学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

511 / 609
反応番外編 星導館学園

 

 

ーーーーーー

 

 

星導館学園では、学内の殆どが比企谷八幡の新序列1位に関心を持っていた。中には彼を崇めるような、崇拝するような人もいる。特に多いのは女子生徒だった。世界共通のファンクラブは700万人を超えようとする勢いである。此処、星導館でもファンクラブ会員になっている人も存在しており、そうでない人も彼に憧れを持つ人が多くいる。

 

だが、中にはそれを良しとしない人々も少なからずいる。それはクインヴェール女学園序列1位のシルヴィア・リューネハイムと交際している事。熱烈なファン程、彼女と交際するのを良しとしない人々もいる。中には勝負を挑む者もいる。余りにも酷い時はシルヴィアの目の前で比企谷八幡を誹謗中傷する輩もいた程だ。

 

また、これとは関係無しに、さらにタチの悪い人々もいる。彼の持っている力を全否定している者たちだ。これは僅かだが存在していた。その一部がこの星導館学園の大学部1年に在籍している2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーとある一室ーーー

 

 

雪乃「…………」

 

由比ヶ浜「何………これ?」

 

 

『界龍に新王者誕生!!!比企谷八幡が現序列1位に勝利ッ!!4代目を継承!!新たな2つ名は【神羅武双】!!!』

 

 

雪乃「何故彼がこんな扱いを………私たちだって毎日頑張っているはずよ。なのに何故っ!」

 

由比ヶ浜「ゆきのん………」

 

 

2人は放課後になると、模擬戦場の許可が取れた時に2人で鍛錬を重ねていた。だが取れる時は少ないので、いつもは寮部屋内でイメージトレーニングや技などの研究をしていた。だが2人の努力も虚しく、結果の芽が出る気配が一向になかった。

 

 

雪乃「何故よっ!?私たちだって努力はしているのに、何故彼だけ結果が出ているのよ!!」

 

由比ヶ浜「ゆきのん落ち着いてよ!きっとヒッキーがまた変な手を使ったに決まってるよ!そうでなきゃヒッキーが序列1位になれるはずないんだから!!」

 

雪乃「……そうね、その通りね。あの男が序列1位に勝てる根拠なんて無いわ。由比ヶ浜さんの言う通り、卑怯な手を使ったんだわ。どんな手かは分からないけれど、【万有天羅】をも騙すのだから極めて悪質な手に違いないわ。」

 

由比ヶ浜「そうだよ!シルヴィアさんだって嫌々付き合わされてるんだよ!!ヒッキーに付き合わされてるだけなんだよ!!」

 

雪乃「……そのことについて思ったことがあるのだけれど、言ってもいいかしら?」

 

由比ヶ浜「へ?シルヴィアさんの事?」

 

雪乃「えぇ。確かに彼女は比企谷くんと付き合っているけれど、嫌々だったとしたらあんな風に笑うかしら?それに、私が街中で歩いている時見たのだけど、比企谷くんとリューネハイムさんが楽しそうにしながら腕を組んで歩いていたわ。私には彼女のあの顔が嘘をついているようにはとても見えなかったわ。もし嫌々付き合わされているのだとしたら、あの顔は何なの?」

 

由比ヶ浜「きっとヒッキーに洗脳されていたんだよ。でなきゃ楽しい顔なんて出来ないもん!」

 

 

雪乃(本当に?確かに比企谷くんは最低な男だわ。それはこの身で受けた私たちが一番よく知ってる。でも、私たちの知っている彼はそんな事をするような人じゃなかったし、するようにも思えない。それに、界龍の人間がそんな事をするようにはとても思えないわ。)

 

 

由比ヶ浜「ゆきのんだって知ってるでしょ!ヒッキーが私たちに何をしたのか!それを考えれば彼女が欲しいからって理由で相手を洗脳する事くらいなら、ヒッキーにだって思いつくよ!」

 

雪乃「だとしても、相手は【戦律の魔女】とまで呼ばれているクインヴェールの序列1位よ?そんな人を相手にそれができるかしら?」

 

由比ヶ浜「そ、それは………」

 

雪乃「するにしてもリューネハイムさんと同等、またはそれ以上の実力を持った人でないと無理よ。比企谷くんがその実力を持っているとは考えていないけれど、洗脳は暗示も無しに出来るような事ではないわ。」

 

由比ヶ浜「……ゆきのん、まさかとは思うけど、ヒッキーの味方をしようとしてるの?」

 

雪乃「ち、違うわ由比ヶ浜さん!少し謎に思っただけよ!他意はないわ!」

 

由比ヶ浜「……ならいいんだけど。じゃあもうこの話は終わりにしてさ、《王竜星武祭》に向けて技の研究しようよ!」

 

雪乃「え、えぇ、そうね。そうしましょう。」

 

 

雪乃(別に彼を味方したいってわけではないのだけれど、よく考えると謎な部分が多過ぎるわ。本当に彼が卑怯な手を使ってあの地位までのし上がったのかも疑問に思えるわ。でも、私のすることに変わりはないわ。彼が私たちに謝ってもらうまでは。)

 

由比ヶ浜(なんかゆきのんが怪しい感じだったけど、頭の良いゆきのんだから警戒してただけだよね!それにしてもヒッキーマジサイテーだしっ!私の方が先にヒッキーを好きになったのに、何でシルヴィアさんと付き合ってんのさ!!《王竜星武祭》で優勝したら、私と付き合ってもらうんだから!!)

 

 

由比ヶ浜結衣は完全に八幡の事を敵視しているようだった。それも状況的にかなり複雑で、敵視していながらも恋心を持つという、常人では考えられないような思想を持っているようだ。

 

雪ノ下雪乃は考えこそまともだった。考察する能力も向上しているのか、比企谷八幡が本当に悪であるかどうかなどの考えもつけるようになっているが、由比ヶ浜結衣を傷つけないようにするためかは分からないが、自身の考えは告げていなかった。

 

 

2人はそれぞれ違う考え方を持ちつつも、次に行われる星武祭に向けて準備を進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。