超超高校級の78期生 作:天星
江ノ島が思い浮かべてたコロシアイと何か違うが、コロシアイが起こった事は事実だ。
今回はあの探偵までもが死亡を確認している。前回のように実は生きていたという事はまず無いだろう。
今度こそ、今度こそきちんと絶望を与えられるだろう。
江ノ島盾子はそう確信していた。
……え? これはフラグじゃないかって?
ハハッ、何を今更。
死体発見アナウンスを流してからしばらくして再び放送で呼びかける。
『え~、皆さん、時間になりました。
学級裁判を行うので集まってね~』
その放送を聞いた高校生たちはエレベーターへと集まる。
江ノ島はしっかり14人しか居ない事を確認してからエレベーターを降ろした。
今度こそ、始まる。
皆が皆を疑いあい、絶望と狂気に陥れる、学級裁判が。
さて、この裁判は一体どんな言葉で始まるのだろうか?
さぁ、外の世界へと発信しよう。絶望の裁判の開幕の言葉を……
暴走「すまねぇ! 今回の犯人は俺だ!!」
…………アレ?
暴走「俺が……この俺がついうっかり不二咲を殺しちまったんだ!!」
記念すべき第一声が、何か自白だった。
モノ『ちょっと!! もうちょい抵抗……っていうかせめて黙っててよ!!
裁判の意味が無くなるじゃん!!!』
眼鏡「うるさいぞモノクマ。
おいどういう事だ、説明しろ大和田!」
超超高校級の御曹司のスタンド……もとい、執事にモノクマが弾き飛ばされる。
学園長であるモノクマへの暴力は校則違反だが、今はそんな事に構ってられないので寛大な心で見逃してやる。
決してあのスタ……執事が怖いわけではない。
暴走「実は……俺は不二咲に頼みごとをされてたんだ。
体を鍛えてほしいっていうな」
眼鏡「あの不二咲が? にわかには信じられんな」
暴走「そう言われても、本当なんだよ!」
眼鏡「せめて納得できる理由を持って来い」
今回の被害者である超超高校級のプログラマーは見た目は華奢な少女だ。
明らかに不良といった外見の超超高校級の暴走族に何か頼みごとをするとはとても考え辛い。
その内容が『鍛えてほしい』というのであればなおさらだ。
まぁ、あくまで『プログラマーが鍛えてもらう』のが考えにくいだけであって『暴走族が鍛える』の方は割としっくり来るのだが。
暴走「……理由は、言えねぇ」
眼鏡「……フン、まあいい。とりあえず事実だったとしておこう。
で、それで何で殺人事件になっているんだ?」
暴走「じ、実は……
筋トレの為にダンベルを持ち上げた瞬間にあいつからある事を言われて驚いちまって……
そしてダンベルがポーンとすっぽ抜けてあいつの頭に……」
そんなふざけた話があるか! と思って江ノ島は急いで映像を確認する。
するとそこには……暴走族の少年が言った通りの事が映ってた。
……え? 今まで確認しなかったのかって?
だって、探偵の完璧な検死(秒単位の死亡推定時刻は勿論、凶器の形状、速度、犯人の性別身長体重年齢その他諸々まで完璧に看破した)があったからモノクマファイル作らなかったんだもん。
眼鏡「凶器がすっぽ抜けただと? 何に驚いたんだ?」
暴走「それも言えねぇ」
ちなみに驚いた内容はプログラマーの少年による「実はボク、男なんだ!」発言である。
眼鏡「……まだまだ疑問は尽きないが、事件とは関係ない事のようだな。
では、投票を始めるとしよう。辞世の句の準備はできたか?」
暴走「……ああ、一思いにやってくれ。
俺は過失とはいえアイツを殺してしまった。
せめて謝りたいが……『それすら叶わない』」
こうして、一応2回目の学級裁判もあっさりと結論が出た。
今回のオシオキも抵抗されるんじゃないかと不安だったが、この様子ならむしろ自殺しそうだ。
前にも言ったが、投票した以上は間接的にクロを殺したことになる。その絶望は彼らの心を蝕むだろう。
江ノ島盾子は勝利を確信した。
幸運「それは違うよ!!」
そして、その絶望への導きを、超超高校級の幸運が論破する!
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