学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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夫婦喧嘩 ④

 

 

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八幡がシルヴィアに一撃を入れてからは、戦いの流れが一変した。今まで五分の戦いをしていたのが、シルヴィアの防戦一方の戦いに膠着していた。八幡は間髪を入れずに攻め続けている。

 

シルヴィアは表情が苦しそうだった。それもそのはずで、八幡が繰り出した技は内功にもダメージを与えるので、未だに呼吸が整えられていない状態なのだろう。いわば窒息状態にあった。それに加えて八幡の猛攻、今のシルヴィアには攻めるという選択肢は愚策となっていた。

 

 

シルヴィア(どうしよう……全然呼吸が整えられない。八幡くんの攻撃が速過ぎるのもあるけど、八幡くんの戦術にハマってしまってる。なんとかしないと、このまま体力を奪われるだけになっちゃう!)

 

 

そう考えているシルヴィアだが、八幡の戦術はそう簡単には逃してはくれない。八幡が用意ていた戦術、それは《鳳凰星武祭》で陽乃と決勝で使った技、幻影舞踊(げんえいぶよう)鏡月(きょうげつ)だった。

 

八幡はこの技を1人でも扱えるようになっており、戦術も頭の中で想像すれば分身にも入っていく。だがこの時の欠点は、八幡本人は術をかけている状態である為、行動が出来ない事にある。シルヴィアの突破口があるとすればそこだろう。

 

 

八幡(さて、どうするシルヴィ?)

 

 

シルヴィア「ふぅ……ふぅ……ふぅ〜」

 

 

シルヴィア(ちょっとだけど、漸く整ってきた。でも肝心の八幡くんは攻撃をの手を緩めてはくれない。それもかなりの攻撃頻度、まるで分身して攻めてきてるみたい。)

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

シルヴィアの呼吸は大分楽にはなったものの、肝心の八幡を捉えられずにいた。攻撃しても八幡は黒い靄となって消えてしまうからだ。シルヴィアはこの正体に気付いていなかった。

 

幻を相手にしているため、いくら攻撃しても八幡にはダメージを与えられないのだ。シルヴィアも今度は疲労による呼吸の乱れが出ていた。

 

 

シルヴィア「はぁ……はぁ……何で!?向かってくるのは偽物の八幡くんばっかり……はぁ……本物は何処?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八坂『こういう時のために、坊やの能力があるんじゃないかしら?霊視で辺りを覗いてみなさいな。』

 

 

シルヴィア「っ!!」

 

 

シルヴィア(そっか!!八幡くんの能力は影と幻!それにこの攻撃の頻度。どう考えても八幡くんの体力が落ちるはずなのにその気配がなかった。という事は八幡くん1人じゃあこの技は完全には使えない!!)

 

 

シルヴィアはすぐに辺りを霊視で確認した。すると、やはり分身体がシルヴィアを攻撃していて、八幡本体は透明化して術を掛けていた。

 

 

シルヴィア(いた!よし、あそこに目掛けて!)

 

 

シルヴィア「八幡くん、見〜つけたっ♪」

 

八幡『っ!!?』

 

シルヴィア「やああっ!!」

 

 

ドゴッ!!

 

 

八幡「うぐっ!!」

 

 

シルヴィアは八幡に向けてお返しと言わんばかりに鳩尾目掛けて星辰力を含めた強烈な蹴りを放った。攻撃は見事命中して、八幡の術も解けた。

 

 

八幡「くぅ………どうやって俺の位置を特定出来たんだ?俺の姿は見えなかったはずだが?」

 

シルヴィア「姿が見えないから、霊視の状態で見れば何か見えるんじゃないかなって思ったんだ。そしたらビンゴしたってわけだよ。」

 

 

シルヴィア(確かに八幡くんの存在は見えたけど、八坂の事は伏せておかないとね。まだ教えてない事だし。)

 

八幡(……まさか破られるとはな、しかもこんなに早くとは予想外だ。あまり体力は削れてないみたいだな。逆に削られてるし、作戦は失敗だな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「………これ以上今みたいな事をやっても意味はなさそうだな。おそらくすぐに見破られるだろうしな。」

 

シルヴィア「うん、すぐに見破ってあげるよ。」

 

八幡「なら……やることは1つだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「もう一度打ち合いといこうじゃねぇか。」

 

シルヴィア「今度こそ君の校章を2つにしてあげるよ!」

 

 

そして2人は走り出して、再び剣を交えた。

 

 

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雪乃side

 

 

………これが、これが六花最強クラスの戦いなのね。あんなの私ではすぐにやられてしまうわね。昔の私を殴りたくなるわ。あんな規格外な力を持った存在に向かって勝てるだの卑怯な手を使ってるだのと言っていたなんて。

 

 

雪乃「今だったら自分のしてた愚かさが身に染みて分かるわね。あんな存在に勝とうとしていたなんて。」

 

小町「ホントですね。小町も本当にバカなことしたなぁって思ってます。」

 

 

皆は知らないと思うけれど、小町さんとは今年の春くらいから疎遠になっていたのだけれど、彼女から事情を聞いてから私も今回のことを説明したというわけよ。由比ヶ浜さんは説得してもダメそうだったから、今回は2人で観ているの。

 

 

小町「正直、まだ信じられませんよ。この大舞台にいるのがお兄……比企谷さんだなんて。」

 

雪乃「ふふっ、小町さん。私の前では普通でいいのよ?そう呼びたいのでしょう?」

 

小町「………昔のお兄ちゃんなら、めんどくさがって出ないのに、今のお兄ちゃんは千葉にいた頃よりも生き生きしてる。楽しそうっていうか。」

 

雪乃「その気持ちは分かるわ。彼をこの六花で見かけた時、リューネハイムさんといたのだけど、とても楽しそうだったの。リューネハイムさんも楽しそうししていたのだけど、なによりも幸せそうな顔をしていたわ。」

 

小町「そうなんですね。これはお兄ちゃんが千葉に戻ってくることはないですかねぇ?2年前に1度帰ってきてたんですけどね。」

 

 

1年間、家族を行方不明で不安にさせたからかしら?

 

 

でも、小町さんも彼と和解していたのね。この半年間、私たちと疎遠になった理由が分かったわ。

 

 

雪乃sideout

 

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ガギイィィィィンッ!!!

 

 

八幡「ふっ!くうぅっ!」

 

シルヴィア「んんっ!んん〜!!」

 

 

ガギィン!!

 

 

八幡「フッ!!」

 

シルヴィア「ヤアァ!!」

 

 

続く剣戟………弾いては圧が出て、攻撃を受け止めても圧が出る。最早この勝負はどちらが勝ってもおかしくない、どちらが勝つのか分からないレベルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





明日の投稿は1日勤務の為、お休みとさせて頂きます。

こんな時にと思うかもしれませんが、ご理解の程をよろしくお願いします。

自分もそう思っておりますので。こんな大事な時に、と。


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