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パチパチパチパチッ!
八幡「ありがとうごさまいました。この曲には俺の過去と今の生き方を歌詞に込めて歌いました。俺の過去を話す気はありませんが、結果から言うといいものではありませんでした。むしろ悪い方だと断言出来ます。ですが、この六花に来てからは友に恵まれ、好敵手に囲まれ、たくさんの仲間、そして恋人が出来ました。その意も込めて、今日はこの『ユメセカイ』を歌いました。」
「そんな気がしたんだよな……歌詞もそうだが、なんだか切ない感じの歌声だったような気がする。」
「ですね。でも後半では声量が増してたのが私でも分かりました。恐らく、六花に来て良かったことを声量でも表していたんでしょう。」
八幡「では、俺の演奏は終了します。次はシルヴィに変わります。じゃあ、任せたぞ。」
シルヴィア「はい、任されました♪」
八幡は垂れ幕から出てきたシルヴィアにマイクを渡すと、垂れ幕の方へと姿を消した。
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八幡side
八幡「ふぅ……何とか歌い切った。」
オーフェリア「………お疲れ様、八幡。」
目の前にはドリンクとタオルを持って待っていたのであろう、オーフェリアがいた。
八幡「あぁ、ありがとな。」
オーフェリア「………人前で歌うなんて初めてだから緊張するわ。八幡、何かないかしら?」
八幡「いや、カラオケで俺たちの前で歌ってただろ?」
オーフェリア「………八幡とシルヴィアはその辺にいる有象無象とは違うわ。ちゃんと私を見てくれるもの。」
有象無象って……今のスゲェ口悪いぞ。せめてもう少しオブラートに包んでくれよ。
八幡「あんまり考え過ぎるな。色々考えてたらロクなことにならないぞ。リラックスしろ。」
オーフェリア「………リラックス。」
八幡「おう、簡単な話だ。この前プールで泳いだろ?その時、全身に力を入れて泳いだか?」
オーフェリア「………いいえ。」
八幡「だろ?全身に力を入れて泳いでたら、重くなって前に進まなくなる。歌も同じだ。だからリラックスしろ。肩の力を抜け。ただ自分が思っている通りに歌えばいいんだ。」
オーフェリア「………中々奥深いのね。歌を歌うだけなのに。」
八幡「オーフェリアにとってはそうだろうな。要はそこまで考えるなって事だ。成功しようなんて考えるな。」
オーフェリア「………じゃあ八幡。シルヴィアの歌が終わるまで頭を撫でてくれるかしら?心を落ち着かせたいわ。」
八幡「………しょうがねぇな。シルヴィアの歌が終わるまでだからな。」
八幡sideout
シルヴィアside
シルヴィア「改めましてこんばんは、シルヴィア・リューネハイムです。次に演奏する2番手歌手であります!皆さんも何故私が最後ではないのかと疑問に思ってるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。単純ですが、今日カラオケに行って、それぞれが歌う曲を採点で評価をつけた結果、1番高かったのがオーフェリアさんだったからです。プロの歌手として少しお恥ずかしいです……」
本当に悔しかったんだから!だってオーフェリアさんって意外と歌上手いんだもん!!本当に今まで何もしてこなかったの!?って思うくらいに!
シルヴィア「そんなわけで今回、2番目に点数が高かった私が2番目を務めさせていただきます。では聴いてください!君と僕の日常はどこまでも。いつまでも一緒にいようね。
『君が笑む夕暮れ』」
BGMが流れて会場に響き渡る。
シルヴィア「♪〜♪〜」
いつも季節の変わり目になると言ってたね……もう○○かーとか、でも、そんな君の何気ない一言も好きだよ。
シルヴィア「♪〜♪〜」
私はそれを捨てても意味はないと思う。だってそれを捨てちゃったら、今までの出会いや運命が無駄ってことになっちゃうから。
シルヴィア「教えてよ♪〜」
シルヴィア「♪〜♪〜♪〜」
君と交わしたわけでは無いけど、私自身で交わした約束はあったなぁ。今思うと、すっごく難しい約束だったかも。凄くたくさん特訓して強くなろうって必死だったのを思い出すなぁ。
でも、私の泣いた姿はあまり見て欲しくなかったかも……///
シルヴィア「♪〜♪〜」
君からそんなことを言われたことないけど、自己評価が低いのは今でも君の悪い癖だよ。後、イタズラするときもね!
シルヴィア「♪〜♪〜」
私の考えた歌詞は常に君のものだけだったなぁ。ペトラさんにはよく『八幡くん以外のを書きなさい!』って言われてたなぁ……だってしょうがないじゃん!考えちゃうんだもん!
シルヴィア「今はまだ♪〜」
シルヴィア「♪〜♪〜♪〜」
八幡くんともっと長くいたいって前まではすごく思ってた。今は半同棲(8割同棲)だけど、いずれは一緒に………って思ってるよ。
八幡くんはまだ強くなれる……だってまだ成長期だもん。羨ましいくらいにね。
シルヴィア「今はまだ♪〜」
シルヴィア「♪〜♪〜♪〜」
まだ行ったことのない道でいろんな出会いがあるかもね。八幡くんと一緒に過ごす日々は、本当に愛おしい。八幡くんが学院に行っちゃう時はちょっと寂しいけど、笑って送れるようにしないとね。
シルヴィア「♪〜♪〜」
ちょっとだけ……というよりも、ちょっとした願いだったかな。少しだけでもいいから君の本当の笑顔が見たいって思ったのは。
シルヴィア「♪〜♪〜」
でも、1度だけあったよね。君が後ろを振り向いてから、私に向かって眩しいくらいの笑顔を見せてくれた時が。忘れないよ、あの時の笑顔。
君が笑む夕暮れ…『東京レイヴンズ』のED1。