学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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今回はあの方たちが!




一本の電話と優しさ

ーーーとある人の部屋ーーー

 

 

八幡がシルヴィアを送ってから1時間後の話。八幡は帰ってきてるが、手料理を食べ損ねたある人物が愚痴をこぼしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽乃「あ〜もうっ!星露ってば八幡くんを独り占めしちゃってさ!私も八幡くんの手料理食べたかったのに〜!今日は折角、八幡くんと夫婦っぽく料理のお手伝いしようと思ってたのに〜!……あ〜ぁ、良いなぁ星露はぁ〜。」

 

 

陽乃side

 

 

本当にもうっ!何さ大事な話があるから今日は八幡と2人にしてくれって!私だって力になれるかもしれないってのに。

 

 

♪〜♪〜

 

 

ん?携帯から?お母さんかな?けど普通なら端末で連絡が来るはずだけど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着信中 雪乃ちゃん

 

 

………雪乃ちゃん?あの子が私に電話なんてどうしちゃったのかな?八幡くんが居なくなったせいで頭おかしくなったかな?

 

まっ、出るけどね〜。

 

 

私はそのまま応答の方をタップしてから、耳に端末をあてた。

 

 

陽乃「はーいもしもし?雪乃ちゃん?」

 

雪乃『……姉さん、少しいいかしら?』

 

 

相変わらずだなぁ。でも、私はもう協力するつもりなんてないけどね〜。

 

まぁ、話くらいは聞いてあげるか。

 

 

陽乃「なになに?雪乃ちゃんから相談なんて珍しいからお姉ちゃん張り切っちゃうよ。それで、どうしたの?」

 

雪乃『私……だけではないのだけれど、○日から学校見学で六花に行く事になったの。』

 

陽乃「へぇ〜雪乃ちゃん六花に来るんだ?それで私に六花の案内を頼みたいのかな?」

 

雪乃『えぇ、そうよ。お願いできるかしら?』

 

陽乃「勿論いいよっ!……って言いたい所なんだけど、私も《王竜星武祭(リンドブルス)》が気になるのよね〜。どうしよっかな〜。」

 

雪乃『……嫌ならいいわ。それと1つ聞きたい事があるのだけれどいいかしら?』

 

陽乃「ん〜?何?」

 

雪乃『比企谷くんを六花で見なかったかしら?そこに行ったと思うのだけれど?』

 

 

やっぱり八幡くん狙いか……そんな理由だと思ったよ。そうじゃなきゃ健気にこんな所来るはずがないからね。雪乃ちゃんはホントに変わらないなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホンット………つまんない。

 

 

陽乃「比企谷くん?なんで?」

 

雪乃『総武高校を転校したのよ。六花のメモがあったからそこに居るかと思ったのだけれど、どうなのかしら?』

 

陽乃「その前に聞いていい?比企谷くんに会ってどうするの?多分だけど、雪乃ちゃん達に嫌気がさしたから転校したんじゃないの?まぁ、どうでもいいけどね。」

 

 

雪乃『そんな訳ないじゃない。何故彼が私たちを嫌わなければいけないのかしら?理由がないわ。それよりも姉さん、質問に答えてちょうだい。比企谷くんは六花(そっち)に居るの?居ないの?』

 

 

………見下げ果てたよ雪乃ちゃん。自分にも理由があるとは思わないのかな?聞いていて本当に憐れだよ。

 

 

陽乃「居たら私がほっとくわけないじゃん。それと比企谷くんは見てないけど?」

 

雪乃『……そう、まぁいいわ。そっちに居ることは確実なのだし、知らなくても私たちで捜すだけよ。』

 

陽乃「じゃあ見学に来るのは雪乃ちゃんだけじゃないの?他にもいるわけ?」

 

雪乃『えぇ、うちの高校からは8人行くわ。中学から小町さんも。」

 

 

まさか全員八幡くん狙い?もしそうだとしたらマズいかな。こんなにいるんじゃ八幡くんが身動き取れない。何としても会わせるのを阻止させなきゃね。

 

 

陽乃「随分多いね?学校を見学するにしては多過ぎないかな?」

 

雪乃『全員六花に転校希望だもの、当たり前じゃない。』

 

陽乃「ふぅん……話はそれだけ?もっと面白い話とかないの?」

 

雪乃『そんな話をしに電話をしたわけじゃないわ。からかわないで。』

 

陽乃「冗談も分からないなんて、雪乃ちゃんはホントに変わらないねー。だから比企谷くんは転校したんじゃない?」

 

雪乃『うるさいわね。ゴキブリ谷くんのメンタルが弱かっただけの事よ。私たちが理由なわけないじゃない。姉さんこそ、そんな冗談はやめて欲しいわ。』

 

 

うん、雪乃ちゃん。もう黙ってくれないかな?私もかなり頭にきてるから。これ以上八幡くんをバカにしたら、どうにかなっちゃいそうだよ。

 

それに比企谷くんがゴキブリなら、雪乃ちゃんはそれ以下のウジ虫だよ。

 

 

雪乃『どうかしたのかしら?急に黙り込んで………用事でもあるのかしら?』

 

陽乃「………ううん、別に何もないよ。案内の件だけどさ、考えさせて。今の私ちょっとまともに考えられそうにないから、じゃ。」

 

雪乃『ちょっ、ねえ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

はぁ、こんなに苛立ったのはいつ振りかなぁ?雪乃ちゃん、一体何様のつもりなのかな?誰がここまで八幡くんを追い込んだと思ってるの?

 

これは星露に相談かな?勿論、八幡くんにもね。

 

 

ーーー黄辰殿ーーー

 

 

陽乃「……ねぇ星露?今いいかな?」

 

星露「ん?なんじ……どうしたのじゃ?殺気立ちおって。妾が夕食を独り占めしたのを許せないのかのう?」

 

陽乃「それはもういいからさ、私から報告があるの。出来れば八幡くんも一緒に聞いてほしいって思ってるんだけど、いい?」

 

星露「……有無を言っておる場合じゃないようじゃの。分かった、今八幡を呼ぶ。」

 

 

そして、連絡を入れてから3分くらいで八幡くんは黄辰殿に入ってきた。

 

 

八幡「雪ノ下さん、急かすようですが話ってなんですか?」

 

陽乃「うん、早速話すね。」

 

 

私は妹と話した内容をそのまま全部2人に話した。すると星露は………

 

 

星露「………何じゃ?その無礼な者は?本当にお主の妹か?陽乃よ?いっそ妾が潰してくれようか?」

 

陽乃「そうして欲しいよ。聞いてて私も腹が立ったよ、ホントに。六花に来たら歩けなくなるまで痛めつけてあげようかな?」

 

八幡「落ち着いて下さい。貴女にはそんな事してほしくない。」

 

陽乃「分かってるよ。星露も八幡くんとこの事を話してたんでしょ?」

 

 

そうでなきゃ2人でなんてありえないからね。一応星露は賑やかな方が好きだし。

 

 

星露「陽乃には隠す必要はないのう。実はクインヴェールの歌姫殿と協力体制になっておってな。八幡を彼奴らに会わせんように、対策を練っておったんじゃ。」

 

陽乃「【戦律の魔女(シグルドリーヴァ)】が?」

 

星露「うむ、面識があったようでの。あっちから協力しようと言ってきたようなものじゃ。妾もそれには賛成じゃったからありがたかったがのう。」

 

陽乃「そっか………でも、それじゃあ直ぐにバレるよ。最低でもこの学院の生徒全員には言っておかないと、何処で情報が漏れるか分からないし、何せこの学院では八幡くんの事を知らない人なんていないんだから。」

 

星露「むっ!確かにそうじゃな、盲点じゃった。自分たちの事だけじゃったわい。確かに妾たちだけでやっても意味が無いのう。」

 

陽乃「ここは生徒にも呼びかけるべきだよ。見学に来てる生徒には一切情報を漏らさないように、っとか。」

 

 

これなら大丈夫かな。少なくとも、この計画の穴はこれくらいだったし。

 

 

星露「あの場にはお主も呼んでおいた方がよかったのう。妾たちの練った計画にこんな落とし穴があったとは………思わぬところで台無しになるところじゃったわい、すまぬな。」

 

八幡「俺からもありがとうございます。」

 

陽乃「気にしないで。でも、私もこれで確信したよ、雪乃ちゃんはもう敵だってね。」

 

星露「お主も妹を敵視するか。八幡も妹と決別したばかりじゃというのに。」

 

陽乃「八幡くんも?」

 

八幡「えぇ。俺はもう、あっち側の奴らとは関わる気なんてありませんよ。勿論そうでない奴もいますけど、態度次第ですね。あっ、雪ノ下さんはノーカンですから。」

 

陽乃「八幡くん……」

 

星露「うむ、ならば善は急げじゃ。明日、教師陣にはそう伝えておこう。見学中の生徒には一切の情報漏洩を禁ずると。」

 

陽乃「うん、お願いね。」

 

八幡「頼むぞ。」

 

 

よしっ!良い感じにまとまったね!

 

 

星露「2人も戻るがよい。妾も今日は頭を使い過ぎた。もう寝るとしよう。」

 

 

星露はそう言うと、奥の方へと行ってしまった。多分自室かな?

 

さて、私も行こうかな。

 

 

陽乃「八幡くん、途中まで一緒にどう?」

 

八幡「いいですよ。」

 

 

そして私たちは、並びながら歩いていた。なんかこうして2人でいるのは久し振りだな。2ヶ月前の案内以来かな?

 

 

八幡「本当にありがとうございます、雪ノ下さん。助かりました。」

 

陽乃「いいよ気にしないで。私も好きでやったことだしね。八幡くんに対するせめてもの償いだよ。」

 

八幡「まだ気にしてたんですか?」

 

 

そりゃ気にするよ。もうする気はこれっぽっちも無いけど。

 

 

陽乃「まぁね……今でも後悔してるよ。何であんなことしたんだろうって。」

 

 

すると、八幡くんが急に止まりだした。

 

 

八幡「………後悔先に立たず、ですよ。」

 

陽乃「え?」

 

八幡「過去を後悔しても仕方ありません。今は前を向きましょうよ。それに、俺はあの時の事はもう後悔してませんよ。あの文化祭であの出来事があったから、此処にいるんですから。考え方を変えてみたら、案外良い方向に向かっていると捉えられるものですよ。」

 

陽乃「………八幡くんは優しいね。こんな私にそんな事言うなんて。」

 

八幡「もうすっかりつまんない男になっちまいましたけどね。」

 

陽乃「うん、そうだね。でも……私は今の八幡くんの方が好きだな。」

 

八幡「……どうも。」

 

陽乃「うん。」

 

 

いつの間にか私の気持ちは晴れやかなものになっていた。八幡くんは本当に変わったね。すごくいい顔になってる。

 

 

八幡「……じゃ、そろそろ行きましょうか。陽乃さん。」

 

陽乃「うん、そうだね……って今、私の名前……」

 

八幡「貴方がいつまで経っても、呼んでと言ってくれないものですから、俺が勝手に呼ぶことにしたんですよ。嫌ですか?」

 

陽乃「………もう、君は本当にズルい男の子だなぁ。嫌なわけないよ。」(ニコッ)

 

 

 

 

嫌なわけないじゃない。それだけでこんなにも嬉しいんだから。

 

 




良かったね、はるのん。

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