学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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注目の的

 

 

八幡side

 

 

午前10時。ついに学園祭がスタートした。入口にいたわけではないが、足音や喋り声でもう分かった。去年と違い、今年は最初からかなりの人数がこの学院に来ている。武術の講習会もあるだろうが、他の目的もあるだろうな。

 

 

『すみません!【夢幻月影】の比企谷八幡さんは何処にいますか?』

 

『私たち、あの人のファンなんです!是非お会いしてみたいです!』

 

 

 

 

『あの〜……この学院の序列2位の比企谷八幡さんは何処にいますか?お話ししてみたいなぁって思って来たんですけど……』

 

 

………影の中にいて正解だ。此処にいる奴ら殆どが俺目当てじゃねぇか。武術講習会に行ってる人もいるが、どうやら校門前や少し行ったところで生徒に話しかけている奴らは全員俺を目当てにしているようだな。

 

 

八咫烏『ふっ、主人も人気者だな。』

 

八幡「茶化さないでくれるか?」

 

八咫烏『それだけ有名になったという事だ。甘んじて受け入れるべきだ。』

 

 

分かってますよ、受け入れたくないけど。

 

兎に角、一度部屋に戻るか。シルヴィと出掛けなきゃならんしな。

 

 

ーーー八幡の部屋ーーー

 

 

八幡「……ふぅ。」

 

シルヴィア「あっ、お帰り♪どうだった?」

 

八幡「すげぇ数。殆どが校門前でたむろしてる。歩いて行ったら間違いなく捕まるな。」

 

シルヴィア「じゃあどうする?八幡くんの能力で隠れて行く?それとも空を飛んで?」

 

 

自分で言うのも何だが、俺もシルヴィも万能だよな。シルヴィは能力で、俺は守護霊と自分の能力。多彩過ぎねぇ?

 

 

八幡「いや、此処は敢えて正面から行くか。」

 

シルヴィア「え?でも大丈夫?」

 

八幡「俺とシルヴィが一緒に出てくれば、幾らかマシになるだろ。わざわざデートを邪魔する無粋な真似をする奴は居ないと思うぞ?」

 

シルヴィア「そうかなぁ……もしかしたらいるかもよ?私たちの交際反対派。」

 

八幡「もし手を出してきたら、星猟警備隊に突き出してやればいい。それだけだ。」

 

シルヴィア「……分かったよ。八幡くんに着いて行くね。」

 

八幡「おう。」

 

 

ーーー界龍・校門方面の廊下ーーー

 

 

生徒「っ!!尊師っ!!それに奥方様も!!おはようございますっ!!」

 

 

生徒の1人が包拳礼をして頭を下げてきた。ていうか奥方様って何?

 

 

シルヴィア「だからまだ奥方じゃないよ!うぅ〜これ昨日も言ったのに〜///」

 

 

どうやら昨日も同じやり取りがあったらしい。シルヴィが来た時か?

 

そんな事を思っていると、奥の方から多くの視線が飛んで来た。俺たちをジッと見ている。

 

 

シルヴィア「もう……呼ぶなら結婚してからにしてよ///」(ブツブツ)

 

八幡「さっきから何を1人でブツブツ言ってるんだ?」

 

シルヴィア「え!?う、ううん何でもないよ!大丈夫だから!」

 

八幡「……ならいいが。」

 

 

そして俺たち2人は学院の中に入ってきた客の中へと入って行った。勿論手を繋いで。

 

客の人たちは何も言わずに道を開けるばかりで、話しかけて来る人は居なかった。生徒の方は包拳礼で頭を下げながら尊師と奥方様と言うばかりだった。

 

 

そしてそれを聞いているシルヴィが、顔を赤くしながら少し俺の方へと寄って来る。

 

 

後ろから多くの視線を感じるが、取り敢えずはスルーしておこう。早く抜けたいし。

 

 

門番1、2「尊師、奥方様!!お気をつけて行ってらっしゃいませ!!」

 

シルヴィア「うぅ〜………/////」(プシュー)

 

 

あいつら絶対わざとだろ。シルヴィで遊ぶなよ。

 

 

ーーー中央区ーーー

 

 

何とかここまで歩いてきた俺たちだったが、来る途中に物凄い数のファンに押し寄せられた。サインだの握手だの写真だのとメチャメチャだった。朝から少し疲れてしまった。

 

 

八幡「あぁ〜……少し人酔いした。」

 

シルヴィア「ふふふ、八幡くんはまだ慣れてないもんね。仕方ないよ。少し休む?」

 

八幡「いや、そんなに酷くないから大丈夫だ。シルヴィ、最初は何処行く?」

 

シルヴィア「クインヴェールは明日でも行けるから……星導館はどうかな?ガラードワースは……その次でいい?」

 

八幡「あぁ。むしろその方が良いだろ。無理するなよ?」

 

シルヴィア「うん。」

 

 

ーーー星導館学園校門ーーー

 

 

八幡「星導館はこんな風なのか……まぁ普通っちゃ普通だな。これといって変な所もないしな。」

 

シルヴィア「八幡くん、それって何も特徴が無いって捉え方もできるよ?」

 

 

あっ……確かに。

 

 

八幡「ま、まぁ純星煌式武装の数は他に比べて多いし、昔は強かったからな。何もないって訳ではないか。」

 

シルヴィア「ふふふふっ♪」

 

 

綾斗「あれ?比企谷さんに……うぇ!?シルヴィア・リューネハイムさん!?」

 

ユリス「何!?どうして【夢幻月影】と

【戦律の魔女】が此処に!?」

 

八幡「いきなりご挨拶だな【華焔の魔女】。学園祭だから周りに来たに決まってんだろ。それと、久しぶりだな。」

 

綾斗「お久しぶりです、比企谷さん。まさかリューネハイムさんと来るとは思いませんでしたよ。」

 

シルヴィア「君が天霧綾斗くんかぁ……初めまして、私はシルヴィア・リューネハイムです。クインヴェール女学園の生徒会長でもあるんだ。よろしくね。」

 

綾斗「天霧綾斗です。こちらこそよろしくお願いします。」

 

 

初見同士が挨拶を済ませたところで漸く話を聞き出せた。

 

 

八幡「ところで【叢雲】。お前らもデートか?なら退散するが?」

 

ユリス「なぁっ!!?」

 

綾斗「いえ、僕たちは違います。僕たちの開いているお店の当番があるんですけど、僕たちは午前からの担当なので、一緒にぶらついているんです。」

 

シルヴィア「そうなんだ〜。あっ、オススメってあるかな?」

 

綾斗「俺たちのクラスが出しているたこ焼きとかですね。後は綺凛ちゃんのクラスが出している喫茶店とかですね。」

 

シルヴィア「助かったよ〜。何処を回ろうか頭を悩ませていたところだったんだけど、おかげで手間が省けたよ。」

 

ユリス「用が済んだのなら早く行け。」

 

八幡「お前も相変わらずだな……まぁいい。行くか、シルヴィ。」

 

シルヴィア「うん♪じゃあね〜。」

 

 

そして俺たちは【叢雲】たちと別れて校舎の方へと向かっていた。

 

 

シルヴィア「……八幡くん、綺凛ちゃんの所って……」

 

八幡「あぁ、もう調べてある。そこは小町のクラスでもある。折角の情報だが、そのクラスには行かない方が良いな。」

 

シルヴィア「うん、分かった。」

 

八幡「その代わり、戸塚たちのクラスに行かないか?あいつらの所なら安心出来る。」

 

シルヴィア「あっ、それ良いね!じゃあそうしよっか!じゃあしゅぱ〜っつ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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