東方白天狗   作:汎用うさぎ

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ランキング4位掲載、ご愛読、評価感想感謝です。

雪「もこたんINしたお!これで勝つる!!もう何も怖くないーーー!」




9.天魔、死す

「ーー何ボケーっとしてんだ、早く逃げろ雪」

 

はいすみません!妹紅さんに惚れてました。急いで逃げますーーって言うわけにはいかないでしょ!

 

「妹紅を置いてはいけない」

 

「私の心配はいらないさ、時間稼ぎなら任せとけ。私は不死身だ、心配するだけ無駄ってもんさ」

 

そうだ、妹紅は不死身だ。だからといって置いて逃げる理由にはならない。だが、妹紅の気持ちを無駄にするような真似もしたくない。ここでゴネても妹紅の迷惑になるだろう。

 

「…わかった、事態が収まったらまた酒を酌み交わそう」

 

「約束だぞ?またミスティアの店でーー」

 

「いや別の店にしよう。それがいい」

 

酒もとても美味しいからいい。飯も酒に合う味付けでいい。だが店主、テメーは駄目だ。

 

何故あの凶行に至ったのか知らないが、この恨みを簡単に晴らせると思うなよォ!?

 

「え?あぁ、まぁ私はどこでもいいし。雪に任せるよ」

 

よし、それがいい。絶対いい。ミスティアとは小一時間質問攻めしないとこの確執は解消できないだろう。それが実現するまで絶対に許さ"ん"ッ"ッ!

 

「鬼の目の前で随分と余裕だな、させると思っているのか?」

 

あ、顔の血管がピクついてる。鬼の四天王閣下は相当お怒りのようです…じゃない!何でそんな怒ってるの!?

 

「なんだよ人が話ししてるって時に、水を差すんじゃないよ。ん〜?あぁ、私が羨ましかったのか?顔にそう書いてあるぞ?」

 

「悪いかよ!私とは滅多に酒を飲んでくれないんだぞ…当てつけみたいに自慢しやがって!お前絶対許さないからな!」

 

だってアルハラ、セクハラ、パワハラしてくるんだもん。それに仕事もあるし。丁重にお断りさせていただきます。というか怒る理由そこ!?

 

「おぉ怖い怖い」

 

ちょ、ちょっと妹紅さんや…さっきから煽りすぎでは!?

 

「鬼を怒らせた事を後悔させてやる…!」

 

ほ、ほら!人里とか関係なし全てを皆殺しにしそうな雰囲気出してるよ!?絶対破壊者降臨まったなしなんだけど!?

 

ーーん?なんだ?ジェスチャー?…早く逃げろ?必要以上に煽ってるのはそういうことか…!分かったぞ妹紅!絶対後で酒を飲もうな!

 

目指すは上空!地上で戦ってくれている妹紅のおかげで上空には意識が向き辛いはず…!能力使って一点突破すれば逃げ切れる!

 

無限の彼方へ、さぁ行くぞォォォォォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い坑道のような道を進む、立派な一本角を生やした鬼の前に九つの尻尾を持つ妖怪、八雲藍が立ち塞がる。

 

「あ?あんたは確か八雲の…何だっけ?まぁいいや、邪魔だからそこどいてくれないか?」

 

それを意に介さず、鬼は大股で藍の目の前まで歩みを進める。

 

「断る、お前は地上と地底で交わされた条約を知らないのか?」

 

「アタシはそんな約束事は知らないねぇ。だからその条約は私に関係ない」

 

手に持った大盃を傾け、グビグビと酒を呷りながら藍を睨みつける。

 

「条約を違反するつもりなら、容赦はしない」

 

常人なら気絶するほどの鬼の覇気を一身に浴びながらも、藍は怯まずに迎撃の姿勢を取る。

 

「はっ!そういう荒事は好みだよ!アタシは急いでるんでね、さっさと押し通らせてもらうよ!」

 

そんな藍を見て鬼の四天王、星熊勇儀は獰猛に嗤って拳を振り上げた。

 

「脳筋め…!」

 

圧倒的な破壊の本流から即座に距離を取り、高度な術式を展開して攻撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーそれでですね!妖怪の山に転移してすぐに山の妖怪の信仰を得ようと神奈子様が出陣したんですが、すぐに天魔様が出て来てですね、それはそれはもう凄い決闘でカッコよかったんですよ!」

 

「…」

 

「結局は神奈子様が負けてしまったのですが、天魔様との決闘を見た山の妖怪達から力のある神だと信仰を得られたらしくてですね…あっ、それと諏訪子様も神奈子様と同格の神だと思わられたらしくてですね、信仰をたくさん貰えーー」

 

「早苗」

 

「はい?何でしょうか霊夢さん?」

 

「五月蝿い」

 

「ひ、酷い!無言だったから場を盛り上げようと天魔様の話をしてあげたのに!」

 

「余計なお世話よ!私は妖怪に興味はないしあんたとこの神様にも興味がないの!だからあんたの話も興味ないのよ!」

 

「でも楽しくないですか?お話するだけでも気分が良くなりません?終始無言で異変解決なんてつまらないですよ〜」

 

「私はあんたみたいに能天気じゃないし、異変解決に楽しさは求めない。」

 

「ぶーぶー」

 

膨れっ面で抗議する早苗。ウザい、その顔も言動も全てが五月蝿い。

 

膨らましている頰をガッと掴んでギリギリと締める。

 

「あびゅ…!?」

 

「ほんっとうに黙ってくれないかしら…!」

 

「わ、わはひまひた!いはい!いはいれすよぉ!れひむはん!!」

 

「ったく…」

 

若干涙目になってきたところで手を離す。頰を摩りながら黙って後ろを飛ぶ早苗を尻目に人里へ真っ直ぐ飛んで向かう。

 

「…」

 

「…」

 

「…それでですね、神奈子様がーー」

 

「五月蝿い!」

 

「あべしっ!?」

 

懐から幣を取り出し、それなりの強さで早苗の頭を殴る。本当にこの緑どうにかできないかしら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…話は、聞いてもらうわよ…!」

 

息を切らしながらも、はたては時間がないとばかりに喉を詰まらせながら言い切る。

 

「あ、あぁ…まさかここまでやるとはな…。あまりにも必死なんでこっちも驚いたぜ。何か理由があるのか?」

 

あまりのはたての形相に終始押され気味な魔理沙であった。魔理沙は必死なはたての健闘で魔理沙は負けを素直に認め、約束の話を聞くことにした。

 

「えぇ、守護りたい人がいるのよ。だから、貴方に力を貸してもらいたいの」

 

「…本気なんだな、いいぜ!異変解決の前にお前らの手助けをしてやるぜ。私は一体何をすればいい?」

 

「あの霧を吹っ飛ばして、貴方なら出来るでしょ?」

 

はたては人里を覆う霧を指差して不敵に笑った。

 

「お安い御用だぜ。」

 

それに応えるように魔理沙もニカッと笑って箒に跨り空へと浮かぶ

 

「待て、この霧は鬼の四天王ーー」

 

この霧の正体を知り、鬼の実力の一端をも知る椛が忠告するべく口を開くも魔理沙が不要と手で制した。

 

「萃香のだろ?霊夢のとこに居候してる。鬼ってのは確かに強大な妖怪かもしれないけどな、これほど広く張っている霧なら霊夢の結界の方が断然強いぜ。」

 

鬼の結界取るに足らんやと、懐に入れたミニ八卦炉へと手を伸ばす。

 

「ーー見てな、弾幕はパワーだってところ見せてやるぜ」

 

魔力を構えたミニ八卦炉へと集中させる。膨大な魔力の本流が一点へと凝縮され、発射の瞬間を待つ。

 

「“恋符『マスタースパーク』”」

 

魔理沙の宣言と共に、激流のような魔力の本流が解放され、萃香の霧に激突する。極太のレーザービームと萃香の霧は激しい光と轟音を響かせ均衡する

 

「そんな…!?これでも破れないの!?」

 

「まだだ…!弾幕はァ…パワーだぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「“魔砲『ファイナルマスタースパーク』”」

 

ミニ八卦炉へ更に魔力を込める。桁違いの魔力を込められたミニ八卦炉は出力を加速させ、威力を底上げする。

 

人里に分散させた霧を一点に集め始めるも既に遅い。均衡は崩れ、霧は魔理沙のパワーに押され続ける。

 

「イケる!!いいよ魔理沙!もっとやっちゃって!!」

 

魔理沙の優勢にはたてはもっともっとと囃し立てる。それと対象に戦局を冷静に俯瞰していた椛が急に顔を色を悪くして焦ったように声を上げる。

 

「ーー待て!霧雨魔理沙!今そこにーー」

 

椛の制止は魔理沙の耳には届かず、魔理沙はトドメとばかりにミニ八卦炉へと力を込める。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

魔理沙のゴリ押しに萃香の霧は耐えきれずに貫通する。人里に被害が出ないように空へ向けてマスタースパークは見事に被害は出さずに萃香の霧を払った。

 

「どんなもんだぜ!で、何か言ったかそこの白いの?」

 

「なんてことを…ッ!」

 

「ど、どうしたの椛?」

 

「お前の放ったマスタースパークは萃香殿の霧と一緒に天魔様を吹き飛ばした…!」

 

「なっ、何ですってぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

はたてのつんざくような絶叫が人里を駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疾ッ!」

 

ふははははははっ!離脱!この速さ、いくら鬼とて追いつけまい!

 

「ーーなっ!?逃がすか…!」

 

「おっと、お前の相手は私だよ!」

 

「クソ…邪魔なんだよお前…!」

 

妹紅さん、マジかっけぇ…!じゃなかった!早く此処を脱出するんだ!能力は霧突破に極振り!妹紅さんが萃香を抑えているんだ!防御などいらぬ!!

 

「ーーちっ、援軍か!?霧の結界が…破られる!?」

 

「おっと余所見なんて余裕だね?」

 

「あぁあぁぁぁぁぁ!!イライラする!どいつもこいつも私の邪魔ばかり!!」

 

援軍?ラッキー!ここまでの不運続きもこの時のための試練だったのだッ!霧の結界は目前!私を止めるものは誰もいないぜェェェェェッ!

 

逃げ切れると確信した瞬間、地上を見ながら飛んでいた雪は視線を霧へと戻した。そして驚愕する

 

「“魔砲『ファイナルマスタースパーク』”」

 

え?ちょっと待ーー

 

雪の意識は此処で途絶えている。

 

 

 

 




雪「私が一体何をした!?」

魔理沙「てへぺろ」

本当に死んではいないので、ご安心ください

雪「安心してくださいじゃねーよ!馬鹿!」


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