構想担当は中元、文を書くのは進瀬担当という分担でやっていこうと思いますので、宜しくお願いします!因みにこの前書きを書いているのは書く担当の進瀬です!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
俺は遺跡平原の中心部にある、切り立った崖続きのエリア7を全力疾走していた。
高所からの着地の衝撃を幾多も喰らった足は悲鳴を上げている。しかし、今はそんな事お構い無しに走り続ける。
「んあぁぁぁぁぁぁ!!頼む!頼むから来ないでくれ!俺なんか美味しくない!生臭さしか無いから!」
『ゴァァァァァァァァァッッッ!!!』
背後から迫り来るのは火竜『リオレウス』。恐らく、モンスターハンターの中で最もポピュラーなモンスターと言っても過言では無いだろう。初代のパッケージを華々しく飾った、一番歴史のあるモンスターの一つ。
殺意の込もったエメラルドグリーンの瞳、堅固な紅い甲殻、巨体を浮かせる巨大な翼、俺を一目見ただけで襲ってくる凶暴性と執念深さ。それらの要素は『空の王者』という異名を持つのに相応しかった。
ボアッ!!
「うおっ!?」
半径30cm程度の火の玉が頬を掠めた。火の玉は威力と速度を弱める事無く、空の彼方へと飛んでいった。
火の玉の正体はリオレウスの出した炎ブレスだ。リオレウスは有している火炎袋で炎の塊を吐き出す事が出来る。
もし命中してしまったら肉は焼かれ、骨は焦がされるだろう。
「くそっ……どうしてこんな事するんだよ!?」
『ギャオォォォォォォォォォ!!!!』
モンスターに言葉が通じる事は当然無い。リオレウスは依然、俺を追いかけて来ている。
「チクショウ!やってやるぞ!正当防衛だからな!問題無いだろ!?」
『ウガァァァァァ!!!』
リオレウスの爛々と輝く両眼にはとても激しい殺気が籠もっていた。ヤバイ、止まったら喰われる。俺なんか不味いよ?イワシのはらわたみたいな味がすると思うよ?
「くっ……しょうがない……
………プラネット・ウェイブス!!」
後ろをチラリと見て、リオレウスの様子を確認する。リオレウスは俺との間隔を5~6m程開けて此方を追跡して来ている。リオレウスには疲労を様子は無いし、このままずっと追跡して来るだろう。早めにこの鬼ごっこにピリオドを打っておかなきゃまずい!
出来るだけ使いたく無かったけど、しょうがない!いっちょやるぜ!
「喰らえ!リオレウスッッ!!」
最後の崖から飛び降りた瞬間に身体を捻って後ろを振り向く。リオレウスは開けた口からダラダラと涎を出し、鋭い牙を剥き出しにして此方に迫って来ている。
「これが俺のプラネット・ウェイブスだ!!」
荒い鼻息が顔にかかる程、リオレウスが接近し、噛み砕かれそうになった瞬間、それは訪れた。
ヒュュュュュュュン!!
ドゴァァァァッッ!!!
『ゴガァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!???』
リオレウスの翼がポロリと、まるでフィギュアのパーツが取れるかのように簡単に取れたのだ。いや、正しくは『撃ち抜いた』だ。
リオレウスを襲ったのは『隕石』だ。それがリオレウスの翼に命中し、撃ち抜いた。
そう、これが俺の『スタンド』、プラネット・ウェイブスの能力だ。『地球に突入してくる隕石を自分の居る位置に落下させる。隕石自体は自分の目の前で燃え尽きて無くなるので自分は安全。その途中に居る相手を攻撃する。』
要するに隕石を操って攻撃するという物だ。
そもそもスタンドという物は漫画、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する要素の一つだ。簡単に言うと人の精神力を形にした、パワーあるビジョンだ。その上、スタンドは一体につき一つの特殊能力を持っている。時を止めたり、傷を治したり、更には時を加速させるなど、規格外の能力を持っているスタンドもある。
このプラネット・ウェイブスは第六部、ストーンオーシャンで登場したヴィヴィアーノ・ウエストウッドのスタンドだ。
俺はそれをこの『モンスターハンター』の世界に転移した際に入手した。
「まだまだ続くぜ!!流星群だ!!」
毎秒平均400個という恐ろしい数の隕石が大気圏に突入する為、好きなタイミングで複数個呼び出す事が出来る。ロックオンされた相手はどんな手段で防御しても身体がバラバラになるか、ズタズタになり、次の隕石を防御する事は出来ない。
翼を失った今のリオレウスは回避する事は出来ないだろう。
自由落下していく中で、丁度俺の身体と崖から飛び出したリオレウスの身体が重なった。
「三発追加!!隕石の雨嵐だぜ!」
青空の彼方から此方に向かって軌跡を描いている線が3つ見えた。途轍もないスピードで迫り来るその線は俺の呼び出した第二弾の隕石群だ。
『グガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!???』
隕石はリオレウスの頭と胸と残っていた左の翼の翼膜を貫通した。
リオレウスは弾かれたように吹っ飛ばされ、地面にドスンという音を立てて落下した。
俺の体もリオレウスと同時に地面に落下した。背骨が痛い。誰か助けて。
首を動かし、リオレウスの方を見ると、リオレウスはもうピクリとも動かなかった。やったぜ。
「よし………。」
プラネット・ウェイブスの呼び出す隕石は威力が高いのだが、正確な狙いを付ける事が難しい。その上、呼び起こした瞬間と隕石が飛来する間の間隔がある。
今回もあらかじめ走る方向とは逆の方角から隕石を呼び起こし、自分の背から確実に着弾させるようにした為、ヒットさせる事が出来た。プラネット・ウェイブスは隕石の飛来する方向は設定する事が出来るが、そのサイズ、到達時間が特定では無いのが玉に瑕だ。
自分が居る地点から最寄りの隕石を引き寄せるのでそのサイズ、隕石が到達する間の時間は操る俺でさえ分からないのだ。
その為、少々使いづらいのだが、俺がプラネット・ウェイブスによる狙撃を奥の手としているのにはもう一つの理由がある。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。」
そう、プラネット・ウェイブスを操る際にはかなりの体力を消費する。破壊力との等価交換と考えれば良いのだが、たった四発で暫くの間は動けなくなる。発動すると、体力の消耗が急激に加速する。それがプラネット・ウェイブスのもう一つの弱点だ。
「あはは……動けねぇ……。」
俺は日本晴れの青空を仰いだ。
よくよく思い返せば、この世界に転移したのは一週間前だ。
『モンスターハンター』。今や日本でこのゲームの名を聞いた事の無い人間は数える程しか居ないだろう。十数年前に初代モンスターハンターが発売され、その独自の世界観と多数の個性的なモンスターにより、話題を呼び、それ以来狩猟系アクションゲームの元祖として君臨している超人気ゲームだ。
俺もモンスターハンター、通称モンハンが大好きだ。シリーズは初代から全て揃えているし、オンラインのフロンティアもずっとプレイしている。今まで、幾度と無く憧れ、夢馳せたモンハンの世界。俺はその世界に一週間前、転移したのだ。
この遺跡平原に転移した直後は初めは右も左も分からず、戸惑いが多かったが、エリアの地理と採集出来るアイテムを熟知していたお陰で生きていけている。
その上、プラネット・ウェイブスが無かったら大型モンスターに怯える日々が続いていただろう。本当にこんな強い能力を持たせてくれた神の気まぐれには途轍もない感謝を送りたい。
「よし、寝ようか……。」
幸い、今日は遺跡平原で危険な大型モンスターの姿を目撃していない。精々ジャギィが巣の周辺を彷徨いてるくらいだ。ジャギィは段差の多いエリア7には好き好んでやってこない。クンチュウも見た限り居なかった。後はブハナブラがチクチクしてこない事かは心配だが、辺りにブハナブラの巣は無いので、この環境ならぐっすりと眠れそうだ。寝たら体力も回復する筈だ、起きたら拠点に帰ろう。
「おやすみ……。」
俺は瞼を閉じて、深い深い夢の世界への一歩を踏み出した。
【モンスターハンター】
説明不要の大人気アクションゲーム。この小説の世界観の基盤になる。作者2人も大好きだとか。
【ジョジョの奇妙な冒険】
ジョースター家と因縁の宿敵、ディオとの争いを描いた“人間賛歌”を題材とした漫画。その連載は第一部から現在連載されている第八部、ジョジョリオンまでで約30年続いている。
【スタンド】
ジョジョの奇妙な冒険、第三部、スターダストクルセイダースより登場した新設定。精神パワーを具現化した物で、言わば超能力が形になったような物。
スタンドは特殊な能力を持っており、様々な効力を持っている第三部はタロットカードの名前でそのスタンドの名称が付けられていたが、それ以降からは洋楽の名前が付けられるようになった。
【プラネット・ウェイブス】
ジョジョの奇妙な冒険、第六部、ストーンオーシャンの舞台となった『フロリダ州立グリーン・ドルフィンストリート重警備刑務所』、通称『水族館』の看守、ヴィヴィアーノ・ウエストウッドのスタンド。『自分に隕石を引き寄せる』というえげつない能力を持っている。その上、
破壊力-A スピード-B 射程距離-A 持続力-A 精密動作性-E 成長性-E
と中々とステータスを持っている。