わんわんおなんて言わせない   作:暇人(暇では無い(´・ω・`))

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前回の最後で起こったミツネさんの死を乗り越えて、ジンくんはどのように成長していくのか?見ものですな。(´-ω-)ウム
では、どうぞ〜。


第5話 「復讐とかする奴って大抵弱いよね」

 

 

ーーーミツネさんが、死んだ。

その事実は、自分の胸に深く突き刺さった。

実際に、ミツネさんの死体を見た時、ショックと同時に、決して少なくはない精神的なダメージを受けた。共に過ごしていたのはわずか三ヶ月程ではあったが、それでもミツネさんは家族のようなものだったのだ。正直、言葉では表せない程辛い。

 

ああ、今の自分はどんな顔をしているのだろう。生気もほとんど感じられないような残念な顔をしているだろうか。いや、きっとしているのだろう。現に周りのジャギィ達は少し困ったような顔をしてから去っていった。今すぐ鏡を見て、残念な顔を見てみたい。きっといつもの自分ならふっ、と鼻で笑うのだろう。

 

これからどうしようか。今は何もやる気が起きない。メロスが途中で悪い夢を見たように、もう生きていくのもどうでもいい、面倒臭いと思ってしまう。リーチの短さを補うための体術?雷光虫の許容量を増やす?笑わせてくれる。現世でも、親族が亡くなるところに遭遇した事は無く、大切な人を失うというショックが強すぎるのだ。

今、チラリとハンターの影が見えた気がする。そうだ、一層の事、殺されてしまうという手もあるか。死んだら死んだでまた転生出来るのかも知れない。そうすれば、先客が居て行けなかった東方projectの世界やポケモンの世界、マリオの世界。そんな違う世界に行けるのか。そんな楽しい世界に行けるのか。そう思えば思うほど死への憧れは強くなっていく。

 

1歩ずつ、ハンターに近づく。ドクン、と心臓がはねる音がする。1歩、また1歩進む。ドク、ドク、と、鼓動は速くなっていく。ああ、もうすぐ死ねる。このことを忘れる事が出来る。もうすぐ、もうすぐ...。

 

 

コン、と何かが足に当たった。反射的に足元を見る。ミツネさんの顔だ。その瞬間、ハッと、気づき、歩みを止めた。そうだ。自分は何をしているんだ。こんな所で死ねば、一番悲しむのは誰か。他でもない、ミツネさんではないか。天国があるならば、きっとミツネさんは自分の行動を見ていて、そうして欲しくはないと願っているだろう。ミツネさんの死を乗り越えて、1歩、大きく成長するのが今の最善の行動では無いのか。もし死んで、ミツネさんにあっても、そんな恩知らずなやつに育てた覚えは無い!と一喝されてこちらが(´・ω・`)ショボ-ンとなっていしまうのがオチだ。それならば、今はただ、がむしゃらにでも頑張るしかないのだ。頑張れ、強くなるんだ、俺。

 

 

 

 

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ミツネさんの亡骸は、アイルーたちと協力して手厚く葬った。墓にはきちんとミツネさんの好きだったスズランの花を添えておいた。きっとミツネさんもどこかでこれを見ていて、ニッコリと微笑んでくれているだろう。これでミツネさんのことをズルズルと引きずったままでいるのは終わり。これからは1人で頑張っていくのだ。俺たち(1人)の冒険はこれからだ!

 

と、言いたいところなんだけれども。見たところ、先ほどのハンターとミツネさんを殺したハンターは同一人物では無い。なのにこんな辺境の地を歩き回っているということは、おそらくミツネさんとハンターは相打ちになり、その家族だか知り合いだかギルドのメンバーだかが復讐に燃えてやって来た、という所だろう。せっかくミツネさんを埋葬したのにここを荒らされるわけにはいかない。それじゃあ、1丁やりますかね。ミツネさんとハンターの、弔い合戦とやらを。

 

 

 

 

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どうやら、向こうもこちらに気付いたようだ。そっぽを向いて行こうとしたが、そうなることは想定済で、アイルーを1匹向かわせており、“あいつとミツネさんがあのハンターさんを殺したのニャー!”的なことを言っておいてもらう。すると、きっとあいつは俺を攻撃しに来るだろう。それを見事に返り討ちにする。と言うのが本来のシナリオ。だが、到底上手くいくとは思っていない。弱いヤツがノコノコと敵討ちだ〜的な感じで乗り込んでくるはずもないし、そもそも弱ければここまでたどり着くこと自体出来ないだろう。きっと今回の戦いは前のように上手くは行かない。苦戦は必至だ。でも、ここまで来た以上、やるしか無いのだ。改良した雷光虫弾を攻撃の主軸にして、今回もやってやんよ(っ・д・)≡⊃)3゚)∵シュッ

 

 

 

初めに仕掛けてきたのはハンター。武器は...ランスか。なんだ。てっきりやられたハンターと同じ大剣だと思っていた。速い動きで撹乱させれば大丈夫だと思っていたのだが。まあ、腹部に潜り込まれれば怖いが、それさえさせなければ比較的楽な相手の部類に入る...と思いたい。何せ俺はフロンティアとかクロスとかは知らない。従って、新モーションとかが出ているかもしれないのだ。そのせいで滅多打ちにされるのが一番こわい。

 

...っと、危なかった。間一髪で武器出し攻撃を避ける。アレを避けなければその後の上段突きも二連続で当たってしまい、とても痛い(切実)のだ。アレのせいで何度切り傷を作ったことか。ってまたか!回避からのコンボをすぐに繋げられるのがランスの強みだ。1度当たれば何度も当たる。つまりどんな攻撃も一発目を避けなければ多大なダメージをうける。これ、重要です。対策は考えてはいるが、突進なんか食らった日にゃあ...考えたくも無い。

 

さて、そろそろこちらからも反撃していかなければ、ただのサンドバッグである。取り敢えず体術で仕掛けてみる。一コンボ、二コンボ、三コンボ、四コンボと、一発一発は弱くてもコンボを繋げることが重要である。普通、ジンオウガの一撃は攻撃にもよるが凄く重い。だが、この体では小さいため、普通のジンオウガとは違う方法で攻めていくことが重要なのだ。どうやら、一、二、三発目は防がれたが、四発目はヒットしたようだ。この隙を逃さず、改良型雷光虫弾と雷光虫弾を叩き込む。この二種類では速度も異なるため、非常に避けづらい。お、一発目ヒットした後飛んでいく時にもう一発当たった。ラッキー。

 

どうやら相手はミツネさんが生きていて、かつ瀕死だと思っていたのだろうか、軽装で来ている。回復薬も持ってきていないようだ。まあ、もしミツネさんが生きててもあれぐらいならちゃちゃっと倒しちゃうんだろうけど。そう考えると、こちらもさっさと倒してしまわないと。

少し相手から離れ、突進を誘発させる。お、来た来た〜。遂にやけになったか。プロハンじゃ無くてもここで突進は無いだろ。まあ俺が誘発させたんだけど。それでもこのチャンスを逃すわけには行かない。ギリギリまで相手を引き付け引き付け...、ホッ、と一、二、センチの差で避け、尻尾を横から叩き込む。すると、案の定相手は吹っ飛び、ランスも吹っ飛んだ後に地面に突き刺さる。吹っ飛んだ相手はそこらの岩に当たり、グフっ、と呻き声を上げ、落ちる。どうやら満身創痍のようだ。まあ、ここで起き上がられても困るので、ダメ押しで落ちているランスを踏みつけ、折り、遠吠えをする。おお、ビビっとるビビっとる。あ、ネコタクが来た。止めはさせないか。まあいい。返り討ちという当初の目的は達成したのだ。

ふう、やはり今までで一番疲れた。状況だけ見ればすぐに終わったように見えるが、相手の攻撃も激しく、いくつか傷を負ってしまった。まあ、これぐらいで済んでいるのもミツネさんとの特訓の成果だろう。これでミツネさんへの未練も無い。あ、そうだ。天空山に行こう、天空山。あそこは高低差が激しいし、周りの敵もつよい。いい修行場になるだろう。そうと決まれば、さっそくいくぞー。さらば、渓流。また来る時は格段に強くなって帰って来るだろう。

 

...俺達の戦いは、これからだ!




これにて、渓流編は終了です。次回からは天空山に行きます。天空山、嫌いなんですよね…。あの蔦登るところ。あそこガブラスいるし、すぐにスタミナ無くなるしで散々なんですよ…。
そんな生存競争の激しい天空山で、ジンくんはどのように成長するのか、楽しみですな。
では、気長に次回をお待ち下さい〜。

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