学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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姉妹の会話

 

 

雪乃side

 

 

今日の試合、私は比企谷くんと戦って敗北したわ。その後に由比ヶ浜さんともう1試合行う予定だったのだけど、梅小路さん……だったかしら?その人との試合で気絶したままだったから、私の不戦勝ということになったわ。その後に私と梅小路さんと試合をしたのだけど、やはり土台から違うわね。比企谷くんとの試合でもそうだったけれど、天霧くんの教えてもらった動きだけでは限界があったわ。特に体力面は今後の大きな課題になるわね。

 

私は梅小路さんに負けた後、まっすぐ寮に戻った。そして反省すべき点を纏めて今後の為にどうするかを考えているところ。今一番良い近道であるのは、誰かに教えを受ける事。天霧くんやリースフェルトさんが言うには、私は接近戦でもそうだけれど、《魔女》としての素質も高いから、槍術と魔法を磨けば星武祭の本戦に残れる実力はつけられるみたい。

 

 

ではやっぱり、当面の目標は………

 

 

雪乃「体力作り、よね。」

 

陽乃『んもう〜!アドバイスを貰いたいって言うからこうしてるのに、もう自分で纏めちゃってるんじゃ〜ん!しかも弱点まで把握してるし〜!お姉さんつまんな〜い!』

 

雪乃「それ以外で何かあればと思ったのだけど……その様子だとないって事かしら?」

 

陽乃『体術面のアドバイスならできるけど、魔法面は無理だよ?お姉さん《魔女》じゃないし〜。』

 

雪乃「でも、魔法は使えるのよね?」

 

陽乃『うん。私は魔法を星仙術の方に使ってるからね。だから固有の魔法は持ってないよ。その代わり色んな属性を持った魔法のような技術を身につけてるからね、普通の《魔術師》《魔女》に比べたら、その場の応用はかなり効くと思うよ。』

 

 

……やっぱりそれだけ違うのかしら?

 

 

陽乃『念のために言っておくけど、習いたいとかは言わないでね?確かに応用は聞くけど、手数が増えたらそれだけ回りくどくなるんだから。固有の魔法だって伸ばしたら凄い武器になるんだよ。』

 

雪乃「えぇ、そのつもりはないから安心して。それよりも姉さんからのアドバイスを貰いたいのだけど。」

 

陽乃『あぁうん、いいよ。評価としては30点かな。良い点としては、八幡くんに接近できた事や、最後の星辰力を全て使ってからの総力戦、最後に魔法を生かしながらの戦闘ってところかな。』

 

 

……想像してはいたけれど、やはり低評価ね。それもそうだわ、姉さんは4年間も界龍で過ごして来たんだもの。

 

 

陽乃『八幡くんも驚いてたよ〜。まさかあんな風に星辰力を使って身体能力を上げるなんて思ってもみなかったって。今度やってみるって〜。魔法を使っての接近戦も事例がないわけではないけど、そうする人は少ないからね。意外性がある点、応用を含めた点でも高評価だね。』

 

雪乃「……珍しいのかしら、魔法を使いながら接近戦に持ち込むというのは?」

 

陽乃『珍しいよ。だって魔法を安定させながら戦うんだもの、それなりの集中力とコントロールが必要になるからね。』

 

 

……でも確かに、自分の中にも氷の刃を溶かさないようにしないといけない、っていう意識はあったわね。

 

 

陽乃『次に悪い点ね。雪乃ちゃんも知ってるとは思うけど、体力の無さ、これは大前提ね。後は動きの粗さ、1度攻撃が終了してからの隙の多さ、応用が少し効かない、大きくあげるならこれかな。』

 

 

大きく……という事は細かい部分も多々あるという事ね。

 

 

その後私は姉さんから悪い点の説明を受けて、改善法や克服法などを教えてもらったわ。

 

 

陽乃『まぁこんな感じかなぁ〜。』

 

雪乃「ありがとう姉さん、勉強になったわ。」

 

陽乃『良いって良いって〜可愛い妹のためだからね。これくらいならお姉さん、一肌脱いじゃうから。』

 

雪乃「………私の事、もう妹だと呼んでくれるの?」

 

陽乃『呼ばない方が良かったかな?私としてもあの頃の雪乃ちゃんを、妹とは呼びたくなかったし、思いたくもなかった。でも今なら平気かな。何でだと思う?』

 

雪乃「………昨日言った、覚悟が伝わったから………かしら?」

 

陽乃『そっ♪お母さんも私も昨日の雪乃ちゃんを見て、もう大丈夫って判断したからね。お母さんも雪ノ下からは除籍はしないって。まぁ、好き放題はやらせないと思うけどね。』

 

雪乃「それでもいいわ。姉さんや母さんに会ってから、なんだか身体や心が軽くなったもの。」

 

陽乃『……そっか。雪乃ちゃんはさ、将来どうしたいとかってある?』

 

雪乃「ないけれど、やっぱり母さんの会社で働くことかしらね。引き継ぎは無理でしょうから、平社員から始めるというのも良いかもしれないわね。」

 

陽乃『……ねぇ、私が今計画してる会社に入るっていうのはどう?まだ社員とかは決めてなくてね〜。一応今候補の社員はめぐりとか界龍の卒業生辺りなんだけど、雪乃ちゃんは興味ある?』

 

雪乃「昨日姉さんからその話は聞いたけれど、私に合うかしら?」

 

陽乃『頭の良い雪乃ちゃんなら建設業はやっていけると思うけど、最初は力仕事だからね?』

 

雪乃「………少し考えてみるわね。」

 

陽乃『うん、そうするといいよ。最後にもう1つ。ガハマちゃんはどう?改める気ある?』

 

雪乃「今のところはなんとも言えないけれど、姉さんもさっきの試合を見たら分かると思うけれど、おそらく無理だと思うわ。」

 

陽乃『やっぱりかぁ……まぁそれも八幡くんから聞いてるんだけどね。』

 

雪乃「彼女は疑うという事を忘れているわ。だから比企谷くんが悪い、自分は悪くないっていう風に思い込んでいるのよ。リューネハイムさんとの試合でも何か言っていたようだし。」

 

 

彼女が今後どういう行動をとるか分からないけれど、もし比企谷くんに対する思いが変わらないようであれば、悲しいけれど決別するしかないわよね。

 

 

陽乃『なんか気になるなぁ〜シルヴィアちゃんに何かを言ってた辺りが。ちょっと聞いてみるね〜。雪乃ちゃんもガハマちゃんに聞いといて〜♪』

 

雪乃「えぇ、分かったわ。時間を取らせてごめんなさい。じゃあ、また。」

 

陽乃『うん、ばいばい。暇があったらお茶しようね〜♪』

 

 

そして通信が切れた………家族との会話って尊いものなのね。改めて実感するわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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