 知弦さんも深夏も真冬ちゃんも琴葉も亜梨沙もそんな事を考えていたのだろう。

 各々が沢山思い当たる会長の反省点を只々( ゚ ρ ゚ )ボーっと思い浮かべているようだった。

 そうして沢山有りすぎる故か、会長は五分程たっぷりと熟考し、満を持して私たちに告げてきた。

 

「ないわね」

 

「何処まで自分に甘ぇんだ、このヤロォ━━━━!!」

「考えた末にそんな戯言とか巫山戯てんのか、テメェ━━━━!!」

 

 その答えに私達はキレた。

 いや、当たり前だろ? 

 

「わぁ! 杉崎とルカがキレた! 急にキレた! 理由なくキレる現代の若者、怖い!」

「理由有りまくりだわ! 古代の老人でもキレるわ!」

「テメェが原因なのが理由じゃねぇか!! んでもって私とテメーの年齢1つしか変わんねぇじゃねぇか!!」

 

 その証拠に知弦さんも深夏も亜梨沙も、真冬ちゃんや琴葉までもが額に怒りマークを浮かべていた。

 そんな皆の様子を見て、「あ、(・3・) アルェー?」と首を傾げる会長。

 

「えと……なんか、皆怒ってる? どうして? あ、ああ、私があまりに完璧人間すぎて、ちょっと嫉妬しちゃったのかなぁ? ゴメンね? やっぱり会長に選ばれるくらいだから、私って、欠点とかないんだよねー」

 

(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ(#^ω^)ピキピキ

 

 生徒会室に怒りの殺気(オーラ)が充満する。

 ふーん。よーく解ったわ。

 確かに反省会は早急に必要だ。

 このお子様会長はそろそろ教育を……ねっちょりしないとねぇ(暗黒微笑)

 

「会長…………そこに正座」

「は、はいっ!! 仰せのままに!!」

 

 私の威圧で会長はちょこんと真面目に、靴を脱いで背筋を伸ばして自分の椅子に正座しなおす。

 私は立ち上がって、会長を見下しながら教育を始めた。

 

「よろしいですか、会長」

「は、はい……」

「過去の失敗を糧にしてこそ、我々は前に進めるのですよ?」

「そ、それ、私の名言──」

「黙ってくださいね(ニッコリ)」

「ひぅっ…………」

「かの偉人、ジャンヌ・ダルクは言いました。『反省することです。そうすれば神もヒ●ナン●ス! デビューされます』と」

「それ、絶対に言ってないよね……」

「黙りましょうか(ニッコリ)」

「わにゃぁ……」

「キーくんも私と同じことが有るそうなので、バトンタッチします」

 

 ここで攻撃手交代。

 

 私→キーくん

 

「良いですか、会長。かの偉人、聖徳太子は言いました。『人間、反省なくして月9出演は有り得ない』と」

「絶対に言ってないと思うけど……」

「だまらっしゃい!」

「ひぃ」

「時代考証などどうでもいいんだ! 要は『反省しろ!』って事なんですよ!」

「じゃあ最初からそう言おうよ……」

「とにかく! 会長は反省すべきです! 反省無くして会長の未来は深淵の闇よりも暗くて希望もありません!」

「そ、そこまで言われるほど酷いのかな…………私って」

「「「「酷い。 絶望的なまでに」」」」

「言い切った! しかも四人揃って!? 『絶望的なまでに』ってどのくらいなのよ!」

「「「「まんまのイミだよ」」」」

「嘘ぉ…………」

「悪いですが、追加情報です。 会長」

「な、何よ…………杉崎」

「オリ●ン調べの『反省すべき生徒会長』ランキング、三年連続の堂々の一位です!」

「オ●コン、そんな事まで調べてるの!?」

「杉崎鍵の中の『抱きたいロリ美少女ランキング』でも堂々のダントツ一位ですが」

「キーくん、激しくどうでもいいよね? その情報」

「なにおう!? 流石のモモでもその発言については許す事は出来んぞ!?」

「殺ろうっての? キーくん?」

「上等だ。 返り討ちにしてやるよ……!!」

「おぉう、火花がすげーの」

「亜梨沙、止めないの? 私が言うのもアレだけどさ」

「ヤラセタイヨウニヤラセレバァ?」

「ちょい? なんで悪霊化してるんですかねぇ?」

「ダッテ、ワタシノキークンヲバカニシタンダヨ? ソノジテンデジュウブンニバンシニアタイスルンダケドォ??」

「あ、悪霊退散っっっ!! そして、今すぐに正気に戻れぇい!!」

「あ、あのぅ…………わ、私は??」

「「「「あ」」」」

「な、何よ…………」

「「「「忘れてたわ」」」」

「酷い! そして私の扱いが雑!」

 

会長がギャーギャー喚いていた。全く何なのだろうか。

 

「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ 発情期ですかコノヤロー」

「違うよ!! 私、そんなにお盛んじゃないからね!? ルカは何言ってるの!?」

「そんな事だから言われるんですよ、会長」

「『反省すべきなんですよ。性的なイミでも』……と、ですよ」

「性的なイミでもぉ!?」

「まぁ、そこらの洗の……調k……教育は後々に回しますが……」

「今、『洗脳』とか『調教』って言おうとしたよねぇ!?」

「何のことでしょうか?」

「……ま、まぁ良いわ。 その語句達は気のせいだとしても、事実私の未来って真っ暗じゃない!」

「ではまず…………そうですね。 真冬ちゃんあたりから、会長の反省点を挙げて貰いましょうか」

 

そう言って、キーくんは真冬ちゃんに話を振って口撃手(誤字に非ず)を交代した。

何時もだったらこういう時は大抵キョドる彼女だが、今回は臆すること無く話に参加していた。………どうやら会長の反省点についてのストックがかなり有るようだ。

会長はというと「うわぁ……………orz」と落ち込んでいた。

知弦さんと深夏は自分の順番を今か、今かと待ちながら、私・琴葉・キーくん・亜梨沙は無言で見守る中、真冬ちゃんはおずおずと立ち上がって発言をする。

 

「ええと、まずはですね……。 うん、会長さんは、もうちょっと考えてから行動した方が良いと、真冬は思います」

「「うぐぅ!!」」

 

真冬ちゃんのいきなりのエッジが鋭い口撃にダメージを受ける会長…………と序でにダメージを被る会長だった琴葉。

此処までダメージを与えるとは…………真冬ちゃん、その口撃力がマジでパネェ。

 

「なんて言うか、会長の行動は殆ど思いつきというか………思いついて二秒後に口にしている印象なんですよね。 汐留先輩でさえ、四十二秒は有るのに」

「うぐぐ………」

「私、ちっとも嬉しくないんだけど。 褒められてるよね?」

 

琴葉は皆に問い掛けるが、誰も答えなかった。シカトされて凹んだ琴葉を無視して真冬ちゃんは発言を続ける。

 

「かの偉人、エジソンは言いましたよ。『ボスを倒しに行くなら、充分にレベルを上げてからにしろ』と」

「や、だから、絶対言って無いと…………」

「そういう問題じゃないんです! 要は、何かするなら、ちゃんと準備しなさいってことなのです!」

「だから、それならそうと…………っていうか、ルカといい、杉崎といい、真冬ちゃんといい、偉人の名言捏造は何故必要なの…………」

「さぁ?ノリとか………じゃあなさそうだし、説得力云々じゃね?」

「そうであってなんか違いますよ、汐留先輩。 それと会長さんはツッコミばかりしてないでちゃんと反省してください!」

「ツッコミを必要とする発言をする方にも問題が有ると私は思うのだけども!」

「会長さん…………真冬は失望しました。 そんなにツッコミが重要で必要ですか」

「重要だし必要だよっ! これを(スルー)したら、完っ全にCHAOSじゃない!もう訳がわからないじゃない!!」

「わけがわからないよ」

「キュ●べえは黙ってろよ。契約して魔法少女にならねぇからな?」

「存在忘れられそうだからボケたのに。 正論で返すなよ、亜梨沙」

「真冬は一生忘れてるつもりだったんですけど」

「をい。後輩よ、その扱い方どうかと思うんだが? 」

「残当ですよ。あと、訳わからないのは貴女です、会長さん!」

「絶対杉崎とかルカとか真冬ちゃんよ!」

「遂には責任転嫁ですか…………真冬は失望しました」

「1μmも移動して無いわよ! 有るべき所に責任を求めているだけなんだけど!」

「もう良いです。 真冬からはもう、何も言える事はありません…………」

 

そう呟き、深く嘆息しながら着席する真冬ちゃん。

 

「え、何その終わり方! 凄く私が我が儘みたいじゃない!」

「私の扱い方釈然としないんだけど!」

 

会長と序でに琴葉が何か喚き散らしていたが、私達の失望ムードは変わらなかった。琴葉は仕方ないとしても、全く…………これだから会長は…………。

 

「や、だから、何なのこの空気!? 私、割とマトモな発言してるわよねぇ?」

「「「「「「「……………………」」」」」」」

 

会長の言葉に琴葉を含めた会長以外の全員が「何言ってんだ、コイツ…………」といった感情になり、一斉に明後日の方向を向いて目を逸らした。

 

「琴葉までそういう態度なの!? 本当にこの生徒会って、偶に私を拒絶するわよね…………」

 

会長は嘆息し、黙り込んだ。その様子を見て、今度は深夏が立ち上がった。

此処で口撃手が交代するようだ。

 

つづくっ。

 

 

 

 

 




如何だったでせうか。
今回も悪乗りしちゃいました。
故に三話か四話かかるかもな()

久々に書いたもんで色々とあやふやだったわ()

次は何………年後になるかどうかも未定。
気まぐれでの更新だしさ。でもなるべく早めに更新する………たぶん。

それでも次回を御期待くださいなの。
それではまた次回お会いしませう。ばいばいっ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。