生徒会の一存 -アイドルは生徒会長(補佐)!?-   作:あこ姫

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前回までのあらすじっ!
会長がON●PI●CEを一気読みしたことによって始まった議題「生徒会の新活動の模索」。
その議題は“ブレインストーミング”という方法で話し合われることに。
それを知らない会長を弄った後、話し合いが始まる。
しかし、各々の個性的すぎる意見なため、「否定しない」という前提は行方不明に。
椎名真冬が自虐モードになって桃花の膝の上で慰められたり・・・とあったりして。
そして、満を持しての真打・紅葉知弦の登場である・・・・!



第十三話  冒険する生徒会 ③

「私は、今のこの生徒会の在り様こそが、冒険だと思っているわ。だから、このままがいい」

「え・・・?」

会長は吃驚(びっくり)した様に声を上げる。

キーくんも、深夏も、今なう。まで部屋の片隅で凹んでいた真冬ちゃんでさえ顔を上げ、知弦さんの方を見る。

知弦さんはふわり。と微笑み、続ける。

「新しい活動を模索するのは立派な事だし、正しい事だって思うけどね。だから、これは、ただの私・・・・・<生徒会書記>としてではなくて、紅葉知弦・・・・・一個人としての感情・・・・俗に言ってしまえばワガママなんだけど」

「『ワガママ』ですか・・・・?」

「ええ。もしその『生徒会の新活動』とやらをしたが故に生徒会が多忙になって、今の状態が壊れてしまうのなら・・・・」

「『個人的な只のワガママとしてこのままが良い』と・・・・」

「そのとおりよ。みーちゃん。だって、この生徒会は・・・・・・今のままで充分に魅力的だと思うから」

「知弦、モモ・・・・・・・」

会長が複雑そうな表情でこちらを見る。まぁ、会長の気持ちは解からんでもない。

それに対する知弦さんは安定の笑顔だった。

「勿論、アカちゃんの意見はとても立派だし、正論だと思うわ。生徒の事を思うのならば、本当は、もっともっと自身の身を粉にして、生徒会役員として働かないといけないのでしょうね。

 だけど、私は・・・・・・こんな事を言ったら『不真面目だ』と言われるかもしれないけど、生徒会って、“部活”とか“サークル活動”みたいな感じで捉えているの。気の置けない仲間達と和気藹々・・・・わいわい楽しめる、そういう場所。

生徒会の活動テーマとしては一応、“生徒達を統率を担当する生徒の集まり”だけどね。本音を言わせて貰えば・・・・私は別に、不特定多数の『生徒』を心の底から思いやって無償で働ける程、出来た人間じゃないわ」

「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」

知弦さんの意見に、私を含めた皆が沈黙する。

だって知弦さんの言ってる事は私達全員に当て嵌ることだったから。

ファンの人々の事を思って活動する職業・・・・・。“アイドル”である私でさえも。

ただ、一つだけ意外だったのが、会長が知弦さんの意見に反論しなかった事だ。普段ならば「生徒達のことが第一よっ!それが生徒会じゃない!」などと正論を言う場面でもあったのだが。今は神妙な表情のまま、知弦さんの意見に耳を傾けていた。

知弦さんは更に続ける。

「生徒会役員が生徒会役員としてこなすべき業務は・・・・・いえ、マニュアルに書かれたようなことは、こなすのは当然であるべきだと思うわ。そしてアカちゃんも言ったとおり、そのうえで新しい“何か”を作るべきなのかもしれない。

だけどね・・・・・・。私は、別に、新しい活動に関しては、今、無理をしてまでするべきじゃない。って思うの」

「『“無理”というのは、私達の今の・・・・ダラダラしたゆるーい感じのペース崩してまで・・・・・』って事ですよね、知弦さん?」

「ええ。その通りよ。みーちゃん」

「でも・・・・『ダラダラしてる』っていうのは、やっぱり・・・・そんなの、不真面目っていうか・・・・・・・」

ここで、会長がようやく反論をする。しかし、知弦さんはそれでもなお、微笑みを崩さなかった。

「そうね。不真面目よね。生徒会室で世間話をするなんて。・・・・・本当はしちゃいけないのかもしれない。・・・・・でも」

「でも・・・・?」

キーくんが聞き返す。

知弦さんの言葉に次ぐように私も発言する。

「でも、今の生徒会・・・・・そしてこの学校の雰囲気が大好きで、楽しい。何かがあるわけじゃないけれど、今のこの学校には、とても柔らかい空気が満ち溢れているように感じられる。・・・・・そうですよね、知弦さん?」

「みーちゃんの言うとおり。去年の・・・・・去年の今頃には、こんな風に思える事はなかったもの。あ、勿論、去年の生徒会はとても優秀だったと思うけど。やっぱり、今年とは違ったから・・・・」

知弦さんが何かを懐かしむ様な感じで窓の外を見る。

知弦さん・会長・深夏は去年も生徒会役員だった。役職は知弦さんと会長が副会長、深夏が会計。で、そこに生徒会長の姫椿りりん先輩、書記の桃月小夜子先輩が加わって第三一代碧陽学園生徒会は成り立っていた。

今思えば、りりん先輩は、とても有能かつ、真面目な人だった。私は去年は生徒会役員ではなかったものの、放送部関連で何度か話をしたことがある。(名前呼びなのも、その頃本人に言われた)

勿論、良い人ではあった。だけど、生徒会主導のイベントをそつなくこなしていた印象がある。

まぁ、それはそれで安心感もあったし、それはそれで良い。

だが、今年の・・・・・今の様な校風では無かった。

何と言うか、ピリっとした・・・・・何か引き締まった感じだ。

それはもう、「ここは学校だ!」と言わんばかりの。まぁ、どちらが正しいとは言えないが。

そして、今の校風と言ったら・・・・・

「でも今は、この学校はとても・・・・なんていうか、温かいのよね。まるで大きな家みたい」

知弦さんは続ける。

「別に前年の生徒会を否定するわけじゃないの。でも・・・・私個人としては、この雰囲気が好きなのよね。この・・・・上に立つ生徒会からのんびりしていて、でも、その空気がちゃんと生徒にも伝播していて、“荒れる”んじゃなくて、“ゆるく”なっている様な・・・・・この状況が」

「・・・・そう」

会長は優しげに微笑んでいた。それにお返しと言わんばかりに知弦さんも笑いかける。

「だから、私はこのままがいいな、アカちゃん。変に・・・・・無理をしてまで、新しい何かを作り出そうとしなくてもいいんじゃないかしら。いえ、作ることが駄目ってわけじゃないのよ?ただ・・・・・」

「ただ、今はその時期じゃない・・・・・って事ね、知弦。そうね・・・・ごめん。私、ちょっと焦ってたかもしれない」

(あの)会長が(珍しく)素直に引き下がった。その様子を見て知弦さんは優しく微笑む。

それにつられたわけじゃないけれども、私・琴葉・亜梨沙・キーくん・深夏に真冬ちゃんも、肩を竦めて笑っていた。

深夏が大きく嘆息する。

「なんだよぉー。じゃあ今日の会議やあたしの提案全部無駄かよー」

「いや、流石に全部無駄って事はないでしょ、(多分)その提案が活かされる日は(多分)あると思うわ」

「そうだよ、文句言わないの、お姉ちゃん。真冬なんて・・・・・存在自体が無駄なのですから・・・・・」

「Σ(・∀・|||)ゲッ!! 真冬、お前まだ引き摺って・・・・」

「真冬ちゃんのあーいう所こそがいい面でもあると私は思うんだけどなぁ・・・・」

「でも、そのベクトルの方向が間違っている気がするんだよなぁ・・・・・」

「あー、分かるんだ?琴葉でも」

「私()()ってどういう事さ!?そこまで馬鹿じゃないし、伊達に守護霊やっててモモとの付き合いも長いんだしさぁ!」

「そうだったね。そうだった、そうだった。メンゴ、メンゴ」(←棒読み)

「いや、本気で謝ってんの!?それ!!謝る気あんの!?モモ!?」

「だって・・・・・・、ねぇ?亜梨沙」

「そうだよね。琴ちゃんだもんねぇ・・・・」

「亜梨沙も!?酷くない!?もうなんなの、貴女達!?」

「「え、親友ですが、何か?」」

「嘘だっ!!今この瞬間、そうは思えなくなってるんだけど!!」

「「それは多分気のせいだ。あとそのネタ五回目だし飽きた。いい加減やめろ」」

「ちくせう!なにその連帯感!本当に気のせいじゃなくて、事実だよ!あと律儀にカウントするな!!そんなに私弄ってそんなに楽しいか!?」

「「うん。なんかすっごい楽しい」」

「うにゃぁぁぁぁぁぁっ!!この外道共がっ!!」

「「外道とは酷いなぁ」」

「どこが!?今までのどこに否定する箇所があんの!?」

「「え、あったけ?そんなの」」

「ね?真冬ちゃんのなんてほんの些細なレベルなんだよ。私に比べたらさ・・・・」

「あー、うん。なんかごめんなさいです。汐留先輩」

「謝られても惨めになるから。わかればいいんだよ・・・・。わかるだけで・・・・」

なんか、琴葉が達観したような表情をしていた。何でだろうか?(←自覚なし)

椎名姉妹のやり取りから発展した琴葉弄り(恒例)に会長と知弦さんがクスクスと笑っている。

キーくんはそんな彼女たちに話しかけた。

「でも、会長、知弦さん」

「ん?なに、杉崎」

「どうしたの、キー君」

「いつか、余裕ができたら、新しい活動しましょうね。その・・・・俺達らしい、ゆるーい企画でも」

キーくんのその言葉に、二人は微笑む。

「当然よ」

「そうね、キー君」

と、実に彼女達らしい答えが返ってきた。

 

あぁ、良かった。今日は平和な感じで終われそうだ。

やっぱりこういう形で終われるのがやっぱり良いよね。うん。それがいい。

その時、スマホが鳴った。

相手は・・・・・風紀委員長か・・・・・。

って事は()()O☆HA☆NA☆SHI する輩でも湧き出たのだろうか。

全く、こんな時に湧き出なくてもいいのに。もう、八つ当たりじゃ、八つ当たり。

「会長、少し用事が出来たので失礼しますね」

「あ、うん・・・・・・」

「あっ・・・・!ねぇ、琴ちゃん、もう出ないとヤバいなんじゃない!?」

「Σ(゚д゚lll)もうそんな時間なの!?行こう!亜梨沙」

「あ、うん。会長、私達もこれで失礼します。お疲れ様でした」

「うん。お疲れ様・・・・・・」

ぱたん。

私と琴葉と亜梨沙は生徒会室を後にした。

さて、と・・・・・・。校舎裏行くか。

 

校舎裏・・・・・。

「ザッケンナコラーッ!」

「スッゾコラー!」

「チェラッコラー!」

「ルルァックァラー!」

「ワドルナッケングラー!」

「ワメッコラー!」

「ドカマテッパダラー!」

校舎裏にはヤクザスラングを連発するわかり易い不良共がいらっしゃった。

あーあ。もうやだ。さっさと終わらそう。八つ当たりも兼ねてな!

「いきなりだけど、てめぇら咬み殺す。答えは聞かねぇから☆」

そう言って満面の笑顔でダー●リパルサーとエリ●シデータを構える私。

襲いかかってくる不良(雑魚)共を

「スター●ースト・スト●ーム」

S●O界隈で有名な二刀流上位SSで瞬殺した。(勿論、死んでないのでご安心を)

「( ´ー`)フゥー...」

剣を鞘に閉まって一息つく私。

「ありがと!助かったわ!」

風紀委員長(女子生徒)が労いの言葉をかけてくれる。

「ううん。気にしないで。また何かあったら呼んでね。・・・・・・!?( ゚д゚)ハッ!」

何か悪寒が走り身震いする私。

「・・・・・?どうしたの、一体」

何か凄く嫌な予感がする。

「ごめん!私、生徒会の用事が残ってるから戻るね」

「あ、うん・・・・。わかった。じゃあね」

「うん。またね」

そう言って以前も使ったトラ●ザムで生徒会室に戻った。

瞬●の術とか飛●神の術とか使えたら便利よね。マジで。

生徒会室のドアを開けると・・・・・・

キーくんが〇〇〇〇(ピー)を熱した✖✖✖✖(ダダダダ)で無理矢理に△△△△(ピヨピヨ)する事によって、なんと彼の◇◇◇◇(バーン)が次の瞬間には✽✽✽✽(カーン)と化しており、それに伴って連鎖的に□□□□(ぽよよよ)まで☆☆☆☆(ででーん)になるという惨劇が起こって更には―――(以下自粛(見せらんないよ!))という状態になっていた。

会長たちの反応からするに犯人はヤス・・・・じゃなくて犯人は知弦さんだろう。

最も、その発端はキーくんであって、自業自得な気もするが。

でも、モザイク必須な状態はoutなわけで。

()()()()、少しO☆HA☆NA☆SHIしませんか?」(暗黒微笑)

「あら、何かしら。この私に何か用でも?」(暗黒微笑)

後にその場面を目撃した会長・桜野くりむはこう語ったという。

「あの時の二人の背後には阿修羅が15000体位いた気が・・・・いや、実際に存在した!」と。

 

 

 

しばらくして。

「本当にすいませんでした。はいマジですいませんでした・・・・・・・・」

ひたすらに泣いて土下座し続ける紅葉知弦が出来上がったとか。

「怒らすな危険」という称号が私に与えられたのであった。

そして、「生徒会会長補佐・湊・ルーク・桃花を怒らすな。とっても危険。命が惜しかったら怒らすな。」、「生徒会会長補佐・湊・ルーク・桃花の暗黒微笑は死の予兆」という格言が爆誕したのであった。

 

おしまいっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご無沙汰です。
4ヶ月ぶりの更新です。
久々に書いてて凄く楽しかった。
ここで気づいたのが、リリシアさんと並んで琴葉が意外にもいじられキャラやり易い。
いやぁ、サックサク進んだ。
あと、暗黒微笑 便利。

そんな発見がこの話の執筆中にあったっりしまして。
今度は本編かえくすとら。なのかは不明です。
そして投稿日も未定っ!
そんな状態ですが次回もよろしくなのです。
ではではっ!

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