学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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今回は八幡抜きでのお話です。
まぁ、閑話なのでこれくらいは許してください。


八幡の居ない話し合い

 

ーーーーーー

 

 

現在、この食堂には男3人に女5人が集まっていた。それもこの学院を代表する冒頭の十二人のうちの8人である。

 

 

セシリー「師父ー、なんかこの面子で会うのって久し振りですけどー、なんで八幡が居ないんですかー?」

 

虎峰「そうですね。確かになんか違和感を覚えますね。」

 

星露「そうじゃのう。今や妾たちの中心は八幡と言っても過言ではないからのう。」

 

沈雲「しかし珍しいですね。大師兄が此方にいらっしゃるなんて。」

 

暁彗「………………比企谷八幡に、人付き合いも大切だと教えられた。」

 

沈華「比企谷がそんな事を言うなんて、少し前までならあり得ませんわね。」

 

冬香「ふふふ、八幡さんは益々男らしさに磨きがかかっておりますわね。」

 

陽乃「さっすが八幡くんだねぇ!大勢の生徒たちに慕われてるだけあるよ!」

 

 

何故か今回、八幡が居ない状態でこの8人が揃っていた。

 

 

星露「しかし、八幡が来てからもうすぐ3ヶ月が経とうとしておるが、界龍(此処)もすっかり変わったのう。」

 

陽乃「確かにねー。この前まで水派と木派のいがみ合いだったのに、八幡の教えを勝手に受けてからいつの間にかみーんな仲良くなっちゃってるものね。」

 

沈雲「ええ。僕や沈華も今では、趙師兄や木派の門弟たちにも気軽に話せますからね。これも彼のおかげでしょう。」

 

冬香「今では、派閥の違う者同士でも互いに教えあっているとか。武術に疎い水派には比較的簡単な武法を、魔法に恵まれない木派には初級レベルの陰陽術を、今では虎峰さんも教わっているとか?」

 

虎峰「はい。僕も術のようなものが出来るのなら、習得しておいても損はないと思ったので。今はセシリーに習っています。」

 

冬香「まぁ、そうなのですか?」

 

セシリー「はい。しかも八幡の使う術って安全かつ強力な術式もあるので、教え甲斐ややり甲斐があるんですよー。」

 

冬香「……私も習ってみようかしら?」

 

沈華「その際は、私が教えてあげますわ。比企谷から少しは教わっていますので。」

 

暁彗「………………しかし、比企谷八幡の影響は強い。よもやこの学院の派閥対立まで解消するとは思わなかった。」

 

虎峰「たった2ヶ月しか在学していないのに、彼の影響力には度肝を抜かれましたね。転校初日の派閥勧誘の拒否から始まって、未適合純星煌式武装の初適合者、大師兄との決闘に勝利、そして派閥を無視する大人数の教示に苦手技の克服など、彼のしてきた事には本当に驚かされますね。」

 

星露「彼奴、妾よりも師に向いておるのではないか?妾も流石に自信を無くすぞ。」

 

セシリー「八幡も無意識にやってるんでしょうけど、尊師って呼ばれるのも分かる気はしますよねー。」

 

星露「お主もそう思うか?………いや愚問じゃな。この学院の全員が思っておるじゃろう。妾の立場がないではないか。」

 

 

改めて八幡の凄さを話し合っている8人。いつでも出来るような内容ではあるが、今回は八幡がいない事もあるのか、遠慮無く話せるのだろう。

 

 

陽乃「そういえばさ、此処にいる皆は八幡くんの料理って食べたことある?まぁ、一緒に食べてた子もいるんだけどね。」

 

 

陽乃が八幡の作る料理の話題を切り出すと………

 

 

星露「勿論じゃ!妾が1番に食べたのじゃからのう!」

 

セシリー「あたしもありますー。」

 

虎峰「僕もあります。絶品でした。」

 

沈雲・沈華「僕(私)もあります(わ)。」

 

暁彗「………………私はない。」

 

冬香「私もありませんが、何故です?」

 

 

8人中2人が食べていなかった。

 

 

セシリー「えぇー!?大師兄は兎も角、冬香さんは食べてないんですかー?」

 

冬香「は、はい………あの、何か?」

 

星露「意外じゃのう。」

 

陽乃「うん、てっきり食べてるかと思ったのに……」

 

冬香「お部屋にはよくお邪魔しますが、特に何かを頂くわけでなくお話をするために伺っているだけですので。」

 

陽乃「勿体ないよー!今度夕方に行ってみなよー、私も付き添うからさ!」

 

星露「なっ!?ずるいぞ陽乃!それは妾に任せるのじゃ!」

 

セシリー「師父と師姉の手を煩わせる訳にはいきません!あたしに任せてください!いえ、あたしがいきますー!」

 

沈雲「師父方、必死過ぎますよ……」

 

沈華「まるで国取り合戦ですわね。」

 

暁彗「………………それ程美味なのか?」

 

虎峰「ですが冬香さん、本当に何もないのですか?八幡が何も出さずに相手をするとは思えないのですが……」

 

冬香「そうは言われましても………っ!では、あれもそうなのでしょうか?」

 

3人「!!?」

 

沈華「っと、言いますと?」

 

冬香「八幡さんがいつも出してくれるスポンジケーキがあるのですが、それがとても美味しいのです。程良い甘さの中に混ざる抹茶の味がするので、よく頂いております。共に出てくる紅茶も本当にケーキと会うので、もしかするとと思ったのですが……」

 

陽乃「………もしかして、冬香ちゃんがお邪魔してる時って……」

 

冬香「はい、必ず用意してくださっているので、いつも頂いております。そうなのですか、あれは八幡さんの手作りなのですね。感服致しました。」

 

陽乃「ス、スポンジケーキと……紅茶?」

 

星露「それを部屋に入ったら、必ず用意してくれる……じゃと?」

 

セシリー「そんな………」

 

暁彗「………………師父が惚れ込む程の美味なのか?一度食してみたいものだ。」

 

沈雲「大師兄はまだいいですが………」

 

沈華「あの御三方は、食べられるかどうかも怪しい立ち位置にいるから……」

 

虎峰「落として落とすというのは、また新しいですね。狙っていたのでしょうか?」

 

 

落ち込む3人、普段通りの5人と分かれているが、八幡の料理が食べたい、食べてみたいという気持ちは一緒だった。

 

 

その頃八幡は………

 

 

八幡「今日別に来るなって言ってないのに、誰も来ないなんてな………一応多めに作ったんだがな。なんかあったのか?」

 

 

今日に限って晩御飯を多く作っていた。

 

 

 




八幡抜きとは書きましたが、
出ないとは書いてないので。

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