とある六兄妹と名探偵の話   作:ルミナス

71 / 83
この事件って一種のホラーですよね。私、こんな体験したら動けなくなってお陀仏になる自信しかない(動けても足が遅いからやられる)。

結論:米花町民は事件に遭いすぎて咄嗟の行動が身についてしまった説

私はこの説を推したい所存。

それでは、どうぞ!


第33話~封印された目暮の秘密・後編~

 佐藤が松本と話をし、彰たちが梨華から話を聞いている間、目暮は1人、被害者に背を向けて考え込んでいる。そんな目暮の尋常じゃない様子に、小五郎たちが心配そうな目を向けているが、彼はそれすら気づかないほどだ。

 

 そんな折、園子が小声で小五郎を呼ぶ。どうやら時間がかかることを理解し、1度持っている荷物を車に置き、トイレに行くために車のカギを貸して欲しいとのこと。それに小五郎は閉店時刻が迫っているため、急いだほうがいいと忠告した。園子もそれに礼を返し、蘭からも荷物を預かると、彼女は小五郎の車へと向かった。

 

 鼻歌を歌いながら鍵を指で回して車へと向かえば、目的の車の助手席側は停まっていたトラックが寄ってしまっていて開けないことを、園子は理解した。そこで彼女は反対側の運転席側から鍵を回し、扉を開けて荷物を入れ込んだ──それを見ていた憎悪の視線に気づかずに。

 

 それからほんの少したち、高木が1人で戻って来た。どうやら被害者から確認は取れたらしい。目暮が話を促せば、目暮たちの予想が当たっていたと返される。

 

「やはり、あの女性は車から降りて公園のトイレに行ったそうです」

 

「ふむ、そうか」

 

 そこで目暮は再度、考え込む。車と言う共通点はあるのに、なぜ今の流行に乗ってファッションを楽しむ女性を狙うのか。

 

(それとも、他に何かあるのか?──見落としている4人の被害者の共通点が)

 

「伊達はどうしたんだ?」

 

 彰が疑問を問いかければ、高木は伊達は女性を宥めてから戻ると言われたと話す。それを聞き、松田が携帯をスーツのポケットから取り出し、伊達に連絡を取り始める。それを見た佐藤が視線を厳しくした。

 

「ちょっと、松田くんっ!捜査中にどこにっ……」

 

「その捜査のためさ……伊達が戻ってきていないなら好都合だ」

 

 その時、コール音が鳴りやみ、伊達の声が返ってきた。

 

『はい、伊達』

 

「伊達か、お前今どこにいる?2人目のガイシャは近くにいるか?」

 

『いや、彼女を落ち着かせたから今から戻るってとこだが……まさか、また事件か!?』

 

 伊達からのこわばった言葉に松田は否定を返し、彼の本題に入った。

 

「2人目に話をするのが難しそうなら、そのまま1人目に向かってくれねーか?──訊いてほしいことがあんだよ」

 

『──分かった』

 

 伊達が同意したのを受け、松田が要件を話し出す。その傍らで、代わりに彰が事情を話し出した。

 

 

 

 駐車場から出た園子は、トイレの前にて悲観に暮れていた。なにせ彼女の目の前には清掃中の看板が置かれている。それはその階にだけ置かれていたのなら、彼女が悲観に暮れる理由はない。しかし、その清掃が他の階でも行われていたらしく、ここまで彼女が見てきた階は全て使えなくなっていたのだ。

 

「ンなもん、閉店後にやりなさいよ、たくっ!!この先のトイレは8階なのよ!?」

 

 園子は苛立ちを覚えながらも渋々と言った様子で向かっていく。

 

「なんか私、トイレ運ないって感じ……」

 

 その瞬間、館内に放送が流れ始めた。それは閉店を知らせる放送で、園子は焦りを募らせ始める。

 

 

 

「──それは本当なのかね!?梨華くん!!」

 

 彰から話を聞いた目暮が梨華に詰め寄れば、先ほど松田にも詰め寄られた彼女は、どこかうんざりと言ったような表情ながらも頷いた。

 

「本当ですよ。最近の若い子たちの間で流行してるファッションだって、友人ともちょうど先日、話題に上がりましたから」

 

 梨華がそこで、担架に乗せられ、ブルーシートに覆われて運び出されていく被害者に視線を向けて話をする。

 

「今どきの若い子たちは、あれだけ肌を黒くして、メイクも服も派手にして、ミニスカにニーハイの靴下を履くと──それに合わせて厚底ブーツを履くんです」

 

 梨華の言葉を聞き、蘭も漸くしこりが取れたのか、表情が明るくなる。

 

 そのタイミングで、警官同士が背中からぶつかり、遺体の足からローヒールが落ちた。

 

「だから──あんなローヒールは、あの服装でなら絶対に履かないはずです」

 

 そこで梨華が同意を求めるように蘭と瑠璃へと顔を向ければ、彼女たちは何度も頷いて返してくれた。

 

「──伊達から、少なくとも1人目は履いていたのが確定したと返ってきたぜ」

 

 松田も携帯の通話を切りながら話に入ってくる。また、遺体を運んでいた警官からも靴がぶかぶかであると報告が入る。

 

 

 

 園子が漸く8階のトイレで用を足し終えて出てくると、タイミングを計ったかのように売り場の電気が消されてしまう。それに慌てた園子が声を上げて自分の存在をアピールする──その背後に、複数のへこみが作られた金属バットを持つ、不気味な人間に気付かないまま。

 

 

 

 梨華の話を受け、それが本当であった場合、犯人がわざわざ靴を変えた理由が謎として浮かび上がってくる。

 

「なんで犯人はわざわざ靴を履き替えさせたりしたんだろう?」

 

「──きっと、気づかれたくなかったんだよ!」

 

 そこで一際高い声が高木の疑問に入ってくる。その声を上げた人物であるコナンを探そうとすれば、彼は高木たちの目の前に立っていた。

 

「……なるほど?坊主の言いたいことは分かったぜ」

 

 そこで松田も理解したらしくニヤリと笑う。その後では、彰が瑠璃と何か話し合いをしていた。

 

「犯人の行動理由である厚底ブーツ、それを履いた人物ばかりを狙っていると気づかれたくなかった……そうだな?」

 

 松田の言葉に、コナンも気障に笑って頷けば、3人の用紙を思い出した高木がそれを口に出し、厚底ブーツを履いていたのではと言った梨華の言葉が信ぴょう性を増してくる。

 

「厚底ブーツって言えば、藍沢さんが1年前に起こした交通事故の原因の1つに、運転中、彼女が厚底ブーツを着用していたためのブレーキングの遅れも上がっていたって、由美が言ってたわ」

 

「それは、本当か!?」

 

「はい。事故で亡くなった少年の母親と別れた父親が、強硬にそのことを主張していたけど、結局、認められなかったと……」

 

 その言葉に。梨華は不愉快そうに表情を顰めた。なにせそれが本当であった場合、彼女自身が、起こしてしまった事故に微塵も反省がないことを意味するのだから。

 

(……本当、嫌な思い出を掘り返してくれるわね、この事件)

 

 梨華の脳裏に過るのは、和樹が自殺する要因の引き金となったもの。それは──トラックの運転手による居眠り運転の話を、本人の親から聞いたときの場面だ。

 

(……どうして、なんで──平気でまた繰り返すのよ)

 

 梨華が強く手の平を握ろうとすると、その手を覆って止める人間がいた──蘭だ。

 

「……梨華さん、大丈夫ですか?」

 

 蘭の心配そうな表情を真っ向から見た梨華は、頭を冷静にするために息を深く吐き出した。

 

「……大丈夫よ……心配かけちゃってごめんなさい。それから──ありがとう」

 

 フッと笑みをこぼして彼女にお礼を返せば、気にしないでほしいと返される。梨華が今度また買い物に行こうと提案すれば、彼女はそれに乗ってくれた。

 

 そんな2人のやり取りを他所に、コナンと刑事組は話し合う。

 

「別れた父親?」

 

「えぇ。父親の酒乱が原因で、離婚したとか」

 

 その父親の名前を佐藤が思い出そうと顎に手をやったとき、コナンが声を上げる。

 

「──『定金』って名前じゃない?」

 

 それに佐藤が同意する。それを聞き、高木と、話し合いを終えて聞いていた瑠璃が目を丸くする。

 

「ちょっと待って……それが本当なら、あの人……っ!?」

 

「ああ、よっぽどの偶然でなきゃ、あの警備員の名前と同じ理由は……」

 

「おいっ、じゃあまさか、犯人はっ!?」

 

「──あの警備員だ!」

 

 それを聞き、目暮は高木に1年前の裏を取るように指示を出し、数人の警官たちには定金を探すように指示を出す。そこまで見届けると、佐藤がコナンと視線を合わせた。

 

「でも、よく分かったわね!」

 

「そんなの簡単だよっ!」

 

 笑顔を浮かべてコナンが説明をし始める。

 

 まず、犯人が狙う人物は厚底ブーツを履いていることが第1条件。しかし、第2の条件である車に乗っていてはそれが見えるはずもない。また、第3の条件であるデパートの客だったことを踏まえて考えれば、いつも駐車場で車の乗り降りをしているところを見れる警備員が一番怪しい。

 

 コナンがそう説明をすれば、小五郎が疑問を呈する。犯人の身長は約150㎝。被害者はそう証言をしていた。

 

「あの警備員は167㎝だって言ってたじゃねぇか」

 

「──被害者側の身長が高くなっていたんですよ」

 

 その疑問に答えたのは、コナンではなく、彰だった。

 

「被害者側の女性たちは全員、厚底ブーツを履いていましたから、彼女たちの身長は150㎝でも、そこに高さ10㎝以上の厚底ブーツを履いていれば、犯人と同じ慎重になります」

 

 彰の説明に小五郎は理解し、佐藤も頷いた。

 

「確かに、あの子たちの身長を測ったのは、本庁に来てもらったとき……警察の事情聴取だから、派手な厚底ブーツは避けたって訳ね」

 

「しかし、藍沢さんに復讐したいなら、こんなところで待ち伏せせずに、直接、彼女の家にいきゃぁ」

 

「──忘れたのか、毛利」

 

 小五郎の言葉を遮るように、松本が割って入る。被害者は20歳で、1年前に事故を起こしたときはまだ未成年。であれば、住所は公表されない。

 

「──だから、息子が轢かれたこの駐車場で、待ち伏せをしたんだろう……いつか彼女が再び、このデパートにやって来るのを見越してな」

 

 しかし、藍沢は現在まで現れず、定金は業を煮やして同じ特徴を持った女性たちを腹いせのために襲っていった。そう、松本が説明した途端、目暮が近くの車を力強く叩いた。

 

 それに驚いた全員が目暮へと視線を向ければ、彼は険しい表情を浮かべており、それを見た梨華は理解した。

 

(……なるほど。あれは、昔似たようなことを経験した人の顔ね)

 

 そのタイミングで、高木と伊達が戻って来た。高木から裏取りが出来たと報告が上がる。予想通り、定金は1年前に事故死した少年の、実の父親だったのだ。

 

 それを聞いた目暮が定金の居場所を訊けば、定金の車はあるが本人がいないことを伝えられる。それを聞いた梨華は考える。彼女の中で、何かが引っかかったままなのだ。

 

(犯人は『厚底ブーツ』を履いて『車』を運転する『女性』を狙って襲っている……その女性を見た気がするけど、いったい……っ!?)

 

 そこで、梨華は思い出した──園子もまた、厚底ブーツを履いていたことを。

 

(でも、待って、彼女は車を運転できる年齢でもないし、運転免許だってもってない。車だってもってないから、狙われる理由は……っ)

 

 梨華は青い顔でそう思い込もうとするが、嫌な予感が拭えない。そんなひどい表情を浮かべている片割れに気付き、瑠璃が近付いた。

 

「……梨華?どうしたの?」

 

「ねぇ、瑠璃……園子さんは、どこにいるのかしら?」

 

「え、園子ちゃん?」

 

 瑠璃が首を傾げるも周りを見るが、園子の姿はどこにも見えない。同じように辺りを見ていた蘭に近づけば、コナンがどうしたのかと蘭に問いかけており、辺りを見回しながら、彼女は告げる。

 

「──園子が戻ってこないのよ……車に荷物を置いて、トイレに行くって言ってたんだけど……」

 

 それを聞き、コナンと瑠璃の顔が青ざめた。

 

(園子ちゃんが、車に荷物を……!?)

 

(おい!?確か園子が履いてた靴ってっ!!?)

 

 

 

 園子が暗闇の店内を、わずかな蛍光灯を頼りに階段を上がっていれば、呼び出し音がその場に響き渡る。園子が歩みを止めずに携帯の通話を繋げれば、相手は蘭からだった。

 

「もしもし?……あ、蘭?……え、今?まだデパートの中よ」

 

 園子が電話の向こうにいる蘭に、先ほど起こったトイレの不運を話そうとした瞬間、足音が1つ、響いた。

 

 それを耳にした園子の身体が思わず止まり、思わず振り向くが──そこには誰もいない。

 

 下の階を覗き見てみるも、やはり誰もいない。そのことに恐怖から思わず笑ってしまった園子の声を聴き、電話の向こうの蘭がどうしたのかと聞いてくる。それに園子が変な気配がしたのだと返して上へと向かう階段へと体を再度向ければ──目の前に、気配もなく立つ人影が1つ。

 

 それに園子が言葉を失い体を恐怖から1歩下がった瞬間──目の前の人物は、持っていた金属バットを、迷いなく振り上げた。

 

 そこで園子が悲鳴を上げ──それは蘭の携帯から漏れ聞こえるほどの声量だった。

 

 全員が蘭へと視線が向いた瞬間、さらにそこから金属が金属に当たるような音が聞こえてくる。そこで2度目の園子の悲鳴が上がり、以後、彼女の声は聞こえなくなってしまった。蘭はそれでも必死に親友へと呼びかける。

 

「ちょっと、園子!?園子っ!!!」

 

「──間違えてるんだ」

 

 コナンが焦った表情で続ける──鍵を持って荷物を載せていた彼女を、犯人が『厚底ブーツを履いた運転手』と、勘違いしているのだと。

 

 それを聞いた小五郎が蘭に園子からどこにいると聞いたかを聞けば、デパートの中にいると聞いたと話す蘭。そこで電話が切れてしまったのかとコナンが焦った表情のまま聞くと、繋がっているが遠くで機械の音が聞こえるだけだと言う。

 

 蘭はコナンに携帯を渡し、コナンがそれを耳に当てて聞いてみれば『好きなフレームを選んでねっ!』という声が聞こえてくる。それがプリクラの音だと気付いたコナンが、このデパートにプリクラはあるかと訊けば、蘭は頷き、少し考えこんで思い出す。

 

「確か、10階のレストラン街の階段のところに2つ……」

 

 それを傍で聞いていた目暮が思い出す。例え閉店したとしても、レストランは遅くまでやっていることを。

 

「きっと園子くんはそこのエレベーターで下へ降りるつもりでっ!」

 

 そこまで聞いた松本が高木と伊達に急ぎデパートの電気をつけるよう言い、佐藤、目暮、瑠璃、松田が上から、彰含む他の警官たちは下から回って園子を保護し、被疑者確保するよう指示を出す。それを聞いた目暮たちが走って向かう姿を見て、小五郎は感心した様子を見せる。

 

「いや~、気合入ってますな、目暮警部殿!」

 

「──似とるんだよ」

 

 感心した様子を見せていた小五郎は、松本のその一言に思わず彼を見る。そんな小五郎の顔を見ず、松本は続けた──目暮の、この事件にこだわりを見せる理由を。

 

「──今回のヤマが、奴が最初に手掛けたヤマとな……」

 

 そこで蘭とコナンの姿が見えないと辺りを見回してい言う松本の言葉で、漸く2人が現場から姿を消したことに気付いた小五郎だった。

 

 

 

 園子が息を切らせながらも諦めずに走って逃げるその後ろから、定金は金属バットを引き摺りながら、ゆっくりと歩いている。園子が振り向きそれを確認しながらも走り続けていれば、彼女は足首を捻ってしまい、勢いよく倒れ込む。

 

 園子はそこから体を立て直し、しかし恐怖から座り込んでしまったまま、近づいてくる音を聞き、体が震え、その声が聞こえたらしい犯人は──狂気の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 レストラン街近くの階段で、コナンが時計のライトを使って照らしてみれば、すぐに携帯を見つけて拾い上げた蘭。そのキーホルダーなどを確認してそれが園子のものであると断言する。

 

「園子のもので間違いありませんっ!!」

 

「レストラン街の客は、2人をみてないから、園子ちゃんはデパート内に逃げ込んだみたいね」

 

 それを聞いた目暮が、高木に電気の催促をしたころ──園子は後ずさりしながら犯人から距離を取るも、壁に背中が当たってしまい、下がれなくなってしまっていた。そんな園子に近づき、金属バットを持ち、笑みを浮かべる定金。

 

「──お前らは、悪魔だ。それも、かわいい少女のフリをして罪を犯す、小悪魔だっ!」

 

 

 

「──悪魔に生きる価値なし!!!」

 

 

 

 外で雷がデパートに落ちた瞬間、デパート中の電気が落ちてしまう。これで明かりの綱が消えたとき──園子の悲鳴がデパートに響き渡り、階段を使って急いで降りていた蘭が思わず下の階に声を掛ける。

 

「園子っ!?園子、どこっ!?」

 

 その瞬間、ガラスが割れる音が聞こえてきた。それに蘭の頭に嫌な想像がよぎり、焦った様子で声を掛ける。

 

「園子っ!!?」

 

 そんな蘭に静かにするように耳元で言うコナン。先ほど、ガラスが割れた瞬間に何かが床に沢山落ちたらしく、それをコナンが言う。それを聞いた刑事組が2人の近くに集まった。

 

「砂、米っ……いや、もっと大きなっ」

 

「……水槽の底に敷く、小石の音じゃないでしょうか?」

 

 佐藤の言葉に蘭が4階にペットショップがあることを伝え、急いで向かう佐藤たちだったが、途中で1つ分足音が足りないことに気付いた瑠璃が後ろを振り向けば──目暮がそこにいなかった。

 

「──おい、瑠璃。どうした?」

 

 松田が足を止めた瑠璃に気付き、近づいてくる。2人がいるのはちょうど踊り場。そこには各階の店舗が書かれている。

 

「松田さん、目暮警部の姿が見えないんですっ!」

 

「は?……っち!あのオッサン、一体、こんな時にどこ行きやがったんだっ!!」

 

 松田がそこでハッと何かに気付いたように階のフロア説明欄を見つめた。

 

(……もしかして、警部は……)

 

 そこで松田がなんの合図もなく駆け上がり始め、瑠璃も慌ててその後を追っていく。

 

 

 

 園子は、金属バットを咄嗟に避けることが出来たものの、やはり腰が抜けてしまって立てず、そのまま後ろに下がっていく。そんな姿を見た定金はゆらゆらと体を揺らし、まるで子供をなだめるように優しく話しかけてくる。

 

「ごめんよぉ、本当は懲らしめるだけだったんだ……でも、見ちゃったよねぇ?──私の顔……!」

 

 雷が落ち、またもその場を照らして定金の顔を映し出す。やはり彼の顔は狂気に染まり、恐怖のバットを構え──振り上げた。

 

 

 

「わたしのかお、見ちゃったよねぇー!!!」

 

 

 

 園子は恐怖で目を瞑り──しかし、自身を襲うはずの衝撃が来ないことに疑問を持ち眼を開く。

 

 そこには──見慣れた茶色が見えた。

 

 

 

「──目暮警部!!!」

 

 

 

 瑠璃たちが駆け上がり、おもちゃ屋に走って入ってみれば、園子の生存と共に見えたのは──バットで頭を殴られた目暮の姿。

 

「け、けいぶさんっ……」

 

 園子は恐怖と安堵から涙がこみ上げ、瞼に留まる。そんな園子には目もくれず、自身の頭から流れる血液すら拭わず、目暮はその険しい表情のまま、相手に厳しい視線を向ける。

 

 それを向けられた定金は──まるで恐ろしいものを見たような目を向ける。

 

 

 

「──どうだ?気持ちいいかぁ……おいっ!!」

 

 

 

 目暮はバットを力強く握りながら、定金に問いかける。その声は震えており、何かの強い感情を溢しているようにも感じた。

 

 瑠璃と松田が隙をついて園子を定金から保護し、距離を取る。目暮はそれに気づきながらも定金から視線を逸らさない。

 

「人を傷つけて、気持ちいいかと訊いてるんだっ!!」

 

 定金はなんとかバットを取り返そうと力を込めて動かそうとするも、目暮の力の方が強いのか1つも動かせない。目暮は力を緩めず、園子を視線だけで示した。

 

「アンタ、運転マナーの悪い若者に、正義の鉄槌を下してるつもりだろうが……生憎この子は、車に荷物を載せていた唯の高校生だっ!!」

 

 その言葉に、定金は目を丸くし、信じられないのか瞳が揺れる。

 

 

 

「アンタの声は、正義のためでも、亡くなった息子さんのためでもない──唯の、逆恨みですからなっ!!」

 

 

「独りよがりで、人の命をもてあそんだ──何の意味もない、唯の憂さ晴らしだっ!!」

 

 

「──それが分からんのかっ!!!」

 

 

 

 目暮がそこでバットを勢いよく奪い取り、地面へと叩きつける。

 

 その悲痛な想いを乗せた怒声は、怒りの対象ではない園子と瑠璃すら、勘違いをして目を瞑ってしまうほどの気迫だった。それを見ていた松田も、サングラスの下で目を丸くしていた。

 

 定金は漸く、己がやったことの罪を理解したのか膝をつき、両手もついた。

 

「……あ、あの女にっ、謝ってほしかっただけだったんだっ!──ちゃんとした靴を履いて、天国にいる息子に……謝ってほしかったんだっ!!」

 

 最初はそれだけだったと、定金は泣きながら想いを吐き出し──彼は、崩れ落ちてしまった。

 

 そんな定金を見て──瑠璃は園子を松田に任せて、近づいた。

 

「おいっ!!」

 

「──大丈夫ですよ、松田さん」

 

 松田の声を聴き、彼女は笑みを浮かべる。それは──彼女らしからぬ、儚い笑みだった。

 

「──定金さん」

 

 瑠璃の声を聴き、定金はその涙で濡れた顔を上げれば──泣きそうな表情の女性が、座り込んで見下ろしていた。

 

「……定金さん。貴方の気持ち──分かりますよ」

 

 瑠璃の言葉に、定金は目を丸くする。厳しい言葉が来ることも覚悟していた彼には、思ってもいない言葉だった。

 

 そこで電気は復旧し、蘭たちがやって来た。蘭と園子がお互いに喜び合い、抱きしめあっている横を佐藤が通り過ぎ、目暮に声を掛けた。

 

「警部っ!!それに松田くんたちも、よくここが分かりましたね」

 

「いや、俺らは警部がいないことに気付いて後を追ってきた形だからな……」

 

「ワシを、ここに導いてくれたんだよ……この碁石がな」

 

 目暮がそう言って、割れたガラスケースから拾い上げたのは、黒い碁石。そこで目暮が振り向いたことによって頭から血を流していることにようやく気付いたのか、佐藤が心配から声を掛ければ、笑みを浮かべる目暮。

 

「なぁに、心配するな。昔の傷口が開いただけだ──過去に置いてきた、古傷がな」

 

 瑠璃が手錠を取り出そうとポケットを探りだした瞬間、定金が声を掛ける。

 

「あ、あのっ!!」

 

 そこで、瑠璃が動きを止め、定金を見据える──その目は暗く、澱んでいた。

 

「……」

 

「あの、刑事さんっ」

 

「──12年前、私と2番目の兄の友人で、姉の恋人が、トラックに轢かれました」

 

 その言葉を聞いた全員が、固まった──彼女の声が、どこまでも平坦だったからだ。

 

 

 

「その時、彼は運よくすぐに救急車を呼ばれ、一命はとりとめましたが……彼の将来の夢であったヴァイオリニストの夢は、腕の神経麻痺のせいで絶たれました」

 

 

「彼と姉は約束をしてました──必ず、2人で一緒に、大きなステージで演奏をしよう、と」

 

 

「それが叶わないと知り、姉は泣き崩れましたが、それでも彼のためにと私たちは見舞いに行ったり、望みをかけて、マッサージやリハビリの手伝いも行いました」

 

 

「しかし、彼はその生活に絶望したのでしょう──ある日、彼は、見舞いに行った兄と姉の静止を振り切り、病院から飛び降りました」

 

 

 

「──私は、彼が地面とぶつかったその瞬間を目の前(・・・)で見ました」

 

 

「私は、見たもの、聞いたものを一生(・・)忘れることが出来ません。だから、今でもあの時の光景を思い出せます」

 

 

「何十回、何百回、何千回だって──あの光景が目の前で繰り返される」

 

 

 

 そこで瑠璃は、作り物めいた笑みを定金に向けた。

 

「事故の原因は、運転手の居眠り運転で──今だって……私も姉も兄も、その運転手を許せないし、居眠り運転をする人に憎悪だって向けています」

 

 それが1番強いのが梨華だと、そう口に出すことを彼女はしない。

 

「けれど……私は、貴方とは違います──私は、捕まえる側の人間で、居眠り運転の人物を殺すつもりもありません。たとえ加害者だったとしても、その人のことを大事に思う存在が、いるはずですから」

 

 瑠璃は、悲しそうに笑みを浮かべた。

 

「──だからどうか、罪を償って……その時に、また話をしましょう」

 

 瑠璃が定金にそういえば、定金は、何度も頷いた。

 

 

 

 事件の翌日、緑台警察病院に見舞いに来た小五郎たちは、同じく見舞いに来ていたらしい松本に声を掛けられ、一緒に病室へと向かう傍ら、警部の帽子の秘密を聞いていた。

 

「──えぇっ!?昔の事件で負った古傷を……」

 

「あぁ。目暮はその古傷を隠すために、あのシャッポを被っておるんだよ」

 

 それに、小五郎は首を傾げる。職務中の傷は勲章のようなもののはずなのに、なぜ隠すのかと疑問を向ければ、松本は当時の事件を語りだす。

 

「20年以上前になるか……そう、あれはまだ、目暮が刑事になりたての頃だった」

 

 20年前、女子高生が連続で轢き逃げされる事件が発生した。当時の被疑者の動機は女子高生にカツアゲされたことによる恨み。手口としては、標的が1人になったところを狙って車で撥ねるといった悪質なもの。

 

「当時、不良の間で流行っていた『ロンタイ』という、スカートの丈を長くした女子高生を……手当たり次第にな」

 

 最初は当て逃げ程度だったのが次第にエスカレートし、被害者が死亡する事例が発生してしまった。

 

「そこでワシら警察は、付近の女子高生にそのスカートで出歩かないように警告し、パッタリと事件は止んだんだが……その時、ある女子高生が囮役を買って出ると言ってきたんだ──『死んだ友人の敵を取る』と言ってな」

 

 警察側は少女を止めたが、その少女は警察に反感を持っており、そんな女子高生を止めるすべもなかった警察側は仕方なく、目暮をその少女の護衛として付けるも──被疑者は目暮もろとも、少女を轢き殺そうとしたのだ。

 

「幸い目暮が、車のナンバーを覚えていて被疑者は確保できたが……その代償は大きかった」

 

 目暮の方は頭の傷だけで済んだが、当の女子高生は頭と身体を強く打ち、松本たちが到着したころには、少女はぐったりしていたという。

 

「じゃあ警部殿が、あの帽子を脱がないのは……」

 

「あぁ、そうだ──あの大きな傷痕を見れば、誰だってその訳を訊くだろう。そしてその度に、事件のことを思い出してしまう……だから目暮は、あのシャッポで傷を封印したんだよ。辛い思い出が詰まった古傷を」

 

 その話を聞いていた蘭と園子の目に涙が浮かぶ。蘭はその涙を、見舞の献花を持っていない片方の手で拭った。

 

「だから警部……あんなに囮捜査、嫌がってたんだッ!」

 

「死んじゃったその女の子の二の舞にならないようにってッ」

 

 園子の涙声の言葉に、松本が歩みを止めて振り返り──衝撃の真実を伝えてきた。

 

「おいおい、彼女は頭や身体に大けがを負ったが、死んじゃおらんぞ?」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「なにせ彼女は目暮の──」

 

 そこで松本たちの進行方向から声が掛かる。そこには──美しい黒髪の女性がいた。

 

「あら、松本警視っ!──警視も、お見舞いに来てくださったんですねっ!!ちょうど今、白鳥さんと高木さん、それから松田さんと瑠璃さんが帰られたところなんですよ?」

 

 黒髪の女性──『目暮 みどり』は、花瓶を胸に抱えて微笑みを浮かべていた。

 

「おおっ!奴らも来ておったか!!」

 

「えぇっ!皆さん、仕事の合間を縫って!!」

 

 そこでコナンは子供の姿だからこそ気付いた──彼女の額に、古い傷跡があるのを。

 

(ま、まさかっ……)

 

 そこでみどりを呼ぶ声が響く。どうやらそれは目暮の様で、林檎の皮をむいてほしいと、そう甘える言葉を聞いたみどりは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「もうっ!いくつになっても甘えん坊でっ!!」

 

「こりゃ、早く仕事に復帰するよう、喝を入れてやらにゃぁ!!」

 

 松本とみどりは互いに顔を見合わせて笑い、そのやり取りを呆然と見る4人。小五郎がそこでフッと思い出す──目暮の妻であるみどりは、その昔、つっぱっていたことを。

 

 それを聞き、全員が思うのは──目暮が帽子を取らないのは、奥さんとの馴れ初めを冷やかされたくないだけなのではないか、と。

 

 

 

 ***

 

 

 

 警察病院の外では、ベンチに座って飲み物を飲んでいる瑠璃と松田がいた。松田はブラックコーヒーを飲み、瑠璃はミルクコーヒーを飲んでいる。

 

(……気まずいんですがっ!?)

 

 瑠璃が緊張から体を固くしている横で、松田が口を開いた。

 

「……おい」

 

「ひゃいっ!?」

 

 しかし、瑠璃の口はその緊張でよく回らず、変な返答が返ってきたことに思わず松田が噴き出した。

 

「わ、笑わなくてもよくないですか!?こちとら空気がいつもと違うからものすごく緊張しているのにっ!!!」

 

「くッ、いや、こんなん笑うなって方が無理だろッ!」

 

 一頻り笑うと、松田は目じりの涙をぬぐい、改めて声を掛けた。

 

「さて……お前に訊きたいことがあんだよ」

 

「え~っと、聞きたいこととは??」

 

「──お前、刑事部から去るんだろ?」

 

 松田のその言葉に、瑠璃は目を丸くした。確かに、彼女は刑事部から去るつもりで、今朝、それを上に届けたのだが、なぜそのことを知っているのか。

 

「あの、私、松田さんに話しましたっけ??」

 

「いいや?だが、噂は流れてたぞ」

 

「噂はやっ!?」

 

 今朝の出来事の筈が既に広まっているのだと話され、その広まるスピードに若干の恐怖を抱く瑠璃は、両手で体を覆った。

 

「なんで震えてんだ、お前は」

 

「いや、プライベートとか皆さんに実はバレてるのではといった恐怖がですね……?」

 

「お前のオタク趣味はすでにばれてんぞ」

 

「それは別にいいんですっ!!」

 

 瑠璃の叫びに耳を抑えつつ、口を開いた。

 

「で?お前、どこに行くんだ?交通部か??」

 

「だからなんでわかるんですか怖いっ!?」

 

「──あんな話きちゃぁ、想像がつく」

 

 そこで松田が真面目な表情になり、その落差に思わず呆けた瑠璃だったが、漸く言いたいことを飲み込めた所で、溜め息を吐いた。

 

「……松田さん」

 

「なんだ?」

 

「彰は、警察になった理由を知ってますか?」

 

 ──それは、警学時代に、彰から聞いたこと。

 

「──行方不明の義妹を探すためっつってたぞ。公安に入りたがってたが……」

 

 松田がそれに首を振り、意味を理解した瑠璃も苦笑いを浮かべた。

 

「えぇ、お察しの通り……彰は演技や感情を隠すのが得意ではないし、拳銃もそこまでなので、公安には向いてないと思います。逆に私も、この能力(完全記憶能力)は役立つかもしてませんが、それ以外が出来ません」

 

「だろうな。お前ら──修斗以外は、揃いも揃って素直だからな」

 

 松田がフッと笑みを浮かべて言えば、ハハッと嬉しくなさそうに笑う瑠璃。

 

「あの家で素直に育ったのは修斗のおかげだと思いますよ。その分、あの父親の被害を一番こうむっているも修斗ですが」

 

 それを聞き、松田も警学時代に彰から語られた家の闇を思い出し、辟易とする。

 

「いま思えば虐待じゃないかなとも思うんですが、どうですかね?」

 

彰から聞いた話(子供を道具として扱う親)が虐待に入らないなら、法をもっと厳しくした方がいいと思うぞ」

 

「デスヨネー」

 

 瑠璃は肩を落とすも、もう彼らは親に守られる子供ではないため、今更なにも言えない。

 

「えっと、話を戻すとですね、公安に入るには私たちは実力が足りないのと演技力がアレなので、難しい。それでまぁ、刑事部に彰が入り、私も無理を利かせてもらって入っていたんですが──修斗から、優が見つかったと話があったんですよ」

 

 その言葉に、松田も彰から話を聞いていたので驚く理由はない。どちらかと言えば──修斗以外はその姿を見ていないことが、彼には1番の疑問だ。

 

「それでまぁ、姿は見ていないものの、一応は私たちの目的はかなったということで、私は彰に捜索を託し──交通部に移動することを志願したんです」

 

 彼女が思い返すのは──和樹に起こった事故。

 

「私たちのような思いを抱く人が増えてほしくない……だから、私は向こうで頑張るんです」

 

 瑠璃が笑みを浮かべて松田を見つめた。

 

「だから、松田さん──彰のこと、よろしくお願いしますね」

 

 瑠璃からの頼みを聞き、気障に笑う松田。

 

「アイツが守られる立場かよ──逆に前線に出て相手を投げ飛ばしたり気絶させたりと、一騎当千すんのがあいつだろ?」

 

 松田の言葉に眼を丸くし、その姿が容易に思い浮かんだのか、爆笑し始めた瑠璃だった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 事件から数日後、とあるレストランにて梨華は約束していた女優と、先日立ち会うこととなった事件のことを話していた。その話を聞いていたサングラスをかけて変装していた女性は、どこか楽し気に話を聞いていた。

 

「──ってことが、先日起こったのよ?しかも、結局、オーナーの方は自身の発言になんの罪悪感とかもなさそうだったし……」

 

「あら、悪はいつか裁かれるもの……犯人は、自分を正義の神(mitra)と思って行動し、逆に天界から落ちた偽物。王が怒るのも分かるわ」

 

 発言が厳しいことは同意すると、最後に付け足した金髪の長い髪のその女性は、コーヒーに口を付ける。

 

「それにしても、貴女がよく使う言葉があのショッピングのときにフッと思い浮かんだのだけど、彼女の作戦は上手くいくのかしら?」

 

「どうかしら?けれど、その彼女を見る男性は目を離せなくなるでしょうね」

 

「あら、どうして?」

 

 梨華は疑問を投げかけつつ、なんとなく彼女が言う言葉を理解していた。そして女性も、唇に人差し指を持っていくと──妖艶な微笑みを浮かべて答える。

 

 

「──A secret makes a woman woman(女は秘密を着飾って美しくなる)……そのシンデレラは、王子に秘密を打ち明けるころには、もっと美しくなるわ」

 

 その言葉に、やはりと言いたげに笑みを浮かべる梨華は、思い出したように話しだす。

 

「そういえば、貴女に頼まれて修斗に訊いてみたけど、よく分からないことを言われたのよね」

 

「あら、オーディンはなんて言ってたの?」

 

「オーディンって……また言いえて妙な」

 

 梨華は苦笑いを浮かべ、修斗からの伝言を伝えた。

 

「『家に来るのは構わないが、酒を持たず、素面でこい』……ですって。意味が分からなくて修斗に訊いたけど、貴女に言えば理解するから関係ないって言われたのだけれど……どういうことかわかる?

 

 

 

 

 

 ──『クリス』さん」

 

 

 

 梨華の言葉に──クリス・ヴィンヤードは笑みを浮かべるだけだった。




宮村 和樹(みやむら かずき)

享年:15歳(推定)

将来の夢はヴァイオリニストだったが、事故をきっかけに神経麻痺を患い、絶望して命を投げ出した少年。

その自殺を止めようとした修斗・梨華、そして見舞いに来て病院に入る前だった瑠璃に多大なトラウマを残してこの世を去った。



さて、まず彰さんを公安に入れなかった理由は、彼には演技が出来ません。

感情を隠すことは人並みに出来るのですが、強感情をいだけばそれが表に出てしまう性格なので、割と公安には向いてない性格をしています。ということで、もともと、優さんの件以外で刑事になりたい理由があった瑠璃さんが移動、と言うことになりました。

まあ、彰さん移動の場合、組対でもよかった気がするんですが、出番が少ない彼がさらに減る気がしたので却下させていただきました。



因みに、クリス姐さんが梨華と仲良くしているのは……彼らの家の立場がヒントとだけ言わせていただきます。彼らは結構、色々しているのでね。



因みに、今後の予定は以下の通りです。

1・そして人魚はいなくなった
2・バトルゲームの罠
3殺意の陶芸教室(予定)
4謎めいた乗客

ここまで終えたら、映画編に入ります。

作者、頑張りますっ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。