学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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界龍のイベント終了

 

 

シルヴィアside

 

 

八幡くんに身体を預けてから数分。ようやく私も落ち着きを取り戻して来た。本当によく考えれば、私は凄く危ない橋を渡ろうとしていたんだよね。覚悟していたつもりだけど、自覚して視野を広げたら、とんでもないくらい危険な事をしようとしていたんだね。

 

改めて八幡くんには感謝しないとね。

 

 

シルヴィア「……八幡くん、その……ありがとう。」

 

八幡「……何に対しての礼だ?」

 

シルヴィア「私を助けてくれてありがとう。もしあの場で八幡くんがああ言ってくれなかったら、私絶対あの2人にやられてた。」

 

八幡「……やられたとしても、俺がお前を渡さないけどな。まぁこれで互いの弱点をハッキリさせちまったんだけどな。」

 

 

互いの弱点?

 

 

八幡「まぁその事は置いといてだ。シルヴィ、さっきのやり取りは俺たちだけの秘密だ。話す相手はペトラさんか小苑さんくらいだ。いいな?」

 

シルヴィア「それはいいけど、どうしてそんな少数なの?協力は多い方が良いんじゃないかな?」

 

八幡「いや、少ない方が良い。知り過ぎてもいい事ばかりとは限らない。日本では『知らぬが仏』って諺がある。簡単に言うと知らない方が良いという意味だ。」

 

八幡「自分が信頼出来る人間だとしても、この話は絶対にするな。話すとしたらさっきの2人か、俺たち以上か同等の実力を持った奴だな。」

 

 

……八幡くんは暗に『自分たちの問題をあまり広げるな。』って言ってるのかな?そりゃ私だって自分の事を他の人に言いふらしたりする趣味はないけど。

 

 

シルヴィア「………分かった。今はペトラさんだけにするね。それ以外には話さない。」

 

八幡「そうしてくれ。俺は小苑さんに話す。星露にはまだ伝えないでおく。大々的に動かれても困るからな。」

 

シルヴィア「そうだね。」

 

 

ある程度決めた後、八幡くんは深い溜息をついて私の方に向き直った。

 

 

八幡「よし、じゃあ今日の売り上げとか聞きに行くか。冬香さんも集計し終わってるだろうしな。あっ、そういやシルヴィはどうする?飯でも食べて行くか?それとも今日は俺の部屋に泊まってくか?シルヴィに任せるぞ。」

 

 

八幡くん……きっと私に気を遣ってるんだよね。普段は自分からこんな事言わないし。でも、今はこの優しさが丁度いいなぁ。

 

 

シルヴィア「じゃあ今日は泊めてもらおうかな。冷蔵庫の中身とか大丈夫?」

 

八幡「後で確認してみる。今くらいの時間帯なら別に混んでるわけでもないしな。少し遅くても大丈夫だろう。」

 

シルヴィア「じゃあ、今日はよろしくお願いします。」

 

八幡「おう。」

 

 

八幡くん……君はやっぱり優しいね。

 

 

ーーー八天門場・受付ーーー

 

 

冬香「あら八幡さん、本日の講習会お疲れ様です。」

 

八幡「お疲れ様です、冬香さん。今日は如何でした?」

 

冬香「それを聞く必要があるんですか?文句無しですよ。午前午後合わせて満席。売り上げは講習会の人数は合計して1000人だったので50万円。さらに八幡さんの講習会を動画にしたものを作成して200円の価格で販売している最中です。」

 

 

売り上げが500000円って……凄い金額だね。

 

 

冬香「恐らくですが、動画の売れ行きによっては90万円を超えるかもしれません。1日目が176000円、2日目が213500円、そして今日が50万円。合計すると88万9500円でしたので。」

 

八幡「この3日間でえらい稼ぎましたね?何に使うんです?絶対使い道無いでしょう?」

 

冬香「はい。それに、生徒の方で何か購入していたわけではないので、マイナスどころかプラスしかない状態なので、打ち上げくらいにしか使い道がない状況でして……」

 

シルヴィア「でも、90万円で打ち上げっていっても絶対余りますよね。」

 

冬香「はい……そこでなんですが八幡さん、この売上金全額八幡さんが貰ってはくれませんか?」

 

八幡「何の根拠があってそんな事言うんですか?」

 

冬香「八幡さんがこの講習会の立案者なら、このお金は八幡さんがお持ちになるべきです。それに、何もしていない学園側にこのお金を持って行かれるのなんて、私は納得行きません。」

 

 

それは私も同感です!

 

 

八幡「そんな事言われましても……俺の使い道なんてスーパーで食材や日用品の補充くらいしかないですよ?外食なんて余りしませんし。学校全員で山分けってのはどうです?」

 

冬香「では八幡さん、当学院の生徒の説得をお願いしますね。」

 

 

八幡(うわぁ……そうだ。奴らなら絶対それは譲らないだろうな。)

 

 

八幡「すいません、無理です。」

 

 

冬香「ふふふっ。では八幡さん、そういう事ですのでよろしくお願いします。」

 

 

八幡「……はい。」

 

 

八幡くん、今だけ凄いお金持ちだね。でも………殆どが500円か100円なんだよね。凄いジャラジャラ。

 

 

ーーー八幡の部屋ーーー

 

 

八幡「はぁ〜……どうすっかなぁこの金。」

 

シルヴィア「何かないの?」

 

八幡「一応講習会やってくれた奴には5万ずつ渡そうとは思ってる。一応やってくれたのは俺を含めて11人居るからな。」

 

シルヴィア「1人5万円だとしても後40万円は残るね。それはどうするの?」

 

八幡「……未来ある子供達のために寄付するかなぁ。」

 

シルヴィア「あっははは!八幡くんって本当に面白いね。そんな突拍子も無いこと言って!」

 

八幡「だってよ、本当に使い道ないんだぞ?こんな大金貰っても困るわ。序列入した時の奨学金だって貰ってんのに、学園祭の金全部貰ってどうすんだよ?」

 

 

本当だよね。40万円残っても使い道なんてないよね。私も困っちゃう。

 

 

八幡「………これも俺たちの将来のために貯金しとくか。その方が良いな。」

 

シルヴィア「八幡くんがそう決めたのなら、それで良いよ。」

 

 

こうして八幡くんは、それぞれの講師をした人にお金を渡した後に自分の口座に40万円を入れた。

 

 

八幡くんの貯金が一気に増えた。そして数字も1桁増えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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