八幡side
メイド喫茶で執事とメイドの体験をしながら、ブランチを済ませた後、俺たちはホテル・エルナトへと戻って帰る支度をしている。少し早い気もするがこの旅行を終えるということだ。まだ遊びたいという気持ちは2人の中にはあるかもしれない。俺の中にも確かにその感情はある。だが俺は今年の星武祭にも出場する為、そろそろ鍛錬を積まないといけない時期でもある。
チーム・ランスロットや他のチームに勝つためには、チームの連携や個人の力量を強化する必要がある。俺も早く1週間の遅れを取り戻さなくてはならない。
シルヴィア「オーフェリアさん、シャンプーとか洗顔とかは持った?」
オーフェリア「………えぇ、入れてあるわ。あと他に何があったかしら?」
シルヴィア「食材もあの日で全部使ったから無いし、服も入れた……もう無いかな?」
コンコンッ
八幡『こっちは済ませたぞー。そっちはどうだ?』
シルヴィア「ごめーん、もうちょっと待ってて〜!」
……まぁ、女は準備に時間がかかるものだからな。気長に待ちましょうか。
ーーー10分後ーーー
シルヴィア「ごめんごめん!遅くなっちゃった!」
オーフェリア「………ごめんなさい。」
八幡「いや、大丈夫だ。ちょうど今後の鍛錬メニューを考え終えたところだったからな、時間もタイミングもバッチリだ。」
シルヴィア「それなら良かった♪」
オーフェリア「………大変なのね、メニューを考えていたなんて。」
八幡「まぁ1週間も界龍から離れて鍛錬を積んでないからな。日本には『一日の遅れは十日の遅れ』ってことわざがあってな、意味はそのままだ。1日無駄にした分は10日分も無駄にしているって事だ。今回はそのケースでは無いけどな。だって有意義な1週間だったし。」
オーフェリア「………でも1週間ではないと思うわ。界龍に行った時に私たちに体術と小太刀術を教えてくれたじゃない。」
シルヴィア「そうだよ!あれだけでも自分が持ってる技の見直しにもなったんじゃないかな?」
八幡「あれを鍛錬と言っていいのか分からんが、教えはしたからな。それで良いのか?」
2人「いいの(わ)!」
八幡「は、はい……」
まぁ2人がこう言ってるし、良しとするか。
ーーーエルナト・受付前ーーー
八幡「すみません、チェックアウトお願いします。」
受付「はい、かしこまりました。比企谷様とリューネハイム様とランドルーフェン様ですね。今回は当ホテルのご利用ありがとうございました。では玄関先までお送り致します。」
やっぱホテルの人って律儀だよなぁ。そこまでしなくてもいいのに……
受付「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
シルヴィア「はぁ〜終わっちゃったね〜。」
八幡「そうだな。楽しい時間があっという間なのはどの国でも同じなのかもな。」
オーフェリア「………そうね。私もこんなに楽しい日々はあなたと過ごした日以来だわ。」
シルヴィア「八幡君はどうするの?一旦家に帰る?」
八幡「いや、このまま界龍に直行しようと思ってる。今日は夜のギリギリまで身体を動かしたい気分でな。」
シルヴィア「そっかぁ……じゃあ皆とはもう少ししたらお別れだね。」
オーフェリア「………でもすぐにまた会えると思うわ。道でバッタリとか。」
八幡「オーフェリアだったら毎日スーパーの前で待ち伏せていたりしてな。」
オーフェリア「………私はそこまで暇な立場ではないわ。」
八幡「分かってるよ、冗談だ……さて、そろそろ分岐点だな。俺はこのまま界龍に戻る。だからシルヴィ、晩飯は用意しなくて大丈夫だ。明後日からは家に帰るから心配するな。」
シルヴィア「……うん、待ってるね。」
八幡「そんじゃ、1週間エルナトの旅、終了!解散!」
オーフェリア「………さようなら八幡、シルヴィア。また会いましょう。」
シルヴィア「ばいばいオーフェリアさん!」
オーフェリアは軽く口角を上げていた。その笑顔は儚げに見えたが、悲しみは感じなかった。
八幡「じゃあ俺も行く。気を付けろよ。」
シルヴィア「うん……八幡くん。」
八幡「ん?」
チュッ
シルヴィア「いってらっしゃい♪」
八幡「……あぁ、いってきます。」
エルナト編終了です!計59話!
この次は短編閑話にしたいと思ってます!本編はその後に持って行くつもりです!
ではっ!!