とある六兄妹と名探偵の話   作:ルミナス

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ここ最近、私用で色々あって投稿できなかった作者です。

瑠璃さんの件も早く進めたいのですが、もうちょっと長引きます。この日常章で移動はしますがね。

本当は彰君でもよかったんですが、なぜ前回の様になったのかという理由は一応ありますので、移動回も兼ねた話を書き終えた際には説明はします(そこまで気になってはいないかもしれませんが、一応)。

今回は少年探偵団主役…うちの仔は咲(優)さん主役会です。頑張っていきますよー!

それでは、どうぞ!

*猫の視力の件で間違いがありましたので修正しました。


第30話~龍神山転落事件~

 学校も、多くの会社も休みとなるような休日、哀を除いた少年探偵団たちは、西多摩郡にある『龍神山』へとピクニックのために博士の車に乗ってやってきた。しかし、頂上までの道のりとして通っていた『九十九折峠』は長く、くねくねとした道に子供たちも疲れてしまい、1度を取ることとなった。

 

 咲も車から降り、山腹から歩美と共にガードレール下の景色を覗き込んだ。

 

「わぁ……!すご~い! こんな高いところまで来ちゃったんだ!」

 

「確かに……だが、これでも山腹辺りだな」

 

「そうじゃぞ~?これでもまだまだじゃからな!」

 

 博士は笑顔を浮かべながら歩美と咲に向けてそう伝えれば、それに弱音の声を出す元太。

 

「うぇ、マジかよ……」

 

「どうした?」

 

 4人が元太へと顔を向けてみれば、顔色を悪くして座り込んでいた。

 

「……元太、車に酔ったのか?」

 

 咲の問いに元太は頷く。山腹とはいえ、ここまでのくねくねとした道に目を回したらしい。そしてこの先にもくねくね道は残っている。思わず咲は苦笑いを浮かべ、コナンは呆れ顔。

 

「んだよ……だらしねぇな」

 

「ハハハハッ、何しろここは『九十九折峠』といって、大小99回の急カーブが続いておるからの」

 

 その博士の説明におもわずえずく元太。顔色は更に悪くなった。そんな元太を心配そうに歩美は見ていたが、そこでふと光彦がいないことに気付き、顔を背けて居場所を訊く。それに元太は車の中で本を読んでいると答えてくれた。しかしそれに歩美は目を丸くし、車の中にいる彼へと声を上げて呼びかける。

 

「光彦くん!外の方が気持ちいいわよ!!」

 

 そんな歩美からの誘いに、本から顔を上げない光彦はそのまま返答する。

 

「僕は結構です!今いいところですから!!」

 

 それに歩美は頬を膨らませるも、すぐに空気を外に出して博士に問いかける。

 

「そういえば博士。灰原さん、また来なかったね」

 

「えっ……あぁ。哀くんは何か用事があるとか言っておったな……」

 

 博士の慌てたような返答に呆れ顔で見るコナンと咲。歩美と元太もその返答に疑問を感じたが、元太がそこで理解した。

 

「博士、俺知ってるぜ!こうだろう?……『私、キャンプなんて興味ないから』ぜんぜんのつーん」

 

 元太は哀の真似をして目を細めた後、そっぽを向いた。

 

 そんな彼の物まねに歩美はそっくりだと笑い、コナンは当たりだと頬を引き攣らせて笑う。と、そこで同じく拍手をしていた咲は、音も少ないからとヘッドフォンを外していたからこそ、一足早く気付いた──自分たちの後ろの山上から、急速に近づく車の音に。

 

 咲が後ろの音に気付いて振り向く姿を見てコナンも振り向けば、その音はコナン達にの耳にも入り始める。

 

 全員が咲と同じように目線を上後ろに向けた瞬間──ガードレールを勢いよく突き破って、彼らの少し離れた位置に落ちてひっくり返った白の車。

 

 それにさすがに驚いて体調不良の元太は立ち上がり、車にいた光彦も驚きから出てきた。そんな中、コナンは博士に警察と救急車を呼ぶように指示し、走って車に近づく。咲も同じタイミングで走り出し、少し遅れて子供たち3人も近づいた。

 

 車に駆け寄ったその瞬間──咲は視線を感じた。

 

 その視線の先となる車が落ちてきた場所に、人が立っているのが見えた。

 

(……男?)

 

 目を細めて観察する。しかし、体格から男であると理解できる以外の情報は得られなかった。

 

(……視力もよければな……)

 

 咲はそう、ないものねだりを心の中でするのであった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 暫くして、警察と救急車が到着し、車の中で頭から血を流していた男は運ばれ、コナン達は事情聴取をその場で受けていた。

 

「──すると、そこの展望スペースで休憩中、車が転落するのを目撃、駆け付けたというわけですね?」

 

「ええ」

 

「そして、そこのお嬢ちゃんは、その落ちてきたところに、人が立っていたのを目撃した、と……」

 

「体格からしたら男だと思うが……」

 

 そんな彼らの説明を耳にしながらコナンが車をみれば、ふと疑問を持つ。その視線にあるのは、車体のトランク側のへこみ部分。まるで何かが当たったかのようなへこみ方をしている。

 

(あのへこみ……だとすると……)

 

「……もう一度お聞きしますが、他に不審な車や人物は見かけなかったんですね?」

 

 警察からの問いに、博士も咲も見かけていないと答える。

 

「……お嬢ちゃん、その男の姿、思い出せないかい?」

 

「……いや、流石に距離が空いていて……」

 

「そうかい……なら、仕方ないね」

 

 そこでコナンは気障な笑みを浮かべた後、子供らしく警察に声を掛ければ、警察官の1人が険しい顔のまま目を向けてくれた。

 

「なんだい? 坊や」

 

「上のおじさんたちの仕事、ちょっと見てきてもいい?」

 

 コナンの問いに、もう1人の若い警官が子供の見るものではないと拒否をするが、それに上も終わるころだからと許可を出す、コナンに声を掛けられたベテランそうな警官。

 

「しかし……」

 

「でも坊や、おじさんたちの仕事の邪魔をしないように、見学するんだぞ?」

 

「は──い!」

 

 そこで走っていくコナン。

 

 ──そんな2人を見送る光彦に、元太が声を掛ける。

 

「……おい、光彦。俺たちもいかなくていいのか?」

 

「えっ?」

 

「コナンの奴、また1人で抜け駆けしちまうぞ?」

 

 その問いかけにニヤリと笑う光彦。

 

「あぁ、構いません。やらせときましょう……こっちには、もっといいものがあるんですから!」

 

 光彦の言葉に首を傾げる元太と歩美。そして、ヘッドフォンを外しているからこそ、自然とそれが耳に入ってしまう咲は苦い顔をする。

 

(……嫌な予感がする)

 

 

 

 コナンは1人、車が落下してきた場所へとやってきた。そこは鑑識の人間がせわしなく仕事をしており、今は道路の中央付近に残っていたタイヤ痕の距離を測量していた。どうやら跡はちょうど測量している場所から始まったらしい。その結果は16.33m。コナンはその結果を近くで耳にしつつ、思案する。

 

「──あったぞ!」

 

 その瞬間、測量場所のほんの後ろで、何かが見つかったらしい。コナンがそちらへと顔を向ければ、塗料の破片が見つかったという。色はダークブルー……落ちた車とは違う色だった。

 

 それを聞き、コナンはこの事件の真相を理解し、博士たちの元へと戻っていった。

 

 

 ***

 

 

 事情聴取を終え、咲が再度ヘッドフォンをつけたのを確認し、車は発進した。その車の中での話題は、やはり先ほどの1件だった。

 

「しかし、折角のピクニックだというのに、とんだ事故に巻き込まれてしまったの……」

 

「──事故じゃねぇよ」

 

 博士の言葉に、助手席に座っていたコナンが訂正する。それに後ろに座っていた咲も内心で同意すれば、博士も目を丸くする。

 

「……事故じゃないって」

 

「博士、あそこでほかの車を見なかったかって聞かれただろ?」

 

「あぁ……」

 

「あの車は、他の車に後ろから追突されて転落したんだよ」

 

「なんじゃと!?……はっ!!となると、咲くんが見たという男が……」

 

 博士の言葉に、咲も頷く。コナンと違い、上の状況は見ていない咲でも、車体のへこみ方、そして男が現れないことで理解できたのだ。

 

「だろうな。あの車の後部に、追突された跡がしっかり残ってたし、追突したときに剥がれ落ちたもう1台の塗料片も発見されてる……しかも、恐らく追突した車は、故意に車をぶつけてる」

 

 それに驚きの声を上げる博士。それでは殺人事件ではないかとコナンに問えば、肯定が返される。咲が見たという男も現れないのが更にその線を濃厚にさせる。

 

「……警察に協力しなくてよいのか?」

 

「大丈夫さ。あれだけ証拠が残ってるんだ」

 

「しかし、塗料の破片と追突の跡だけでは……」

 

 博士の心配に、コナンは言う──日本の警察は、基本的に優秀なのだ、と。

 

 その言葉に咲も内心で頷く。その際に思い出したのは、金髪の彼。

 

(『先生』からも、彼は優秀な人物だと言われていたな……まあ、その代わりなのか、サイバー攻撃に弱いのが玉に瑕だな……)

 

 咲は知っている。そして件の彼も、あの時の2人も『先生』との話合いもあって知っている──それぞれの組織から、『先生』が情報を痕跡も残さず抜いていたことを。

 

(あの時の青ざめた顔を見た『先生』がその後に申し訳ないことをしたと私に話していたが、それがあの人の仕事だったからな……)

 

 そう思いつつ、車の窓から空を見る咲。

 

(──まあ、私のせいで死んでしまったのだが、な……)

 

 咲が遠い過去に思いをはせている間、コナンは塗料片さえ見つかれば車種が特定でき、地道な聞き込みで犯人も割り出せるのだ、と。

 

 そんな2人の後ろ、つまり咲も座っている後部座席では、光彦がずっと考え事をしている。そんな光彦に、元太はたまらず声を掛けた。

 

「光彦、『いいもの』ってなんだよ?」

 

「シィーッ!静かに。コナンくんに聞こえちゃいますよ!」

 

 元太からの問いに小声でそう返し、元太も慌てて自分の両手で口を塞ぐ。それを見て光彦が前座席のコナンの様子を見れば、どうやら聞こえていなかったらしく、顔は前を向いたままだ。

 

 それに安堵し、光彦は小声のまま、ポケットから折りたたまれた紙を元太に見せる。

 

「?なんだ、これ?」

 

「──暗号ですよ」

 

「暗号!?」

 

 歩美が思わず声を上げれば、2人が静かにするように人差し指を口元で立てる。どうやらそれも前の2人には聞こえなかったらしい──そう、前には。

 

「……お前たち」

 

 そこで元太の横から黄昏ていた咲が復活し、ジト目で声を掛けた瞬間、元太が慌ててその口元を抑えた。

 

「んんっ!?」

 

 咲がそれに驚き、一瞬、幼いころのトラウマ映像がよぎったが、元太であることは理解していたので発狂は免れた。しかし、彼女の中では別問題が発生していたが。

 

(どけてほしい……頼むからっ!!)

 

 咲の目には、今──元太のその抑えた手に、赤黒いドロリとしたものが付着しているように、映っていた。

 

 そんな咲の懇願したような目を彼は気づかなかったが、幸いにもすぐに手は離れてくれた。

 

「咲、コナンにはチクんなよ!?」

 

「分かった……分かったから、すまんがこのハンカチで手を拭いてくれ……」

 

「?おう、わかった!」

 

 元太の言葉に憔悴したような咲は了承を返しつつ、元太にそう頼めば、彼は意味は理解していないながらも頷いてくれて、咲が差し出したハンカチで軽く手を拭いてくれた。

 

「……で、暗号の話は?」

 

 そんな憔悴状態ながらも光彦に小声で尋ねれば、光彦が紙を開き、説明する。

 

「これ、さっきの事故現場の車の傍で拾ったんです」

 

(証拠品を持ってくるんじゃない!!)

 

 咲は思わず脳内でツッコミを入れる。なんなら今も組織にいる金髪の彼だって、その相棒の男だって同じ立場ならツッコミを脳内で入れてくれることを確信するほどだ。

 

(いや『スコッチ』なら普通に口に出していうかもしれないな……)

 

 そんな咲の考えは元太も思ったようで、警察に渡さなくてよかったのかと問えば、どうやら光彦はただの転落事故だと思っているらしい。

 

(……これは、伝えた方がいいのか?)

 

 咲はそう考えるが、アレが『事故』ではなく『事件』であるといえば更に面倒なことになりそうな気がした咲は子供たちに何も言わないことに決めた。

 

 のちに、咲はこの時に伝えておけばよかったと後悔するが、今の咲には知らないことであり、子供たちに伝えるのをやめた咲はそのまま暗号を聞き続ける。

 

 子供たちは暗号=宝の隠し場所だと思い、真剣に見始める。

 

 その暗号は8段ほど書かれている。まず1番上の段、そこに描かれているのは□の中に『100-1』と書かれ、その真横には黒く塗られた直角三角形、その傾斜の下から上に伸びた矢印だ。

 

「ほら、1番上の四角形の中に『100-1』と書いてあるでしょ?──はい、元太くん。100-1は?」

 

 光彦からのいきなりな計算問題に元太は慌てて答える。

 

「えぇっ!? きゅ、きゅ……99」

 

「はい、正解!」

 

 光彦の言葉に元太は安堵の吐息をだし、答えが怪しかったことに咲は苦笑いを浮かべた。

 

「じゃあ元太くん、『99』で思いつくことはありませんか?」

 

 その問いに元太は考える。考えて考えて出た答え、それは救急(99)車。元太は自信をもってそう答えたが、残念ながらそれは違うと光彦に言われてしまう。

 

「いっ!?」

 

「全く、どうしてここで救急車が出てくるんですか」

 

「……じゃあ救急(99)絆創膏……」

 

「──わかった!!」

 

 そこで歩美が声を上げ、話していた男2人が歩美を見れば、彼女は笑顔を浮かべて答える。

 

「『九十九折峠』でしょ!さっき博士が99も急カーブが続くって言ってたじゃない!!」

 

 歩美の言葉に正解だと笑顔で返す光彦と、すでに疲れた様子の元太、そして苦笑いの咲。

 

「正解です!ですからこれは、『九十九折峠』のどこかの場所を示しているはずなんです!」

 

 そういって4人が見る紙には、先ほどの続きも書かれている。

 

 ╋04 23 38

 

 ┣04 23 38

 

 ┫39 23 38

 

 29 28 10 ② 10 14 46

 

 ┣04 23 38

 

    ↓

 

    G

 

 この文章を見て、咲はなんとなく理解した……なにせ『先生』の傍によくいたのだ。よく見ていた……記憶に残るほどに。そんな咲だんまりを決め込んでいる横で、元太は光彦に問う。場所は分かったのか、と。それにどうやらこの暗号をどこかで見たらしい光彦は首を捻って考える。歩美がどこで見たのかと聞き、思い出そうとする光彦。しかし、そこに割って入る声が1つ。

 

「──おいお前ら」

 

 その声に反応し、全員が前を見れば、コナンがジト目で4人を見ていた。

 

「……さっきから何こそこそやってんだよ」

 

 コナンからの疑惑の声に何もないと分かりやすい笑顔を浮かべて返す子供たち。しかし、元太が口を滑らせて『暗号』の一言を言った瞬間、コナンの目が輝いた。それを見て咲は頭を抱える。

 

「暗号!?」

 

(私が黙っている意味が分からなくなってくるな……)

 

 咲が頭を抱えている横で、光彦がさっき読んでいた小説内に出てくる暗号のことだとごまかすが、その言葉は徐々に尻しぼみしていき、コナンはそのごまかしに騙された。

 

(なんだ、子供向けか……)

 

 コナンが興味を失ったことに安堵した元太と歩美の中心で、光彦は思い出した──そう、彼が見覚えのある暗号とは、車の中で読んでいた小説の中にあったのだ。

 

 車はそのまま『九十九折峠』を抜け貸しだしされているペンションに到着した全員。それぞれが荷物を置き、お昼の準備の時間となる。釣り班が博士、コナン。薪割り班が子供たちと咲だ。

 

「それじゃあ、俺と博士は魚釣ってくるから、ちゃんと薪割っとけよ?」

 

「「「はーっい!」」」

 

「……善処する」

 

 コナンの声に子供たちはいい子のお返事を返し、咲は頭を抱えている。そんな咲の姿に一抹の不安を抱えつつも、コナンは博士を連れて行ってしまった。それを笑顔のまま見送る子供たちは、そんなコナン達の姿が見えなくなった瞬間、近くのテーブルに走り寄り、笑顔で暗号のことを聞く。

 

「光彦!本当に分かったのかよ!?」

 

 元太が座りながら聞けば、光彦も自信満々に肯定する。ちょうど読んでいた本に出ていたのだと。そうして本を見えやすいように件のページを開いて机へと置けば、子供たちは覗き込む。咲もそこで元太の横に座りページを見て、思い違いでなかったことに安堵した。

 

「?なんだこれ?

 

「──キーボード、だろ?パソコンの」

 

 元太の疑問に、咲が答えれば、光彦がそうだと言い、説明を始める。

 

 キーボードの左上から番号を振る。そしてその数字と対応したキーのひらがなを使って暗号を解くのだ。

 

「例えば、『14』なら『た』。『27』なら『と』という感じにね!」

 

 そこでやってみようという流れになり、元太が暗号読み係となった結果、2段目の文章は『右折』となる。しかし、その横にある╋が何かとなったとき、子供たちは頭を悩ませた。その様子を見て仕方ないと咲は肩をすくめて割入る。

 

「それは道路の形を示してるんだよ。(これ)は十字路、(これ)はT字路といった感じだな」

 

 それに笑顔を浮かべてすごいと褒めてくる子供たちに苦笑いな咲。そんな4人はそのまま暗号を解いた結果、できた文章。それは、『九十九折峠を過ぎて十字路を右折。T字路を右折。T字路を左折。橋を2つ渡る。T字路を右折。ゴール』となる。歩美が読み上げ光彦が地図を見て場所を特定した結果、今いるペンションからそこまで離れていない場所だということが分かった。それを理解した途端、元太が行こうと言い出し、流石に眉を顰める咲。

 

「待て、3人とも。行くならコナンと博士を待とう……何があるか分からないんだ」

 

「でも、お宝が待ってるかもしれないわよ?」

 

「コナンくんが悔しがりますよ!」

 

「それでも危ない──」

 

 咲が止めようとするが、元太が反抗する。

 

「なんだよ!なら咲はここで待ってろよ!俺たちで行ってくるからよ!!」

 

 そんな元太に続いて大丈夫だとそれぞれ声を掛けて外に出ていく子供たちに、頭を掻きむしりたくなる衝動を抑えて咲も急いで後を追っていく。

 

 ──それから時間がたち、コナンと博士が返ってきたころには、子供たちの姿かたちはどこにもなかった。

 

 博士が呼びかけるが返事はない。コナンは釣り道具を壁に置き、振り向いた瞬間──テーブルの椅子に置かれたあの暗号と、光彦が呼んでいた謎解き本が置かれていた。

 

 それを見つめていれば、博士から誰もいないことを告げられ、コナンは手に取った暗号をもう一度見つめた。

 

 

 

 ***

 

 

 

 いつもの補聴器を外した咲と子供たちは歩いて、目的へと歩いて向かっていた。そして2つ目の橋を渡っていた途中、遂に元太が弱音を吐いた。

 

「……おい光彦……まだ着かねぇのか?」

 

 そこで足を止めた歩美と光彦。先頭を歩いていた咲も足が止まったことを音で察知し、歩みを止めた。

 

「もう少しですから頑張ってください、元太くん。今渡っているのが2つ目の橋ですから、次のT字路を右折したらすぐです!」

 

「まだそんなにあるのかよ……」

 

 そんな元太の弱音に、歩美が激励を贈る。

 

「がんばれ!元太くん!!お宝が見つかればうな重よ!!!」

 

 その激励の仕方に咲が苦笑いを浮かべるが、元太はそれに上手く釣られてくれたようで、元気を出した。

 

「──ようっし!!お宝見つけたら、うな重腹いっぱい食うぞ!!行くぞ光彦!!!うな重100万倍だ!!!」

 

「その意気です、元太くん!!」

 

 そんな子供たちの先頭を歩く咲は、心の内でコナンが早く来ることを祈るばかりだ。

 

 なぜなら、彼女は理解しているからだ──これから行く場所に待つものを。

 

(……この先のことをいっても、きっとこいつらは止まらない。だからせめて、早く来てくれよ……コナン)

 

 それからさらに歩き──ついに、コナンが来ることなく目的地へとたどり着いてしまった4人。その見た目はどう見ても誰かの私有地で、咲はやはりかと眉を潜めて辺りを見渡し、カーディガンのポケットに入るような石を隠れて拾っていく。そんな咲に気付かない3人。元太も歩美も不安そうな表情を浮かべている。

 

「なぁ、光彦……本当にここでいいのか?」

 

「なんか、お宝って感じじゃないよね?」

 

 そんな2人の声に不機嫌になる光彦。彼は強気に反論する。

 

「何言ってんです!?暗号の通りに来たんですから間違いありませんよ!!」

 

 光彦は更に、私有地に見えるような場所に案外、お宝はあるのだと言えば、元太たちはやる気を出して中へと入っていく。それを見て咲も急いで後を追う為に、持ち主へと心の中で謝罪して中へと入っていく。

 

(まあ、その持ち主も同じ穴の狢なんだが……)

 

 倉庫らしき中へと入れば、なかなかに広い敷地だった。一体どこにお宝があるのだと元太が問えば、光彦が倉庫をそれぞれ見渡して、あることに気付いた──1番奥にある三角の屋根の倉庫にのみ、鍵がかけられていることに。鍵をかけて大事にされている様子を見て、そこに宝があるのだと子供たちは走って向かい、咲も後ろを見た後、子供たちを追っていく。

 

 子供たちが倉庫のカギを無断で開けて中を見れば──中には何台もの外車がずらりと並んでいた。

 

「……でもよ、光彦。お宝なんてどこにもねぇじゃねぇか」

 

「うーん、おかしいですね……」

 

 元太の言葉に光彦が首を捻っていると、歩美が声を上げる──この車はおかしい、と。

 

「ほら──ナンバープレートがついてないじゃない!」

 

 その言葉に光彦も元太も驚く。咲はそれを聞き、溜め息を吐いた。

 

「そんなことだろうと思ってた……いいか、3人とも──これは全て、盗難車だ」

 

「盗難車……そうか!この車たちを外国に売り飛ばそうと……つまり、僕たちは……」

 

「あぁ、言っても止まらないだろうと思って言わなかったんだが──私たちは、自動車密輸団のアジトに辿りついたんだ……だよな?」

 

 そこで咲が警戒しながら振り向けば、そこには猟銃を持ったサングラスの男が立っていた。

 

 その後、流石に煽るのは危険だと判断し、子供達も恐怖から男の脅しの通りに移動し、現在、後ろに扉がある状態で、男の前に4人は立たされている。

 

「……お前らは事故現場にいたガキどもだな」

 

(……こいつか、私が見たのは)

 

 咲が鋭い目を向けたまま男を見据える。そんな視線に気付いたのか、男が咲に目を向ける。

 

「おいガキ。昼のオヤジともう1人のガキはどうした?」

 

「……誰のことだ?」

 

 咲が答えない姿勢を見せれば、男が舌打ちし──猟銃で発砲する。

 

 本来、そうなれば人は恐怖から、例え自分を狙ってなくとも、顔を下げ、身を縮める。しかし、子供たち3人がそのように怖がっていても、咲は構えた時点で狙っていないことに気付き、堂々と立っていた。事実、狙撃されたのは──咲の頭から少し上だった。

 

「……ほう?ほかのガキどもと違って度胸があるようだな?」

 

「……威嚇発砲だと分かるものに、怖がる理由がどこにある」

 

 咲はそう答えるが、その目は猫の目だった。スイッチが入ってしまってい、猟銃によるダメージは、舌を噛んで気絶を避けた。しかし目の前の男は気づかない。

 

「もう一度聞くぞ──昼のオヤジともう1人のガキはどうした?」

 

「──さて、なんのことだか」

 

 咲は肩をすくめて嘲笑する。そんな咲の姿に怯えから声を震わせる元太と歩美。

 

「お、おい、咲……」

 

「咲ちゃん……」

 

 そんな2人にダメだというのは──咲ではなく、光彦だった。

 

「ダメです、2人とも。僕らが勝手にしでかしたことに、コナンくんたちを巻き込むわけにはいきません!」

 

 光彦の言葉に、震えながらも覚悟を決めた子供達。そんな子供たちをちらっと見たあと、男を鋭い視線で見据える。そんな子供たちに男は再度舌打ちし、猟銃をしっかり合わせた。

 

(……これは流石に、まずいな)

 

 咲はその照準がしっかりと子供たちに向けられていることを理解し、考える。

 

(私であれば、まだ避けることは可能だ。発砲タイミングは理解してる……しかし、子供には無理だ)

 

 なら自分に向くようにすればいいと考えた咲が口を開こうとしたとき、通知音があたりに響く。その音に男は3度目の舌打ちをし、胸ポケットから携帯を取り出しその場で出る。

 

 男が出た相手の声は、ダメージを負った耳でも丸聞こえで、会話を全て記憶していく。男も余裕らしく、子供達にも聞こえる声量で話をしていく。

 

「……ああ、俺だ。悪いな、今回は5台だけだ……『佐田』の奴がビビりやがって、1台乗って逃げやがってな」

 

 そこで相手は言う。『佐田』を逃がしてしまったのか、と。その問いに、男はニヤリと笑う。

 

「ああ、それなら大丈夫だ。峠で後ろから突いたら、真っ逆さまに落ちやがったぜ!」

 

 その瞬間、咲は内心で舌打ちする。男が生かして帰す気は微塵もないことを再確認する形となってしまった。

 

 子供たちはアレが事故だと思っていたがために驚きの声を上げる。そして視線を咲の横に向けたとき、そこに1台の車があった。

 

「んなヘマはしねぇよ!!サツが辿り着く前に廃車にする──潰してしまえば証拠はなし」

 

(今すぐ『スコッチ』を呼び出したい……もしくは『バーボン』でも……)

 

 あからさまに警察を舐めてる態度に咲は思わず2人を呼び出したくなった。この男に2人の恐ろしさを知らしめたい、と。しかしそれは自分の正体がバレ、シェリーの居場所バレの危険性をはらんでいるため脳内で却下を出す。咲にとっての『先生』との『約束』で、知っている限りの『正体』を話さないことも誓っているので、どういう理由であれ彼女が2人を呼べないのもあった。それに、呼ばずとも──本当に恐ろしい『探偵』がやって来る。

 

 聴きなれた車のマフラー音が耳に入り、ニヤリと笑みを浮かべる咲。そんな咲の雰囲気に気付いた子供たちが首を傾げる。その少し後、徐々に子供たちの耳にも音が聞こえ始める。それは当然、男にも聞こえ、男が唯一の開け放たれた入り口を見たとき──黄色のビートルが飛び跳ねた。

 

 そのままビートルは見事なテクニックで子供たちと男の前に立ちふさがる。男が誰だと問えば、博士が険しい顔で運転席から降り立った。

 

「おぬしこそ何じゃ!?子供相手に銃なんぞ振り回しよって!!」

 

 その姿を見た子供たちは安心感から喜色の声を上げる。

 

「「「博士──ー!!!」」」

 

 それに男は嬉しそうに笑い、博士に猟銃を向ける。探す手間が省けたと撃とうとしたが、それに待ったをかけるコナン。その声につられて男がコナンを見れば、徐々にパトカーのサイレン音が近付いてくる。男が焦ったような声を上げるが、コナンは追い打ちの様にここに来ることも伝える。

 

「──おじさんを逮捕するためにね」

 

 気障に笑ってコナンが言えば、男が逃げる時間も与えず、男を取り囲む3台のパトカー。そこから警察が降りてきて男を連れて行こうとしたが、男はへらへら笑って逃げ切ろうとする。

 

「おいおい刑事さんたち。こんなに大勢でなんの騒ぎだ?」

 

「話の前に、その銃を渡してもらおうか?」

 

 その言葉に、男は掲げて示し、近づいてきた警官に渡した。

 

「これはそこのガキどもが勝手に人の土地に入りやがってんで、ちょっと懲らしめてたんだよ」

 

「ホー?懲らしめるため『だけ』に、発砲までするとは……いつのまにそんな常識が出来たんだ?」

 

 教えてほしいくらいだと咲が男に嘲笑を向けて言えば、男はサングラス越しに目を吊り上げて咲を睨む。咲の横ではこれ以上煽るなと視線で語るコナンがいたが、咲は無視した。

 

「事実だろ。実際、威嚇射撃だったとはいえ、ここに射撃痕もあるしな」

 

 咲が示した位置は、先ほど撃たれた場所。そこには確かに弾丸が貫通したらしく穴が開いている。それを見た刑事が、それも後で聞くと宣言した後、本題へと入った。

 

「……ところで、その車は貴方のですか?」

 

「ああ、そうだよ。それがなにか?」

 

 男がほんの少し動揺を見せる傍ら、コナンは先ほどのことを耳の傍に顔を持っていき、小声で説明する。それにコナンは理解したらしく、礼を告げたあと、煽らないようにと咲に小言を告げる。それに善処はすると話す咲。

 

「いやぁ、なに。『九十九折峠』で車の転落事故がありましてね……どうやら貴方と同じ車に追突されて落ちたらしいんですよ。しかも……この子も男を見たと話を聞いてね」

 

 刑事はそう言って咲の頭を撫でようとするが、それはスルッと躱した咲。それに刑事が首を傾げるも、今は関係ないと男を見据える。

 

「見たところ、その車もどこかにぶつけたようですし……」

 

「なんだと……?俺を疑ってんのか!?同じ車なんか何百台もあるだろ!!」

 

「──その中の何台があの時間、この辺りにいたとおもいます?」

 

 刑事の強気の声に男はひるむ。流石に男だって知るわけもないことに言い返せるわけもない。

 

「その時間、貴方はどこに?」

 

「……すまねぇ、アレは事故だったんだ。あんまり景色がいいもんでつい、よそ見をしちまってよ……気が付いたら、ガツンと……」

 

 刑事からの追求に、男はそう謝る。あくまで事故だと男は言い張り始めた。しかし、そんな男を逃す気は微塵もない子供達。代表の様に光彦が嘘だと声を上げる。

 

「うるせぇ!!ガキは黙ってろ!!!」

 

「黙りません!!おじさんさっき、電話であの車を突き落としたって、言ってたじゃありませんか!!!」

 

 光彦の声に元太、歩美も同意する。咲も声は上げないが、鋭利な視線が男を貫いていた。

 

 そんな子供たちの声に男は固い笑顔を浮かべて、子供の言うことを信用するのかと刑事に問う。実際、この男を見たのも咲1人。この目撃証言の有効性は低い。

 

「第一、あんな急カーブでわざと突き落とすなんてこと、出来る訳が、」

 

「──いいや。あんたはそれを見事にやってのけたんじゃよ」

 

 その第三者の声に刑事と男がすぐ横に顔を向ければ、博士が男を見据えて話していた。

 

「ジジイ!出鱈目言うんじゃねぇ!!証拠があるのか証拠が!!!」

 

 男が苛立ち紛れに博士に募れば、博士──の後ろで蝶ネクタイ型変声機で声を変えたコナンが説明する。

 

「証拠はあるとも。あの車が落ちたカーブの手前に、追突されたときに付いたと思われる、あの車のタイヤの跡が2つあったんじゃよ」

 

 つまり、男が2度も追突したことを語っていた。しかし、それがどうしたと男は強気の姿勢を崩さない。よそ見をして2度ぶつかってしまっただけだと反省の色がない。そんな男の態度に怒りが募っている咲だが、変に手を出してコナンの足を引っ張るべきではないと自重した。

 

 コナンはコナンで、博士越しに男の主張も可能性としてないとは言い切れないと肯定する。しかし、事前に連絡していた車のタイヤ痕の間隔は分かるかと刑事に問えば、刑事は驚くことなく答える。

 

「えぇ。16.33mです」

 

「それであんた、あの道を何キロぐらいのスピードで走っとったんじゃ?」

 

「チっ……大体、30キロぐらいってところだよ」

 

 男の答えを聞いた咲はたまらずフッと笑う。しかし、彼女は何も言わず傍観者に徹している。コナンも理解してか、話を止めることなく進める。

 

「まあそんなもんじゃろうのう……さて、時速30キロということはじゃ、秒速約8.3mになる……つまり、16.33mの間隔のタイヤの跡をつけるのに、約2秒かかるわけじゃ」

 

 つまり、この2秒もの間、男はブレーキを踏むでもなく、避けるでもなく、連続で突いたことになるのだ。

 

「──これを故意と言わずになんというんじゃ!?」

 

 博士の言葉に男は言い逃れが出来ず、刑事からも顔を背けた。その刑事はと言えば、目を細めて笑みを浮かべ、男を見据える。

 

「さて、申し開きがあるなら、ゆっくりと署の方で聞きましょうか」

 

「……くっそ!!」

 

 男が反論できずに悪態だけを吐く。それを見て光彦は刑事に声を掛けた。

 

「あの、刑事さん?」

 

 光彦の声に刑事が反応を示せば、光彦は奥の建物の中にナンバープレートのない高級車のことを話す。それにお手柄だと刑事が褒めれば、子供たち3人は笑顔を浮かべ、この後の展開を察した咲はおもむろに耳を軽く塞ぐ。音は多少入るようにしたのは、今回の件の反省の心からくるものだ。

 

「だがいいかね!!?2度とこんな危ない真似するんじゃないぞ!!」

 

「「「わ、わかりました……」」」

 

 3人の言葉と咲の態度に、コナンと博士は笑みを浮かべた。

 

 

 

 ペンションへと帰ってくれば、さぼっていた薪割りを開始する4人。元太が主に薪を割る係となっているが、上手く割れずに苦戦している。

 

「くそ、上手く割れねぇじゃねぇか!」

 

 元太が薪を割ろうと必死に斧が刺さった状態のまま叩くがやはり割れない。光彦が追加の薪を近くに持ってきたところで、コナンが薪が足りないと急かす。そんなコナンに少しは手伝ってほしいと光彦が救援要請を出すが、コナンは強く拒否を示す。

 

「だいたい、オメェらが薪割りさぼってフラフラ出歩いてっから、こういう目に合うんじゃねぇか!!」

 

「はーいはーい、分かりましたぁ」

 

 コナンの嫌味に散々説教をされた4人は肩を落として反省ポーズを見せるが、光彦の返事の返し方にコナンは怒鳴る。

 

「『はい』はい1回!!」

 

「……はいっ!!」

 

 光彦の返事にコナンは疑心も目を向ける。言葉だけだろうと彼も理解しているのだ。

 

「これに懲りて、危ないことを控えればいいじゃがな」

 

 そんな博士の言葉は聞こえていないようで、光彦は肩を落として元太の横に座り込む。どこか悔しそうな光彦に3人が目を向けた。

 

「でも、がっかりですね……」

 

「何が?」

 

「だってコナンくん、あの暗号あっという間に解いちゃったんですよ?」

 

「光彦くんだってすごいじゃない!暗号だけじゃなくて、密輸団のことも当てちゃうんだから!」

 

「いえ、密輸団のことを最初に当てたのは咲さんですよ」

 

「いや、お前もちゃんと分かってただろ。なんで知ってたんだ?」

 

 咲が純粋に疑問に思って問いかければ、たまたま本に載っていたのだという光彦。それに元太が興味を示し、光彦が元太にお勧めだという『お子様ランチ殺人事件』という本のタイトルを笑って告げれば、歩美は笑い、元太はお子様ランチよりうな重がいいとずれた感想を言い、咲も苦笑いを浮かべるばかりだった。

 

 そんな4人の態度に、本当に反省してるのか怪しむコナンだった。




さて、皆さん、今週の金スマ見ましたか!?声優様大集合のなかに

あの!安室さんの!!バーボンの!!!降谷さんの!!!!トリプルフェイスを演じてくださっている声優様がでていらっしゃったんです!!!!!

神貝と言わずしてなんというんですというぐらいの豪華声優陣に私は天に感謝をささげ、古谷さんの声に胸が高鳴り、ゼロの執行人のあのシーンで、以前に射止められていた心臓が再度射止められましたありがとうアニメ映画スタッフ様、ありがとう青山先生!!!!!
(お察しかもですが作者は降谷さんのガチファンです。貶められても怒る性格はしてませんが悲しくて泣きます)



さて、話は唐突に変わりますが、作中にノック情報を抜き取ったというような描写がありますが、きちんと原作通りにトリプルフェイスさんは仕事しています。矛盾してるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、きちんと理由はあります。多分、察してくださってる方が多いかもしれませんが、もし違いましたらそれは私の文章力の問題になりますのでどうぞお声掛けください。

それから、この章がかなり話数が多くなるので、今回は映画に入る前にもう一度設定を載せさせていただこうかなと予定しております…映画まで頑張りますよー(ガクブル)

それでは、今回も読んでいただき、ありがとうございました!!!

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