超超高校級の78期生 作:天星
調査パートはサクッと省略して、15人の高校生たちは裁判所へと向かう。
まぁ、単純な事件故に調査する事なんて殆ど無かったが。
裁判所にたどり着いてまず口火を切ったのは探偵だった。
探偵「今回の事件は被害者の自殺。それで間違い無いわね?」
格闘「ああ、その通りだ」
探偵「それじゃあ、投票に入りましょう」
そして、短かった調査パートよりも早く裁判は終了を迎えた。
クマ『って、ちょっと待てぃ!! どうなってんのさ!!!』
眼鏡「おいうるさいぞモノクマ」
水泳「ちょっと黙っててよ!」
クマ『えええっ!? いや、何で皆平然としてるの!?』
幸運「え? だって今回もエレベーターから居たよ?」
クマ『……え?』
そう言われた江ノ島は少し前の映像記録を見直す。
……確かに、居た。
って言うかなんでこんなデカいのを見落としてたんだろう。
探偵「納得した? それじゃあ投票に……」
クマ『ちょっと待ったぁっ!! じゃああの死亡宣言は何だったの!? 死んでなかったの!?』
探偵「? 何を言っているの? 死んでいたに決まっているでしょう?」
クマ『じゃあ何で今は生きてるの!?』
探偵「? 何を言っているの? 生き返ったに決まっているでしょう?」
クマ『何でそんな平然と言ってるの!? 命っていうのはそう簡単に戻らないから大事なんだよ!?』
水泳「そう言われてもね。今生きてる事が大事なんだよ!」
命の重さが重いんだか軽いんだか良く分からなくなってくる問答だが、江ノ島が話したいのは当然そんな事ではない。
クマ『って言うかキミ! さっきは死体の前で何かショックを受けてたよね!?』
水泳「え? ああ、アレはわざわざ毒を飲んでまで体を鍛えようとするさくらちゃんはやっぱり私みたいな運動選手とは考え方が違うんだな~ってちょっとショックを受けてただけだよ」
クマ『どゆこと!? 体を鍛える!?』
格闘「む? 自分から毒を飲む行為に体を鍛える以外の意味があるのか?」
クマ『そんな意味普通は無いからね!?』
さて、そろそろ彼女の、超超高校級の格闘家の能力を説明しておこうか。
まず、一つの疑問を提示しよう。
格闘家にとって最も重要な能力は何だろうか?
障害を文字通りの意味で打ち砕く腕力? 格上相手に策を弄する知力? まあそれも重要な要素であろう。
だが、彼女の意見は違う。
最も重要な能力、それは『成長力』であると彼女は答える。
そしてその為に必要な能力、それは並外れた『回復力』である。
超回復理論という言葉をご存知だろうか?
より身近な言葉に言い換えると筋肉痛。アレは酷使した筋肉繊維が破断し、それを修復する際に最初よりも多く回復する事でより強力な筋肉へと生まれ変わるという物である。
彼女の場合は訓練や戦闘などにより筋肉が破断した瞬間により強く再生する事で驚異的なスピードでの成長を実現した。
そして、彼女の超回復は筋肉だけに留まらない。
筋肉を持たない内臓などであっても傷を付けられた場合により強く回復するのである。
……さて、お分かり頂けただろうか?
彼女はわざと毒を摂取する事で自分の肉体を傷付け、そして強くするのである。
尤も、今回は毒が強すぎた為に一度死んでしまったが、その自慢の回復力により数時間で復活し、何とか裁判に参加する事ができたようだ。
そして、実は彼女の目的はこれだけではない。
水泳「それじゃあさくらちゃん、頑張ってきてね!」
格闘「うむ、オシオキを受けてくるとしようか」
クマ『え? ちょ、まさか……』
そう、彼女の目的はオシオキを受ける事でダメージを負い、そして自らの肉体を更に鍛える事である!!
超超高校級の格闘家 追記
彼女の能力の真骨頂はその驚異的な回復能力と成長能力である。
実は幼い頃はフグ毒もナイフも普通に効いていたのだが、死なない程度のダメージを受けつづける事によりそんなものを全く受け付けない強靭な肉体へと進化した。
きっと今なら今回の事件で使われた猛毒も普通に飲み下せるだろう。
彼女の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』