八幡side
午前中は家の中でゆっくりと過ごしていた俺たち。午後からは外に出かける予定と決めていたので、今現在は外に出る準備をしている。といっても準備する事なんて全く無いんだがな。さっき昼飯を済ませたばかりなので、少しだけゆっくりしても良いとは思ったのだが、シルヴィは早く行きたいみたいだったから食べたらすぐ出ることにしたのだ。
シルヴィア「いつも思うんだけど、一緒のタイミングで外に出るってなんか良いと思わない?」
八幡「あまり意識してなかったから俺からはなんとも言えないな……何かあったのか?」
シルヴィア「特に何かがあるってわけじゃないんだけど、私も今思った事なんだ。なんか良いなぁって。」
八幡「突拍子も無いとは思ったが、思いつきだったのか……だが、確かに悪くはないな。」
個人的には、『いってらっしゃい』と『行ってきます』の挨拶を交わすやり取りも中々良いと思うけどな。
八幡「そんじゃ行くか。」
シルヴィア「うん♪」
俺たちは安全地帯である家から出て、危険地帯である六花の外へと足を踏み入れたのであった。
ーーー外縁居住区ーーー
さて、目的もなく街をぶらつく事にしている俺たちだが、出かけたら必ずする事、それは手を繋ぐことだ。偶にシルヴィが腕に抱き着く事もあるが、大抵は手を繋ぐ事だ。もうこれは俺たちの日常といってもいいだろう。買い物に行くときも学園に行く時も家でのんびりしている時も、まだまだあるがかなりあるので省略するが、それくらいの頻度で手を繋ぐことが多い。
まぁその事もあってか、今ではもうこの辺りに住んでる人には知られてるっぽいけどな。
「あっ、比企谷さんにリューネハイムさん、こんにちは。お出掛けですか?」
シルヴィア「はい。決勝の前祝いみたいなもので。」
「そうなんですか……2人で決勝ですもんね。応援してます、どちらも頑張って下さいね。」
八幡「ありがとうございます。」
「おやまぁ、今話題の新婚さんかい?」
八幡「あはは……まだ結婚はしてないんですが……そうなってるみたいです。」
「そうなのかい?今の記者さんは嘘つきだねぇ。でも、2人の雰囲気はもう新婚さんみたいだよ?」
シルヴィア「あはは……///
「2人共、決勝戦頑張ってね。」
「「ありがとうございます。」」
この辺りの人たちは気軽に話し掛けて来てくれる上に、俺たちに必要以上に迫って来ないから凄く助かる。そうでない人はチラチラ見たり、後をついて来たり、最悪な場合だと家までついて来ようとした人もいたくらいだ。(まぁ俺が追い払ったがな。)
だからああいう人たちは俺たちにとってかなりいい人に感じる。気を遣わせているのかもしれないから言います。毎度ありがとうございます。
シルヴィア「?どうしたの八幡くん?」
八幡「いや、ちょっと感謝の言葉を心の中で呟いただけだ。特に何もないから安心しろ。」
シルヴィア「う、うん、分かった。」
その後も何人かと軽い話をしたが、話はすぐに終わって最後に『決勝頑張って。』と有難い言葉を頂いた。
ーーー商業エリアーーー
ガヤガヤ……
八幡「やっぱ外からも来てる人が多いから賑わってるな。星武祭開催中は商業エリアの人たちも大忙しだな。」
シルヴィア「そうだね。特にお土産屋さんなんて毎年新しいお土産とか作ってるんじゃないかな?例えば八幡くんのコスプレとか。」
八幡「おい、なんで俺が出てくる?」
シルヴィア「だって今回の星武祭の主役は八幡くんじゃん。その人のグッズを出さないでどうするのさ。」
八幡「いや、確かに一理あるが、そんな簡単に……」
比企谷八幡&シルヴィア・リューネハイムのコスプレ!!これで君も序列1位だ!!
お買い求めはお早めに!!それぞれ10着です!!
お値段25,000円!!
______________________________________________
………………
シルヴィア「ホ、ホントに売ってたね……」
八幡「あぁ……売ってあるな。」
シルヴィア「と、取り敢えず見て回ろうよ!買うまではいかなくても、見てるだけでも楽しめるしね!」
八幡「よし……シルヴィのグッズ見つけまくって買い占めてやる。」
シルヴィア「それはやめて欲しいかな。」
八幡「安心しろ、冗談だ。俺は本物がいればそれで充分だから。」
シルヴィア「も、もぉ〜///」
八幡「嫌だったか?」
シルヴィア「そんな訳ないよ。すっごく嬉しい。」
グッズがあるのは予想していたが、まさかコスプレまで用意していたとはな。しかし、ここにいると返って目立つだけだな。早く動くか。
八幡「じゃあ行くか。」
シルヴィア「うん♪」