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2人が空中戦に乗り移ってから10分。刀剣で攻めたり斬撃を飛ばしたり銃で撃ったりと、様々な戦い方をしていた。八幡は憑霊の状態で飛んでいるため、星辰力は消費しないが、シルヴィアは星辰力を使って能力を使っているため、星辰力は微量ではあるが、消費を続けている。長引けば不利になるのは明らかだった。
シルヴィア(これじゃあ私が先にバテちゃう……もう空中戦はやめた方がいいね。かといって陸で戦ったとしても、技を連発させたら意味がないし……)
シルヴィアは八幡に攻撃を続けつつ、ステージへと戻って行った。地面に着くと銃型煌式武装で八幡を狙い撃ちしていた。
シルヴィア「……やっぱり八幡くんに銃は効かないかぁ………もっと強力なのを使いたいけど、あまり無駄遣いはしたくないんだよなぁ。」
八幡「そいつはお互い様だな。俺だって星辰力の無駄遣いはしたくねぇしな。」
シルヴィア「でも八幡くん憑霊で空飛べるじゃん。」
八幡「………生意気言ってすいませんでした。」
シルヴィア「じゃあ校章壊させて?」
八幡「そんな可愛らしく首傾げながら言われてもな……俺だって負けたくないからそれは無理だ。」
シルヴィア「それもそっか。ねぇ八幡くん、降りて来てよ〜。これじゃあ私八幡くんを攻めたくても攻められないよ〜。」
八幡「敵の口車には乗りたくはないが、シルヴィアの頼みだ。聞き入れないとな。後で拗ねられても困るしな。」
シルヴィア「私拗ねないもん!八幡くんに甘えるだけだもん!」
八幡「あー……そうだな、うん。」
(((((お前らは会話する度にイチャイチャしないと気が済まないのか!!?)))))
ここで観客の心が1つになった瞬間が今、実現した。近年では初めてのことだろう。
シルヴィア「じゃあ仕切り直して……」
八幡「やりますか。」
シルヴィア「あっ、ちょっと待って!」
するとシルヴィアは自身の主装武器であるフォールクヴァングを戻した。そして新たに剣よりも細くレイピアよりは太い剣型煌式武装を展開させた。サーベルに近い剣だった。
シルヴィア「すぅー……はぁー……」
目を瞑ってから深呼吸をして構えに入ったシルヴィア。そして目を開いた途端、シルヴィアの纏っている空気が変わった。
シルヴィア「…………」
八幡「っ!………」
ダダダダダッ!!
ガギイィィィィンッ!!!
シルヴィア「はああぁ!!」
八幡「っ!!」
剣での打ち合いが始まったが、八幡がこの3年間で初めて刀を弾かれた。今までは八幡の刀を受け止めるか、躱すしか手段のなかった相手しかいなかった。だが、シルヴィアはその重く鋭い刀の一撃を剣で弾いたのだ。それに伴ってそこからは強い剣圧も現れていた。
そこからは互いに攻撃の手を緩ませず攻めのみを実行していた。その攻めが防御になっていることも知らずに。攻撃は最大の防御ともいうが、2人はそれを実行していると気付いていないだろう。
すると、八幡が一瞬の間で少量ではあるが、星辰力を刀に注ぎ込んだ。
八幡「うおぉぉぉぉ!!」
八幡はシルヴィアに向かって思い切り横向きに剣を振った。シルヴィアはその刀を当たり前のように受け止めた。背後にはさっきよりもより強い剣圧が出ていた。
シルヴィア「せえぇぇいっ!!」
八幡がこうするのを分かっていたかのように、自身も剣に星辰力を注ぎ、八幡に突きを入れた。だが、八幡はその突きを刀の刀身で受け止めた。この後ろにも八幡と同じくらいの剣圧が出た。
八幡が刀を振ればシルヴィアも振り、シルヴィアが攻めれば八幡も攻める。互いに守りに入るというのは愚策だと思い込んでいるのか、はたまた忘れているのかは分からないが、防御に身を回してはいなかった。
その為、双方共に擦り傷程度の傷は負っていた。だがそれでも2人の剣戟は止まらず、激しさを増していった。
そして再び鍔迫り合いとなり、睨み合った。
ドゴッ!!
八幡「っ!?」
八幡は腹部に鈍痛を感じた。シルヴィアの左の拳が八幡の腹部を捉えていた。
シルヴィア(よしっ!先手は取った!陽乃さんから星辰力の扱い教わっておいて正解だった!!)
八幡は体勢を崩していた。これを好機と見たシルヴィアは一気に八幡へと攻めた。その剣は八幡に向かっていた。
シルヴィア「かはっ!」
だが八幡はその場で横回転をして剣を躱すと共に、シルヴィアの腹部に蹴りを入れた。
シルヴィアは少し後方へと吹き飛んだが、着地には成功した。だが正面から八幡がすぐ攻めて来ていた。
シルヴィア(流石は八幡くん。これくらいじゃあまだビクともしない。でも、まだこれからだよ!!)
八幡(シルヴィの奴、いつの間にこんだけの力を……この3年間、確かにのんびり過ごしていたわけではなさそうだ。いや、シルヴィに限ってそれはないだろうがな。)
「「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
八幡とシルヴィア、右手に持っている刀と剣、その二振りの切っ先が重なる事なく交差した………
ズブッ!!
八幡の刀はシルヴィアの左肩に刺さっていた。だがシルヴィアの剣も八幡の左肩に突き刺さっていた。
八幡「………」
シルヴィア「………」
八幡(こりゃヤバイな………)
シルヴィア(あぁ〜……少しマズいなぁ……)
((楽しくなってきた!!))
2人が若干戦闘狂に………