とある六兄妹と名探偵の話   作:ルミナス

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本日!ようやく!!

瞳の中の暗殺者、最終話!!!

疲れた状態で最後まで書ききってしまったので、もしかしたら文章おかしくね?なところもあるかもですが、そこは優しく教えていただけたらな…とおもいます。

それでは、どうぞ!


第26話〜瞳の中の暗殺者・6〜

トロピカルランドでは、指名手配されていた真が捕まった直後、園子が驚いた様子で黒のジャケットとアンクルパンツ、白のシャツを着て片手で黒のリュックを持つ修斗を見ていた。

 

「修斗さん!?どうしてここに!?」

 

「妹の梨華に頼まれて…今、噴水の仕掛けを見てきた所です。皆さんは?」

 

「私たちは蘭がここに来たいと言って…そうだ蘭!事件が解決したから『悪魔の実験室』に行かない?」

 

園子のその誘いに蘭は頷く。そして修斗達も行かないかと誘えば、何故か笑いを堪えている、白の半袖ブラウスとオレンジのフレアスカートを着て薄ピンクの小さなショルダーバックを肩に掛けた梨華が了承し、早速と決めたが…。

 

「あ、ちょっと待ってください」

 

「〜!?」

 

その修斗の一言に園子達は足を止め、聞き慣れない言葉遣いに思わず梨華が更に吹き出した。それをジト目で見た後、修斗が笑顔で連れがまだいることを伝えた。

 

「修斗さんのですか?」

 

「ええ。実は後二人いまして…そろそろジェットコースターから戻ってくると思うんですが…」

 

「〜〜!!」

 

「そうなんですか!!でしたら待ちましょう!!…で、あの梨華さん…ですよね?大丈夫ですか??なんか、肩震わせて笑われてますけど…」

 

「ああ、気にしないでください。俺たちの問題なんです」

 

その修斗の言葉遣いが続き、そろそろ声を抑えるのが限界になりかけた時、二人の人影が走ってやって来た。その二人を視認した梨華が口角の上がったままの状態で手を振る。

 

「雪菜、咲!こっちよ!」

 

「「「えっ、咲/ちゃん/さん!!?」」」

 

梨華が呼び掛けたその名前に少年探偵団が反応する。哀も少し目を見開いて見やれば、いつも通りの黒のカーディガンと白に近い水色のワンピースを着た咲もまた目を見開いて子供達を見ていた。

 

「お、お前達、なんで…朝の用事はここに来る事だったのか?」

 

「あれは…」

 

「そーなんですよ!!奇遇ですねー!!」

 

元太が説明しようとしたところを光彦が遮り、歩美も笑顔でこくこくと頷く。それに納得はしないものの、とりあえず追求をやめる事にした咲は、黄色のノースリーブと青色の短パンジーンズに水色のキャスケットを被っている雪菜を見上げる。

 

「で、他に行きたいところあるんだろう?雪菜」

 

「うん!!ねえお兄ちゃん!!次、次に行こうよ!!」

 

雪菜がそこで咲の手を離し、修斗の手を掴んで引っ張るが、修斗はそれに困った笑顔を浮かべて、園子達と一緒に回る事になったと伝えれば、雪菜は園子達にそこでようやく気づいたらしく、目を見開くとパッと嬉しそうな笑顔を浮かべて近くと、園子と蘭の手を掴み、引っ張る。

 

「園子さん達も一緒に行くの?なら早く行こう行こう!!」

 

「あっ!」

 

「ちょっ、ちょっと!?引っ張らないで下さい!!転けちゃうからーー!!!」

 

「あっ、狡いですよー!僕らも行きましょう!!」

 

「まってーー!歩美達も行くーー!!」

 

三人に続いて今度は少年探偵団の三人が。続いてその後をゆっくりついていく咲と哀、博士。その後ろ姿を苦笑してみていた修斗と梨華を最後にし、一行はアトラクションへと向かっていった。

 

 

 

 

 

時間は過ぎ去り、夜。コナンはとある事を確認するために、東都大学付属病院へとやって来て、現在、その事を看護婦の二人に聞いていた。

 

「えっ!?坊や、あの有名な名探偵、毛利小五郎さんの助手なの!??」

 

「うんっ!」

 

「ねえ!坊やに協力したら、毛利さんのサイン貰えるかしら!?」

 

看護婦の一人が頼めば、もう一人も欲しいという。それにコナンは快く承諾したが、内心では小五郎のサインで良ければいくらでもと苦笑気味。しかし看護婦は気付かないまま話しだす。

 

「仁野先生でしょ?こう言っちゃなんだけど、やな先生だったわ」

 

「ホント。お金に汚くて腕は全然!手術ミスで何度も問題になったよねー!」

 

「ほら覚えてる?心臓病で運び込まれた患者さん。あの手術で一緒に執刀した先生の腕を切っちゃって!」

 

「そうそう!それが原因であの患者さん、助からなかったのよね!」

 

その話にコナンは驚愕し、詳しく話して欲しいと頼めば、口が軽いらしい看護婦2人はそのまま話してくれた。その姿を、病院内にいた小田切に見られている事に気付かないまま時は過ぎ、コナンは早速この話を小五郎にしようと病院内に入り、公衆電話を使って探偵事務所に電話を掛けた。しかしコール音が続いた後に出たのは留守電だった。次に連絡したのは英理の事務所。そこで秘書の女性が電話に出てくれ、コナンが英理はいるかと問えば、公判をさっき終えたその足でトロピカルランドに向かっていると伝えてくれた。

 

「トロピカルランド?」

 

「なんでも蘭さんが行ってるらしくて…」

 

その一言を聞き、コナンはまずい状況である事を直ぐに理解し、すぐ様スケボーに乗り、トロピカルランドへと向かった。

 

 

 

夜遅い中、様々なアトラクションを回る一行。その間、ずっと監視をされている事に気付くものはいない。しかし、何処からされているのかは気付かなくとも、監視されているだろう事を予測している者が1人だけ。修斗だ。

 

(さて、早く来てくれよ…平成のシャーロック…)

 

「ちょっと、修斗」

 

修斗が上の空で楽しんでいる事に気づいたらしい梨華が服を引っ張った。今はウォータースライダーで遊んでいる所だった。それに修斗は気付き、梨華に安心させるように笑みを浮かべて頭を軽く撫でる。それに梨華は少し赤面しながらも、心配そうに見据えていた。

 

 

 

 

 

警視庁の取調室では、捕まった真が口に浴びた唐辛子の所為で喋れない事を理解した刑事達によって水を飲ませてもらっていた。それを飲み干したタイミングで、目暮が問い掛ける。

 

「どうだね、喋れるようになったかね」

 

「…男の声で、電話があったんです」

 

真の話を纏めれば、父親が死んだ真相を教えると電話があり、それで米花町の交差点に行ってみれば男は現れず、代わりとばかりにすぐ近くで奈良沢刑事が撃たれ、家へ戻れば再び男の声で、今度はみどり台のメゾンパークマンションへ来い伝えられた。しかしやはり男は現れず、そのマンションの地下駐車場で、射殺された芝刑事が発見された。

 

「あんたはそこでおかしいと気付いたのか?」

 

「はい…犯人に嵌められたことを…その夜はビジネスホテルに泊まりました。次の日、家の留守電に掛けてみると、佐藤刑事と名乗る女の声で米花サンプラザホテルへ来るよう指示が入っていたんです」

 

「佐藤刑事から?」

 

瑠璃が訝しげに見ながら問えば、真は深く頷いた。その電話で、佐藤から来なければ殺人容疑で逮捕すると言われ、行ってみれば警察ばかりの会場で、逃げるように立ち去ったらしい。

 

「しかしそこでは佐藤刑事が撃たれてしまった…と」

 

「どうしてすぐ警察に…」

 

「目暮警部。それは無理な相談だと思うぜ?」

 

目暮が問おうとした瞬間、伊達が割り込んだ。何故だと目暮が視線で問えば、伊達も真剣な目で考えをいう。

 

「考えてみて下さいよ。この男は刑事の父親が死に、その理由の一端には俺達刑事の甘い考えがあった。幸い、佐藤が心配で見に行ったから発見は早まったが、それでも死んじまった。そりゃ、信用も信頼も失うさ」

 

その伊達の言葉に真は否定せず目暮を睨み付け、目暮も何も言い返せない。それを気にせず、真は小五郎に助けてもらおうとしたと言う。それで周辺をうろついていたと言う。それに驚くのは全員だった。

 

「ちょっと待て!?ってなると、あんたはあの嬢ちゃんに近付いた訳じゃないのか!?」

 

「はい、毛利さんに声をかけようと…そう言えば、あの女性にも勘違いされてましたが…」

 

「ちょっと待てー!ナイフ持ってただろ!!」

 

「護身用です…犯人に、命を狙われるかもしれないし…」

 

そこでその場の全員が気付く。事件はまだ、終わっていないのだと…。

 

 

 

 

 

コナンがトロピカルに到着し、すぐに周りを見てみれば、マンモスを乗せた車や仮面ヤイバーが戦っている車。ペンギンの人形のようなモノが踊り…そう、パレードの真っ最中。お客さんが其処彼処で集まっており、たった1人の人物を見つける事など不可能な状態となっていた。そこでコナンは上から探そうと、『氷と霧のラビリンス』という建物に入っていく。そこでアナウンス係らしきおじさんに展望台が空いてるかどうかを聞けば、みんなパレードを見ているから問題ないと言われ、コナンはお礼を言ってすぐに向かっていく。そして望遠鏡を使って探すが見つからない。代わりに見つかったのは少年探偵団三人だった。それを見て近くにいるはずと考えた直後、次に見つけたのはFN M1910を持った犯人の姿。その視線の先を辿ってみれば…。

 

(蘭っ!!!)

 

そこでコナンは直ぐに探偵団バッチで歩美達に連絡を取った。それに気付いた歩美がバッチを取り出し、自慢するような声音で話し始めた。

 

「コナン〜、今どこにいると思う?」

 

「驚いちゃいけませんよ〜?トロピカルランド…」

 

「おい、オメェ等落ち着いてよく聞け?今犯人が拳銃で蘭を狙ってる」

 

「「「えーッ!?」」」

 

そこで三人は驚きからバッチを取り落としてしまった。その為、コナンの指示は聞けずに終わった。

 

その蘭はと言えば、後ろの方…人が前にしかいない場所でパレードを見ていた。修斗も共に。そこに子供達が現れ叫ぶ。

 

「蘭お姉さん逃げて!!!」

 

「拳銃で狙われてるぞ!!!」

 

その瞬間、博士が気付いたらしくて、運良く蘭を押し退け、蘭に被害はなかった。しかし博士は肩を負傷。それに修斗は舌打ちし、リュックをその場に落とすと蘭の元へ行き、その腕を取った。

 

「こっちだ!!」

 

「えっ!?」

 

「修斗!?」

 

駆け出す2人に思わず走り出した梨華。その様子を見てしまったコナンは直ぐに合流するため、隣にある氷の上を滑るコースターへと乗り…込まずにそのコースの上をスケボーで滑り出した。蘭達がいたのは夢とおとぎの島。その場所が見えた為、コースの欄干に乗り、スピードを出して飛び出した。

 

それは運が良かったのか、将又計算通りなのか、今度は隣の普通のジェットコースターのコースに乗り、走り出す。そして直ぐに下りると蘭の元へと走り出した。

 

 

 

 

 

修斗に引っ張られながら走る蘭。その間も声はかけ続けた。

 

「は、離してください!!」

 

「……」

 

「このままだと、貴方も!!」

 

「っ俺がそんな優しいわけねえだろ!!!」

 

「ッ!」

 

修斗はそこで足を止めた。丁度そこは柱が立て続けに並ぶ建物の通路。後ろからは撃たれず、撃つ場所といえば横か前だ。

 

「…じゃあ、なんでですか?」

 

「……それは」

 

そこで蘭のもう一方の腕が取られた。驚いて振り向けば、コナン。

 

「こ、コナンくん!?」

 

「修斗!!」

 

「梨華、お前まで…」

 

「もう大丈夫だよ、蘭姉ちゃん。2人とも、人混みに紛れて外に出よう」

 

その瞬間、かすかな発砲音。その音はパレードの音が響くその場所では気付かれないが、しかし気付く結果となってしまった。

 

ーーー修斗の右肩を撃たれ、座りこんでしまったために。

 

「ッ!!」

 

「ッ!!修斗兄ちゃん!!」

 

「そんなっ!?」

 

コナンと蘭が叫び、梨華は咄嗟の判断で修斗の姿が見えないよう、撃たれたらしき右方面に盾として立った。

 

「っ馬鹿!撃たれるかもしれないだろ!?」

 

「撃たれた奴が何言ってんのよ!!?」

 

修斗が右肩を押さえて立ち上がりながら梨華と話していれば、その様子に気付いたらしい風船を持った少女とその母親がやってきた。

 

「どうしました?…え、肩から、血がッ」

 

「お兄ちゃん、大丈夫??」

 

そこで修斗は考えが纏まり、叫ぶ。

 

「俺は大丈夫だから、行けっ!!!」

 

「ッ無事でいろよ!!」

 

コナンはその言葉で直ぐに蘭の腕を取って走り出す。修斗はその間、何故か撃たれなかった。しかしそれは修斗の読み通り。

 

(やっぱり、確信してる方に行ったか…あの時、俺の説明はあの人の耳に入っていなかった。けど、少なくとも俺が警戒しているのに気付き、調べただろう…あの事件から休日の時には話を聞きに行っていた雪男からも、俺の事を聞けばあいつは普通に話す。なんだったら兄貴が名前だして気になったあの人が説明を促したかもしれない…どちらにしろ、俺が気付いているという可能性に辿り着く。でも俺が何も言わないから確信じゃない。…疑いの芽も潰しにかかるだろうとは思ったが…)

 

そこで修斗は負傷していない肩に重みを感じたと共に、濡れた感触を感じた。誰が泣いてるかなど一目瞭然だ。

 

「…梨華、お前…」

 

「黙って……大丈夫…ちゃんと止血、するから…」

 

「…すまん」

 

修斗は梨華に謝った後、頑張ってハンカチで傷口を抑えてくれている女の子に礼を言いながら、救急車を呼んでくれている女性を見据えて礼を言う。その間に梨華が持っていたらしい小型のハサミでスカートを少し裂き、首に近い所で肩を縛った。その後、親子の好意に甘え、スタッフの所まで一緒に来てもらい説明。そして治療室でキチンとした応急処置を受ける事となった。

 

 

 

 

 

『夢とおとぎの島』から『野生と太古の島』へと移動してきた2人は、アトラクションの一つであるボート施設へと向かい、コナンが叫ぶ。

 

「助けてー!変な人がー!!」

 

その声に直ぐに反応した縄を片付けていたらしい男性スタッフが顔を上げた。

 

「ボートに飛び乗れっ!」

 

「えっ!?」

 

コナンのその指示に蘭は驚くものの、結局そのまま飛び乗り、スタッフの止める声も聞かずに発進。運転しているのは蘭ではなく、コナン。その運転捌きは素人目から見てもプロ並みだ。

 

「コナンくん、一体どこで操縦を…」

 

「ハワイで親父に教わったんだ」

 

「えっ!?」

 

蘭の驚きなど一旦無視し、左右に分かれた水路を左へと向かう。少しして蘭が後ろを振り向いた。

 

「ねえ、もう大丈夫なんじゃない?」

 

「いや…」

 

コナンがそこで右のコースを見た。その両方のコースが合流する水路。そこで、右のコースから追っていたらしい犯人のボートと出くわした。暗闇の中であるため姿は分からない。しかしボートが寄ってきた。少し前を先行しているコナンは直ぐに右へと旋回すれば、片手で撃とうとしている犯人はスピードを上げて横へと並ぶ。その間に距離はあるものの、左目に着けている暗視照準器のようなもので狙いを定め、発砲。

 

1発、2発、3発、4発とボートに当たるだけで終わり、5発目でようやく当たったが、それは鞄のポケット。それもコーラが入っていたようで、泡が噴き出した。

 

「コーラがっ!」

 

それにコナンは目を細めて思案するもそのままボートレースは続行。岩のトンネルを潜り、コナンは時間を確認する。

 

(21時20前…)

 

すぐに時計を戻し、運転に集中し始めれば、リロードしたらしい犯人が後ろから3発。1発だけボートに当たったが問題視されずレース続行。運転し続けた先で、蘭が恐怖の表情を浮かべせた。何故ならその先には…。

 

「コナンくん!!滝ー!!!」

 

「掴まれ!!!」

 

コナンのその声でギリギリボート自体を掴んだ蘭は、叫び声をあげた。滝から落ちたのだから仕方ない。コナンはそれを気にせずに進み、停泊場へと辿り着く。そこで2人はボートから降りるが、後ろからのボートの音に気付いたコナンが急ぐことを決め、2人はまた走り出した。目指すはその先にある岩山のアトラクション。その長い長い階段を駆け上がるようにして逃げるが、ついに緊張感なども合わさったのか、息を切らして足を止めてしまった蘭。頂上までは後少しのところだ。

 

「もう少しだから、頑張って!!!」

 

「う、うん…」

 

息を少し整えた蘭が背中を岩壁から離した瞬間、微かな発砲音と共に凭れていた岩壁に弾丸が当たる。それで直ぐそこまで犯人が来ていることに気付いたコナンが怯える蘭に声を掛ける。

 

「取り敢えず、登り切って岩陰に隠れるんだ!!急いで!!!」

 

2人は言葉通り急いて駆け上がり、岩陰に隠れた。そこに更に駆け上がる音が聞こえてきた。間違いなく犯人だ。暫くすると、足音が止まった。それでコナンは犯人もまた岩陰に隠れていることを察し、敢えて姿を現した。ーーー犯人の目を、集中させる為に。

 

「こ、コナンくん…!?」

 

「…ここ、夜はクローズで誰もいないんだ。姿を見せても大丈夫だよ」

 

その言葉に、犯人はすぐには信用せず、姿を現さない。それにコナンが煽り続ける。

 

「随分用心深いんだな。…それもそうか。きっと気付いていた修斗さんを撃ったんだもんな?疑惑の芽を摘むために。…でももう隠れたって無駄さ。奈良沢刑事のメッセージの、本当の意味が分かったからね。彼が死に際に左胸を掴んだのは、警察手帳を示していたんじゃない。心を指したんだ!…心療科の文字の一つの、心をね。そうだろ?ーー風戸京介先生」

 

その名前に蘭は信じられないと言った目でコナンを見据え、岩陰に隠れていた人物ーー風戸は姿を現した。どこぞの戦場にでも行くかの様な、そんな装備と服装で。

 

風戸はコナンを鋭い目で見据えながら問いかける。なぜ気付いたのか、と。それにコナンは答える。まずおかしいと感じたのは、電話のことを思い出した時だ、と。右利きの人間は左手でボタンを押さない。左手で押したということは、つまり彼本来の利き手は左だということ。

 

「なるほど、そいつは迂闊だった」

 

「7年前、アンタは東都大学付属病院で、若手No.1の外科医として活躍していた。ところがある時、アンタと仁野さんの共同で執刀した手術で、仁野さんは誤ってあんたの左手首をメスで切ってしまった。その事故によって、黄金の左腕と言われたアンタの腕は落ちてしまう」

 

プライドの高い風戸は、そこでメスを置き、外科医をやめ、心療科の医師へと転向。以後、プライドのためか、将又別の理由か、彼は左腕を封じ、右を利き腕というように見せかけ、過ごしてきた。コナンはそう説明し、風戸も肯定。電話のボタンの事だけで気付かれるとは思わなかったとも言った。

 

「心療科医師として米花薬師野病院に移ったアンタに、1年前、仁野さんとの間に何かがあった」

 

「再会したんだ、偶然にな。誘われるまま奴のマンションで飲んだ。酔った私は6年間ずっと心の隅で感じていた疑問を奴にぶつけた。『あの事故はワザとだったんじゃないか』と。そしたら奴は笑って言った。『お人好しなんだよ』と。その一言で気づいた。やはりあの事故はワザとだったと」

 

そこで彼に殺意が芽生え、ちょうど手術ミスで訴えられていた事を知っていた彼は、それが自殺の動機となる事を利用し、殺害。

 

「案の定、操作は自殺という事で終結したよ」

 

「だがアンタは、その事件が再捜査される事を知ったはずだ」

 

「米花署に異動になった奈良沢刑事からね」

 

曰く、友成警部が亡くなったことで精神的ショックを受け、風戸のカウンセリングを受けに来たらしい。その治療を通じて真が警察を恨んでいる事を知り彼を利用する事を決めた。そう、再捜査されて仕舞えば、彼は捕まってしまう可能性がある。その前にその刑事三人を殺害。真には罪を全て着せるために現場へと呼び出した。1、2回目の時は自身の声で、3回目の時は女性患者を診察した際、録音しそれを編集し、佐藤刑事の名前を語って呼び出した。それら全てを風戸は肯定した。そこでコナンは蘭にだけ見えるように手を動かし、下を指差す。その間、話を続けて風戸の注意を引くことにした。

 

「奈良沢刑事が、胸の手帳を掴んで亡くなっていた事は、白鳥警部から聞いたんだな?」

 

「私は彼の主治医だからね」

 

「それでアンタは刑事の息子である友成真さんを連想させる為、倒れている芝刑事の手に、わざわざ警察手帳を持たせた」

 

「見事だよコナンくん。…だが私が犯人という証拠はないよ?」

 

ここまで暴露し、話していた風戸。しかし確かに今までの話をコナンが言ったところで、証拠がない。風戸が捕まることはないだろう。そして何よりその自信の出所は、佐藤刑事の時に消炎反応が出なかった事。それを言えば、コナンはニヤリと笑う。

 

「そのトリック、聴きたいなら説明してあげるよ?」

 

「何っ!?」

 

「アンタが警察に捕まった後でな」

 

そこで風戸はようやく気付いた。ーー蘭がコナンの後ろに姿を現したことを。しかし気付くのが遅かった。何故なら何処かへと飛び降り、コナンもまた、そこへと飛び降り姿を消してしまったのだから。

 

直ぐに風戸がその場所へと走って行けば、そこにあったのはま穴。滑り台の入口だった。風戸はそれに舌打ちし、移動した。

 

 

 

 

 

滑り台から降りて、蘭は直ぐそこの出口から出ようとした。しかしコナンがそれを止め、立入禁止看板へと向かう。曰く、既にそこには風戸が待ち伏せているからだと。蘭はその言葉を素直に聞き、立入禁止の向こうへと走っていく。そしてまた左右の道を左へと曲がり、その先の出口から出てみれば、火山の噴火する『冒険と開拓の島』の本島へとやって来ていた。

 

「…ここは」

 

「『冒険と開拓の島』の本島だよ。あの小島から海の下を潜って来たんだ」

 

「そうなの…」

 

「行こう!」

 

そこで2人は走り出すが、マグマの色に似せた水路の近くにある岩。丁度そこを通ろうとした所で撃たれ、被害はなかったもののその岩陰へと直ぐに身を隠した。

 

ーーそこ以外に身を隠せる場所がない、絶体絶命の状況である。

 

「まだ話の途中だったな!」

 

「くそっ…!ボートで追ってきたのか!!」

 

「困るんだよ。君にあのトリックを解かれちゃ。私も佐藤刑事を撃った容疑者の1人になってしまうからね」

 

「蘭の目撃証言があっても、トボけられるってか?…だけど生憎と、それを解いたのは俺じゃない…修斗さんだ」

 

「ほー?じゃあ彼の推理が合っているかどうか、聞こうか?彼がこの場にいない以上、聞けるのは君からだからね」

 

「いいとも」

 

そうして話しだす。停電にした後、手術用の手袋をはめ、傘立てに予め用意しておいた傘を持って女子トイレへ。傘の先端には前以て穴を開けておき、そこから拳銃を突き出し、発砲。そうすれば傘が火薬の粉と煙から風戸は守られる、と。そう説明すれば、悪どい笑みをさらに深めて肯定した。

 

「正解だよコナンくん…いや、この場合は修斗君の推理通りと言うところかな?しかしこれで君達には死んでもらうしかないようだ」

 

そこでコナンは顔をしかめて考えを巡らせ、蘭はそんな彼を心配そうに見つめる。そんな2人に拳銃の弾倉を出しながら近く風戸。

 

「安心したまえ。君達に死んでもらった後には彼にも後を追ってもらうさ。彼は元々、私を強く警戒していたからね。遅かれ早かれ殺すつもりはあったが、やはりあの時、彼を撃っていて正解だったようだ」

 

コナンは風戸を見ながらも蘭を守るために、その短い腕を必死に伸ばして右肩を掴み、自身に抱き寄せる。その間も、風戸はゆっくりと、まるでホラーゲームのように恐怖を与えながら、一歩一歩、歩み寄る。その際にリロードするのも忘れない。

 

そんな時、コナンは溶岩の水路から流れてくる、5人乗りの丸いボートを見つけた。

 

「ーーねえ、どうして?」

 

コナンがその船を見つけて思案していれば、蘭がそう問いかけてくる。

 

「どうして君は、こんなにも私の事を守ってくれるの?…ねえ、どうして?」

 

その問いにコナンは目を丸くし、気障に笑うとその腕を掴み、走りだす。

 

 

 

「ーーオメェの事が、好きだからだよ」

 

「ーーこの地球上の、誰よりも」

 

 

 

風戸がコナンの行動に気付きすぐさま発砲。しかしコナンには当たらずその先の岩盤に当たるだけ。足は止められず、コナンは蘭の腕を引いたまま溶岩色の水路へと飛び込んだ。丁度降りた場所にはボートがあったが安心出来ない。直ぐにコナンは少し安心している蘭に指示する。

 

「息を目一杯吸って!」

 

「ぇっ」

 

「早く!!」

 

蘭が息を吸ったと共に追い付いた風戸が上から発砲。しかし同時に行動していたコナンが蘭を押し倒し共に水路へと逃げたため当たらなかった。そのまま4発撃ち込むが、2発はボート下に隠れていたため当たらず、もう2発はボート自体に当たっただけ。そのまま岩のトンネルを通っていってしまい、風戸の射線上から逃れ切った。

安全だと理解すれば、2人はすぐ様潜るのをやめ、新しい空気を吸い込んだ。

 

「ありがとう」

 

蘭からの礼に少し息が荒いままのコナンが振り向けば、少し照れた様子の蘭がいた。

 

「オマセさん!」

 

コナンはそれに苦笑いしか浮かべる事ができない。コナンとしては、本心からの言葉だったからこそなのだが、子供の姿では仕方ない。

 

そのまま流れ流れ、辿り着いたのは『科学と宇宙の島』。ーーそこでコナンは目的地である噴水へと、辿り着いた。時計を確認すれば、21時まで残り46秒ほど。その時計のガラス越しに、走って追いかけてくる風戸の姿を認めたコナンは蘭の腕を引っ張り壁に姿を隠し、先程までいた場所には弾丸が撃ち込まれた。

 

「ここで終わりにしようじゃないか、コナン君。それにもう君達には、逃げ場がない」

 

それでもコナンは蘭の手を引き走れば、射撃される。それは見事、コナンの左肩を擦り、コナンは噴水広場の丁度、中央で転けてしまった。蘭の手も離してしまい、蘭は驚きと心配で足を止め、コナンを支える。

 

「コナン君!?」

 

「だ、大丈夫…腕を掠めただけだから」

 

風戸は腰に手を当てながら、何かを数えるように光が刻々と消えていく観覧車を背に、悪どい笑みを浮かべる。

 

「言ったろう?もう逃げ場はないって」

 

「…い、今ここで蘭を殺すと、友成真さんの無実が証明されてしまうんじゃないのか?」

 

「そうなんだよ〜。友成は逮捕前に消すつもりだったが、仕方がない」

 

風戸は途中で足を止めた。コナン達と風戸の距離はあと少し。距離で言えば約2m。射程圏内だ。

 

「さて、やはり此処はレディーファーストかな?」

 

そこで蘭に銃を向けた。

 

「ーー10、9、8」

 

途端にコナンが数えだす。それに風戸は訝しげな顔を浮かべ、蘭はあの新一と呼ばれた少年が、時計を見ながら数える姿が思い浮かんだ。

 

「ふん、何かのおまじないか?」

 

風戸は余裕の笑みを称えて問うが、コナンは数え続ける限り。

 

「ーー3、2、1」

 

そこで風戸の背にあった観覧車の光が全て消えた。それと同時に周りの流れている噴水から水が噴き上がる、風戸が驚いて後ろを振り向いたと同時に、その場にも水が噴き上がる。水の壁の出来上がりかと思えば、丁度風戸の手に水が当たり、一箇所だけ凹んだ形になってしまった。

 

ーーそれを見て、蘭は思い出す。

 

 

 

『ーーダメ!蘭さん!!』

 

そんな女性の声と共に拳銃が発砲。目の前の女性が撃たれた。

 

『佐藤刑事!!』

 

更に女性は二発撃たれた。

 

次に浮かんだのは懐中電灯の光で当てられた犯人ー風戸京介ーの顔。

 

 

 

ーーーそして徐々に思い出す。トロピカルランドの新一との思い出。この噴水での思い出。あの会場での事。その全てをーーー

 

 

 

風戸が思わずといった様子で噴水から腕を引き、コナンは蘭のポケットからあの撃たれたコーラの缶を取り出した。驚いた蘭は思わず振り向いた。

 

「僕から離れて!!」

 

風戸は噴水の周りを歩きだす。前方の壁は薄くて向こうが見えるのだが、二つ目の壁が厚いのか、中の様子が見えず、撃とうにもどこにいるか分からないからだ。

 

「噴水が止まれば終わりだぁ!!諦めるんだなぁ!!!」

 

コナンはその声のする位置に目を向ける。それと共に徐々に噴水の勢いは止まっていき、風戸は笑みを深めて壁が落ちるのを待った。しかしその瞬間、視界に動くものが入ってしまい、それを見てみれば上に投げられたらしい缶。

 

「子供だましか!」

 

そこで缶に向けてまず1発。そして其処から下に向けて2発目を撃ち込む。それは惜しくもコナンの足の真横に当たるだけで掠ることはなかった。しかしそのお陰でコナンは風戸の位置を理解し、キック力を一段階、シューズの仕掛けで上げる。

 

水の壁が徐々に落ちていき、風戸の悪い笑みと蘭の息を呑む声。それら全てがコナンの感覚に入る。そして視覚に次に入ったのはーーコナンが狙いを持って投げた缶。

 

「シネェ!!」

 

風戸が拳銃を構えるがもう遅い。コナンは狙い通りに缶を蹴った。それは子供のキック力では出せないーー大人が出したと言われても疑われないようなスピードで蹴り飛ばされ、風戸の顔に命中。そのままの勢いで風戸が後ろに倒れた。

 

コナンが安心したように肩の力を抜き、安堵の溜息を吐いた。そして倒れた風戸に近付き、1番の脅威である拳銃を遠くへと蹴り飛ばした。幸いにも暴発はしていない。其処で誰かが近づく音が聞こえ、右を見てみれば、笑顔を浮かべる蘭の姿が。

 

「ーーコナン君」

 

(蘭…もしかして……)

 

そこで微かな音がすぐ側から聞こえ、振り向いた瞬間、顔を殴られてしまったコナン。かけていた眼鏡は飛ばされてしまうが取りに行けれないーー風戸に床へと押し倒され、捕まってしまった為に。

 

「クソォ、貴様から片付けてやr…」

 

そこで振り下ろしたナイフが『キンッ』と金属音を鳴らし、折れてしまった。風戸が驚愕の目で見据えた先にいたのはーー蹴りを入れた姿の蘭が。

 

折れたナイフとそんな姿の蘭。頭の良い風戸は冷や汗を流した。もう答えは出たも同然だーー蘭が折ったのだ。

 

「う、ウソォ…」

 

蘭は腰を低くし、右手を後ろに引いた状態で構え、油断しない目で風戸を見据えた。

 

「何もかも思い出したわ。貴方が佐藤刑事を撃った事も、私が空手の都大会で優勝した事もね!!」

 

「空手…優勝!?」

 

そこで蘭は力を入れる為に声を出しながら風戸に近付き、右と左の連続突きを腹部に撃ち込み、左脚で風戸の顎を蹴り上げ、後ろへと倒れかけている風戸の首辺り目掛けてジャンプ蹴り。そのまま風戸は吹っ飛び、目を開けたまま昏倒。蘭は息を吐き出し力を抜く。コナンはその一部始終を見て一言。

 

「す、スゲェ…」

 

そこで漸く駆けつけたパトカー数台が噴水広場へとやってくる。刑事たちと共に来た小五郎と英理、少年探偵団達が心配そうな顔で降りると、一直線に蘭の元へと駆け寄った。

 

「「蘭!!」」

 

小五郎、英理、園子が蘭の周りにやってくれば、蘭は思い出した事を示すように、小五郎と英理を『いつもの呼び方』で呼ぶ。それで理解した2人は嬉しそうな笑顔を浮かべた。

 

「じ、じゃあ、私は…??」

 

「もちろん!!鈴木園子。私の…一生の友達よ!!」

 

その言葉に園子は今まで堪えていた涙を流し、蘭を抱き締め、蘭もまた抱き締め返す。

 

吹っ飛ばされた風戸の元には、彰、瑠璃、高木が近付いた。瑠璃が怒った様子で風戸を起き上がらせ、腕を後ろに回し、手錠を嵌める。

 

「修斗を…私達の兄妹を撃ったアンタを、正直タコ殴りにしたい思いはあるけど、私は刑事だから…アンタを法で裁いてもらう」

 

「喜べ。尋問は俺と松田がしてやる……月夜ばかりと思うなよ」

 

「おい、それどう考えても俺はやり過ぎないように呼ばれるストッパー扱いだろお前」

 

三人の元に近づく松田がそう声をかければ、瑠璃は鼻を鳴らして怒りを隠そうともせず、逆に彰は怒りを抑える為に敢えて息をゆっくりと吐き出した。

 

小五郎が風戸を見据えながら、小田切本人が自ら再捜査し、小五郎達に伝えた結果が今だと伝えられた。それにコナンは笑みを浮かべたが、それに少年探偵団三人が不満そうな顔をする。

 

「狡いぞーコナン!勝手に捕まえやがって!」

 

「何を言っとるんじゃ。コナン君は君たちを巻き添えにしたくなくて…」

 

「それが水臭いんですよ!!」

 

「私達、同じ少年探偵団なのに!!」

 

それにコナンが少し困ったように頭を掻きながら笑って謝る。そこで顔を向けた歩美がコナンの頬から血が流れていることに気付いた。

 

「あれ、コナン君、血が出てるよ」

 

「えっ」

 

そこでコナンが手で拭おうとすれば、哀がハンカチを差し出した。

 

「良かったわね…取り敢えずは」

 

「あ、ああ…」

 

そこに更に咲が近付く。

 

「そうだな…取り敢えず、名誉の負傷が出来たしな」

 

「オメェなぁ…」

 

咲がニヤニヤ顔で言えば、コナンはジト目で咲を見る。そこでハッと思い出し、問いかける。

 

「そうだ、修斗さんは!?修斗さんはどうなった!!?」

 

「ああ、安心しろ。弾は運良く貫通してたらしい。取り敢えず病院で診てもらってはいるが、そう時間もかからないうちに家に戻れるだろう」

 

「そうか…え、でも止血が…」

 

「梨華がいただろう?アメリカに大体いるから万が一もあると考えて、知り合いに教えてもらったらしい。といっても簡易版で、ちゃんとした応急処置はここの治療室で、本格的なものは病院でしてもらう事になった。『こんな事で役に立って欲しくなかった』と泣いた後の顔で言っていたから、アレは完全治癒したら多分泣きながら叩くな」

 

「そうか…」

 

「お手柄だったわね、名探偵」

 

そこで後ろから声を掛けられ、振り向けば環がいた。

 

「え、環さん!?なんでここに!??」

 

「今日ここでライブをやった敏也を見張りに来たのよ。ま、無駄だったけどね」

 

「それにしても…」

 

英理がそこで溜息をつき、目を細めて隣にいる小五郎を見やる。

 

「何が『俺が命をかけても蘭を守る』よ。命をかけて守ってくれたのはコナン君と阿笠博士、それから修斗さんじゃない」

 

「あ、いやぁ…」

 

図星を突かれた小五郎は視線を逸らし、しかし直ぐに話題を晒しにかかる。

 

「と、とにかく!無事で良かった!!ハッハッハッ!!!」

 

そんな時、無線である知らせを聞いていた白鳥が驚きで一度聞き返し、その内容を高らかに叫ぶ。

 

「皆んな!!佐藤さんの意識が戻ったぞ!!!もう心配はないそうだ!!!」

 

それにその場の全員が安堵し、警官達は帽子を投げて大喜び。高木と瑠璃は泣いて喜び、そんな2人の肩を軽く叩き、盛大に笑って嬉しさを表す伊達。松田と彰はフッと笑って肩を撫で下ろし安堵した。

 

「これで全て解決ですね」

 

目暮が小田切に声を掛ければ、小田切は厳しい目を向ける。

 

「馬鹿を言っちゃいかん!まだ、敏也の恐喝事件が残っている。被害者は既に死亡しているが、事実関係を質してこってり絞ってくれ」

 

その小田切直々の言葉に、目暮は敬礼し了解する。それを視界の隅にお納めて歩き出すーーコナンの元へと。

 

「先に真実を明らかにしたのは、どうやら君の方だったな。君は一体…」

 

小田切のその問いに、気障に笑ってこう言葉にする。

 

「Need not to know……僕はただの小学生だよ!」

 

コナンは子供らしい笑顔を浮かべてそう締めくくれば、小田切はそれ以上問い詰める事なく、最大の敬意を持って、コナンに敬礼し、去って行った、

 

 

 

 

 

その夜、コナンは風呂から上がり、既に寝巻きへと着替えて待っていたらしい蘭の元へと来れば、蘭は笑みを浮かべて礼を告げる。

 

「ありがとう、コナン君。あの時、私の記憶を取り戻そうとして、あんなこと言ったんでしょう?」

 

「えっ?」

 

コナンは何のことか咄嗟に思い浮かばずに逆に問い返す。

 

「ホテルで聞いてたんだよね、お父さんがお母さんに言ったプロポーズの言葉!『お前のことが好きなんだよ、この地球上の誰よりも!』って。それでワザと同じ言葉を…」

 

それにコナンは逆に驚愕し本当に小五郎が言っていたのかを聞けば、蘭が違うのかと問い掛ける。それにコナンはまずいと思いそうだと肯定して仕舞えば、もうどうにもならない。

 

「だと思った!だって、私とコナン君じゃ、年が違いすぎるものね!でも嬉しかった!おやすみ!!」

 

蘭が笑顔で就寝の挨拶を交わして部屋へと戻っていく。それを心ここに在らずの状態でおやすみの言葉を言って見送ったコナン。少ししてまあいっかと思考を放ったが、直ぐに立ち止まり思考再開。

 

「待てよ?ってことは…俺はあのオッチャンと同じ発想だってことか??」

 

それにコナンはガックリと肩を落とした。

 

 

 

 

 

ーー後にこの話を聞いた修斗が爆笑したのは言うまでもないことである。




約14300文字って…多分最大文字数ですよこれ…めっちゃ思考した…疲れた。

元は遊園地の追いかけっこの途中。あの岩の滑り台辺りで止めようかと思ったんですが、結局中途半端に感じて最後まで書ききってしまった…でもランネーチャン書けて、私、大満足です!!!

そして一番実はどうしようか迷ったのは修斗君負傷あたり。貫通した時の対処法を探して一度書く→そういえば服装決めてないのに長いタオルとかあったら不自然じゃん→一番最初の所に服装追加→あれ、これ応急処置出来なくね?→結果:裁縫セット的なものを持っていたことにし、ハサミで裂いてもらいました。
あの親子に関しては完全に映画に出ていたキャラです。本来、女の子が実は持っていた風船に弾丸が当たり割れるのですが、その役割は修斗君の負傷という事にしました。あそこまで慎重な犯人さんが、犯人自身を強く警戒し、雪男君から修斗君の実績を聴き、頭の回転の良さに気付けば、やってしまうかなと考えた結果です。後悔してません!

因みに映画通りに書いているからこそですが、これで例えば間違ってコナン君死亡蘭さん死亡したら、確実に修斗君詰みです。死んでました。少なくとも医者である以上、毒薬じゃなくともその代わりになるものは幾らでもあるので、ヤろうと思えばヤれたでしょうから。仁野さんと同じやり方でも良かったわけですし。

さて、次回話なんですが、実はまだ考えてません。どうしようかな…取り敢えず話を決めて、あとは時間とやる気があれば書きます。

それでは!

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